作品一覧

  • 無限の玄/風下の朱
    3.8
    1巻715円 (税込)
    ブルーグラスバンド「百弦」のリーダーにして一家の長である宮嶋玄は、家でひとり死んだにもかかわらず、なぜか毎日蘇っては死に続ける。その不条理な繰り返しに息子たちは苛まれていく――(「無限の玄」)。魂の健康を求めて野球部を作ろうとする侑希美さんの下に集った私たちは、しかし理想と現実の間で葛藤する――(「風下の朱」)。それぞれ三島賞受賞と芥川賞候補に輝く奇跡の中編集!
  • フィールダー
    3.8
    1巻836円 (税込)
    総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯が記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて・・・・・・。誰かを「愛でる」行為の本質を暴く傑作長編!

ユーザーレビュー

  • フィールダー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    出版社に勤めながらリンドグランドというソシャゲに没入している橘が主人公。最後の、母に監禁されている生活から礼を救う展開が良かった。ゲーム上ではあっても、こんなに日常生活に溶け込んで人との関係性も出来上がっていたらそれはもうリアルの世界でもあると感じた。黒岩を求めてくる他所の子供を愛することと捨て猫を愛する宮田の違いについて考えさせられた。複雑なことを簡略化して間違って伝えることの恐ろしさを改めて感じた。個人戦で礼と競っていたしおんが負けて自殺し、しおんの心疾患のことやこれまでの人生のことも明らかになったあと礼が言った、「遺書がないなんて当たり前なんだよ。人生全部が遺書だから。たぶん、まじで死ぬ

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    2025年08月17日
  • フィールダー

    Posted by ブクログ

    それっぽい言葉並べて纏められるよりも、矛盾を矛盾のまま突きつけられる方が清々しい。どうせ筋は通らない。だからこそ、視野を広く持て。

    0
    2025年12月02日
  • フィールダー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    かなり久しぶりに読書をしたのだけれど、それにしてもとても読みやすい本だった。

    橘も、黒岩も、「かわいい」に取り憑かれて、変わっていく。
    自分自身の生きる道筋があって、それに沿ってきたはずなのに、「かわいい」に触れたとたん、道なき道を走り出す。
    2人とも、その道を正しくしようとする。これまでの自分なら間違っていると分かるのに。ない道筋を通そうとする。

    ペットを飼うということについての黒岩の考えが、あまりにも正しい。私も猫を飼っていますが、同意見です。
    でも、それでも、私は、人間は、どこまでも利己的なので。黒岩に共感しつつも、それでも「かわいい」を選ぶんだと思います。
    最後に、橘が、「かわいい

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    2025年10月02日
  • 無限の玄/風下の朱

    Posted by ブクログ

    「無限の玄」は死のルールから外れた存在を中心に展開し、「風下の朱」は性のルールから外れた存在を中心にしており、どちらも常識からの逸脱がテーマの柱だ。
    個人的には「無限の玄」の方が一歩抜きん出ている感じ。百弦という業とそれに縋り振り回されながらも生きる一家。死から外れることを書きながら生を描いている。

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    2024年11月07日
  • 無限の玄/風下の朱

    Posted by ブクログ

    死と生。真逆の話かと思いきや密接で、どちらからも人間の生命力を感じた。ルーツはそのまんま思想に繋がる。自分の場合はどうだろう。

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    2024年04月29日

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