あらすじ
飼いリスのグリックは、ある日、北の森で生き生きと暮らす野生リスの話を聞き、燃えるようなあこがれをいだきます。カゴから脱走したグリックは、ガンバに助けられ、動物園で知りあった雌リスののんのんといっしょに、冬の近い北の森をめざします…。日本児童文学者協会新人賞を受賞した、愛と冒険のファンタジー。
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Posted by ブクログ
前から気になっていた本をいよいよ通読!
序盤から気丈に送り出す姉や、気取り屋だけど実力も優しさもあるピッポーなど良いキャラクター達に出会い背中を押されて進む力強いスタートだ!特にピッポーは最後の最後にも再登場しており、とても良いキャラである。
第一部はクマネズミとドブネズミの戦いにまだ未熟なグリックが巻き込まれる話だ。ドブネズミもクマネズミも必死であることが印象深い。もはや最後の戦いの後には互いに手出しはせず解散しておりお互いの生命力に圧倒されていたようにも思える。第二部のグリック達のように彼らは彼らの人生を、目的を達成できるかなど関係なくやれるだけやってやったのである!そしてガンバが冒険者達ではまだ未熟だったがすっかり成長して成熟し始めている様子が伺える。発行された時系列は逆とはいえ、冒険者の後読みたかったその後の冒険が垣間見えるような形でありとても嬉しい。
そして第二部、いよいよ始まるグリック自身の冒険!良い人にも悪い人にもあいながら先に進んだ場所には波乱万丈の恐るべき道のりがあった!もはや頼りになる先達もおらず次々に襲いかかる恐怖!いやさや前半も面白かったが加速して面白い。森まで果てしなく続くいくつもの道筋とエリア終わる気がしないとすら読んでいて思えた長すぎる旅程!試練に次ぐ試練、戦いに次ぐ戦い!のんのんの足の悪さというハンデ、そして迫り来る冬のタイムリミット!超えど超えども無数にある試練と難所!足踏みする期間やいつまで経っても変わらない景色など焦燥感も強く、ここまでの試練があってまだつかないのかと読者である自分も幾度か絶望した。無論なんどもグリックとのんのんも諦めそうになった。だがそれを潜り抜けて目的地まで進見続けるという、自らの意思で自らの人生を突き進む力のある冒険譚であった。
特に何度も何度も繰り返す絶望の中でも進む意思は凄まじく、何度も九死に一生を得る場面が手に汗握る。読者は当然ながらグリックものんのんも何度も諦めそうになっていた。安住の地にできそうな土地も現れ誘惑してくる展開も複数あり、冬が近いとこを考えればそういう選択肢も出てしまうのだ.だが片方が折れそうな時は片方が励ましあうことで、互いに支え合うことで進んできた。まさしく1人より2人の方が進無事ができたのである。計算を度外視して自分がやりたい自分自身の戦いをお互いに影響を与え合うことで突破したのである!やれるとこまでやってやる!という不屈の意思が2人いる事で成立したのだ!やれることをやるしかない人生の試練を潜り抜けたのである!
また本格的な冒険に移る前に、停滞し冒険に憧れながら冒険者を邪魔する他者の中に入り、他者の冒険を見てそれで満足して終わる彼らと同じ未来を、再起するもう1人のんのんのおかげで回避して、自分自身の冒険を歩む、というパートが挟まるのも良い。冒険を経過するだけではダメ、満足せず自らの冒険に飛び込まなくてはならないのだ。ガンバとの冒険は未熟な精神性のグリックに経験と自信を与えるだけではなく、自分の人生に立ち向かうロールモデルを提示しつつ、他者のそれを自分のものと混同してしまうという試練としての側面を持ち合わせていたと言えるだろう。
また最後の最後でのんのんが漏らした、今この時こそ始まりのある終わりを迎えられた、という言葉も印象的。まさしく物語の理想の完結めいている。先のないなにも次のない終わりではなく、新たなるスタートのある終わりこそ読後の物語を永遠に輝かせる。思えばこの物語は新たなる人生のスタートラインに向かうための物語であった。
もう一つ興味深いことに、この物語は書いた時点の作者の半生を元にしているらしい。なるほど、波乱万丈で絶望も希望もある深みのある物語であった。全力で苦しみもがき、ひたすら進み生きるといこと。2人の名前の由来も良い、幸せと体を充填する食事に由来するグリックと、彼女が味わいその後も幾度となく味わう挫折を否定する二重否定ののんのん。可愛らしさと意味が慎重に盛り込まれた良いネーミングだ。また最後の最後に、人生における別れ、挿絵の籔内氏の訃報がくるのも良い効果が生まれている。人生を生きることを謳う小説が、人生を生き抜いた人の記録で終わるのである。思えば姉のフリックもまた、最後に死して死のうともその人生が誰かの心にのこる終わりを迎えていたのであった。
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街で飼われているシマリスのグリックは、あるとき森で暮らす野生のリスの話を聞き、強い憧れを抱く。家を飛び出して森を目指すグリックが、ドブネズミのガンバや動物園で知り合ったメスのノンノンと一緒に、冒険をするお話。
子供向けの冒険物語だが、小さなリスが遠い北の森を目指す道のりには危険がいっぱいで、ハラハラドキドキの内容。
疲れた心にサプリメント効果バッチリで、ぜひシリーズをまた読みたい。
Posted by ブクログ
小学3年生の頃、国語の授業で毎回少しずつ先生が読み聞かせてくれ、大好きだった本。特に中盤のドブネズミとクマネズミの戦いに、ドキドキハラハラしながら聞いていたことを思い出す。ペットとして飼われるシマリスのグリックが、仲間がたくさん棲む北の森へ数々の試練を乗り越えて進む姿にグッとくる。私にとって思い出深い作品。
また、薮内さんの描かれるリアルな動物の挿絵がとても素晴らしい。図鑑の挿絵画家もされていたらしく、キャラクターじみていない挿絵がストーリーで描かれる過酷な現実とも非常にマッチしている。
グリックのGは元気のGだ!
