作品一覧

  • 間違いだらけの日本の物流

    間違いだらけの日本の物流

    ビジネス・実用

    3.0
    1巻2,090円 (税込)
    ◎日本の物流に未来はあるか? 経営上の最大級の問題を、 業界を知り尽くした専門家2名が徹底分析! 働き方改革によるトラックドライバーの残業規制により、「物が運べなくなる」として大問題となった「物流2024年問題」。しかし2024年4月を迎えたとき、「物が運べなくなる」ことはなかった。 では、2025年を迎えた今、問題は解決されたのか? 騒ぎは杞憂だったのか? 答えは否だ。表面上の対策は打たれたものの、根本の業界構造は何も変わらず、物流現場は限界を迎える日は、刻一刻と迫っている。 本書では、霞が関の委員会の様子から現場まで知り尽くした物流を専門とする有識者2名が、2024年を経て水面下で破綻に近づく日本の物流の現状を、最新動向を踏まえ、忖度抜きで徹底分析。消費者・社会へ変革を提言する。 [目次] 第1章 「2024年問題」とは何だったのか 第2章 現場は何が変わり、何が変わらなかったのか 第3章 商慣行が深刻化させるドライバー不足 第4章 荷主・消費者にとっての「当たり前」は持続可能か 第5章 社会の仕組み全体の見直しを迫る「物流危機」   この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『間違いだらけの日本の物流』(2025年3月20日 第1刷)に基づいて制作されました。 ※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
  • 雇用か賃金か 日本の選択

    雇用か賃金か 日本の選択

    ビジネス・実用

    3.0
    1巻1,606円 (税込)
    2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、航空業界は大きな打撃を受けた。売上が大幅に減ったなかで、これまで通り雇用を維持して賃金を払い続ければ会社が潰れる。「クビか、賃下げか」。世界中の航空会社において、労使がこの二極の間でギリギリの調整を行っていた。従来、日本は賃金引き下げが速く、人員削減が遅いとされてきた。それは今も変わらないのか。コロナ禍への対応の国際比較と、長期的に労働需要が減少した百貨店の事例から、日本の雇用調整の内実を明らかにする。
  • なぜ賃金は上がらないのか 日本経済30年の陥穽

    なぜ賃金は上がらないのか 日本経済30年の陥穽

    ビジネス・実用

    3.8
    1巻1,100円 (税込)
    食品から日用品まで、何もかも驚くほど高くなった。 スーパーで目にする野菜の値段が少しずつ上がっているなと思っていたら、「令和のコメ騒動」が起き、同じ価格でも内容量を減らす「ステルス値上げ」が普通になった。 長く続いたデフレの時代が終わり、生活必需品の値上がりが、暮らしを直撃している。 その分賃金などの収入が上がっていればいいのだが、一向にその実感はない。賃金の上昇率から物価の上昇分を引いた「実質賃金」は4年近くもマイナスが続いていることが示すように、その実感は、統計にもはっきり表れている。 物価上昇のしわ寄せが、暮らしを直撃しているのだ。 いったいなぜこんなことになってしまったのか。 急激な円安によって輸入品やエネルギー価格が上がったためなのか。 企業が値上げで儲かった分を労働者に還元せず、「内部留保」として貯めこんでいるためか。 日本人の働き方は効率が悪く、「労働生産性」が低いためか。 各企業の労働組合の交渉力が弱く、大企業の言うがままになってしまっているのか。 本書では、こうした俗説を一つひとつ検証し、その当否を探っていく。 もう一つ、いま労働の現場でもっともよく聴かれる言葉が「人手不足」である。 とくに飲食や宿泊などのサービス業では、客を集める人気店でも人出が足りないために接客ができず、予約を断るケースもある。 また、介護や医療などの現場の人手不足も深刻で、外国人材の手を借りないと維持できないことがはっきりしている。 なのになぜ、賃金は上がらないのか。 第一線の労働経済学者として活躍する筆者は、物流や運送業界などの現場の声を聴き、その実態を見ることから、日本の賃金が上がらない本当の理由を明かす。 人手不足に悩む労働の現場では、いままで8人で担っていた仕事を7人で回し、同レベルの成果を出す「効率化」を進めてきた。 しかし、現場の労働者の献身的な努力や「カイゼン」によって「効率化」すること自体が、実は、日本の低賃金を固定化している可能性がある、と筆者は言う。 それはいったいどのようなメカニズムによって起こっているのか。 緻密なフィールドワークを基礎とする研究を重ね、日本の低賃金の謎に真正面から挑んだ、画期的な論考。
  • 物流危機は終わらない 暮らしを支える労働のゆくえ

