作品一覧

  • 海をこえて 人の移動をめぐる物語

    海をこえて 人の移動をめぐる物語

    ビジネス・実用

    4.5
    1巻1,980円 (税込)
    人の移動を、ひとりの人生として、世界のあり方として、どう語るか? 「私にとって「移動」という問いは、学問的な探究という枠に収まるものではない。むしろ、互いの人生に巻き込み、巻き込まれた者として課された「宿題」なのだ」(本書「はじめに」より) エチオピアの村で生まれ育ち、海外へ出稼ぎに行く女性たち。長年、村に通う文化人類学者の著者は、その話に耳を傾け、歩みを追いかけてきた。彼女たちの実感やリアリティと、海をこえて移動する人びとを国家の視線でとらえる言説と……。その隔たりをどう問い直し、語るか。考えながら綴るエッセイ。 〈目次〉 はじめに  移動する人が見ているもの 第一章 国境のはざまで  第二章 フィールドで立ちすくむ  ・フィールドノート1 女性たちの旅立ち 第三章 人類学は旅をする  第四章 移民が行き交う世界で  ・フィールドノート2 変わる家族のかたち 第五章 移民の主体性をとらえる  第六章 移動する何者かたち  ・フィールドノート3 知りえない未来を待つ 第七章 「人の移動」という問い  ・フィールドノート4 揺らぐ夢の行方 第八章 移動の「夢」が動かすもの おわりに 対話をつづけるために
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

    コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

    ビジネス・実用

    3.9
    1巻1,870円 (税込)
    【『人新世の「資本論」』、次なる実践へ! 斎藤幸平、渾身のプロジェクト】 戦争、インフレ、気候危機。資本主義がもたらした環境危機や貧困格差で、「人新世」の複合危機が始まった。 国々も人々も生存をかけて過剰に競争をし、そのせいでさらに分断が拡がっている。 崖っぷちの資本主義と民主主義。 この危機を乗り越えるには、破壊された「コモン」(共有財・公共財)を再生し、その管理に市民が参画していくなかで、「自治」の力を育てていくしかない。 『人新世の「資本論」』の斎藤幸平をはじめ、時代を背負う気鋭の論客や実務家が集結。 危機のさなかに、未来を拓く実践の書。 【目次】 はじめに――今、なぜ〈コモン〉の「自治」なのか?   斎藤幸平 第一章 大学における「自治」の危機   白井 聡 第二章 資本主義で「自治」は可能か?――店がともに生きる拠点になる   松村圭一郎 第三章 〈コモン〉と〈ケア〉のミュニシパリズムへ   岸本聡子 第四章 武器としての市民科学を   木村あや 第五章 精神医療とその周辺から「自治」を考える   松本卓也 第六章 食と農から始まる「自治」――権藤成卿自治論の批判の先に   藤原辰史 第七章 「自治」の力を耕す、〈コモン〉の現場   斎藤幸平 おわりに――どろくさく、面倒で、ややこしい「自治」のために   松本卓也
  • 文化人類学の思考法

    文化人類学の思考法

    ビジネス・実用

    3.8
    1巻1,980円 (税込)
    文化人類学は、あたりまえの外へと出ていくための思考のギア(装備)だ!「こんなに『使える』本は滅多にない。ビジネスマンからクリエイター、学生まで、下手な実用書を買うくらいなら、これを常備しておくことをおすすめする」WIRED日本版元編集長・若林恵(黒鳥社)
  • 旋回する人類学

