清水真砂子の作品一覧
「清水真砂子」の「ゲド戦記」「大人になるっておもしろい?」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「清水真砂子」の「ゲド戦記」「大人になるっておもしろい?」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
いよいよゲド戦記初期三部作の締めくくり。大賢人となったゲドとエンラッドの王子アレンが不吉な予兆の原因を突き止めるための旅に出る。
どれほどの期待も裏切らないファンタジーの傑作。人生に疲れた大人にこそ読んでほしい。
ゲド戦記は決して派手ではなく影の濃い物語だけど、世界の秘密が本当に隠されているような骨太なファンタジーだ。ゲドとアレンは果てを目指して旅を続けるが、死の影はますます濃くなっていく。魔法使いでもない少年のアレンから見れば、徒に彷徨っているだけで不安だけが募る。ほとんど魔法も使われないし、ただ重苦しい時間が過ぎていくのだけれど、読んでいて引き込まれる。
自然や宇宙のような計り知れないもの相手にするということは、ただ忍耐強く待つしかないのだろう。ゲド戦記の魔法は便利だけど万能ではない。ル=グウィンの魔法に対する解釈の鋭さが圧倒的な存在感を生んでいると思う。
『老人と海』も自然と人間の関係を描いているが、ゲド戦記は人間の心にもフォーカスしている。現代社会を生きる我々にも、自然との関係を考えるための優れたメタファーとなっているように思う。地に足の付いたファンタジー。
現代では「心が生み出すもの」は嘘や空想と軽んじられるが、この物語は、生きることと死ぬこと、心の光と闇、言葉の持つ力を現実よりもまざまざと描き出している。
ファンタジーは創作であるが嘘ではない。この世には実際に、心の奥深くにある人間の真実を汲み上げることができる魔法使いのような人がいるのだ。魔法使いではなく巨匠とか呼ばれるが。
それぞれの場面に出てくるイメージも豊かで本当に素晴らしい。ロークの城や森、海に浮かぶ島々、様々な民族、虚無に包まれた冥界や、美しくも恐ろしい誇り高き竜の一族。それらが現実に根付いた強靭な哲学に、温かみや冷たさ、読者を遊ばせてくれる余白を生んでいる。読んだ後にもゲドが語ること以上に、語らないことが胸に迫ってくるのだ。
宮崎駿が枕元に置いていることでも有名な本書だが、ジブリファンならいくつもの場面に重なるものを感じるだろう。『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』はもちろんのこと、最新作の『君たちはどう生きるか』まで、ファンタジー作品の一つの基準になっている。
他にも多くの作品に影響を与えていると思うが、この本には他には超えられない、それこそ魔法のようなものがあると思う。古典は生まれたときから古典だそうだ。この本は古典として永く読み継がれていくのだろう。
Posted by ブクログ
久々にル・グゥインを読んだ。やっぱり大好き。
・オドレンの娘 墓に毎日そなえものをして復讐を約束する娘、日本のホラーっぽい。中盤、息子は母を責め、娘は母の愛人を責めるところがル・グゥイン節と感じた。
・火明かり すごく久しぶりにゲドに会った感じがした。彼がのびのびと旅立って行ったので、見送れて良かったと思った。
・講演など 「夜の言葉」などに収録されていて既読だったが、何回読んでも面白い。全てに納得するわけでもなく全てに同意するわけでもないが、面白い視点だと思う。文化基盤を異にする日本では特に(洋風)ファンタジーの影の部分は見えづらいので、この視点は覚えておきたいと思う。
※確かに欧米のファンタジーにはどちらかと言うと日本のホラーに近い風味がある気がする
Posted by ブクログ
ゲド戦記の第二巻。アチュアンの墓所を守る大巫女として育てられた少女アルハは、世界に調和をもたらすエレス・アクベの腕環の片割れを求めて墓所を訪れた青年ゲドに出会う。
ファンタジーの名作だけにゆっくり読みたかったけど、面白すぎて後半は一気に読んでしまった。著者は親の影響もあって文化人類学に詳しいこともあり、世界観や舞台の設定が細かく具体的で物語の土台がとにかくしっかりしている。人生における光と闇をファンタジーに落とし込んでいるのだが、混ぜ合わせ方がとにかく巧みで説明しなくても何が起きているのか感覚的に伝わってくる。ル=グウィンこそ魔法使いではないだろうか。