薮内正幸の作品一覧
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Posted by ブクログ
久ーーしぶりに読むガンバ!
アニメシリーズは観ていなくても「ガンガンガーンバ♪」が頭を回り、ガンバが野沢雅子で脳内再生されてしまう不思議。
街に住むドブネズミのガンバは、イタチと戦う島ネズミの忠太と出会います。島のネズミを救うため、船乗りネズミたちと共に島へ渡ります。
ネズミ達のキャラクターが楽しく、それぞれが自分の得意分野でちゃんと活躍するのが気持ちいい。
アニメでは「ほのぼのとかわいいネズミ達」「ちびるくらい怖いイタチ」という描かれ方ですが、原作では白イタチ・ノロイの美しさも印象的。
薮内正幸氏の写実的で迫力のある挿絵がたくさんなのも嬉しい。子どもたちの想像は挿絵で補われて、さらに広がっていくだろうなぁ。
街・船・島と、住む場所の違うネズミ達が力を合わせイタチに立ち向かう、まさに冒険モノの楽しさ全部のせ。
いろんな感情に振り回されて、胸おどる読書体験ができるんだけどな。子どもたちみんな読んだらいいのにな。
ウチの娘たちは全然興味ないみたい…まぁでも本棚にはずっと入れとこうと思います。
Posted by ブクログ
ある島に住むネズミがイタチのノロイたちにより壊滅状態にあると知り、町と港と船乗りネズミが解決に乗り出す冒険譚。
町ネズミのガンバを中心に個性的なメンツが喧嘩をしたり、協力したりしながら話が進む。
登場人物は多めだが、名前が個性に由来しているので覚えやすい。
全編を通してガンバが海を初めて見て感動するシーンと、残りのネズミに対して明らかに多い数のイタチたちが登場するシーンが心に残った。
イタチの頭領であるノロイも力のみで押してこない辺りが良かった。
audibleで聴いたが、ナレーターが野沢雅子氏でちょっと驚いた。
文書は昭和弁というか今の時代とは色々と違うノリなのだが、それがピッタリくる抑揚で懐かしさを覚えた。
ある時期に書かれた文章をナレーションするときには、その時代の言葉に慣れ親しんだ人が読むのが良いのかなと思った。
Posted by ブクログ
前から気になっていた本をいよいよ通読!
序盤から気丈に送り出す姉や、気取り屋だけど実力も優しさもあるピッポーなど良いキャラクター達に出会い背中を押されて進む力強いスタートだ!特にピッポーは最後の最後にも再登場しており、とても良いキャラである。
第一部はクマネズミとドブネズミの戦いにまだ未熟なグリックが巻き込まれる話だ。ドブネズミもクマネズミも必死であることが印象深い。もはや最後の戦いの後には互いに手出しはせず解散しておりお互いの生命力に圧倒されていたようにも思える。第二部のグリック達のように彼らは彼らの人生を、目的を達成できるかなど関係なくやれるだけやってやったのである!そしてガンバが冒険者達ではまだ未熟だったがすっかり成長して成熟し始めている様子が伺える。発行された時系列は逆とはいえ、冒険者の後読みたかったその後の冒険が垣間見えるような形でありとても嬉しい。
そして第二部、いよいよ始まるグリック自身の冒険!良い人にも悪い人にもあいながら先に進んだ場所には波乱万丈の恐るべき道のりがあった!もはや頼りになる先達もおらず次々に襲いかかる恐怖!いやさや前半も面白かったが加速して面白い。森まで果てしなく続くいくつもの道筋とエリア終わる気がしないとすら読んでいて思えた長すぎる旅程!試練に次ぐ試練、戦いに次ぐ戦い!のんのんの足の悪さというハンデ、そして迫り来る冬のタイムリミット!超えど超えども無数にある試練と難所!足踏みする期間やいつまで経っても変わらない景色など焦燥感も強く、ここまでの試練があってまだつかないのかと読者である自分も幾度か絶望した。無論なんどもグリックとのんのんも諦めそうになった。だがそれを潜り抜けて目的地まで進見続けるという、自らの意思で自らの人生を突き進む力のある冒険譚であった。
特に何度も何度も繰り返す絶望の中でも進む意思は凄まじく、何度も九死に一生を得る場面が手に汗握る。読者は当然ながらグリックものんのんも何度も諦めそうになっていた。安住の地にできそうな土地も現れ誘惑してくる展開も複数あり、冬が近いとこを考えればそういう選択肢も出てしまうのだ.だが片方が折れそうな時は片方が励ましあうことで、互いに支え合うことで進んできた。まさしく1人より2人の方が進無事ができたのである。計算を度外視して自分がやりたい自分自身の戦いをお互いに影響を与え合うことで突破したのである!やれるとこまでやってやる!という不屈の意思が2人いる事で成立したのだ!やれることをやるしかない人生の試練を潜り抜けたのである!
また本格的な冒険に移る前に、停滞し冒険に憧れながら冒険者を邪魔する他者の中に入り、他者の冒険を見てそれで満足して終わる彼らと同じ未来を、再起するもう1人のんのんのおかげで回避して、自分自身の冒険を歩む、というパートが挟まるのも良い。冒険を経過するだけではダメ、満足せず自らの冒険に飛び込まなくてはならないのだ。ガンバとの冒険は未熟な精神性のグリックに経験と自信を与えるだけではなく、自分の人生に立ち向かうロールモデルを提示しつつ、他者のそれを自分のものと混同してしまうという試練としての側面を持ち合わせていたと言えるだろう。
また最後の最後でのんのんが漏らした、今この時こそ始まりのある終わりを迎えられた、という言葉も印象的。まさしく物語の理想の完結めいている。先のないなにも次のない終わりではなく、新たなるスタートのある終わりこそ読後の物語を永遠に輝かせる。思えばこの物語は新たなる人生のスタートラインに向かうための物語であった。
もう一つ興味深いことに、この物語は書いた時点の作者の半生を元にしているらしい。なるほど、波乱万丈で絶望も希望もある深みのある物語であった。全力で苦しみもがき、ひたすら進み生きるといこと。2人の名前の由来も良い、幸せと体を充填する食事に由来するグリックと、彼女が味わいその後も幾度となく味わう挫折を否定する二重否定ののんのん。可愛らしさと意味が慎重に盛り込まれた良いネーミングだ。また最後の最後に、人生における別れ、挿絵の籔内氏の訃報がくるのも良い効果が生まれている。人生を生きることを謳う小説が、人生を生き抜いた人の記録で終わるのである。思えば姉のフリックもまた、最後に死して死のうともその人生が誰かの心にのこる終わりを迎えていたのであった。