「一瞬一瞬に全てを賭ける、という生き方の迫力。それが八十年積り積ると、極上の特別天然記念物でも見る思いがする」
城山三郎(小説家。『官僚たちの夏』『落日燃ゆ』など著書多数)は土光敏夫をこう評した。
本書は土光敏夫の生き様を綴っており、この内容は多読の価値がある。
質素に暮らし、仁徳を重んじ、勤勉で
...続きを読む剛健。
後年荒法師などと揶揄されるが、まさに風貌は法師そのものだった。
優秀なリーダー、というより、重鎮が轟々燃えたぎり動き回る。このような印象を受けた。
経歴は、
石川島造船所にはじまり、戦後の不況に喘ぐ東芝の社長を経て、経団連会長、臨調会会長、その他多くの役職を歴任。
91歳で亡くなるまで、まさに炎のように燃え、企業のため、国のため、未来のために、奔走し続けた偉人だ。
私を含め、今の若い人は臨調会など聞いたこともないだろう。
1981年、臨時行政調査会(臨調会)が発足する。
臨調会は、増え続ける財政赤字を縮小させることを目的として、各界から有識者を集め、立ち上げられた。
ホンダの本田宗一郎とソニーの井深大も参画しており、まさに国家の一大プロジェクトとなった。
その会長に据えられたのが、土光敏夫である。
財政赤字は今なお増え続け、莫大な額になっているが、彼らは当時本気で食い止めようとしていた。
土光は改革の鬼を化し、国民を巻き込み、政治を変えつつあった。
省庁の無駄遣いや、政治家と産業の癒着などの不正を正し、内閣と一丸となって取り組んでいた。
当時の鈴木総理も、政治生命を懸けると念書を書かされたとか。
30年経つが、結局実を結ばなかったなぁ。
彼らは命懸けでやっていた。
私達はどうだ。下を向き、声を上げず、自分の利害にのみ目を向けているのではないか。
政治家は益々肥え、日本の傾きは傾度を増している。
省庁の無駄遣いだ、天下りだ、と騒ぐが、それを許してきたのは国民。
21世紀後半戦、新興国が成熟し、日本は益々苦しい立場になることは必至。
馬鹿馬鹿しい無駄や汚職の話に煩わされて、教育や環境保護を実施できないようでは未来は暗い。
私ももう二十五になった。
これから生まれてくる子供たちには、日本に生まれたことを誇りに思ってほしい。
そのためには、政治家や官僚への不信など消し去らなければならない。
この冗談みたいな額となった赤字も、なんとかしなければならない。
議員手当も経費も何の価値もない大名旅行費も、全てなくせば良い。
欧州の議員は、完全無償で職務に付いている。
だから金と欲にまみれた能無しのジジイはいないし、みな本気で政治について、国の未来について考えている。
赤字は無駄をなくすことから。
わけのわからない手当、行政法人、交付金、補助金、議員、政治家。無駄だらけだ。
次に肥大化した社会保障費(年金・医療介護等)を抑える。
年金など、払えないのだからトップが謝罪して、本当に実現できるプランを模索・提示する。国民はそれを飲む。
そうして初めて建設的な議論が始まるのに、なぜ分からないかな。
医療介護費については、そもそも国民が皆健康であれば費用は発生しないのだから、予防医療の本格導入を国家プロジェクトとして行うべき。
国も国民も幸せになる、簡単なことだ。
高齢者への薬漬の温床となる無償保障も打ち切れば良い。
無料だから病院はいついっても老人で溢れているし、老人も病院に頼りやすくなって、どんどん弱っていく。
これって誰が得する話?
日本は政治レベルが低すぎる。
複雑すぎて、日本一優秀な人材の揃う官僚世界は機能不全に陥っているし、政治家は国の事を考えない。
欧州のボランティア議員たちが作る未来は、バラ色ではないかもしれないが、暗くないはずだ。
国民が自分の国を誇りに思う。
まずは誇りに思える土壌を作らなければならない。