首藤若菜のレビュー一覧
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名著であると思う。
以前河野龍太郎『日本経済の死角』(ちくま新書、2025)が、過去30年、日本の生産性は諸外国と同様上昇していたにもかかわらず、ただ日本のみが勤労者の所得の上昇をもたらさなかった事情を明らかにした。
端的にいえば、少子高齢化による国内購買力の低下を見越して、国内よりも国外での投資にシフトしたこと、および将来の経営危機を見据えて株主への配当さえ抑えて内部留保の積み増しに走ったことである。
ど素人ながらマクロ的な見方としては概ね正確なのではないかと感心していた。
首藤若菜の本書は、このマクロ経済学上の行動主体、国・企業・労働組合それぞれの詳細に踏み込む。その分析は説得的である。
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ネタバレ物流危機は終わらない
ー暮らしを支える労働のゆくえ
首藤若菜氏による著作。
2018年12月20日第1刷発行。
著者は1973年東京都生まれ。
1996年大妻女子大学社会情報学部卒。
2001年日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程単位取得退学。
2002年「ブルーカラー職種における男女混合職化の研究」で学術博士。
2000年山形大学人文学部講師、2006年助教授、
2007年日本女子大学家政学部講師、2010年准教授、
2011年立教大学経済学部准教授をへて、2018年教授
夫は中北浩爾。労働経済学。
現在、立教大学経済学部教授
著書
『統合される男女の職場』
(勁草書房、2003年、社 -
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ネタバレ総務省の労働力調査での男性の年間就業時間は2232時間、長時間労働が問題になっている教員は2459時間、トラックドライバーは2684時間(いずれも2017年)。政府が進めている働き方改革の時間外労働の上限規制も、運送業は建設業ととともに、「5年後の施行」と猶予期間が設けられるとともに「年960時間」、一般労働者よりも240時間長く設定されている。「荷主に対する指導の徹底と取引環境の改善が必要」とのトラック協会等の意向が踏まえられたもの。長時間労働はトラック業界の常識も一般の非常識。賃金もかつての相対的な優位性は、もはやなく、若年層の成り手がなくなりつつある。
ドライバーの仕事は、本来貨物を -
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ネタバレ宅配の仕事は一般のトラックドライバーと異なり、運転以外の仕事が多く、労働密度が濃いため、ドライバーの平均より労働時間が短い。ドライバーも人間である以上、一定時間内に配達できる個数には自ずと限度がある。荷物の密度あいくら増加しても、労働生産性は無限に上がるのではなく、ある段階からはコスト削減効果が逓減していく。2018年1月、ヤマトは値上げ交渉をしていた大口顧客のうち6割が値上げに応じて契約を継続し、4割とは取引を解消した。荷主・利用者の利益(「お客様のため」)V.S.ワーク・ルール。トラックドライバーの歩合制では、運賃から経費(高速代金や燃料費)を差し引いた額の一定割合を歩合として受け取る場合
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まず、賃金が上がっているが、物価を踏まえた実質賃金は1990年ころからずっと上がっていない。であるから近頃言われる円安による輸入物価が直接の原因ではない。賃金が上がらないのは、「労働組合の弱腰だ」いう人に対し雇用を守るため力を尽くしたのだから、頑張った方だという。代わりに非正規雇用者増加した。
従業員が転職をしないからだ。「これからは転職の時代だ」という人がいる。そうなれば高い給料が払えない非効率な会社は自然に廃業していく。しかし、実際は転職により給料が上がった人は40歳以下でしかも上場企業から上場企業に転職する人に限られる。つまりスカウトでも来ない限りは現状維持か下がるということである。初め -
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ネタバレ本 間違いだらけの日本の物流
自社が営業所を持っていない地域の輸送には下請業者を活用。帰り荷を確保するため、復路は下請けの荷物を運んでしまう構造。待機料金や付帯業務料金を請求するための管理コストが高くなってしまう実務上の問題点。他社の荷物を自社の荷物と見せかけるために、商品ごと買い取って輸送するなど、自家輸送を装い、運送事業を行う白トラックの横行。小売の在庫情報は、卸売、メーカーとの共有化が図られていない。朝一番ということを着荷主側が指定していない場合も多く、発荷主側の営業がしている場合も多い。営業からすると朝一番にしておけば顧客から文句を言われることがないから。日本の消費財物流は「店着価格 -
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ネタバレ人員整理の対象は、日本では中高年から、アメリカは若年層から。レイオフ制度と関連している。
雇用調整速度には、社旗制度が影響する。解雇規制、雇用調整助成金、調整を遅らせる合理性。企業特有に技能を必要とする職種は遅い。
欧米の労働組合は先任権制度がある。勤続年数の短い社員からレイオフされる。
コロナで、整備や貨物は余剰にならなかったが、客室乗務員や地上職員が余剰になった。
ANAの場合
雇調金と補填で100%の支払いをして休業させた。同時に役員報酬、管理職賃金もカット。
パイロットの採用は継続。教育訓練に時間がかかる。
一時金の大幅カット。同時に融資制度もつくった。
定昇は実施。社内資格制度への -
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物流危機に関する主に労務面からの解説になっている。
小規模会社が多く、荷主との力関係で料金があげられず、そのしわ寄せがドライバーの賃金に来ているようだ。
小規模会社では労組もなく、賃上げは難しい。産別労組でない日本では、非正規中心のサービス産業では労組もなく、雇用者側の言いなりになるしかない。
日本では生産性が低いと言われるが、その解決には料金の引き上げによる賃金の改善が必要で、日本人の作業性が低いわけでは決してない。
要はサービスに見合ったお金を払っていないことが問題で、高級レストラン並みのサービスを要求するなら、それなりの金を払うことが必要。ファミレスの値段なら、それなりのサービスしか受け