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2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、航空業界は大きな打撃を受けた。売上が大幅に減ったなかで、これまで通り雇用を維持して賃金を払い続ければ会社が潰れる。「クビか、賃下げか」。世界中の航空会社において、労使がこの二極の間でギリギリの調整を行っていた。従来、日本は賃金引き下げが速く、人員削減が遅いとされてきた。それは今も変わらないのか。コロナ禍への対応の国際比較と、長期的に労働需要が減少した百貨店の事例から、日本の雇用調整の内実を明らかにする。
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Posted by ブクログ
人員整理の対象は、日本では中高年から、アメリカは若年層から。レイオフ制度と関連している。 雇用調整速度には、社旗制度が影響する。解雇規制、雇用調整助成金、調整を遅らせる合理性。企業特有に技能を必要とする職種は遅い。 欧米の労働組合は先任権制度がある。勤続年数の短い社員からレイオフされる。 コロナで...続きを読む、整備や貨物は余剰にならなかったが、客室乗務員や地上職員が余剰になった。 ANAの場合 雇調金と補填で100%の支払いをして休業させた。同時に役員報酬、管理職賃金もカット。 パイロットの採用は継続。教育訓練に時間がかかる。 一時金の大幅カット。同時に融資制度もつくった。 定昇は実施。社内資格制度への影響が大きい。 社会保険の負担額を半額より少なくしていたが、それをもどした。 全体では、変動給の減額もあって、2割程度の年収減。 サバティカル休暇制度をスタート。 在籍出向を拡大。 希望退職者を募集。 人員削減は、会社にとってもリスク。需要が戻ったときに対応できないおそれ。 業務の内製化によって、委託先で雇止め、希望退職が発生。 アメリカの場合 ロビー活動で航空会社への給与支援制度ができた。一時的には有効。その後は人員削減計画と、自発的休業を募集。休業は健康保険は継続され、勤続にも加算される。合わせて全体の3割くらい。 一時解雇は、復職者の待機リストに載って、順次呼び戻される。年功の逆順で一時解雇。復職は年功順。年功は継続される。待機リストに載っている人がいなくなるまでは新規採用をすることができない。若い人ほど利殖期間が長くなる。 パイロットは、訓練期間が長いため人員削減には慎重。賃金引き下げと自発的退職の募集。 一般従業員の賃金引下げは組合が受け入れなかった。一時解雇のほうが選択された。むしろ賃上げ交渉。労組の幹部は、レイオフでは解雇期間が短い人が多い。 イギリスの場合 人員削減と賃金カット。 ドイツの場合 人員削減、短時間勤務によるワークシェア 日本は賃金調整のスピードが速い。賞与があるため調整しやすい。月例賃金のカットは日本でも難しいが、それでも最終的には受け入れた。 航空業界は乗務手当など変動給が多いため、生活苦になりやすい。 アメリカは賃金調整には組合が同意しない。雇用よりも賃金水準の維持が優先される。 雇調金だけでは事業活動は支えられない。構造変化を阻害するかは議論がある。 雇用調整は欧米で速く、日本で遅い。 日本は、定年退職と採用抑制による自然減耗。 中小企業の雇用調整は欧米並みに早い。 日本の企業は内製率が低い。トヨタとフォルクスワーゲンでは従業員は2倍近くの差がある。 アメリカでも労働組合がある大手企業では、強制的解雇を簡単に実施するわけではない。自主的退職プログラムを歓迎する。 日本でも希望退職募集が行われるが後ろ向きのイメージがある。肩たたきが存在したから。アメリカでは労組が強要されないよう呼びかけた。 長期的な雇用調整制度として出向がある。以前は40~50歳代、近年は低下傾向。 百貨店の場合 店舗閉鎖は数年前から予測を告げられる。半数は出向 転籍、残りはグループ外への出向。銀行のATM接客係など。雇用の確保、から雇用の場の確保、へ。 一時的な不況に対しては残業を減らし、雇調金を活用する。中長期では配置転換、自然減耗で対応。次に出向や転籍。転籍後も面倒を見る。 長期雇用は、配転、転勤、出向を正当化する根拠となってきた。 休業手当をめぐって 会社の補填によって100%支給されるのは不公平という意見。モラルハザードを起こさない制度設計が必要。
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