作品一覧

  • 誰でもない
    4.1
    1巻1,298円 (税込)
    恋人をなくした老婦人、閉ざされた未来を前に生き延びようとする若者……。ハン・ガン以後最も注目される韓国作家が描き出す、現代を生きる私たちの日常という祈り。
  • 続けてみます
    3.8
    1巻1,980円 (税込)
    まだ時間はあるのです。世界が終わる瞬間にはゆっくりとたどり着くはずだから。 幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとは――。 誰かを思う気持ち、拒む気持ち、責任、放棄、やすらぎ、恐れ……。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。第23回大山文学賞受賞作。
  • ディディの傘
    4.2
    1巻1,760円 (税込)
    死と破壊、そして革命。 人々は今日をどのように記憶するのか。 「セウォル号沈没事故」「キャンドル革命」という韓国で起きた社会的激変を背景に、人が人として生きることの意味を問う最新作。 多くの人命を奪った「セウォル号沈没事故」、現職大統領を罷免に追い込んだ「キャンドル革命」という社会的激変を背景にした連作小説。 孤立し、閉塞感が強まる日常の中で、人はいかに連帯し、突破していくのか? 行く先に真の〈革命〉はもたらされるのか? 私たちが望む未来とは? ——人は誰もが唯一無二の存在という事実をあらためて突きつけていく。 デビューから15年。たくさんの読者を獲得すると同時に、文壇の確固たる支持を受け、名実ともに韓国を代表する作家となったファン・ジョンウンが放つ、衝撃の最新作。「d」と「何も言う必要がない」の2作品を収録。 2019年〈小説家50人が選ぶ“今年の小説”〉第1位に選出。 5・18文学賞、第34回萬海文学賞受賞作。 【目次】 ・d ・何も言う必要がない ・あとがき ・日本の読者のみなさんへ ・訳者解説
  • 年年歳歳
    4.3
    1巻2,145円 (税込)
    日本語で「従順な子」という意味の名で育った母の哀しみの向こうがわに広がる、それでしかありえなかった歴史の残酷と。韓国最高峰の作家が描く母と娘たちの物語。
  • 百の影
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    〈「2000年代韓国文学における最も美しい小説」ついに邦訳 〉 「暴力あふれるこの世界で、好きでいられる(もの)なんてほんの少ししかない」 強大な力によってかけがえのない日常を奪われながらも、ひたむきに生きる2人のあたたかで切ない恋物語。 --------- 大都会の中心に位置する築40余年の電子機器専門ビル群。 再開発による撤去の話が持ち上がり、ここで働く人たちは〈存在していないもの〉のように扱われる。 ──弱き者たちに向かう巨大な暴力。 この場所を生活の基盤とするウンギョとムジェを取り巻く環境はきびしくなっていく。 しかし、そんな中でも二人はささやかな喜びで、互いをあたたかく支えあう。 2人が歩く先にはどんな希望が待っているのか……。 --------- 僕は鎖骨のくっきり浮き上がった人が好きです。   そうなんですね。 好きです。   鎖骨がですか? ウンギョさんのことが。   ……あたし、鎖骨とかぜんぜんくっきりしてないけど。 くっきりしてなくても好きなんですから、ほんとに好きなんですよ。 --------- 【目次】 ■森 ■つむじとつむじとつむじではないもの ■口を食べる口 ■停電 ■オムサ ■恒星とマトリョーシカ ■島 ■あとがき ■ふたたび、あとがき ■訳者あとがき

ユーザーレビュー

  • 年年歳歳

    Posted by ブクログ

    家族それぞれの話だが、家族がテーマではない。韓国の歴史の中で生きた「無名の人たち」の深い有りようを詩的に綴られ、その詩的さ故にシンプルで美しいのに哀しみが重く伝わり…忘れられそうに無い。訳者の後述の解説にも糸口を教えてもらった。
    スンイルの人生は大きな時の山を飲み込み続けて来たのだろう。
    私もあなたも皆、人生にゴールなどなくそれぞれの時を飲み込んでいるのだと感じた。

    0
    2025年10月06日
  • 百の影

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あっさりと日々を暮らしているように見えるウンギョと、不思議な柔らかい雰囲気を纏ったムジェさんの、そのどちらにも孤独の影は確実に忍び寄っていることを、「影法師」の存在で思い知らされた。自身について多くを語らない2人だけれど、それがかえって、それぞれが抱えているものの大きさを表していると思う。
    本人さえきっと気づかないうちに絶望の深みに入り込んでしまって、自力では抜け出せなくなっているような状態のときに「影法師」が立ち上がってくるのかなと思った。
    冒頭に戻ると、ウンギョを助けにきたムジェさんというたった一人の存在の有り難さが身に沁みる。予備知識なく読み始めても、ページを進めていくうちにだんだんと、

    0
    2025年08月04日
  • 誰でもない

    Posted by ブクログ

    すごかった。
    今の社会で生きるままならなさというか、なんともいえない感情がクッキリとらえられていて…ありふれているけどみんな真正面から見ないようにしてる残酷さを、私たちの社会ってこうですよね、と目の前に差し出されるような感じの読書だった。

    0
    2025年06月15日
  • 誰でもない

    Posted by ブクログ

    人の心の中にある、他人に話すことではないが影を落とすような出来事を淡々と聞いているような気持ちになった。小説を読むというより、他人の打ち明け話を聞いているような気持ちになる。
    明るさは無いけど、とんでもない暗さでもない。

    0
    2025年05月31日
  • 誰でもない

    Posted by ブクログ

    “適切な鎮痛剤を充分な量。それは常に、充分なお金があるときにだけ可能な話です。単なるお金じゃなくて、充分なお金。それが前提で、前提が整ってなかったらただ立って見てるしかないんです、間抜けみたいに。いつもそのことを考えておかなくちゃいけないの。それを想像して、余力を確保しておかなくてはなりません。人間らしさの条件は、余力の有無じゃないですか。”(p.218)

    0
    2025年03月22日

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