作品一覧

  • グローバル資本主義の中の渋沢栄一―合本キャピタリズムとモラル

    グローバル資本主義の中の渋沢栄一―合本キャピタリズムとモラル

    ビジネス・実用

    -
    1巻2,970円 (税込)
    リーマンショック以降、市場原理に信頼を置く「英米型資本主義」に対する信頼が大きく揺らいでいる。21世紀のグローバルな時代に必要な「新しい資本主義」の概念が求められている。それには、500の企業、600の社会貢献事業に関与し、近代の日本の産業の父と称された渋沢栄一が示した「合本(がっぽん)主義」にヒントを求めることができる。合本主義とは、公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方である。道徳と経済の一致や、適度の競争を重視するなど、社会との調和を保ちながらの経済思想であり、その思想が世界的にも注目され始めている。本書は日英米仏の著名な経営学者・歴史家が集結し、合本主義について論じた研究成果である。著者は、パトリック・フリデンソン(フランス社会科学高等研究院名誉教授)、ジャネット・ハンター(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)、ジェフリー・ジョーンズ(ハーバード・ビジネススクール教授)、橘川武郎、田中一弘(ともに一橋大学教授)、島田昌和(文京学院大学教授)、宮本又郎(大阪大学名誉教授)、木村昌人(渋沢栄一記念財団研究部部長)。 【主な内容】 第1章 渋沢栄一による合本主義 島田昌和 第2章 道徳経済合一説 田中一弘 第3章 官民の関係と境界 パトリック・フリデンソン 第4章 「見える手」による資本主義 宮本又郎 第5章 公正な手段で富を得る ジャネット・ハンター 第6章 グローバル社会における渋沢栄一の商業道徳観 木村昌人 第7章 世界的視野における合本主義 ジェフリー・ジョーンズ 第8章 資本主義観の再構築と渋沢栄一の合本主義 橘川武郎
  • 異次元エネルギーショック 2050年への日本生き残り戦略

    異次元エネルギーショック 2050年への日本生き残り戦略

    ビジネス・実用

    3.0
    1巻2,640円 (税込)
    橘川武郎、高村ゆかり、瀬川浩司、平沼光、田辺新一、杉本康太、黒﨑美穂――。 第一人者が集結し、政策を大胆に見直す。 気候変動問題への対応、コロナ禍からの復興、地政学的なエネルギー安全保障への対応、そして、脱炭素経営の必要性など、様々な要素が複雑に絡み合い、我々はこれまでにない異次元のエネルギー危機に直面しています。国産エネルギーの積極活用、再生可能エネルギー政策の注目点、エネルギー高騰時代のクリーンエネルギー技術、住宅・建築分野での徹底した省エネ、投資家・金融家視点でのエネルギー政策など、各分野の第一人者が大胆な改革を提示します。
  • エネルギー・トランジション 2050年カーボンニュートラル実現への道

    エネルギー・トランジション

    ビジネス・実用

    3.5
    1巻2,600円 (税込)
    7刷を数えた、同著者の『エネルギー・シフト:再生可能エネルギー主力電源化への道』の刊行後、エネルギーをめぐる世界と日本の情勢は大きく変化した。ウクライナ侵攻に伴う世界的エネルギー危機、気候変動による環境・生活への影響拡大、そして日本では菅首相(当時)の「2050年カーボンニュートラル宣言」、温室効果ガス削減目標46%への引き上げに加え、GX(グリーントランスフォーメーション)関連法案が次々と成立し、施行されている。そして我が国のエネルギー政策は大きく変化し、目指すべき大きな目標も「再生可能エネルギー主力電源化」から「カーボンニュートラル」へ深化するに至った。 カーボンニュートラルが今、全地球的な喫緊の課題であることは論を俟たない。しかし、数字合わせの面も見え隠れする現在の政府の施策をそのまま進めることで、日本が2050年にカーボンニュートラルを本当に実現できるのかについては、大いに疑わしいと著者は言う。 本書は、将来の絵姿を先に描いた上でそれをどのように実現していくか、シナリオ作成・明確化をしていくバックキャスト手法によって、日本のカーボンニュートラル達成の着実な道筋を描き出す。具体的には、カーボンニュートラルとエネルギー危機との関係について掘り下げたうえで、「2050年カーボンニュートラル宣言」(2020年)と「第6次エネルギー基本計画」(2021年閣議決定)の内容を検討した後、分野ごとに具体的なエネルギーのあり方を展望すると同時に、需要サイドからのアプローチとして、省エネルギーと地域の役割にも目を向ける。 国のエネルギー基本計画を決める重要審議会に一貫して参加してきた著者の、豊かな知見に裏打ちされ、率直で現実的な本書の主張は、2050年に日本がカーボンニュートラルを真に実現するための道を示すものである。