    旋回する人類学

    ビジネス・実用

    3.7
    1巻1,650円 (税込)
    文化人類学ってどんな学問? 黎明期の先駆者たちから、ラトゥール、インゴルド、グレーバーまで。 繰り返されてきたパラダイム・シフト(=転回)と研究者たちの「格闘」の跡をたどり、現在地を探る。 6つのテーマ(人間の差異、他者理解、経済行動、秩序、自然と宗教、病と医療)を取り上げ、 ぐるぐるめぐり歩きながら考える、文化人類学の新しい入門書。 【「はじめに」より】 「文化人類学ってどんな学問ですか?」そう聞かれると、いつも言葉に詰まる。「昔は未開社会といわれた民族を研究していたんですが、いまは病院とか、企業とか、軍隊とか、現代的な場所も対象になっています」。そんな言い方をして顔色をうかがう。納得いかない様子なら、「ただフィールドワークという現場に深く入り込んで調査する手法は一貫しています」などと言葉をたす。 うまくストレートに説明できないのは、文化人類学が何度も大きなパラダイム・シフト(=転回)を経験してきたからだ。研究対象が変わるだけでなく、学問の前提となる理論的枠組みがたびたび入れ替わってきた。その変化は、かならずしも連続的な「発展」ではない。むしろ「断絶」や「亀裂」でもあった。そこには、人類学者たちが先人の築いた基盤やその時代の支配的概念を批判的に乗り越えようと格闘してきた足跡が刻まれている。 (中略) 私たちはいったいどんな世界をつくりだそうとし、現実にどう世界を変えてきてしまったのか。それは、人類学という一学問に限らず、いまの時代を生きるすべての人にとって切実な問いである。人類学の一筋縄ではいかない旋回の軌跡をたどりなおす過程は、その問いへの向き合い方がいくつもありうることを確認していく作業でもある。 【目次】 1章 人間の差異との格闘 1 「差異」を問う 2 構造のとらえ方 3 未開と近代 2章 他者理解はいかに可能か 1 他者理解の方法 2 揺らぐフィールドワーク 3 存在論へ 3章 人間の本性とは? 1 社会から個人へ 2 形式主義と実体主義 3 近代への問い 4章 秩序のつくり方 1 法と政治の起源 2 国家と政治 3 国家なき社会 5章 自然と神々の力 1 宗教とアニミズム 2 神の概念 3 自然と人間 6章 病むこと、癒やすこと 1 災いの原因 2 医療人類学の地平 3 ケアの視点 7章 現在地を見極める 1 二分法の問い直す 2 変革と実践の学問へ
  • 所有と分配の人類学 ――エチオピア農村社会から私的所有を問う

    所有と分配の人類学 ――エチオピア農村社会から私的所有を問う

    ビジネス・実用

    -
    1巻1,606円 (税込)
    これは「わたしのもの」ではなかったのだろうか。調査地でのある出来事から、私的所有の感覚がゆらぐ経験をした著者は、所有への違和感を抱きつつエチオピアの農村へ向かう。畑を耕す牛、畑になる穀物、台所道具、生活する人々など、ミクロなものに目を向けて調査していくなかで見えてきたものとは? 作物は頻繁に分配され、持てる人から貧しい人に与えられる。土地を所有することと利用することの関係。国家による「土地」のコントロール。様々な角度から私的所有をめぐる謎を掘り下げていく。気鋭の文化人類学者による鮮烈なデビュー作。
  • 所有と分配の人類学――エチオピア農村社会の土地と富をめぐる力学

    所有と分配の人類学――エチオピア農村社会の土地と富をめぐる力学

    ビジネス・実用

    -
    1巻5,060円 (税込)
    人びとは、富をいかに分け与え、「自分のもの」として独占しているのか? エチオピアの農村社会を舞台に、「所有」という装置が、いかに生成・維持されているのか、緻密に描き出す。「私的所有」という命題へ人類学から挑戦するデビュー作。 第30回発展途上国研究奨励賞、第37回澁澤賞受賞。

ユーザーレビュー

  • 文化人類学の思考法

    Posted by ブクログ

    本書を通じて一貫して示されたのは、我々が「当たり前」だと思い込んでいることの多くが、実は確固たるものではないということである。自然と文化、科学と呪術、商品と贈り物、国家と社会——これらは相互に対立するものとして捉えられてきたが、実際には境界があいまいで、つながり合い、相互に影響を与え合っている。