ともかく頑張りたい人の背を押してくれる努力がテーマ?の名作。作者の処女作で今までの人生経験が詰まっている、とのあとがきですが、なるほどと頷けるような内容。冒険物としてはガンバシリーズの方が良く出来ているのだが、こちらの方が教訓的に得るものは大きい気がする。
二匹のリスが不屈のタフネスで冬山の先の故郷を目指す旅の話ですが、東京から新潟までが想定モデルとなっているので、北陸好きの方にもおすすめ。
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ガンバの冒険を子どもたちとアニメで見たものの、この作品が原作者の処女作だとは知りませんでした。
家や動物園で飼われていることの安全の反対にある自由。
「ながいながいペンギンの話」と同じく、飼われている生き物の気持ちについて考えさせられました。
足をケガしていたらたどりつけないはず、戦った相手がタカに襲われる、など、運がいいでは語れない物語、ガンバにしてもハトのビッポーにしても、命を助けてもらったことへの恩返しの気持ちがここまでとは、と。
ガンバが動物園を「きみのうち」だと思って連れて行ったのは、ちょっとおもしろかったです。
Posted by ブクログ
再読です。
私が最も好きな本のうちの1冊なんですが、いつ読んでもやっぱりいいです。大好きです。最後に読んでからもう随分経っているんですが今でもそれは変わりません。むしろ前以上に好きになりました。
途中に出てくる動物園が日本のように感じました。みんな形も顔つきも違うのに、みんなどこか似ている。冒険話に興味は示すものの誰も冒険しようとはしない。時にはしようとするものを阻害したり、孤立させたり。動物園は餌に困る心配もなく、安全です。生きてく上で必要なものは全て揃っています。それでもどこか貧しいんです。生きている、と感じないんです。これはまさに日本のような気がしてなりませんでした。みんな抜け穴があるのは知ってるのに抜け出さない。自分から動こうとしないで現状に満足している限り金網越しの空しか見えないんですよね。
この冒険を支えてるのは"恩義"だったように思います。自分の道を見失わず恩義を大切にする限り、道は開けてくるものだと、そんな事を思いました。最後はかなりうるうると・・・。
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「冒険者たち」ガンバの物語の続編。主人公であるシマリスのグリックが自分の生まれた北の森を目指して旅立つ物語。
人間として自立しようとする時期に読めれば最高です。
Posted by ブクログ
冬山を登るというのにほぼ何も準備も計画もなくなんて、どういうことやねん。というツッコミはあれども、やっぱ毛皮を纏っているというのは強い。しかもそこらへんで飯も調達できるし、草食動物って最強だよな。でも食われちゃうから、なかなか難しい。
最後の結末はまぁそうなるよね、とは思ってたけど、眠気に耐えきれなくなったところで切ない展開だったら泣けるかも!とも思ったよ。やっぱ子供向けかー、と思ったら最後の二人の会話がおまえらやることやってんのかよいつの間にか、ていう意味深っぷりで、好き。
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斎藤惇夫の処女作で、日本屈指の本格的動物ファンタジー。
「冒険者たち」では主人公のガンバが、ちょい役だが重要な存在として登場しているのも見どころ。
Posted by ブクログ
本作はドブネズミのガンバではなく、シマリスのグリックが主人公の物語。
私はガンバの方が好きだけど、それはそれ。
グリックはグリックで健気で愛らしい。少しずつ逞しくなっていく姿が印象的。
切ないけれど、勇気をもらえる作品。
Posted by ブクログ
『冒険者たち』の著者・斎藤惇夫さんのデビュー作。
飼われていたシマリスのグリックが家を出、街を抜け、
森に行くまでの冒険を描いたストーリー。
見ず知らずの故郷の森を夢見たグリックは森に行くことを決意しますが、森までの道のりは果てしなく、過酷なものでした。
なんと『冒険者たち』の主役・ガンバとその仲間たちも出てきます。
時間軸的には『冒険者たち』後の話のようです。
Posted by ブクログ
飼いリスのグリックは,ある日,北の森で生き生きと暮らす野生リスの話を聞き,燃えるようなあこがれをいだきます.カゴから脱走したグリックは,ガンバに助けられ,動物園で知りあった雌リスののんのんといっしょに,冬の近い北の森をめざします….日本児童文学者協会新人賞を受賞した,愛と冒険のファンタジー
Posted by ブクログ
リスが主人公の冒険物語
挿絵もまた綺麗
初めて読んだのが小学生のとき、当時の印象は「長いなあ」最近文庫で購入しましたが、<br>意外に覚えている部分てあるものですね
Posted by ブクログ
こがれをいだきます.カゴから脱走した
グリックは,ガンバに助けられ,動物園で知りあった雌リスののんのん
といっしょに,冬の近い北の森をめざします….日本児童文学者協会
新人賞を受賞した,愛と冒険のファンタジー
Posted by ブクログ
ガンバのほうが有名だし、そっちも面白いですけども、敢えてグリック。やみくもな熱情に駆り立てられて走るグリックが、どうしようもなく愛しいです。ウォータシップ〜とはまた違った、動物小説の面白さがあります。
Posted by ブクログ
ガンバたちが主役のものに比べると少しパンチが足りない気もするけど、それでもやっぱり好きです。このとてもリアルなのに愛くるしい挿絵も魅力。いつか美術館にお邪魔したいです。