作品一覧

  • 山椒大夫・高瀬舟

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    何十年も前に、この『鶏』を読んだ時に、とてもイラっとしたのを思い出す。今もそうだが、この”別当”のタイプの人がものすごく嫌いなのである。足元をみて、じわじわとグレーゾーンで悪いことというか、セコいことをするヤカラ。人のものを自分のもののように使い、勘違いする。この別当の延長線に最近大きな問題になった某球団をクビになった犯罪者のような人に繋がるのかと思う。
    石田は吝(けち)ではあるが、美学のある人物として描かれる。美学、というか良えカッコしいというか、めんどくさいというか、、そこらへんもわからんでもない。腹が立っても言わない人っちゅうかねぇ。ほんま、わからんでもないが、モヤるのである。

    「鶏な

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    2024年04月13日
  • 渋江抽斎

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    森鷗外は、人生の最後に「史伝」作品群を残し、その中でも最も知られている作品が「渋江抽斎」だ。
    ”史実を淡々と述べていて無味乾燥である”、という評もあるようだが、自分は、鷗外の作品の中でも多いに関心を抱く作品のひとつだ。

    鷗外は、「舞姫」から始まり、その作風の変遷が特徴的だが、日本の近代化という大きな変革の中に体制側に身を置き、最後、「史伝」に辿り着いたことは、説明がつくような気がする。

    ひとつのキーワードが考証学。
    渋江抽斎も考証家であり、鷗外が自らを渋江抽斎に見立てていたのであれば、合理的な欧米的知識をバックボーンとしていた鷗外にとって、考証学は拠り所になっていたのではないかと思われる。

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    2023年11月12日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    どれも教科書に載ってもおかしくないような筋書き (実際、どこかの国語の教科書に載っているかも)。その意味では、やはり『高瀬舟』が深い。TikTokばかり眺めていないでその時間で一冊でも本読んでほしい。

    文芸としてため息がでたのは『最後の一句』。長女の最後の一句の鋭さにもひやっとしたが、それ以上に本当に子供を殺して親を放免した奉行のやりかたにもっとヒヤッとした。これで親子共々釈放していたら、胸はすっきりするが、正直それでは何ものこらない。覚悟と覚悟が正面からぶつかった感じにため息がでた。色んな意味で。

    『魚玄機』『寒山拾得』は中国が舞台、というか中国の文献を元にした半フィクション。『魚玄機』

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    2023年10月08日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    高瀬舟にフォーカスします。

    人間にとって充足ってなんだろ?と深く考えさせられました。

    「足るを知る」と「安楽死(もしくは本人の委託による自殺幇助)の正当性」がこの本の2大テーマだと思いますが、これらのベクトルの方向は正反対なのか、もしくは同一方向なのか?
    足るを知る、は老子の言葉そのものですが、安楽死については無為自然や八正道には反しているようにも思う。そう考えると、東洋思想へのアンチテーゼのようにも感じます。
    ただ、自利的安心(足るを知る)と利他的慈悲(今回の場合の死)と考えれば、大乗仏教としては唯一不二になって正当化されてしまうかも。

    鷗外に聞きたいところですが、自分で考えろと言われ

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    2023年05月05日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    12篇からなる短篇集。
    『妄想』を始め幾つかの作品から、鷗外の考え方や人付き合いがよく分かり興味深い。ベルリン留学は彼にとって非常に有意義な経験であり、頭脳明晰で医学だけでなく文学も書かずにはいられなかったと推察する。
    『山椒大夫』は所謂「安寿と厨子王」で、姉弟の思いやる気持ちに心震える。タイトルが何故に山椒大夫なのかは理解できなかった。
    『高瀬舟』は17頁の短い作品中に、生き方や命に対する問いかけがギュッと詰まった名作である。

    鷗外がすっかり好きになったので、更に他作品を読みたい。

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    2022年11月07日

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