    物流危機は終わらない

    ビジネス・実用

    3.9
    1巻902円 (税込)
    ネット通販時代のインフラと化した宅配が止まる? ヤマトショックは物流危機を顕在化させた。その真の原因は、物流現場の労働問題にあった! トラックドライバーの過酷な現実と様々な統計調査から、現代日本が直面した危機の実態を明らかにする。社会を維持するコストを負担するのは誰なのかを真剣に議論するときが来た。
  • 最後の暗黒大陸・物流 「2024年問題」に光を灯せ【特別版】

    最後の暗黒大陸・物流 「2024年問題」に光を灯せ【特別版】

    ビジネス・実用

    3.0
    1巻550円 (税込)
    【WedgeONLINE PREMIUM】 最後の暗黒大陸・物流 「2024年問題」に光を灯せ【特別版】 トラック運送業界における残業規制強化に向けて1年を切った。「2024年問題」と呼ばれる。 しかし、トラック運送業界からは、必ずしも歓迎の声が聞こえてくるわけではない。 安い運賃を押し付けられたまま仕事量が減れば、その分収益も減るからだ。 われわれの生活を支える物流の「本丸」で、今何が起きているのか── 月刊誌『Wedge』2023年5月号(4月20日発売)の特集「最後の暗黒大陸・物流 「2024年問題」に光を灯せ」に同誌20年7月号(6月20日発売)の「DIGITAL TRANSFORMATION」(産業IT イノベーション事業本部産業デジタル企画部主席研究員・藤野 直明氏、コーポレートイノベーションコンサルティング部上級コンサルタント・梶野 真弘氏の記事を加えた特別版です。 PART 1  残業規制の導入で物流業界の体質改善はなるのか? 中西 享 ジャーナリスト PART 2  「お願いだから分かってほしい」 運送事業者の社長が激白 中西 享 ジャーナリスト 編集部 Interview 1 進み始めた荷主の意識変化 見えてきた「適正運賃への是正」 小寺康久 西濃運輸 代表取締役社長 ILLUSTRATION 私たちの生活に欠かせない物流 編集部 Interview 2 デジタル技術で課題解決 物流界のプラットフォーマー 佐々木太郎 Hacobu 代表取締役社長執行役員 CEO Interview 3 トラック物流に必要な構造改革とは何か? 矢野裕児 流通経済大学流通情報学部 教授 column 1 深刻なドライバー不足 それでも「明日届く」は必要なのか 関谷次博 神戸学院大学経済学部 教授 PART 3  物流の一翼担う倉庫 「結節点」で見たその実態 編集部 column 2 「当たり前」の舞台裏 水産卸売の現場を歩く 編集部 PART 4  荷役の負荷軽減へ 今度こそパレットの本格普及を 編集部 PART 5  宅配ドライバーの本音 働き方改革は「形骸化」するは 刈屋大輔 ジャーナリスト column 3 国の盛衰と物流は表裏一体 日本はイタリアの歴史に学べ 玉木俊明 京都産業大学経済学部 教授 PART 6  矛盾を内包した法体系を直視しドライバーの権利保護を 首藤若菜 立教大学経済学部 教授 REPORT DIGITAL TRANSFORMATION(藤野直明、梶野真弘、編集部)  PART1 DXは目的ではなく手段 新しいビジネスモデルを描け PART2 「カイゼン」が遅らせたDX 製造業が問われるサービス作り

