あらすじ
総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯が記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて・・・・・・。誰かを「愛でる」行為の本質を暴く傑作長編!
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Posted by ブクログ
出版社に勤めながらリンドグランドというソシャゲに没入している橘が主人公。最後の、母に監禁されている生活から礼を救う展開が良かった。ゲーム上ではあっても、こんなに日常生活に溶け込んで人との関係性も出来上がっていたらそれはもうリアルの世界でもあると感じた。黒岩を求めてくる他所の子供を愛することと捨て猫を愛する宮田の違いについて考えさせられた。複雑なことを簡略化して間違って伝えることの恐ろしさを改めて感じた。個人戦で礼と競っていたしおんが負けて自殺し、しおんの心疾患のことやこれまでの人生のことも明らかになったあと礼が言った、「遺書がないなんて当たり前なんだよ。人生全部が遺書だから。たぶん、まじで死ぬことばっかり考えてたと思うよ。いつ終わるんだこれって。でね、そういう奴が待ってるのは理由じゃなくて合図なの。」という言葉が印象に残った。
Posted by ブクログ
橘に相対するさまざまな人々との決着がつかないまま物語が終結する様がかえって清々しい
このままどうなってもいい、俺は、あの人のところに…
Posted by ブクログ
かなり久しぶりに読書をしたのだけれど、それにしてもとても読みやすい本だった。
橘も、黒岩も、「かわいい」に取り憑かれて、変わっていく。
自分自身の生きる道筋があって、それに沿ってきたはずなのに、「かわいい」に触れたとたん、道なき道を走り出す。
2人とも、その道を正しくしようとする。これまでの自分なら間違っていると分かるのに。ない道筋を通そうとする。
ペットを飼うということについての黒岩の考えが、あまりにも正しい。私も猫を飼っていますが、同意見です。
でも、それでも、私は、人間は、どこまでも利己的なので。黒岩に共感しつつも、それでも「かわいい」を選ぶんだと思います。
最後に、橘が、「かわいい」を選んだことも、読者に寄り添った結果だったのかな。
Posted by ブクログ
2023年第8回山中賞受賞
2023年第8回渡辺淳一文学賞受賞
この小説の紹介に、児童虐待、小児性愛、ルッキズム、ソシャゲ中毒、ネット炎上、希死念慮、社内派閥抗争、猫を愛するということ……現代を揺さぶる事象が驚異の緻密さで絡まり合い、人類の「不都合」の芯をひりりと撫でる、とある。
ずいぶんと鋭利な小説を読んだような気もするし、でもいったい誰が何に揺さぶられるのか 全くわからないような感じもする。
ストーリー展開のベースにスマホゲームがあり、そこの表現も多いのですが、まずやったことがなく、ツムツム以外見たこともなく イメージが湧かず 苦しむ。
このフィールダーというのも ゲーム用語なのか?わかったようなわからないような。
確かに緻密で濃密な現代社会を 仮想空間と現実空間を交差させながら
書きたい事を積み重ねていくのだけれど
その書きたい事が 散らばる感じ。
現実もゲームも同時に存在させて、
幾つかの社会問題も同時に存在させて
読者に“関係を感じさせる”のか?
1Qさんが この小説理解してるということは
春樹さん系なのかな?
渡辺淳一賞って どういう方向性なんだろうの
2作目
Posted by ブクログ
初めて古谷田さんの作品を読んでみました。朝井くんが描きそうな世界観だなーと思いながら読んでました。…が、それほど入り込めず。きわめて現代的なテーマを扱っているとは思います。他の作品はどんな感じなんだろう?