作品一覧 2024/04/10更新 文藝春秋 NEW 試し読み フォロー オウム裁判傍笑記 試し読み フォロー 池袋通り魔との往復書簡 試し読み フォロー 帰還せず -残留日本兵 六〇年目の証言- 試し読み フォロー 裁判員Xの悲劇 最後に裁かれるのは誰か 試し読み フォロー 食料植民地ニッポン 試し読み フォロー 侵略する豚 試し読み フォロー 中国食品工場の秘密 試し読み フォロー 私が見た21の死刑判決 試し読み フォロー 1~9件目 / 9件<<<1・・・・・・・・・>>> 青沼陽一郎の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 文藝春秋 2015年 6月号 立花隆 / 梅原猛 / 塩野七生 / 伊集院静 / 坪内祐三 / 後藤謙次 / 御厨貴 / 古川貞二郎 / 山内昌之 / 養老孟司 / 川島裕 / 浜田宏一 / 綿矢りさ / 西加奈子 / 川淵三郎 / 松田美智子 / 小池真理子 / 和田誠 / 金田一秀穂 / 岡井隆 イイネ 10年前から毎月購読していますが、本の整理が大変ですので3年前から電子ブックに変更。もう少し、普通の書籍に比べて安くなるとありがたいですが... cerami 文藝春秋2月号 文芸春秋3月号 年間購読にしているのですがどうしたら読めますか ほっとさん オウム裁判傍笑記 青沼陽一郎 戦後最悪と言われる事件のその後。どんな事件で誰がなにがなんてよく耳にしていても場所が法廷に移ってからはとんと耳にしなくなっていた。その教団教祖の裁判の全容。 読み進めるたびに頭を抱えていました。知らなかった現実というか真実が書かれてて、知るほどに空虚になっていく感じ。 この事件を知らない世代が出てき...続きを読むたということを聞いて、せめて知り覚えている世代が記憶し忘れないようにしなければと思い手に取った一冊だったけどこれは証言記録だけでなくその向こうに見える問題提起もあり、今後裁判員制度によって突然裁く側になった場合に「裁判とは一体だれのものなのか」という至極当たり前のことを考えさせられる機会ともなりました。 素晴らしい一冊だったと思います。 Posted by ブクログ 私が見た21の死刑判決 青沼陽一郎 奥が深い!!! これまでも、死刑制度、興味あったけど、またまた心そそられる一冊でした。 とっても深い。 裁判員制度を前にして考えねばならないことはたくさんあるし、一方だけから見ることの怖さも知りました。 いかんせん もっとたくさんべんきょうしなくては。 この人の本 もっと読みたいな。 Posted by ブクログ 私が見た21の死刑判決 青沼陽一郎 「司法統計年報(刑法編)」を読むと、毎年3〜4名ほどが死刑判決を受けていることがわかる。主な罪状は殺人の罪もしくは強盗致死傷がほとんどではあるが、そもそも殺人で裁かれた人数自体が200〜300名は居るのだから、人を殺しても死刑になる確率は2%未満という事になる。世界レベルで見ると、2022年の統計で...続きを読むは死刑を執行した国は20カ国、件数は900件弱であった。なお死刑執行数が多いと言われる中国や北朝鮮、ベトナムは死刑執行に関して秘密主義を取っており、数値自体を公表していないため、前述の数字には含まれていない。下手をすれば倍どころではなく執行数の桁を上げる可能性もある。 それに比べ、人口としては世界の80分の1(1.5%)程度が日本人であると考えるなら、900分の3(0.3%)という数は低く(執行数と判決数を単純比較はできないから目安として)、死刑判決には慎重な国であると捉えられなくない。なお死刑には基準があり、1.犯行の罪質 2.動機 3.残虐性 4.結果の重大性 5.遺族の被害感情 6.社会的影響 7.犯人の年齢 8.前科 9.犯行後の情状、といった判断基準に基づき、4の重大性=人数で言うなら大体3名以上を殺害すれば死刑になる確率が高いと言える。但し本書でも取り扱う光市母子殺害事件は2名でも死刑になっている。 本書はそうした死刑判決をジャーナリストとして実際に法廷で見てきた筆者が、事件の背景や実際の判決時の被告の表情・態度などについて考察していく内容だ。ちょうどオウム真理教の裁判及び判決時期と重なったため、21件もの判決を見てきている。よって本書も必然的にオウム真理教の引き起こした地下鉄サリン事件に関する被告の描写が多い。同事件は東大や早稲田、立命館など名だたる難関大学の出身者(しかも首席で卒業するなど)が引き起こした事件として意外性も注目された。 判決を受ける際の被告の表情や態度もそれぞれ異なるが、冷静に判決を受け入れる者、教団教祖のように不様な者など、それまでの裁判経緯からの結果の予測によったり、本人の精神の成熟度によるところが大きい。とは言え、死刑となれば、判決を言い渡されることが本人の死を意味するから、動揺が無いはずもない。寧ろ地下鉄サリン事件で3名が同時に判決を言い渡されるシーンで、死刑を免れ無期懲役になった1人が見せた動揺する描写は強く印象に残る。 裁判では被害者の遺族や被告の親族なども同様に判決を聞く事になるから、法廷における緊張感もかなりの物であると思われる。何より判決を言い渡す裁判長の精神的な苦痛はいかばかりか。殺人犯とは言え、人の命を奪う事になる裁判長の発言に際して、心のうちにある苦しさは想像を絶する。本書はそうした出席者の緊迫した状況を、犯人の心情に対する想像を交えながら見事に描き出している。 現在では日本でも裁判員制度が採用されているため、そうした判決に一般人言わば素人が参加しなければならない。日常的に判断基準を持つ検察や弁護士、裁判長ならまだしも、法律素人の一般人が感情や表面上の出来事に流されて誤った判断をしないとも限らない。制度自体を否定するつもりは全く無いが、十分な注意が必要である。本書を記した筆者自身も法律の専門家では無いものの、数多くの死刑判決を見てきた事で、そうした感覚には優れているが、それでも一部の判決には納得のいかない点もある様だ。それが普通の人間の感覚なのだとも思う。本書を読み進めることでわかるのは、事件の背景にある動機、被告の反省度合い及び将来への期待などはどれも本人以外でなければ真実はわからない。サリン事件の林郁夫の様に実行犯として2名を殺害しておきながら、自白と事件解決への協力から死刑を免れる者もいる。一方で殺害人数が1名であっても自白がなかったことで死刑になる者もいる。 林郁夫が法廷で見せた、反省の態度が真実なのか演技なのかは誰にもわからない。そうした中で死刑判決がなされ、毎年何人もの刑の執行がなされていく。私個人として死刑制度反対の立場では無いものの(一定の抑止力はあるだろうが、効果的かどうかは解らない)、死刑判決が抱える課題は大きい事は誰の目にも明らかだ。 その様なシーンをあくまで客観的に記録として残している本書は、日本の裁判制度が抱える問題について考える良い機会になる。 Posted by ブクログ 青沼陽一郎のレビューをもっと見る