ユーザーレビュー

  • なぜ賃金は上がらないのか 日本経済30年の陥穽

    Posted by ブクログ

    名著であると思う。
    以前河野龍太郎『日本経済の死角』(ちくま新書、2025)が、過去30年、日本の生産性は諸外国と同様上昇していたにもかかわらず、ただ日本のみが勤労者の所得の上昇をもたらさなかった事情を明らかにした。
    端的にいえば、少子高齢化による国内購買力の低下を見越して、国内よりも国外での投資にシフトしたこと、および将来の経営危機を見据えて株主への配当さえ抑えて内部留保の積み増しに走ったことである。
    ど素人ながらマクロ的な見方としては概ね正確なのではないかと感心していた。
    首藤若菜の本書は、このマクロ経済学上の行動主体、国・企業・労働組合それぞれの詳細に踏み込む。その分析は説得的である。
    とりわけ企業分野において物流を担う運送業界の考察は見事というほかはない。
    少し考えればわかるが、粗密の差はあれ、都市/農村に散らばるコンビニエンスストアの似たような商品構成と価格を背後で支えているのは、運送業の企業でありそこで働くトラックドライバーたちである。彼らの賃金がなぜ上がらないのか。大中小企業間の熾烈な過当競争が背後にあることを明らかにしている。

    0
    2026年09月08日
  • 物流危機は終わらない 暮らしを支える労働のゆくえ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    物流危機は終わらない
    ー暮らしを支える労働のゆくえ
    首藤若菜氏による著作。
    2018年12月20日第1刷発行。
    著者は1973年東京都生まれ。
    1996年大妻女子大学社会情報学部卒。
    2001年日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程単位取得退学。
    2002年「ブルーカラー職種における男女混合職化の研究」で学術博士。
    2000年山形大学人文学部講師、2006年助教授、
    2007年日本女子大学家政学部講師、2010年准教授、
    2011年立教大学経済学部准教授をへて、2018年教授
    夫は中北浩爾。労働経済学。
    現在、立教大学経済学部教授
    著書
    『統合される男女の職場』
    (勁草書房、2003年、社会政策学会奨励賞受賞、冲永賞受賞)
    『グローバル化のなかの労使関係―自動車産業の国際的再編への戦略』
    (ミネルヴァ書房、2017年、労働関係図書優秀賞受賞、社会政策学会奨励賞受賞)

    学者である著者が、現場の第一線で働く人、企業へのインタビューも行った上で、物流危機の背景、今後に関してデータも踏まえて論じている。
    ヒアリングを徹底して行ったからこそ机上の空論では無いリアリティを感じた。
    私自身も物流センターでの勤務をしているからこそ痛感することもあったし、ドライバーの勤務の過酷さ、問題に関して改めて認識することが出来た。
    単に学術論文を書くだけでは無く、新書の形でわかるように世の中に訴える事ができる学者というのは実はかなり少数派だ。
    その意味でも首藤若菜さんにはこれからも学術論文だけではなく
    良い本を世の中へ発信して貰いたい。
    (全く論文を書かない、研究はしない、教育にも力が入っていないという駄目教授はかなりの数にのぼる)

    第5章で指摘するように、過酷な労働を改善させる第1歩は他者の労働に対して無関心、無責任でいてはいけない。
    社会的なつながりを認識し、働く者の負担を知り、そのコストを分かち合うこと。
    適切なワークルールを作り守らせること(これが役所、公務員の仕事)

    個人的には再配達には料金を取るように変える事が必須ではないかと思う。
    人口減少社会に対して適切な規制を行う必要があると思う。
    再配達無料から有料になることでコンビニ配達利用や宅配ボックス利用の促進を図る事が出来ると思う。

    労働者、生活者、有権者の為のワークルールを作るという発想が乏しかった我が国日本ではある。
    しかしこの数年働き方改革が曲りなりにも進んだ。
    この方向性は正しい。
    何でもかんでも市場丸投げ主義が正しいのではない。
    ただ今の日本の役所、公務員は行うべきワークルール作りが不十分だ。
    (というか霞が関の働き方そのものが過酷そのものだ)
    世の中に必要ない不必要な資格試験の団体を作ったり天下り団体を作るのではなく
    本来必要としている政策を実現して貰いたい。

