作品一覧

  • エフィラは泳ぎ出せない
    4.6
    1巻880円 (税込)
    フリーライターとして暮らす小野寺衛は、宮城県松島から上京後、一度も帰省をしていない。知的障害のある兄をまもってほしいと両親から衛と名付けられたが、東日本大震災を機に故郷を、家族を、兄を捨てたのだ。だが、その兄が急死したという知らせを受け、衛は7年ぶりに故郷に帰ることを決意する。子どもの頃一緒に遊んだ海岸で兄は自死したらしいが、家族や友人の話を聞いた衛はそれを信じることができない。兄の死の謎を追う衛が知る、慟哭の真実とは? 障害者への差別意識や、貧しさへの“怒り”に満ちた筆致で贈る、ミステリデビュー作。
  • ぼくが生きてる、ふたつの世界
    4.1
    ろうの両親の元に生まれた「ぼく」。小さな港町で家族に愛され健やかに育つが、やがて自分が世間からは「障害者の子」と見られていることに気づく。聴こえる世界と聴こえない世界。どちらからも離れて、誰も知らない場所でふつうに生きたい。逃げるように向かった東京で「ぼく」が知った、本当の幸せと は。親子の愛と葛藤を描いた感動の実話。
  • しくじり家族
    3.6
    1巻1,232円 (税込)
    葬儀はカオス。 耳が聴こえない、父と母。宗教にハマる、祖母。暴力的な、祖父。 ややこしい家族との関係が愛しくなる。 不器用な一家の再構築エッセイ。 “ぼくの家族は誰も手話が使えなかった。聴こえない父と母の言語である手話を、誰も覚えようとしなかった。祖母も祖父も、ふたりの伯母も。唯一、家族のなかでぼくだけが下手くそなりにも手話を自然に習得し、両親と「会話」していた。(本文より)” 聴こえない両親に代わって、ほんの幼いころから「面倒を見る」立場になることが多かった。大人からの電話も、難しい手続きも、わからないなりにぼくが対応するしかなかった。家に祖母の友人などが集まり、楽しそうにしていても、母は微笑んでいるだけだった。社会から取りこぼされてしまう場面が多い母を見て、いつも胸が締め付けられた。どうしてみんな母のことを置き去りにするんだろう。“ふつう”を手に入れたかったぼくは、“ふつう”を擬態することを覚え、故郷を捨てるように東京に出た。それなりに忙しい日々を送っていたある日、滅多に帰省しないぼくの元に、伯母からの電話があった。「あのね、おじいちゃん、危篤なの」……。
  • 聴こえない母に訊きにいく
    3.4
    1巻1,870円 (税込)
    母に、ずっと訊いてみたいことがあった。 ぼくの耳は聴こえるけれど、本当はどちらが良かった?  聴こえる子どもと聴こえない子ども、どちらを望んでいた?  【本書の内容】 「優生保護法」―― 障害者が生まれることを防止し、 女性が産むことを管理しようとした悪法が存在した時代、 「母」はどのように生きたのか。 「ぼく」はどのようにして生まれたのか。 幸せだった瞬間も、悲しかった瞬間も、すべて。 コーダである息子が未来に進むために描く、小さな家族の歴史。 【コーダとは】 コーダ(CODA:Children of Deaf Adults) 聴こえない親をもつ、聴こえる子どものこと。

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  • 隣の聞き取れないひと APD/LiDをめぐる聴き取りの記録
    3.4
    みんなの言葉が、聞こえるのに聞き取れない。 ずっと、自分が悪いんだろうなと思っていた。 ある晩、著者のもとに一通のメッセージが届く。 「APDで悩む当事者たちのことを書いてくれませんか?」 聴力には異常がないにもかかわらず、うるさい場所や複数人が集まる場などでは相手の言葉が聞き取れなくなってしまう――。「APD/LiD」と呼ばれ近年注目を集める、この目に見えない困難について、自身もマイノリティ経験を持つ著者が当事者や支援者、研究者やメディア等へ丁寧な聴き取りを行い、「誰一人取り残さない社会」の実現に向けて社会に求められる変化を問う。渾身のノンフィクション。 【著者について】 五十嵐大(いがらし・だい)1983年、宮城県出身。元ヤクザの祖父、宗教信者の祖母、耳の聴こえない両親のもとで育つ。高校卒業後上京し、ライター業界へ。2015年よりフリーライターとして活躍。著書に、家族との複雑な関係を描いたエッセイ『しくじり家族』(CCCメディアハウス)、コーダとしての体験を綴った『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』(幻冬舎)など。2022年、『エフィラは泳ぎ出せない』(東京創元社)で小説家デビュー。Twitter:@daigarashi 【目次】 第一章 聞こえるのに、聞き取れない 第二章 治療法がないなかで 第三章 「名前がつく」ということ 第四章 社会に働きかける当事者 第五章 当事者の隣で 【APDとは】 聴力に問題はないにもかかわらず、特定の状況下で聞き取れなくなってしまう困難のこと。Auditory Processing Disorderの略称であり、日本語では「聴覚情報処理障害」と訳される。 APDを理由に人間関係が壊れたり、仕事を辞めざる得ない状況にまで追い込まれてしまったりする当事者は多いが、国内での認知はまだ低く、その訴えはなかなか理解されない。近年では「聞き取り困難(症)」を意味するLiDと呼ばれることもある。 ※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。 ※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。 ※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。 ※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。
  • しくじり家族
    -
    1巻1,210円 (税込)
    耳が聴こえない両親、宗教にハマる祖母。元ヤクザの祖父。 そんな家族で育ったぼくは、幼い頃から両親の通訳として大人の代わりを務めることが多かった。 けれど、どれだけ両親のために頑張ったとしても、社会から取りこぼされてのけ者にされてしまう母を間近で見て、いつも怒りと疑問を感じていた。 いつしかそんな環境に嫌気がさし、「ふつう」を手に入れたくて、故郷を捨てるように上京した。しばらく実家とは疎遠になっていたが、祖父の葬儀をきっかけに一家の再構築を試みる。 映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」のモデルとしても注目された著者の原点となるエッセイ(CCCメディアハウス)をコミカライズ。
  • 趣味と実利の二刀流 凡人が非凡に暮らすテクニック
    -
    1巻1,089円 (税込)
    著者は「平凡でそれなりに安定したサラリーマン生活」から一歩踏み出し、35歳で独立した。それを可能にしたのが「みずから欲するものを具体的に生業とする」という考え方だった。元来発明好きだった著者は、独立後は商品開発に手腕を発揮する──。89年の人生を振り返りながら、これからを生きる人々に著者は問いかける。「一度の人生、今の生き方でいいのか?」と。

