作品一覧

  • 戦艦武蔵の最期
    5.0
    1巻1,386円 (税込)
    「おれたちをここまで追いつめたやつは、一体誰だ、誰だ、誰なんだ……。」 “不沈艦” 神話を信じ、乗り組んだ船で見たのはあまりに悲惨な戦場の現実だった――全長250m超の大和型2番艦「武蔵」は1944年10月、日本の存亡をかけたレイテ沖海戦へと出航する。アメリカの航空戦力を前になすすべなく、主砲も沈黙するなか、「おれ」が選んだ道とは? 組織内暴力や上官の不条理、無差別に訪れる死。実際の乗艦経験をもとに、戦場の現実を描いた戦記文学の傑作。鶴見俊輔氏の論考も再録。 解説・一ノ瀬俊也 ◆主砲の制御装置が魚雷一本の振動で故障、航空機には通用せずあえなく廃棄 ◆「鬼」と恐れられていた上官が戦闘では遁走 ◆元小学校教師は爆弾に吹き飛ばされ、十六歳で志願した少年は足を失い息を引き取る ◆沈没時は乗員よりも天皇の肖像写真の退避が優先された
  • 海の城 海軍少年兵の手記
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    「どうせ、……いつかはお互いに、戦場で死んでしまうんだ、それなのに……それなのに……」 志願兵として「不沈艦」に乗り組んだ少年・北野が直面した海軍の現実とは? 1943年春、いまだ戦火から遠い播磨(武蔵をモデルとした架空の船)はトラック島へ入港、同型艦大和から連合艦隊旗艦を引き継ぐことになる。帝国海軍の旗印として聳え立つ「海の城」の上では、法外な私的制裁、理不尽な罰直、性的虐待が横行していた。北野たち新兵は、剥き出しの暴力を必死に切り抜けるが、やがて同胞の命を失うことに……。銃火も爆撃もない、知られざる地獄を描く無二の戦記文学、復刊! ◆毎日のように甲板に整列させられ、棍棒で殴られる ◆自殺した同胞の遺体に暴行する憲兵 ◆同年兵同士を殴らせ合う「対向ビンタ」

ユーザーレビュー

  • 戦艦武蔵の最期

    Posted by ブクログ

    戦艦大和と並び、太平洋戦争時の帝国海軍の象徴的存在だった戦艦武蔵。全長263メートル、幅38.9メートル、海面からの高さはビル10階建以上と、広大な太平洋の海原にあってもその艦影は異様なものであったに違いない。そこに3000名以上の船員と46センチ砲三連を三門抱えていたから、主砲を撃つためにも艦自体が大きくなければならなかった。本書内でも最終的には主砲が撃てなくなるまで闘いを続けるのであるが、砲の撃てない武蔵はその攻撃力の大半、そして存在の意味も失う。
    一方、大和と同じ様に太平洋戦争では象徴を失う事は許されず、また航空機を搭載できる空母中心の機動隊の方が余程使い勝手が良いため、戦いの機会からは

    0
    2023年11月11日
  • 海の城 海軍少年兵の手記

    Posted by ブクログ

    一応、小説の体裁。帝国海軍の戦艦に、水兵として乗るということが、いかに精神的、肉体的に辛いことであり、甚だしきは、戦闘でなく上官によって嬲り殺しになることもある、というリアリティに溢れている。
    戦争の最前線に臨む兵というものは、それぐらい理不尽な鍛錬?によってスクリーニングされていなければ、ここが切所というときに逃亡などをはかり、全軍にダメージを与えかねない、というのが、制裁・しごき・・が指導層によって黙過されてきた理由ではある。しかし、古年兵が初年兵に精神注入棒を見舞うときの感情は、もはや野獣めいた感覚でしかなかろう。兵隊と人権は、もともと相容れないものだということ。

    0
    2024年08月04日

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