    印象に残った点を列挙していくと

    (ヤマト運輸で)2016年度上期には、人員の大幅増強策が打たれた。
    年度初めから、中途社員の大規模な募集が始まり、新卒採用の枠が第二新卒(学校を卒業後就業していない者および数年のうちに転職を志す者)にまで広げられた。
    特に人手が足りていない地域では、募集時の給料を引き上げることも決まった。
    さらに求職者の目にとまりやすくするため、募集・採用のウェブサイトが一新され、従業員が知人を紹介する社員紹介制度も導入された。

    (中略)ヤマトホールディングスの有価証券報告書によれば、デリバリー事業の従業員は、2013年の14万7350人から、2014年には16万2383人まで増員されている。
    高卒の新卒採用者数も、2013年までは年間150~180人程度だったが、
    2014年には347人に増え、2016年はさらに471人と、以前の3倍程度の水準を記録している。
    高卒者は、入社後に運転免許を取得してもらうが、大型免許の取得には3年以上の
    運転経験が必要となるので、即戦力にはならない。
    そのため、トラック業界では中途採用がこれまで主流だった。
    しかし、中途採用で人を採用しにくい状況が続く中、ヤマト運輸では長く働いてもらえる労働者を確保するためにも、社内で育成していく方針を立て、高卒者の採用拡大に踏み切った。

    だが罪の意識は、日々の忙しさにかき消されていった。
    ヤマト・ショックから約1年が経過しようとしていた2017年末、内閣府はある世論調査の結果を発表した。
    それによると、約9割の人が再配達を利用したことがあり、
    7割以上の人は再配達を問題だと考えている。
    けれども、7割近くの人が、コンビニ受け取りや宅配ボックスへの配達など、再配達削減に向けた方法を「いずれも利用したことがない」と回答した
    (内閣府『再配達問題に関する世論調査』2017年12月)

    そもそもヤマト運輸の旧来のビジネスモデルは、ドライバーの担当区域あたりの個数を増やし効率を高めることで、収益を上げることにあった。

    ドライバーも人間である以上、一定時間内に配達できる個数には自ずと限度がある。
    荷物の密度がいくら増していったとしても、労働生産性(労働者一人が時間あたりに
    生み出す付加価値)は無限に上がっていくわけではない。
    実際ある段階からは、コスト削減効果が明らかに逓減していたという。


    モノの運搬や管理を「物流」と呼ぶ。国内で年間に輸送される貨物量は約47億トンにのぼり、このうち91%がトラックによって運ばれている。

    国の基準により、貨物輸送時の連続運転は4時間までと定められている。
    4時間続けて運転したら、30分以上の休憩を取ることが義務づけられているのだ。

    「4時間ごとにタイミングよく休憩できる場所があるわけではない」
    「深夜のパーキングエリアやサービスエリアは、どこも満車状態。休憩したくても、できない」といった設備上の制約から、休憩できない
    との声も聞かれる。
    今日、長距離ドライバーで4時間を超えて連続運転している割合は32.7%にのぼる。
    つまり3人に1人が、休憩時間のルールを守っていない。
    こうした実態が生まれる主たる理由は、
    ①時間が足りないこと
    ②運賃が低いことの2つにある。


    だが、現実には多くのドライバーが、パレットに積まれた荷物を手荷役でトラックにバラ積みし、それを輸送して、到着時には平積みされた荷物を再び手荷役でパレットに積み直している。
    なぜパレットによる運搬が広がらないのだろうか。
    前出の日本物流団体連合会の調査によれば、「荷主が積載量を多くしたいから」
    ということが、最大の理由である。

