何気にちゃんと読むのは初めてかもしれない、芥川龍之介。短編作家だったんですね。
100年読み継がれる、は言い過ぎじゃない。さすがの一言。
芥川賞作品を読みまくる前に、芥川を読もう。
・蜘蛛の糸
地獄にいるカンダタは、罪人だが蜘蛛を殺さなかった。その慈悲として、お釈迦様は蜘蛛の糸をたらす。
千載一遇のチャンス、掴むか逃すかは自分次第。
・トロッコ
良平はトロッコに乗って山を下ってくる土工に憧れ、トロッコを押したいと思う。ある日それが叶うも…。
1人だけの帰り道の心細さ。外から見た憧れと、実際に経験することの差が短い中に見事に描かれていた。
・鼻
ある高僧は、顎まで垂れ下がった大きな鼻を嫌っていたが、態度には出さないようにしていた。ある日弟子が、鼻を小さくする方法を聞いてきたので試すと、小さくなったが…。
自分にとっての欠点も、そのままのほうがいいこともある、という学び。落ち葉で黄金色に輝く庭を見ながらの高僧の晴れやかな気持ちが伝わってきた。
大がかりな美容整形をしたい人に読んでもらいたい。
・蜜柑
二等車両に乗ってきた、みすぼらしい娘。隣に来て窓を開け、煤が入ってきて咳き込む。
このあたりまでの描写では主人公同様に娘に不快感を覚えたが、蜜柑のシーンは感動した。心情と情景がはっきりと浮かぶ。
この話、かなり好きだった。
・羅生門
暇を与えられた下人は、羅生門で雨宿りしながら、飢え死にか盗人になるかを考えていた。死人がたくさん放置された楼の中を見ると、老婆が女の死体から髪の毛を抜いていた。
老婆を見て、盗人になるなどありえないと思う。老婆の話を聞いて、飢え死になどありえないと思う。そして老婆から着物を奪って去る。
この怒涛の流れに胸を覆われる。すごい作品。
・仙人
仙人になりたい権助は、医者夫婦の家で20年間無報酬で奉公する。いざ20年経つと、医者の妻は松の木に登り、両手を離すよう命じる。
これはちょっとよくわからなかった。嘘から出た誠なのか、純粋に信じたことによる修行効果なのか。
・舞踏会
鹿鳴館の舞踏会で、明子はフランスの海軍将校と出会い、エスコートを受ける。
何もかもが美しい。
・白
シロという名の犬が主人公。ある日、白は犬殺しに狙われた黒を見殺しにして逃げる。すると真っ白だった体は真っ黒になっていて、飼い主たちに追い立てられてしまう。
勇敢な行動を繰り返したのち、最後には白い犬に戻って、飼い主に歓迎されて、めでたしめでたし。
・魔術
インド人の友人から魔術を習いたい。魔術は欲を捨てないとできないと言われる。
ファンタジー感あふれる。あのカルタで欲が出たからダメってのは、かなり厳しい条件だなと思った。
・杜子春
金持ちの息子の杜子春は、財産を使い果たして困っていた。するとある老人が、夕日に映った影の頭にあたる地面を掘ると金塊が出てくると告げる。大金持ちとなった杜子春は贅沢三昧で毎晩宴をし、また貧乏に。
仙人の修行は『魔術』に似ていた。結局どう転んでも仙人にはなれないのかねぇ。