織田淳太郎のレビュー一覧
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何人もの当事者を思い浮かべながら読んだ。
事業所の運営は、二律背反の側面が伴う。誰かの役に立ちたいというまっすぐな思いと同時に、事業として成り立たせなければならないという現実。費用の面だったり安全の面だったり、人材確保の問題だったり。ベクトルがバラバラな複数の要素を、ある程度の方向性をもってまとめなければならない難しさがある。
ひとりひとりの思いを汲み、そのささやかな願いを叶えられるように、できる手助けをしたいという切なる思いもあり、だけれども他者ができる手助けには限界がある。そして複数の人が同時にそこに存在するとき、それぞれにそれぞれの思いがあると、どこを通るのが正解なのか。むしろ正解はない -
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読み応えがある。
社会って何? 人の権利って何?
これを読んだら一層わからなくなった。
その人に合った環境というのがあるのに、ここに登場する施設は罰則を与える事で対応する。だから余計に利用者は状態が悪化して、そこにまた罰則、状態が……を繰り返す。
何もこれは知的障害者施設に限った事ではない。介護施設でもそうだ。日本のあちこちで似たような事は起き続けているのだろう。
福祉が注目される、というのは悪い事ばかりではないがいい事ばかりではない。ビジネスとしてこれから儲かる。障害者や老人を金のなる木として見た結果がこの現実を招いたのではないか。重たい声がある本だが、お陰で現実を知る事ができた。読んでよ -
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ネタバレ山際淳司が書いた『江夏の21球』は有名だ。同じ場面を別な角度から書いた『〇〇の21捄』が、少なくとも2編ある。松井浩の『西本幸雄と江夏の21球』と織田淳太郎の『水沼四郎の21球』だ。前者は、雑誌Numberに以前掲載された記事で、同誌のホームページにアップロードされた。後者は、いまレビューを書いている『捕手論』の中に載っている。
合計3編の『〇〇の21球』を読むと、この21球の時間の各タイミングで投手・捕手・打者・広島ベンチ・近鉄ベンチの間での誤解が生じていることがわかる。『水沼四郎の21球を読むと、各者の中で最も水沼四郎捕手が冷静であったように感じる。
本書『捕手論』には、『水沼四郎の -
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知的障害者施設って、現実問題あまり関わりがない生活をこれまで送ってきました。でも、これからはもしかしたら…そんな思いを持って手にしたのがこの書籍でした。著者の織田さんは、知的障害者施設の運転手として職務に就き、その間に見聞きしたことや入居者さんとの交流を描いたものです。そして、随所に知的障害者のおかれている状況、法整備やとりまく現状、課題などにも触れられています。
織田さんは当事者さんの入居するグループホームと福祉作業所との送迎を担っていました。そこでは、目もそむけたくなるようなこと…例えば当事者さんが楽しみにしているお買い物や外出を制限する行為が日常的に行われていました。虐待も、水増し -
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主に野球における、コーチングを論じた本。筆者はスポーツライター、小説家で、自身野球意外にも武道、格闘技や他の競技も経験豊富だ。
本書のテーマは「日本のスポーツ界にいまだにはびこる根拠なき根性論」によるコーチングではなく、個人ごとの向き不向きや科学に基づいたトレーニングをするべき、ということを数々の事例(コーチングの失敗によって潰れた例も含め)を挙げて論じている。
野球やスポーツだけに限らず、社会生活全てにおいての教訓がここにはある。人間誰しも「自分の成功体験」から物事を考えがちだ。もちろんそれは「貴重な経験」として生かされるべきではあるが、他人や他の組織にとってもそれが最良であるとは限らな -
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メンタル・コーチングについて知りたくて読書。
奇跡は突然発生するものではなく、起こるべくして起こっている。
自分の限界を超えた無の力が奇跡的な能力を生み出す要因となっているのではないかということを高校野球、ボクシング、マラソン、プロ野球、プロレスなどの幅広い事例から説明している。
偶然を偶然と思うなという師匠の言葉を思い出す。
現代は努力や地味な訓練を否定しがちな風潮がある。しかし、反復訓練の力を感じさせてくれる。自分の限界へ挑戦しないと成長することはない。でも自分の限界へ挑戦する、自分の弱さ、負の部分と対峙することは非常に辛いことである。だから多くの人間はその作業を避けて逃げる。
小 -
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読破するのに、約1か月かかってしまった。地震ボランティアの派遣等で、読む機会がなかったのと、それに加えて帰りの電車での睡眠が多かった。しかし決して内容的には悪いとは思っていない。精神障害者の生の声がわかった気がする。
精神障害者は病院経営者にとってはありがたい安定的に恒常的な患者ということで、隠語では「固定資産」と言われているらしい。確かに納得する言葉ではあるが、入院期間40年という人もいるようである。世間では暗いニュースもあり危険な人物ということになる障害者を政府は落ち着かせたいし、そのために病院は利益を考えて抱え込む。うまくできているものだと感じた。
ある女性精神障害者は長い間の入院生 -
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[ 内容 ]
緊迫のクロスプレーで宙を舞ったカツラ、トイレ行きたさに「ゲームセット」、激怒する観客の包囲網からの脱出劇、果ては監督・オーナーとの駆け引きまで ―。
近年頻発する誤審騒動の度ごとにクローズアップされるプロ野球審判の存在。
ジャッジは正しくて当たり前、ひとたび間違えれば、選手からはどつかれ、熱狂的ファンには命さえ脅やかされるという因果な商売。
威厳と珍事の狭間で、審判が垣間見たプロ野球裏面史とは。
[ 目次 ]
第1章 審判失格(決死の大脱出;暴動を招いた「判定変更」 ほか)
第2章 プロ野球審判という職業(初適用された「二十秒ルール」;反感を買ったオーバーアクション ほか)
第 -
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[ 内容 ]
捕手、投手、打者、審判など、多面的な証言をもとに、捕手の配球、プレーの秘密を探求する。
[ 目次 ]
セオリーを超える古田敦也
城島健司の涙
水沼四郎の21球
捕手と審判
捕手と投手
信頼関係
森祇晶の処世術
悪魔の囁き
メジャー捕手
ブロッキング
キャッチング
捕手とチームプレー
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) -
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[ 内容 ]
薬だけに頼らず、うつを克服するには?
国民総うつ時代の必読書。
うつ病を克服した著者が、治療の最前線を徹底取材!。
[ 目次 ]
第1章 うつとスポーツ(ソフトボール療法;一通の手紙 ほか)
第2章 うつ治療が孕む問題点(薬物療法の功罪;退院後に自殺 ほか)
第3章 薬物だけに頼らないうつ治療(内観法;幻覚、妄想が消えた ほか)
第4章 心と感情―その不可思議な世界(心が体に与える影響;嘆き悲しむことは健康によい ほか)
第5章 感情をいかにコントロ-ルするか(心を“いま”に連れ戻す;感情を味わい尽くす ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすす