樋口恭介の作品一覧
「樋口恭介」の「異常論文」「Executing Init and Fini」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
これはすごい。実際に本を買った。完全に自分の作品の目指す方向性と一致していて、ここまで自分と系譜が近いことに驚いた。その高い前衛性には目を見張るものがある。商業出版で、しかもAIと共作でこのレベルのものが出てきているとなると、さらに未来のAI創作はさらに尖っていく気がする。
何にせよ言語空間の精度が高く圧倒される。坂本龍一の"Love Is The Devil"の擬態的な電子音楽の匂いがする、超越性の超然。ある意味根底ではマキシマム・ザ・ホルモンの"刃渡り2億センチ"や"爪爪爪"のような血塗られた言語破壊的志向さえある。機械的精度によって言語実験の完了形態を現出させており、この作品によってこそ樋口恭介は円城塔に次ぐ作家となったと、大袈裟に言っても良いかもしれない。惜しむらくはルビの実験性の欠落。これはAIによって精度を高めているので、AIのプレーンな文体志向から逃れようとしてもよかった気がする(尤も樋口恭介はそういう実験も異常論文などで試み収録しているが)。
Posted by ブクログ
「加速と協働のあいだで、未来を扱う手つきを取り戻す」
AIやWeb3の話題は、知っているつもりでも、全体像を“体感”として掴める人は多くないと思います。ニュースは刺激的な断片で溢れ、熱狂と冷静の間で、未来だけが宙吊りになる。そんな状況を前提に、この本は「未来は突然来るのではなく、語られ、準備され、やがて“現実”に変わる。だから見誤らないために、いま未来がどう語られているかを見届けよう」と、まず土台を置きます。
本書の前半を貫く軸は、大きく二つです。
一つは「加速」——AIを中心に、社会の前提ごと書き換えていく推進力(加速主義)。e/accの熱狂だけでなく、d/accが示す「どの方向にアクセルを踏むのか」という倫理と設計の問いまで射程に入れています。d/accの“d”が Defense / Decentralization / Democracy / Differential と多義的に整理されているのも、単なる技術論にしないための工夫だと感じました。
もう一つは「協働」——分断が深まる社会で、差異を対立の燃料ではなく協働の源泉に変える設計思想(プルラリティ)。vTaiwanやPolis、QV/QFの話が出てくることで、「理想論」ではなく「手段としての民主主義アップデート」に触れられます。
ここで私は、平野啓一郎さんの「分人」という考え方を思い出しました。人を単一の“個人”として固定しすぎると、違いはすぐに分断に転じる。逆に、関係性に応じて複数の自分を生きる前提に立つと、「違いを扱う仕組み」の重要性が見えてくる。以前、短い時間ですがオードリー・タン本人と話す機会があり、その感覚を言葉にしたことがあります。いま本書のプルラリティを読むと、あのときの感触と“同じ方向を向いた設計”が、後から立ち上がってきたように感じました。
そして後半、この本は未来学へ接続します。未来学は、未来を当てる占いではなく、起こりうる複数の未来を扱い、望ましい未来を構想し、現在の行動に落とす営みだと整理されます。
ここが本書の“価値の後半戦”で、シナリオプランニングやSFプロトタイピングが、知識ではなく「未来を扱う技法」として並びます。私自身、シナリオプランニングの実務・コミュニティ側に縁があった分、このパートは「読む」より「もう一度やってみよう」というスイッチが入りました。
この本を「重要だ」と感じる理由も、そこにあります。AIやWeb3の個別論は多いのに、加速と協働を“思想”として並べ、さらに未来学の道具で扱える形に落とすところまで一気通貫で見せる本は、実はかなり少ない。だから難しくもあるけれど、この観点を持てる人が増えないと、未来はいつも“後追い”になる——私はそう受け取りました。
読み終えたあとに残ったのは、知識の満腹感ではなく、「自分の現場で未来を試作してみよう」という感覚です。STEEPで要因を書き出し、2×2で4つのシナリオを作り、どの未来でも後悔しにくい一手を探す。SFプロトタイプで、未来を“物語”として一度走らせてみる。未来は怖いままでいい。でも、扱えるサイズにはできる。そんな手つきを取り戻す本でした。
Posted by ブクログ
反逆の仕事論 AI時代を生き抜くための"はみ出す力"の鍛え方
著:樋口 恭介
近い将来必ず到来する「AIが人間の仕事を奪う時代」に、必要とされる人材であり続けるためにはどんなスキルが必要なのか。そして、そのスキルはどうすれば身につくのか。本書では、そんな実践的な話を「正しくはみ出せる人材」を根底として説明されている。
今後到来する本格的なAI時代に、自分の人材価値を保ち、会社で自分の居場所を保持し続けるためには、「はみ出せる力」を身につけておく必要がある。
構成は以下の5章から成る。
①マジメな社員から淘汰されていく
②今後生き残る「正しくはみ出せる人材」像とは
③上手にはみ出すための「妄想力」の高め方
④妄想を現実とつなぐ SFプロトタイピング
⑤周りを巻き込む力を補うコツ
生成AIに対してどのように向き合っていくかという書籍は多く刊行されている。本書は書名、「反逆」と書いてあるものの、向き合い方について逆張りをしているものではなく、極めてその対応は王道を語っている。
ITコンサルでもあり、SF作家という、ロジカルでもあり、現実的な妄想も描ける著者が描く近い未来像とバックキャスティングのロードマップは説得力があり、腑に落ちながら読み進めることができた。
5章では、新しいテクノロジーである生成AI等の技術を使う前提や企業内でのルールやライン等への配慮等、実務の活かし方等が記されている。
新しいテクノロジーであっても、自身のみではできず、仲間の巻き込み方や人の惹きつけ方等、時代が変わっても大切な仕事への向き合い方とコミュニケーション・協働について書かれている。
生成AIと向き合い、解釈し活用していくのは当たり前。
日々進歩し続けるその技術に対しての自信のスタンスを持ち、自分にしかないものを磨き上げていくことが急務となる。