作品一覧

  • うた子と獅子男

    うた子と獅子男

    小説・文芸

    3.5
    1巻1,980円 (税込)
    安居酒屋で働く、190センチ超の大男・獅子男。人生を持て余した困窮高校生のうた子。松戸駅前で出会ったふたりの奇妙な連帯。生と暴力の火花が飛び散る、ヤンキー×哲学青春長編!
  • 神前酔狂宴

    神前酔狂宴

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    「なんでみんな、結婚を披露するの?」軍神を奉る神社の結婚式場で働き始めたフリーターの浜野。「自分ひとりで婚礼をしたい」と話す女性がやってきて――。第41回野間文芸新人賞受賞作!
  • フィールダー

    フィールダー

    小説・文芸

    3.8
    1巻836円 (税込)
    総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯が記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて・・・・・・。誰かを「愛でる」行為の本質を暴く傑作長編!
  • 無限の玄/風下の朱

    無限の玄/風下の朱

    小説・文芸

    3.8
    1巻726円 (税込)
    ブルーグラスバンド「百弦」のリーダーにして一家の長である宮嶋玄は、家でひとり死んだにもかかわらず、なぜか毎日蘇っては死に続ける。その不条理な繰り返しに息子たちは苛まれていく――(「無限の玄」)。魂の健康を求めて野球部を作ろうとする侑希美さんの下に集った私たちは、しかし理想と現実の間で葛藤する――(「風下の朱」)。それぞれ三島賞受賞と芥川賞候補に輝く奇跡の中編集!

ユーザーレビュー

  • 神前酔狂宴

    Posted by ブクログ

    とんでもない本だった……何かに例えたり比べたりすることができそうにない、何を読んだんだ私は……
    『結婚披露宴って何?なんでみんなーーねぇ、ほんとにーーなんでみんな、結婚を披露するの?』
    幻が大金を生む披露宴の滑稽さに魅了される主人公、そこにのめり込んでやがてとんでもないことになるのではーーと予想しながら読み進めるとガクッと裏切られる、というか最後の最後まで予測がつかない。何度も出てくるどんでん、どんでん!という、披露宴の会場を一気に畳んで次の披露宴に備えるワードが象徴的で効果的。
    誰にも見せない脚本を書き続ける主人公。ト書きで語る自分と世界。おれの新郎。神社と神。
    もう本当に最初から最後までずっと面白かった。浜野が抱くどの発想も感情も、絶対に私には思いつかないし、思い浮かんだこともないはずなのに、こうして語られるとなぜかすとんと自分の中に落ちてしまう、分かってしまう(気がする)。とんでもない本だ。

    0
    2026年09月10日
  • フィールダー

    Posted by ブクログ

    たまたま流れてきた読書アカウントの投稿の中にあった一冊。見たことがない本で、妙に気になったので手に取ったところ大当たり!
    主人公である橘の勤務する出版社とオンラインゲーム、「表と裏の顔」「オンとオフ」的に描かれがちな二つの面だが、これがごく当然であるかのようにシームレスに描かれている。自分はここまで本格的にオンラインゲームに取り組んだことはないものの、ごく当たり前にインターネットに生息する身としては非常にすとんと落ちるものがあり、同時にそれを初めて意識した。
    赤裸々というのが正しいかどうか分からないけれど、そこまで言っちゃっていいの?そこに触れちゃっていいの?無意識に蓋をしているそこを叩いていいの?と言いたくなるような描写が多々あり、しかしそれは橘をはじめとするさまざまな登場人物にとっては、他の大事な何かや大事でない何かと当たり前に地続きに存在したり考えたりしていることで、生きている思考や感覚ってこういうものだよなぁ、という不思議な納得感がある。
    自分は彼らではないのに、あぁそうだこう思ったら次にこう思うんだ、となぜか納得しながら追体験しているような感覚。
    オンラインゲームに馴染みがない人にとっては読みづらいかも、というか特有の文脈を掴むのに慣れがいるかも?とは思う。自分にとっては、これを理解できると感じる体験まるごと、とてもインパクトのある一冊だった。偶然に感謝。

