あらすじ
売れないSF作家だった父ダニエルの死後、エドガーは母ラブレスから未完の草稿を渡される。その物語内で、人工意識の研究者だった両親は子をもうけるかわりに人工意識、エドガー001を構築した。自己増殖するエドガー001は新たな物語を生み出し、草稿を読むエドガーもまた、父ダニエルとの思い出をそこに重ね書きしていく。選考会で絶賛を浴びた、現代SF100年の類い稀なる総括。第5回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。解説/神林長平
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Posted by ブクログ
自分がまさに読みたかったやつ
人の生死 人生 物語 愛...
言葉では表せないと分かっていても、それらを言葉というコードで記述しようと足掻くこと。人が紡いできたコードに今を生きる人々が書き足していくように、これまで続いてきた歴史を未来に繋げていくのだなと私は解釈しました。
難解で、一周ではまだまだ消化不良なので、また今度読み直します
Posted by ブクログ
途轍もなく難解な文章が続いていく。
いくつもの人生を俯瞰的に疑似体験できる、と捉えることが出来た。
ただ読む人をひたすらに選ぶ本である、というのが率直な意見。
IT関連の仕事をしているが故に多少の理解はできたがエンジニアなどでないと本質は理解できないのではと感じてしまった。
読み切れれば、読後感は良い。
体力がいる書籍である。
Posted by ブクログ
「面白い構成」だけど長い。
読み始めがとても詩的で…
「SFでも(この言葉自体好きではないが)厨二病っぽいのあるんだな…」
と言う印象を持つ。
階層構造で現実(L8)と物語の世界(L7)と自動増殖するその他の階層を用意して展開する話は好物で、あらすじを読み期待をしていた。
AIが出力したログのような物語のコードとして記述された文章が難解さだけを上げていき、陶酔するための文章のような印象を受ける。
スラスラと描写が入ってくる文章もあるため難解な箇所は自分の理解力の問題と、作者の意図したモノでありモノでないのであろう。
どうもこの「○○であり、○○で無い」と言う表現が多く出てきて読み解くのに苦労する。
言葉は不確かで、不確かだけども確かなものとしても残り続ける。だから伝えることを諦めるのではなく想いを持って伝えて欲しい。たとえそれが誤解でも良い。
冒頭の詩的なフレーズを読み、嫌な予感がしていた。
「物語についての物語」をテーマにした場合に良くあることなのだが、読み進めるうちにどうでも良くなってしまう。
中盤からはどこで終わらせても終わらせられたようにも思える。
最後に有耶無耶な詩的な文章を残せば終われるのでは無いか?といつも思う。
主人公の父親の遺した草稿に描かれた話とそこから展開される別の世界、IFや様々な記憶が混じった物語コード、それを読み物語が生成される体験を小説を読む自分も体感していて階層に取り込まれる。その構成に引き込まれるのだが…長く感じる。
その長さも物語が機械の中で一瞬で生成されて(永遠に生成された)長さの表現であれば作者はすごい。
でも余地がありすぎて読み手に委ねてるように思えて何とも言えない。
それでも、読書の誤解であっても
難解な長い文を読んだ後
あとがきで自分の小説について「失敗するとわかっていた」と言う言い方は何なのだろう…「言葉はそう言うモノ」なのはわかるけれどそんな言い方しなくても…
話に出てくる「0/1」「あり/ない」を両方を書いたり「わからないことがわからない人達」の話とか補完する要素が全て言い訳みたいに読めてしまうではないか…
私はこの物語を読んでいて
私はこの物語を読んでいない。
なのか…??
ひとまず付録やあとがきの部分はイライラするだけなので不要に感じた。
「執筆後に登場人物の一人と会う機会があった」という著者に白ける。
そこまでどんな人物なのかが描かれていなかったから…
良くわからないけど嫌いと好きが混在する不思議な感じ…
(言語のSFはこれからも読む、その時この物語も思い出すはず)
Posted by ブクログ
階層構造の設定や作中作のダニエル描く物語は面白かった。ライジーアが消滅していく過程は作家の作り直し(伝えたいことを伝えられなかったから消す)を示唆している、という解説もなるほどと思った。
L9は果たして必要だったのか?というのが引っかかった。L8で終わったほうがメッセージが伝わりやすかった気がするけど、自分が理解できてないだけか?
何度も同じような意味の言葉を反復したり言い換えをしていて、冗長な文を嫌う人は苦手かも。
全体通して読み終わってみるとなるほど、良かったかも?と思えた。そんな作品。