中田耕治のレビュー一覧

  • 宇宙の眼

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    著者自身の言葉として、「非現実に対するわたしの不安はこの作品から始まっている。」と解説の最後に引用されています。つまり、後の作品群のいわゆる”ディック感覚”と呼ばれる最初の作品ということができるでしょう。

    とはいえ、今まで読んだディック作品の中では、わかりやすくてとても面白かったです。仮想現実や多元世界に興味がある人にはツボでしょうね。ラストも、考え方によってはループ物を想起させますが、いい終わり方でした。

    内容に少し触れると、人それぞれが思い描く世界観がリアルに体現できたら…ということですが、それが自分の世界観ではなく、誰かのものだとしたら…という感じ。例えるなら、読書嫌いな人の思考にとらえられ、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』のような世界に放り込まれたら、ここの人たちは発狂ものですよね?しかもそこから別の世界に行けば、そこはそこで別の他人にとって心地よい世界だなんて悪夢ですね。それにしても、よくこんなストーリーを思いつくものだと感心したのでした。

    あらすじ:
    ジャックは、妻と楽しみにしていた陽子ビーム加速器の見学会に行く予定でした。しかし、直前に上司から呼び出され、妻が共産主義者であると嫌疑をかけられ、会社をクビになります。情報の出所は、同僚で会社の保安係のマクフィーフ。彼は罪滅ぼしに、二人を見学会に車で送ってゆき、自身も見学することに。しかし、そこに居合わせた他の見学者とあわせた8人が、陽子ビームの放射事故に巻き込まれてしまいます。そして、ジャックが病院で目覚めたとき、そこは彼の知っている世界とは何かが違っているのでした……。

    注意:猫好きな人へ。一部残酷なシーンあり。

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    2024年06月12日
  • 麻薬密売人

    購入済み

    勘違い

    季節は秋から恐ろしいほどの寒さの冬に移行した。季節の描写がいつも印象的。夏と冬はドスっと重たいボールを下腹で受け止めた気分になった。キャレラが、あのキャレラが、まさかの結果になるやもで、読者をハラハラさせる。

    #エモい #アツい #泣ける

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    2023年02月28日
  • 麻薬密売人

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    マクベイン『87分署シリーズ』の5作目。ある一人の麻薬常習者の少年の死から凶悪な犯罪の全貌を暴き出す、私にとってはこれまでのシリーズ5作品の中で、『通り魔』に続いて好きな作品となりました。


    本作の醍醐味の一つに、『他殺を知らせる為の自殺偽装』というものがあります。
    縊死自殺に見せかけられた少年の死因は、ヘロインの過剰摂取によるものでした。
    縊死に見せかけようとしなければ事故死とも捉えられたであろうに、なぜ犯人はわざわざ自殺に見せかけようとしたのか。
    自殺を偽装することで、かえって他殺を疑われることに気づいていながら、なぜ手間のかかることを実行したのか。

    ここに潜む悪意に満ちた野望の正体とは、ある1人の刑事を巻き込んだ大いなる目的によるものだったのです。


    今回はクリングの出番は控えめにして、スティーブ・キャレラの行動力が光ります。また、これまで深く掘り下げられることのなかったバーンズ警部をとりまく環境が、物語の本筋に大きく影響を与えているのです。


    後半~ラストにかけて、じりじりと主犯に近づく87分署の刑事たち。物語の緊張感がマックスになる頃描き出される、バーンズ警部とキャレラの信頼感には、見ている読者も彼らに勇気づけられることでしょう。


    余談ですが…シリーズ四作目『ハートの刺青』にあった、キャレラの大失策の話が本作に当たります。
    12/22(金)にキャレラに起きた出来事が、今作の重大な鍵となるのです。

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    2011年10月20日
  • 宇宙の眼

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    陽子ビームの事故により、別の世界に行ってしまった人たちの話。
    別の世界ではなく、他の人たちの意識化の世界で、困難に立ち向かう。
    最初からテンポよく面白かった。

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    2023年01月06日
  • 宇宙の眼

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    ディックの出世作となる初期長編。
    目に見えている現実が崩れていくような、ホラーじみた感覚から読者を引きずり込んでいく作風はこの時点ですでに強烈だ。主人公が目的を達するために戦いを挑む、全体としてはつかみやすいストーリー展開。ワクワクのピークはタイトル回収のところまで、中盤以降はイメージを奔放にぶちまけたような描写が続き、やりたい放題感に少し笑ってしまった。
    読んでいて思い出した映画は『インセプション』。ラストの不安感は様式美?