    0
    2026年07月08日
  • フィールダー

    Posted by ブクログ

    加納のお勧めで読んだ。電子で。
    やばい。
    これは本のいいところ全部浴びた。
    知らなかったのを後悔するような、そんな名作。

    0
    2026年04月19日
  • うた子と獅子男

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    結末を明言しないところも、獅子男がうた子含め周囲の世界と自分の成れ果ての行き着きたかった関係性も、この世の単語にまとめきれずに、ある現象だとか、ただその時に抱いた欲望のまま描写するのがとても良かった

    だからこの作品で、私の中に響く言葉ははっきり言ってほとんどなく、唯一、市太が怒りという財産を抱えると表明したシーンだった でも、書かれなかった(書くことが無粋だし、型にはめられるほど私たちはこの世界から見て単純ではなかったし、合法でもなかった)感情が執着が祈りがあった

    自分の肉体でないからどうでもいいといううた子の諦めを三花は許せなかった でも獅子男はうた子を傷つけた相手にさえ怒りという感情を手に入れることはできなかった それは変わらずだが全ての人生が間違っていたのかもしれなくてもうた子となら合法非合法曖昧な世界を生きられた希望が獅子男にはあった

    この作品の良かったところは名言しないことを最後まで貫いたことだ 獅子男は後悔していたかもしれない、でもお酒の勢いかもしれない 獅子男は正義に生きるべきだったかもしれない、でも肉体は暴力に強かった うた子は暴力を覚えるべきでなかったかもしれない、でも彼女は諦めを知ってしまっていた

    そういった要素の掛け合わせが、あの結末を呼び寄せ、そしてその結末さえ明かさないのはこの作品の美点だと感じる これは青春の話であり、ある熱の話というよりは私たちの信念と、それを育んでくれた誰か教育者との関わりであり、そしてその関わりは必ずしも自分を正しい世界に導けるものではなかった

    正しくなくても、自分の性質を知って、心の内に衝動と覚悟があって、それが言葉にできないからなんだというのか その表せないすべてこそが、「連帯」というものの根幹になっていて、それが決して善であるという前提ではないことを知っておかなければならない 私たちは、覚えたことを暴力にできる

    うた子のいうとおり、反抗するのはめんどくさい 本当のことを言ってしまって自分の好きな自分の秩序崩すのだって億劫だ 全部どうでもいい、めんどくさい、それを間違ってるって外から断言するべきだが、それは自分自身がしなければならない これまで抑圧されてきたその肉体をもってして、抵抗しなければならない

    自分の財産を、いかに正しく育て、どのように活かし、生きていくのか 周囲の影響もあるけど、それこそが自由で、意思決定で、人生の博打要素と救いの種になる

    0
    2026年02月22日
  • フィールダー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    出版社に勤めながらリンドグランドというソシャゲに没入している橘が主人公。最後の、母に監禁されている生活から礼を救う展開が良かった。ゲーム上ではあっても、こんなに日常生活に溶け込んで人との関係性も出来上がっていたらそれはもうリアルの世界でもあると感じた。黒岩を求めてくる他所の子供を愛することと捨て猫を愛する宮田の違いについて考えさせられた。複雑なことを簡略化して間違って伝えることの恐ろしさを改めて感じた。個人戦で礼と競っていたしおんが負けて自殺し、しおんの心疾患のことやこれまでの人生のことも明らかになったあと礼が言った、「遺書がないなんて当たり前なんだよ。人生全部が遺書だから。たぶん、まじで死ぬことばっかり考えてたと思うよ。いつ終わるんだこれって。でね、そういう奴が待ってるのは理由じゃなくて合図なの。」という言葉が印象に残った。

    0
    2025年08月17日

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