織田淳太郎の作品一覧
「織田淳太郎」の「ある精神科医の試み 精神疾患と542試合のソフトボール」「医者にウツは治せない」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
何人もの当事者を思い浮かべながら読んだ。
事業所の運営は、二律背反の側面が伴う。誰かの役に立ちたいというまっすぐな思いと同時に、事業として成り立たせなければならないという現実。費用の面だったり安全の面だったり、人材確保の問題だったり。ベクトルがバラバラな複数の要素を、ある程度の方向性をもってまとめなければならない難しさがある。
ひとりひとりの思いを汲み、そのささやかな願いを叶えられるように、できる手助けをしたいという切なる思いもあり、だけれども他者ができる手助けには限界がある。そして複数の人が同時にそこに存在するとき、それぞれにそれぞれの思いがあると、どこを通るのが正解なのか。むしろ正解はないので、どう通っていくのが最適解なのか。それ以外に考慮しなければならない要素があるとき、どこに優先順位を置いて、何を譲るべきなのか。
いろいろな立場の人がいて、それぞれの視点があり、それぞれの優先順位がある中で事業を運営しなければならないことの難しさ。それを全てひっくるめたうえでの、責任の取り方。
福祉に携わるときはいつも、難しいことだなと思っているけれど、迷ったときはご本人と一緒に迷うしかないなと、
私の軸足はいつもそこ。人はひとりでは生きられないから、一緒に困って一緒に悩んで、間違えながらいきましょうね。
とても丁寧に、著者が経験されたことが綴られていてたくさん考えさせられた。
最後は泣けてしまったよ。
Posted by ブクログ
読み応えがある。
社会って何? 人の権利って何?
これを読んだら一層わからなくなった。
その人に合った環境というのがあるのに、ここに登場する施設は罰則を与える事で対応する。だから余計に利用者は状態が悪化して、そこにまた罰則、状態が……を繰り返す。
何もこれは知的障害者施設に限った事ではない。介護施設でもそうだ。日本のあちこちで似たような事は起き続けているのだろう。
福祉が注目される、というのは悪い事ばかりではないがいい事ばかりではない。ビジネスとしてこれから儲かる。障害者や老人を金のなる木として見た結果がこの現実を招いたのではないか。重たい声がある本だが、お陰で現実を知る事ができた。読んでよかった。
Posted by ブクログ
山際淳司が書いた『江夏の21球』は有名だ。同じ場面を別な角度から書いた『〇〇の21捄』が、少なくとも2編ある。松井浩の『西本幸雄と江夏の21球』と織田淳太郎の『水沼四郎の21球』だ。前者は、雑誌Numberに以前掲載された記事で、同誌のホームページにアップロードされた。後者は、いまレビューを書いている『捕手論』の中に載っている。
合計3編の『〇〇の21球』を読むと、この21球の時間の各タイミングで投手・捕手・打者・広島ベンチ・近鉄ベンチの間での誤解が生じていることがわかる。『水沼四郎の21球を読むと、各者の中で最も水沼四郎捕手が冷静であったように感じる。
本書『捕手論』には、『水沼四郎の21捄』以外にも味わいのある話がたくさん出てくる。著者は、多数の捕手にインタビューをしている。新人捕手を根気と苦労と指導力で育てていくコーチの話にも感銘を受けるし、昭和50年代ごろに活躍した名捕手がインタビューで発した、その人の生き方を感じさせる言葉もジワーっと胸に来る。
久しぶりに読んで、やはりいい本だと思いました。