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    2021年02月08日
  • 宇宙の眼

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    陽子ビーム偏向装置が暴発し、ガイドや見学に来ていた8人が事故に巻き込まれる。意識を失い、気付いたら世界が何だかおかしい。それは8人のうちの誰かの精神世界に入り込んでしまったためだった。現実に戻るために色々な世界を彷徨うことになる。8人が協力したり敵対したり、人間関係の変化が面白い。ディックお得意の畳み掛ける様な世界変化が楽しめる。

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    2019年10月18日
  • 麻薬密売人

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    ネタバレ

    87分署シリーズ第三作。第一作で新婚旅行に出発したスティーヴ・キャレラがもどり、前作で殺人事件の犯人を逮捕したバート・クリングが刑事に昇進している。

    麻薬の密売人と思われる男が死んでいるのが発見される。殺されたあと自殺に偽装されたとして、殺人事件として捜査が始まる。麻薬用の注射器には本人のものではない指紋が発見される。そして、87分署のピーター・バーンズ捜査就任に電話がかかる。ピーター・バーンズの息子のラリイ・バーンズが麻薬中毒者で殺人現場に残された注射器の指紋がラリイのものであるというものだった。

    捜査主任としての立場と父親としての立場の間で板ばさみに会うピーターだが、息子の事件への関与を明らかにすることはできなかった。これとは別に犯人を割り出そうと捜査するスティーヴ・キャレラは真犯により銃撃を受ける。ピーター・バーンズは息子の事件への関与を明かせなかったのを悔やみ、キャレラの状態に責任を感じる。病院でキャレラの妻テディに会ったピーター・バーンズはキャレラが無事だと知る。

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    2016年03月28日
  • 宇宙の眼

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    意外にも良心的な結末にちょっとビックリ(…ハッピーエンドですよね?)。
    先日読んだ「発狂した宇宙」と並び多元宇宙の金字塔と評される本書です。どちらも現実と異なる世界に迷い込み、四苦八苦するという点では同じですが、「発狂した宇宙」における多元宇宙が無限にある宇宙のひとつだとすると、こちらは極端な考え方をする誰かの意識(しかも複数)に迷い込みます。また、「発狂した宇宙」で訪れる宇宙がSFオタクの空想ものだとすると、こちらは現実の主義主張の地続きの異世界が舞台。だから甲乙つくわけではありませんが、楽観的に読み進められた発狂した宇宙に対し、不安と疑心がつきまとう本書でした。

    読み終わって改めて思うことは、ディックの作品ってやっかいだなぁということ。大雑把に物語を掴むことはできるのですが、細かなところで「なんでこんな展開?」と思うことが多くて、腑に落ちない。表面の物語に隠れたメッセージの存在を察知するのですが、どうも要領を得ない。まぁ単に読解力がないと言われればそこまでですが、やっかいだなぁと思うことしばしば。短編は解りやすいんですけどね。とはいえ、こんな悶々とすることも含めて、ディックの作品に漂う魅力は間違いなくて、だから周期的に彼の作品を読みたくなるんですねぇ。

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    2015年08月31日
  • 宇宙の眼

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    ネタバレ

    おもしろい、、!!!!!!おもしろすぎる。ディック作品にしては読みやすく、破綻もない。
    読みやすいし、なんだんかだハッピーエンドの類で読後感もいい。
    だからこそ、後期作品が好きなわたしには物足りない。

    スラスラ読めるし、整合性が合わないところもないし、説明もちゃんとされている。初めてSF、あるいはディック作品を読む人にはおすすめかも。
    なんだろうな…面白いけど再読はしない。

    ディック作品においての日常の不確かさや、不安感みたいなものはこの作品が出発点だそう。

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    2025年12月17日
  • 宇宙の眼

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    ディックの小説の中でも好きな作品になった。
    時に難解な(というか破綻している(そしてそれが魅力だったりする))他作品とは一線を画し、物語は分かりやすく、SFとしての魅力も十二分な世界観である。
    事故にあった人々の理想世界に転移していくのだが、それぞれが思う理想郷がいかに他者にとってのディストピアとなるのか、そこに宗教や共産主義、はたまた人種差別などの要素をシニカルに描くあたりがディックらしい。
    最後は後日譚の様相であるが、果たして現実に戻ったのか。よほど大きな事故にあったであろう当事者たちが元の元気な姿になるとは思えない。やはりこの世界は誰かの夢の中?

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    2020年08月20日
  • 麻薬密売人

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    87分署シリーズ☆いきなり読んだのでシリーズの繋がりはまだよくわからない(笑)かなり古い小説ではあるけど読みやすくて面白いんじゃないかな(^O^)
    捜査内容も詳しく書かれてたりして興味深い。

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    2013年02月23日