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  • エネルギー・シフト 再生可能エネルギー主力電源化への道

    エネルギー・シフト

    ビジネス・実用

    3.8
    1巻2,500円 (税込)
    新型コロナ禍の影響でエネルギー需要全体が大きく減退した中で、再生可能エネルギー需要は堅調に推移した。すなわちCO2排出の少ないエネルギーへのシフト、集中型から分散型供給へのシフトという大きな流れ、つまり「エネルギーシフト」といえる動きが改めて明確になった。この勢いは、パンデミックを克服した後の世界で一層強まることになろう。 加速するエネルギーシフトの動きに取り残された感が強かった日本政府も、2018年に閣議決定した「第5次エネルギー基本計画」で、2050年までに「再生可能エネルギーの主力電力化」をめざす新しい方針を打ち出し、さらに2021年4月の気候変動サミットで温室効果ガス排出の大幅削減を打ち出した。 本書は、このような状況の下、再エネ主力電源化を本気で実現するために何をすべきかについて、正面から論じる。リアルな議論を展開するため、再エネ発電だけでなく、原子力発電・火力発電・水素利用などの動向も視野に入れた、包括的な検討を行う。さらに、再エネ主力電源化への道自体については、(1)既存の枠組みを維持したままのアプローチと、(2)「ゲームチェンジ」を起こす新たな枠組みを創出するアプローチの双方を採り入れる必要があるとして、この課題に果敢にかつ冷静に取り組む。 議論の過程では石炭火力発電「悪者」論や原子力政策の近視眼的なありようも批判しており、エネルギー問題に関する俗論などについて第一人者の見解がコンパクトにまとめられている。 また本書はこのところ、刻々と大きな展開を見せる最新のエネルギー政策・事情についても過去の増刷時にフォローしてきており、現在配信中のものは2022年3月までをカバーする。 政府機関や自治体の担当者、電力・ガスなどエネルギー産業関係者、またエネルギー事業への参入を狙う方たちにとって必読の書。
  • 日本の企業家1 渋沢栄一 日本近代の扉を開いた財界リーダー

    日本の企業家

    小説・文芸

    -
    1~13巻1,999~2,200円 (税込)
    歴史に学び、戦略を知り、人間を洞察する――PHP研究所創設70周年記念出版シリーズ「日本の企業家」1巻目の第一部[詳伝]では、まず渋沢栄一の比類なき企業家活動の歴史を豊富な史料をもとに眺望する。そして第二部[論考]では、合本主義や道徳経済合一説などに視点を向ける。さらにドラッカーなど多くの学者や経営者に称えられる「公益」追求の先駆者としての姿勢、財界リーダーとしての役割等、その今日的意義を経済史・経営史研究の重鎮が問い直す。さらに第三部[人間像に迫る]では、栄一の曾孫・渋沢雅英氏へのインタビューを収録。同時代を生きた実業家たちの「栄一」評も紹介、人間・渋沢栄一の実像に迫る。渋沢家の維持・発展に心を砕きつつも、日本社会の繁栄を願い、後継の人々の育成・指導に傾注したその「行き方」は、われわれ現代を生きる日本人に遺された「宝」である。“時代の先駆者たちの躍動に真摯に向き合う”シリーズ、ここに刊行!
  • 図解即戦力 化学業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

    図解即戦力 化学業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    「化学業界」は,製造・エネルギー・農業・医療などの幅広い分野を取り扱う業界ですが,あまりにも規模が巨大であるがゆえに全体像をとらえるためには多大な労力が必要となります。そのような化学業界を,本書では簡潔かつ網羅的に解説しています。就職・転職活動や化学系企業との取引にあたって役立つ情報が満載の1冊です。また,化学系企業のSDGsへの取り組みについても紹介しているので,環境・労働問題に関心のある方にもオススメです。
  • エネルギー新時代におけるベストミックスのあり方

    エネルギー新時代におけるベストミックスのあり方

    ビジネス・実用

    -
    1巻1,694円 (税込)
    日本は原子力への依存度の段階的縮小を前提として、資源・エネルギーの新たなベストミックスの調和点を探るという大きな課題を抱えている。本書は、その課題解決策として、新たなベストミックスについての具体的な提言を行う。

