中田耕治の作品一覧
「中田耕治」の「麻薬密売人」「異端作家のアラベスク」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
著者自身の言葉として、「非現実に対するわたしの不安はこの作品から始まっている。」と解説の最後に引用されています。つまり、後の作品群のいわゆる”ディック感覚”と呼ばれる最初の作品ということができるでしょう。
とはいえ、今まで読んだディック作品の中では、わかりやすくてとても面白かったです。仮想現実や多元世界に興味がある人にはツボでしょうね。ラストも、考え方によってはループ物を想起させますが、いい終わり方でした。
内容に少し触れると、人それぞれが思い描く世界観がリアルに体現できたら…ということですが、それが自分の世界観ではなく、誰かのものだとしたら…という感じ。例えるなら、読書嫌いな人の思考にとらえられ、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』のような世界に放り込まれたら、ここの人たちは発狂ものですよね?しかもそこから別の世界に行けば、そこはそこで別の他人にとって心地よい世界だなんて悪夢ですね。それにしても、よくこんなストーリーを思いつくものだと感心したのでした。
あらすじ:
ジャックは、妻と楽しみにしていた陽子ビーム加速器の見学会に行く予定でした。しかし、直前に上司から呼び出され、妻が共産主義者であると嫌疑をかけられ、会社をクビになります。情報の出所は、同僚で会社の保安係のマクフィーフ。彼は罪滅ぼしに、二人を見学会に車で送ってゆき、自身も見学することに。しかし、そこに居合わせた他の見学者とあわせた8人が、陽子ビームの放射事故に巻き込まれてしまいます。そして、ジャックが病院で目覚めたとき、そこは彼の知っている世界とは何かが違っているのでした……。
注意:猫好きな人へ。一部残酷なシーンあり。
Posted by ブクログ
マクベイン『87分署シリーズ』の5作目。ある一人の麻薬常習者の少年の死から凶悪な犯罪の全貌を暴き出す、私にとってはこれまでのシリーズ5作品の中で、『通り魔』に続いて好きな作品となりました。
本作の醍醐味の一つに、『他殺を知らせる為の自殺偽装』というものがあります。
縊死自殺に見せかけられた少年の死因は、ヘロインの過剰摂取によるものでした。
縊死に見せかけようとしなければ事故死とも捉えられたであろうに、なぜ犯人はわざわざ自殺に見せかけようとしたのか。
自殺を偽装することで、かえって他殺を疑われることに気づいていながら、なぜ手間のかかることを実行したのか。
ここに潜む悪意に満ちた野望の正体とは、ある1人の刑事を巻き込んだ大いなる目的によるものだったのです。
今回はクリングの出番は控えめにして、スティーブ・キャレラの行動力が光ります。また、これまで深く掘り下げられることのなかったバーンズ警部をとりまく環境が、物語の本筋に大きく影響を与えているのです。
後半~ラストにかけて、じりじりと主犯に近づく87分署の刑事たち。物語の緊張感がマックスになる頃描き出される、バーンズ警部とキャレラの信頼感には、見ている読者も彼らに勇気づけられることでしょう。
余談ですが…シリーズ四作目『ハートの刺青』にあった、キャレラの大失策の話が本作に当たります。
12/22(金)にキャレラに起きた出来事が、今作の重大な鍵となるのです。