野沢佳織の作品一覧
「野沢佳織」の「死について! あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。」「死について! 上下合本版 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
11歳の白人少年マシューが寄宿学校から自宅の農場へ戻ってくると、家のまわりの柵が以前の2倍の高さになっていた。このところ、白人に〈マウマウ〉と呼ばれる、白人移住者から土地を奪還しようとするキクユ族の武装集団が活動を激化させ、白人の経営する農場に侵入して破壊行為をしたり、農場で働くキクユ族に宣誓を強いて〈マウマウ〉に加入させたりしていたせいだ。兄弟同様に育った黒人ムゴは、台所で下働きをしている。ムゴは、マシューに頼みこまれて嘘をつき、結果自分が叱られるという目に合うこともあった。そんなふたりが住む地域にも、マウマウが訪れ、密かに黒人たちを支配下におさめ始める。同じころ、寄宿学校に転入してきた父親が警察官のランスは、キクユ族は全員がマウマウで信用ならないとマシューに吹き込む。
第二次大戦後、植民地支配を受けていたアフリカでも独立の気運が上がる。そのうちの一つであるケニアの独立のきっかけとなった、苦い事件がマウマウ団の乱だ。独立を目指す人々の中でも、いわゆる急進派にあたり、各地の白人農場、警察署、政府軍用地、親植民地派のケニア人を襲撃した。ケニア人を分断したことは、彼ら自身の咎ではない。しかし、白人にとっては、表向き敵味方の区別がつかない。ならば見た目=部族で一緒くたに部族で排除してしまえ、という乱暴な理論がまかり通り、従順だったムゴたち家族や、マシューの家の料理人たちも排除の対象になる。ゲリラからの隔離政策で環境劣悪な収容所に送られて死亡したキクユ族は2万人程度に上る。
支配者側の息子として、今まで自分の我儘に対して無自覚だったマシューと、主人の息子との距離の取り方に常に気を配るムゴの視点、交互で物語は描かれる。ムゴの事を友人のように思っていたマシューだが、父親の意見を信じるランスの同調圧力に逆らえず、結果的に彼を裏切り、家族を窮地に陥れる。ランスもまた、ケニア人を信頼しない父親の影響をおおいに受けている素直な子供に過ぎない。結果、大人の思惑によって子供たちの友情が引き裂かれる。善意は悪意に勝てない、という皮肉なオープンエンドで、ムゴがこの先どんな未来を選びとるのかは曖昧にされている。幼き読者に考えてほしい、ということだろうか。
南アフリカで育ったカーネギー賞受賞作家の作品。
Posted by ブクログ
故郷を守る代償に、故郷を失ったワシリーサ(ワーシャ)。冬の王から与えられた馬(ソロヴェイ=小夜鳴鳥)と共に旅に出る。男装したワーシャはふとした偶然から次兄アレクサンドル(サーシャ)と再会する。サーシャは母方のいとこドミトリーと行動を共にしていた…。
第2巻のモチーフは"火の鳥"です。そしてワーシャたちの亡き母が"イワン1世の娘だった"という筋立が物語に奥行きを与えて行きます。モスクワへ嫁に行った姉オリガとその娘マーシャも重要な役割を果たします。
ワーシャがぶつかる難題の数々は余りにも過酷で目を背けたくなる所が多々あるのですが、張り巡らされた伏線が少しずつ少しずつ解けていくのが見事です。はたしてワーシャの運命が好転するチャンスは残されているのか?最終巻へと続きます。
Posted by ブクログ
私好み!大当たり。全3巻でおよそ1600ページの歴史ファンタジー。しかも舞台は1370年頃のロシア(モスクワ大公国)イワン2世〜ドミトリー•ドンスコイの時代。日本では『全く』と言い切ってよいレベルで知られていない。従って人にはお薦めできない(笑)でも面白い!
著者はアメリカの女性作家。大学でロシア語を勉強し、ロシア留学もしている。そのため本書はロシアの歴史や風土はもちろん、昔話や伝承なども下敷きになっている。第1巻は"麗しのワシリーサ"や"森は生きている"などが隠し味のように織り込まれていて、その辺も私好み。好き!
主人公ワシリーサ(ワーシャ)は、亡き母から受け継いだ"人には見えない精霊を見る能力"をもつ少女だ。しかし父が再婚した継母は敬虔なキリスト教徒。新たにやって来た司祭も精霊の存在を認めないためワーシャは窮地に追い込まれて行くが…。
第1巻はワーシャの成長と旅立ちまでの物語。丁寧に読むと、様々な伏線が張り巡らされているのが分かります。面白い!