    繰り返しになるが、ドライバーの仕事は、本来、貨物を運搬することである。
    しかし貨物搬送の前と後には、必ず荷役作業が発生する。
    それらは「附帯業務」と呼ばれる。
    この附帯業務を誰が担うのかが明確にされないままに、
    多くの物流現場が回っている。

    もう1つのサービス労働が「手待ち(荷待ち)時間」である。

    長距離ドライバーたちは、一度トラックに乗れば、極めて長時間にわたり
    働き続け、数日間は自宅に戻れない。
    「家に帰れないことが、一番つらい」と話すドライバーが少なくない。

    トラック運送事業者数は、1990年に4万72社だったのが、
    2007年には6万3122社まで増えた。
    2008年から減少に転じたものの、その後はほぼ横ばいで推移している。
    つまり事業者数は、物流二法施行後の約15年間で1.5倍に増加し、
    その水準のまま現在に至る。

    物流二法→貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事業法

    今日、トラック業界は、従業員数が50人以下の事業者が全体の90.9%を占める。

    宅配便に限っていえば、ヤマト運輸が宅急便を始めた1970年代は、多くの企業が参入し、厳しい競争が繰り広げられた。
    しかしその後、淘汰が進み、今日ではヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の上位三社で9割以上のシェアを占めている。
    宅配便ビジネスは、幅広い配送ネットワークを構築することで、輸送コストを引き下げることができる。
    そのため、全国各地に巨大ターミナルを設け、高速自動仕分け機を導入し多数のトラックを保有できる企業が勝ち残ってきた。
    いわゆる「規模の経済」が働きやすいのである。
    それゆえ宅配便は、大量のドライバーを抱えるという意味で労働集約的でありながら、装置産業的な特性も持つ。
    他方、一般貨物は、主に法人を相手とし、一台のトラックに1社の荷物を積載する「貸切輸送」が典型的である。
    ターミナルを利用せず、1台のトラックに貨物を混載して輸送する方式もみられる。
    こうした輸送方式では、トラックとドライバーさせそろえば、スポットで仕事を請け負うことも可能であり、参入障壁は極めて低い。
    その結果、物流二法施行後、事業者数が急増した。
    つまり一般貨物については、規模の経済が機能しにくく、
    価格競争に陥りやすい。

    日本郵便の存在が、運賃を据え置く方向に作用してきた。(中略)
    現在、ヤマト運輸の宅急便、佐川急便の飛脚宅配便、日本郵便のゆうパックの基本運賃を見ると、大きさや重さによって違いがあるため厳密な比較はできないものの、概ねヤマト運輸と佐川急便が同水準であるのに対し、日本郵便は若干安く設定されている。こうした状況のもと、ヤマト運輸や佐川急便は、日本郵便に顧客を奪われることを懸念して、運賃の値上げに踏み切れなかったと考えられる。

    ただでさえ競争が厳しい宅配便市場の中に、こうした公共的性格を有する
    日本郵便が参入していることをヤマト運輸は、以前から問題視してきた。
    ヤマト運輸の関係者は、「佐川さんはいいんですよ。民間企業同士が闘うのであれば、互いに赤字になれば潰れるわけで、正面切って経営努力で勝負することができます。今回みたいに価格競争になって、
    採算が合わない水準にまで(価格が)落ちれば、互いに撤退するか、値上げを求めるかだけです。でもね、何年も赤字を垂れ流しながらも決して潰れない企業と闘ったら、どの企業だって負けちゃいますよ」と苦々しく語る。

    本来、市場が持つ「公正な競争による淘汰」という機能が働かないのであれば、
    別の方法で公正な市場を形成しなければならない。
    公正な競争を保障するために、例えば、各職場の労働条件を監督指導する労働基準監督官を大幅に増員し、事業所の監視を強化するといった施策も考えうる。
    現実に労働基準監督官は、少しずつ増員されている。
    だが厳しい財政状況のもと、十分な監視を可能とするほどの人員増は現実性を持ちにくい。
    それよりも現実的で、より効果的な施策は、社会保険の加入や労働時間などのワークルールを遵守しうる規模の事業者のみに参入を制限することである。

