古谷田奈月のレビュー一覧

  • フィールダー

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    ネタバレ

    出版社に勤めながらリンドグランドというソシャゲに没入している橘が主人公。最後の、母に監禁されている生活から礼を救う展開が良かった。ゲーム上ではあっても、こんなに日常生活に溶け込んで人との関係性も出来上がっていたらそれはもうリアルの世界でもあると感じた。黒岩を求めてくる他所の子供を愛することと捨て猫を愛する宮田の違いについて考えさせられた。複雑なことを簡略化して間違って伝えることの恐ろしさを改めて感じた。個人戦で礼と競っていたしおんが負けて自殺し、しおんの心疾患のことやこれまでの人生のことも明らかになったあと礼が言った、「遺書がないなんて当たり前なんだよ。人生全部が遺書だから。たぶん、まじで死ぬ

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    2025年08月17日
  • フィールダー

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    それっぽい言葉並べて纏められるよりも、矛盾を矛盾のまま突きつけられる方が清々しい。どうせ筋は通らない。だからこそ、視野を広く持て。

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    2025年12月02日
  • フィールダー

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    ネタバレ

    かなり久しぶりに読書をしたのだけれど、それにしてもとても読みやすい本だった。

    橘も、黒岩も、「かわいい」に取り憑かれて、変わっていく。
    自分自身の生きる道筋があって、それに沿ってきたはずなのに、「かわいい」に触れたとたん、道なき道を走り出す。
    2人とも、その道を正しくしようとする。これまでの自分なら間違っていると分かるのに。ない道筋を通そうとする。

    ペットを飼うということについての黒岩の考えが、あまりにも正しい。私も猫を飼っていますが、同意見です。
    でも、それでも、私は、人間は、どこまでも利己的なので。黒岩に共感しつつも、それでも「かわいい」を選ぶんだと思います。
    最後に、橘が、「かわいい

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    2025年10月02日
  • 無限の玄/風下の朱

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    「無限の玄」は死のルールから外れた存在を中心に展開し、「風下の朱」は性のルールから外れた存在を中心にしており、どちらも常識からの逸脱がテーマの柱だ。
    個人的には「無限の玄」の方が一歩抜きん出ている感じ。百弦という業とそれに縋り振り回されながらも生きる一家。死から外れることを書きながら生を描いている。

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    2024年11月07日
  • 無限の玄/風下の朱

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    死と生。真逆の話かと思いきや密接で、どちらからも人間の生命力を感じた。ルーツはそのまんま思想に繋がる。自分の場合はどうだろう。

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    2024年04月29日
  • 無限の玄/風下の朱

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    どちらの作品も浮世離れした設定ということによるのか、とにかく不思議な読後感。ハッとする文体が美しい。好きかと問われると好きではない、けど、妙に残る。
    「無限の玄」は死から始まる。その対比として配置された「風下の朱」からは生命力が感じられ、眩しい輝きを放っていた。

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    2023年02月10日
  • フィールダー

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    初めて古谷田さんの作品を読んでみました。朝井くんが描きそうな世界観だなーと思いながら読んでました。…が、それほど入り込めず。きわめて現代的なテーマを扱っているとは思います。他の作品はどんな感じなんだろう?

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    2025年08月27日
  • フィールダー

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    ネタバレ

    あまりにも作り込まれた物語。
    初めて読む作家で純文学系の作家らしいということは知っていたのだが、思っていたよりもエンタメ的な作りになっている気がした。文としてのいうより、物語としてたくさんのことを伝えようとしている気がした。
    もちろん文章も読みやすく、かつ綺麗だった。特に情景描写や比喩がすんなり入ってきた。
    本当にたくさんのテーマを取り込んで、この大きな物語を成立させているのがすごいなあと感嘆した。

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    2025年09月02日
  • 無限の玄/風下の朱

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    ネタバレ

    描写は繊細で惹きつけられるが、父が何故戻ってくるのかがはっきりしない。とどのつまり、息子たちの苦しみも救いも父からもたらされたもの=父の存在を消化できていない登場人物たち…に思え、着地点にもってくる境地としては如何なものか。また、親子をつないでいるブルーグラスバンドだが、ブルーグラスにする必要があったのか。

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    2023年04月02日