    著者たちが示すのは、世界が単純な二項対立で成り立っているのではなく、複数の「わからなさ」や「揺らぎ」を抱えながら構築されているということだ。しかも、その揺らぎの中にこそ、人と人、人と物、人と自然との関係の豊かさが存在している。

    特に興味深いのは、この思考法が単なる学問的議論に留まらず、現代社会の課題——グローバリゼーション、少数民族問題、市民参加、暴力と平和——へのアプローチを提供している点である。我々が対立していると信じている事象も、フィールドワークという民族誌的な営みの中から見直すことで、新たな関連付けや理解が生まれてくる。

    また、本書で繰り返し強調される「比較」という思考方法も有益だ。「芸術のようなモノ」という中間領域において、一見無関係に見えるものを繋ぎながら考えることで、固定的な概念による支配から自由になれる。この柔軟性こそが、混沌とした現代を生きるための知恵となるのではないだろうか。

    本書は「文化人類学の思考法」というタイトルだが、実は現代を生きるすべての人にとって必要な思考法の教科書である。自分たちの社会も、相手の文化も、あるいは自分自身さえも、複雑で揺らぎに満ちたものとして捉え直すことで、より柔軟で創造的な関わり方が可能になるだろう。

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    2026年03月31日
  • 海をこえて 人の移動をめぐる物語

    Posted by ブクログ

    ・27頁 多国間の条約や国内の法律に基づき、出入国の審査が行われる。だが、その国家の判断は、ケースごと(どんな人が審査するか)に幅があり、時期によって変化するものである。この恣意的な意思決定の中で、人が合法とされたり不法とされたりしている。
    ・90頁 移動と非移動(居住)の関係 自分が帰属すべき故郷やコミュニティといったホームを守るべき という価値観から生まれている(では、その故郷やコミュニティが誰にとっても安心して住める場所と言えるか。例えば本書で出てくるエチオピア女性たちは、自国では重労働である家事労働がシャドウワークとして評価されない現状にある、だからこそ遠い国へ出稼ぎに行き労働に見合った対価を得ることに憧れを持っている。)
    ・92頁 国境を超えて移動する人びとは、常に国家の視線に晒され、国民の不安を煽る「外国人」として他者化されてきた。
    ・101頁 人間が生きる条件をメリット・デメリットの観点から「客観的」に判定する。人間を有益性・有害性に基づいて分類する。この「国家の視点」をとることで、覆い隠されてしまうことがあるのではないか。
    ・124頁 移動する人を管理の「対象」つまり「客体」としてではなく「主体」としてとらえる。/アイデンティティなるものが、いかに社会的・政治的に構築されているか
    ・127頁 商品や資本の自由な移動 労働の不自由な移動の矛盾 つまり 市場を促す社会的諸関係の流動性へのネオリベ的称賛が、「祖国」のレトリックや文化の純粋性を守ろうとするゼノフォビアでレイシズム的な姿勢と問題なく共存している
    214頁 わたしは何者なのか?現在、それを証明する権限は国家にある。国境を越えれば、その人が合法かどうか、移動先の国が判断する。その恣意的な判断ひとつで、何も罪を犯さなくても、人間が不法な存在になる。(中略)その人が有用な労働力なのか難民なのか、十分な資産があるのか。富裕層であれば自由に移住する国を選べるのに、命をかけて海を越えた人びとは不法移民とされ、収容されたり本国に送り返されたりする。人間がそこにいて良い存在なのか、許されない存在なのか、恣意的な基準で判断される。それを可能にするシステムこそが再検討されるべき問題なのではないか。(中略)人の移動を必要としつつ、排除する。その矛盾が露呈する国境という存在
    255頁 彼女たちが「夢」から覚め、この搾取の構造に気付いたとしたら、救われるのだろうか。このシステムの外側に、より現実的で希望にあふれた別の生き方があるのか。村に戻れば、抑圧的な構造から逃れて自由になれるわけでもない。(中略)この強固に見えるシステムの中に生に揺さぶりをかけているのが「移動」の経験なのではないか。
    266頁 家父長制的なケア的な支配関係が支配と従属の関係へとすり替わり、移動を妨げる一つの力として固定化した
    271頁 国家の目線と同一化して「移動する人びと」について語るだけでは、とらえきれない現実がある。(中略)性急な答えに飛びつく前に、「問題」とされる現象を違う角度から眺めてみる。(中略)国家と違う視点をとるのは、国家を否定するためではない。誰もが同じ視座に立ってしまえば、問題の理解も議論も深まらない。