    物流が止まった例 2018年5月のブラジルでのトラック運転手と業界団体が燃料価格の高騰に講義して、全国規模のストライキと抗議デモを起こした。


    小規模事業者がひしめき合うなかで、他社と異なる付加価値をつけようとしても
    それが難しい。より多くの荷物を、より早く運ぼうしても、道路交通法の積載制限や速度制限を遵守して運行する限り、自ずと限界がある。
    つまりサービスの差別化がしづらく、技術特性を発揮しにくいのである。
    そのことが運送会社の交渉力を弱め、荷主に対して従属的な性格を生み出してきた。

    なぜ若者はトラックドライバーになりたがらなくなったのか。
    これには若者の「車離れ」といった変化も関係するが、それ以上に労働条件の相対的低下が影響していると思われる。
    かつてトラックドライバーは「きついが、稼げる」仕事と言われていた。
    それが、若者にとって魅力となってきた。
    だが1990年代後半から賃金が低下していく。
    今日、トラックドライバーの賃金(所定内給与)は、平均男性の7割ほどである。
    労働時間が長いという意味で「きつい」ことは変わらないまま、「稼げない」仕事になってしまった。


    若年層の参入減には、トラックドライバーのキャリアの変化も関係している。
    かつては、20~30代にトラックドライバーとして働き、そこで身につけた技能を活かして、40~50代にバスドライバーに転職し、さらに60代でタクシードライバーに転換するキャリア・パターンがあった。
    そうした道を歩めば、平均に近い生涯賃金を獲得することができた。
    ところが、トラックドライバーの賃金水準が下がっていった時期に、バスドライバーの賃金はそれ以上に下落した。
    例えば、50代前半のバスドライバーの年収は、1990年では600万円を超えていたが、
    今日(2017年)では500万円を下回り、大型トラックの年収とあまり変わらない。
    その結果、もはや運転職を渡り歩きながら、一般的な賃金水準を得るキャリアを描けなくなった。
    要するに、同じ時期にトラックだけではなく、バスやタクシーといった他の運転職の賃金水準も低下していった。
    それゆえ、運転職としてのキャリア展望を見出しにくくなり、若年労働者を惹きつけることが難しくなったと考えられる。


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    2021年12月10日
  • 物流危機は終わらない 暮らしを支える労働のゆくえ

    Posted by ブクログ

    ●日々の生活を快適に過ごすためには物流の存在は欠かせない。 今や送料無料が当たり前に根付いているが、なぜそんなことが可能なのか。それはドライバーたちの過剰労働として転嫁されているからだ。本書は物流業界が抱える問題を鋭く指摘したものとなっている。

