個人的には、システム思考の本では、現時点でのベストと思える。具体的で、実践的なんだけど、その下にほんとしっかりした思想というか、経験と知恵がある感じ。
(とはいえ、これを最初に読むのは難しそうなので、「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?」、「世界はシステムで動く」を読んでからこの本に進むと
...続きを読むいいかな?)
内容的には、センゲの「学習する組織」「フィールドブック 5つの能力」で紹介されたシステム思考の方法の詳しい説明という感じ。
つまり、変数をリストアップしてその関係をゼロからループ図にしていくというアプローチではなくて、「システム原型」を使いながら対話をおこなっていくことを中心としたアプローチ。
また、システム思考だけでなくて、フリッツの緊張構造を全体のフレームとして使っていたり、通常、現状分析で使われることが多いシステム思考をありたい姿に向かっていくところでも使ったり、必要に応じて、アプリシエイティブ・インクワイアリーなども統合的使っている。
なんだろう、センゲの言っているシステム思考の全貌が、やっと具体的な形で浮かび上がって来たという印象。
システム思考は難しいという人は多い。もちろん、それはループ図を書くのが難しかったりとか、レバレッジポイントを探すのが難しかったりというところがあると思う。が、それだけではなく、具体的に実務としてどう進めるか、それがどう展開していくか、というのがイメージできない、というのもあったのではないかと思う。
その辺のモヤモヤがかなり晴れてきた気がした。
監訳者の小田さんの解説もすばらしい。本書の内容のわかりやすい解説にあわせ、システム思考のコツとか、変革理論との関係とか、アダム・カヘンの新著「敵とのコラボレーション」との関係も説明してある。この解説を読むことで、アダム・カヘンの新著の意味というか、位置付けがやっとわかったような感じがした。