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    2026年01月23日
  • 旋回する人類学

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    自然は文化や社会から切り離せして単一に定められるものではなく元来複数性をもつものである。
    僕にできることは、静的な知識(≒科学)と動的な知恵(≒実践)を行き来し、自分の世界観に揺さぶりをかけて固定化した知識を更新し続けること。そのために他者との対話を繰り返すこと。

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    2025年11月24日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

    Posted by ブクログ

    今の社会を変えたいと思うなら選挙で政権を変えることに一生懸命になるのではなく、自分たちの手の届く範囲で当事者意識をもって運動することが重要だと感じた。そのためにコモンを見直し、それを自治していくことが大切だとわかった。身近なところから社会を変えていけると希望がもてた。

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    2024年08月31日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

    Posted by ブクログ

    人新世の「資本論」の斎藤幸平、「永続敗戦論」の白井聡、岸本聡子杉並区長ら
    そうそうたるメンバーが自治を語る、コモンを語る、自律を語る。

    正直難易度が高く、頭に入らないものもあった。
    一番理解しやすかったのは藤原辰史さんの農業の自治。

    古来人間は集って狩猟、農業を営んでいた。そこに自治があった。
    種の保管、水の確保、料理。
    最小単位の集団で、自分たちで取り決めをし、少しでも全体の収穫を大きくしようとした。
    ここに国が絡むと、年貢を納めることになるが、これを金銭で納めるようにすれば
    商売の考えが生まれ、余剰金で新しいものが買える。そこにも自治ができる。
    などなど、人類の歴史に根付いた自治の話は分かりやすかった。

    岸本杉並区長も、区長が一人で考えるのでなく、区民の声が区政を動かす、
    その流れをどう作るか。実験を進めてほしい。

    ・・と考えていくと、今の国政が自治とは程遠いことがよくわかる。
    国民の声を聴かず、省庁、大企業の思惑だけで多額の税金が動き、
    ものの見事にムダ金になる。
    前明石市長泉氏の成功の真逆をしている国。
    日本に相対的貧困者が15%もいる、というのは明らかにおかしい。
    やれ五輪だ外苑再開発だ大阪万博だと無意味な金、一部に利権が流れる金の使い方
    をする前に、能登半島支援もあれば、貧困層への対応があるだろう。
    少子化を問題視しながら、若者や子を持つ家庭に手を差し伸べない。
    大学に稼げと言い、奨学金という名の借金を学生に負わせる。
    あ、自治と話がずれてきた。
    いいたいのは、世襲議員と偏差値エリート官僚には、市民の声を聴く気がない、
    ということ。
    そんな奴らに国を任せてはいけない。
    というか、国の単位がでかすぎるのだ。
    今こそ道州制だ。
    まさに地方自治体だ。
    ・・・自治体もろくな職員がいない、という説もあるが、市民が見ている。
    距離が近い。空気が伝わる。
    国には外交と防衛だけやってもらって、それ以外の金の使い方は各道州に任せれば
    よい。
    逆にそうしないと東京一極集中がますます進み、地方が死ぬ。
    地方が死ぬ、ということは文化が死ぬ、ということだ。
    美味しいものも食べられなくなる。それでいいのか。

    ・・・この本の趣旨、斎藤氏の趣旨から反れたかもしれないが、
    私の問題意識だ。


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    2024年05月23日

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