ユーザーレビュー

  • ぼくが生きてる、ふたつの世界

    Posted by ブクログ

    福祉人材バンクの本棚から手にとって読んだ1冊。

    コーダ。なんのなく聞いたことあったけど、
    どんな実話なんだろうと気になって手にとった1冊。
    両親が耳が聞こえない。
    この2人から生まれて子ども。この子どもの気持ちの変化が丁寧に描かれている。
    知らず知らずに涙が出てきた。幸せってなんだろう。とも改めて考えることができた。

    コーダを理解する意味でも、世の中の多くの人に読んでほしい1冊。
    映画もみてみたい。

    0
    2025年11月02日
  • ぼくが生きてる、ふたつの世界

    Posted by ブクログ

    「コーダ」と言う言葉と、その意味は知っていたが、家族の内面まで深く切り込んだ本は初めてだった。
    ろう者同士が結ばれ、子をもうけるには大きな覚悟が要る。しかし授かった子がろう者だろうと聴者だろうと、その家族なりに幸せであるに違いない。第三者は、その家族をそっと見守るべきだ。
    皆に読んで欲しい本。

    0
    2025年08月05日
  • エフィラは泳ぎ出せない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    故人を取り巻く人々はそのひとりひとりが故人を思い、案じ、何が故人にとって幸せなのかを自分なりに考えていた。
    その思いだけに着目すれば、それは愛情と表現して差し支えないものだと思う。
    ただ、自覚の有無にかかわらず彼らの取った行動はそれぞれに利己的に歪んでいて、それらの歪みの積み重ねが故人を傷つけ、苦しめた。

    一切利己的でない人間なんてこの社会では生きられないから、彼らのあり方は自分と地続きだ。
    愛情のつもりで、手助けのつもりで、選択肢を奪う。
    障害福祉に関わっていたって(勿論全く無縁でも)、この落とし穴は常に薄皮一枚隔ててすぐ隣に存在している。

    選択肢を奪われ傷ついている人に提示された自分の

    0
    2025年05月05日
  • ぼくが生きてる、ふたつの世界

    Posted by ブクログ

    同名映画の原作エッセイ
    昨年観た呉美保監督の映画が本当に良かったため手に取りました
    映画のエピソードと同じ所・違う所・描かれなかった所をそれぞれ楽しみながら、
    五十嵐さん本人の言葉で丁寧に綴られた当時の気持ちを読むことができ、
    これを踏まえて改めて映画版も見返したくなりました
    普段見えていないが身近にあるかもしれない世界に触れる事ができる、 また、それを知る事の価値について知る事ができる良いエッセイでした

    0
    2025年01月29日
  • エフィラは泳ぎ出せない

    Posted by ブクログ

    この小説はフィクションのはずなのに生々しい。
    生きていくってひとつひとつをこなしていくというより、いろんな問題が解決しないまま連なっていく感じで、この小説に終わりがないという点もリアルを感じさせるひとつの要素なのかなと思う。何が正解かもわからないまま生活は続いていく。

    この小説にはいわゆる「悪い人」は出てこない。
    それぞれの少しづつの感覚の差異がひとつの事件に発展してしまうわけなんだけど、たぶんなにかが悪いとしたら「タイミング」なんだろうなって思う。そういう感じもまた実にリアルで。

    また、子ども支援に携わる身としてもこの小説は「今」にマッチしていて秀逸と感じている。「子どもの最善の利益」に

    0
    2024年10月29日

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