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    2020年04月25日
  • 物流危機は終わらない 暮らしを支える労働のゆくえ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     総務省の労働力調査での男性の年間就業時間は2232時間、長時間労働が問題になっている教員は2459時間、トラックドライバーは2684時間(いずれも2017年)。政府が進めている働き方改革の時間外労働の上限規制も、運送業は建設業ととともに、「5年後の施行」と猶予期間が設けられるとともに「年960時間」、一般労働者よりも240時間長く設定されている。「荷主に対する指導の徹底と取引環境の改善が必要」とのトラック協会等の意向が踏まえられたもの。長時間労働はトラック業界の常識も一般の非常識。賃金もかつての相対的な優位性は、もはやなく、若年層の成り手がなくなりつつある。
     ドライバーの仕事は、本来貨物を運搬すること。しかし、貨物搬送の前と後には必ず「附帯業務」と言われる荷役作業がある。荷積みや荷卸しだけでなく、仕分けや棚入れ、ラベル貼り、検品、資材・廃材の回収、場合によれば商品の陳列作業もある。業務契約がないにも関わらず荷主優位の商慣行が蔓延し、サービスとして提供され、その負担をドライバーが担っている。納品場所での長時間待機が余儀なくされる場合もあれば、所定納品時間との関係で休憩時間の取得ができない場合もある。これらトラックドライバーには責任のない「無償のサービス労働」の是正が進まないと、ドライバーの労働時間の実質的短縮は実現できない。
     これらのサービスの実施の背景には、業界の過当競争がある。1990年施行された物流二法で規制緩和が進み、事業者数はその後15年で1.5倍に増加。貨物輸送量が増えない中で、トンキロ当たり運賃が大きく低下。ジャストインタイム、少量多頻度納品等のサービス水準のアップの中で、積載率は1990年の49.3%から2015年には36.3%まで低下。ドライバー数が増加しない中で、事業者数が増加し、何層にもわたる下請け構造の中で、車両10両以下・従業員10名以下の事業者数が増加。零細性の強い産業特性が過当競争を助長し、実勢運賃の下落と杜撰な労務管理をもたらしてきた。
     かつてドライバーの平均年齢は38歳強と男性労働者の平均より若かった。それが2001年に逆転し、2016年の大型ドライバーの平均は47.7歳と5歳弱高く、一般より高齢化が進んだ。有効求人倍率は2.33倍も、宅配便ドライバーはネット通販で需要が増えたことによる人出不足、大型・中型を中心とする貨物トラックは成り手が減ったことによる人出不足と、背景が違う。配達員の新規求職者数は0.76も、貨物自動車運転者は0.38。かつ新規求職者の2人に1人は45歳以上。従事する男性の84.4%が中卒・高卒者。高校を卒業して就職するものの率は1990年には35.2%も2016年には17.9%。若年労働力人口の減少に加え、中卒・高卒労働力の不足が、成り手の不足に拍車をかけている。女性の就業者数が極めて少ないのも大きな特徴。
     かつてドライバーは「きついが稼げる仕事」だった。ただ、今日は所定内給与は平均男性の7割ほど。求人側が提示する賃金(求人賃金)の最高額が、求職者が望む賃金(求職賃金)の平均賃金額に達していない。20代前半の賃金は一般労働者より高いものの、かつては30代半ばまで優位だったのが20代後半で追いぬかれる状況。生涯賃金の獲得の展望もない。
     トラック協会の調査では「収入が増えるなら、本当はもっと働きたい」と答える長距離ドライバーは58.6%もいる。「労働時間が短くなれば賃金が減ってしまう」と考えているから。一方「収入が増えたとしてもこれ以上は働きたくない」と答えるドライバーも37.9%と増加傾向。厚労省の「雇用動向調査」では、2000年代前半まで仕事を辞める理由は、労働時間・休日よりも給与の割合が高かったが、労働時間を上げる比率が徐々に高くなり、2010年代に入り労働時間・休日の方が上回るようになっている。賃金より労働時間を重視するようになりつつあり、それが転職行動にも表れている。共働き家庭の増加といった社会構造の変化がある。
     ボストンコンサルティング・グループは、荷物増、積載効率の悪化、労働環境改善(超過労働時間50%削減)等で、2027年には、96万人のドライバー需要に対し72万人と24万人の不足と想定。物流業界はまさに「絶滅危惧業界」。
     業界の構造的な問題は、是正は容易ではない。しかし、構造の是正へと進まないと物流危機は終わらない。「この業界では経済的規制の緩和が優先され、社会的規制の確保が後回しにされてきた。業界自体の存続が危ぶまれる中、社会的規制を機能させるため、経済的規制を強化することが考えなければならない」との著者の指摘は問題の核心をついている。
     労使関係の研究者が、物流の現場で起きていることを労働問題としてとらえなおし、労使関係の観点から「物流危機」をもたらした原因を明らかにし、その解決策を考える。物流危機の背景を理解するために、読んでおくべき書。著者はまだ40代、今後の活躍に大いに期待。

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    2020年03月28日
  • 物流危機は終わらない 暮らしを支える労働のゆくえ

    Posted by ブクログ

    「私たちが得ている「安さ」や「早さ」が、働く者の長時間労働や過労死と引き換えに存在するならば、それは果たして社会的公正に適うのか?」こういった問題意識を持たなくては働く人の環境は変わらないと思いました。

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    2019年02月23日

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