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  • 東京電力 失敗の本質 「解体と再生」のシナリオ

    東京電力 失敗の本質

    ビジネス・実用

    3.5
    1巻1,584円 (税込)
    発送配電分離 アンバンドリング は真の解決ではない!東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は、放射性物質の流出、周辺住民の避難、史上初の計画停電などを引き起こし、いまなお収束の兆しは見えません。長年にわたり日本の電力業界を研究してきた橘川教授は、事故の直接の原因は天災であるとしても、その影響が甚大なものになった背景には、電力業界のさまざまな構造的な問題があると指摘します。本書は、福島原発事故がこれほど大きな負の影響をもたらした原因は何かを探り、このような事故を繰り返さないためには、電力業界とエネルギー政策にどのような改革が必要なのか・発送配電分離は真の解決策ではない! 日本の電力業界・エネルギー政策を研究してきた経営史研究家であり、新しい「エネルギー基本計画」を策定する総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会の委員を務める橘川武郎一橋大学教授が徹底分析。
  • ゼロからわかる日本経営史

    ゼロからわかる日本経営史

    ビジネス・実用

    -
    1巻1,045円 (税込)
    経営史というと、渋澤栄一、松下幸之助といった人物のエピソードを中心としたものか、紡績業、鉄鋼業、電機、自動車といった産業の盛衰から解説するものに分かれますが、本書のように、日本経済の興亡とリンクしてストーリーとして解説するものはありません。 本書は、経済成長のあり方の変化に焦点を合わせて、日本の経営のあゆみを振り返ってゆきます。筆者は、エネルギー産業を中心とした研究で多くの業績を残し、21世紀のエネルギー問題についても積極的に提言を行っています。
  • 「週刊ダイヤモンド」で読む日本の経営100年

    「週刊ダイヤモンド」で読む日本の経営100年

    ビジネス・実用

    -
    1巻660円 (税込)
    大正2年(1913年)の創刊から100年余、日本経済の大転換を見届けてきた「週刊ダイヤモンド」。そこに大きな役割を果たした企業と経営者の足跡は、この雑誌にしかと刻まれている。日本経済激動の歴史を経営の視点から読み解く。電子オリジナル作品。
  • 日本に根ざす閥の研究

    日本に根ざす閥の研究

    ビジネス・実用

    -
    1巻330円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ●「私的な集団」が権力を握る意味 派閥解消で政治が改まるという幻想 待鳥聡史×河野有理 ●父・ハマコーの後を継いで31年 親子二代、無派閥の理由 浜田靖一 ●三田会、医学部の抗争、開成高校…… 学閥の現在と功罪 田中幾太郎 ●グローバル競争下でも新たな役割 日本経済の発展に貢献した財閥・企業集団 橘川武郎 ●長州閥を築いた元勲と現代の世襲政治家 一坂太郎 ●政略結婚、養子縁組、乗っ取り…… 戦国大名と「はかりごと」としての閨閥 小和田哲男

ユーザーレビュー

  • エネルギー・シフト 再生可能エネルギー主力電源化への道

    Posted by ブクログ

    160ページ程度なのに濃い内容である。

    ①再生可能エネルギーの主力電源化と諸課題について
    ②原子力発電においては、リプレースや使用済み核燃料問題に、政治家や官僚には2〜3年の目先の視野しかなく戦略も司令塔も不在という状況
    ③高効率な日本の火力発電技術の海外での運用
    ④水素やアンモニアの可能性など

    これらを諸問題と解決策を示しながらの提言ではあるが、エネルギーシフトには問題山積とも言えるだろう。

    0
    2023年03月31日
  • 図解即戦力 化学業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

    Posted by ブクログ

    化学業界に今まで携わったことがない身としては、化学業界そのものや、ビジネスモデル、主要企業、業界がかかえる課題など知っておきたい情報が体系的に学べてよかった。
    初心者の入門書としては非常にわかりやすくまとまっていた。

    0
    2022年11月06日
  • エネルギー・トランジション 2050年カーボンニュートラル実現への道

    Posted by ブクログ

    日本が直面しているエネルギーの現状をきちんと理解したい——そんな思いから、大学の先生に薦められた本書を手に取りました。

    結論から言うと、読んで正解でした。特に第六次エネルギー基本計画の問題点や「脱炭素」という言葉の背景を、電源ごとのポテンシャルを踏まえて整理できたのが大きな収穫です。

    印象に残ったポイントは以下の通りです:
    ・カーボンフリー火力発電に注目が集まる中、アンモニアの混焼・専焼は日本独自の挑戦であること。
    ・洋上風力発電のポテンシャルは非常に高いこと。
    (ただし、2025年8月の三菱商事の撤退により、情勢は大きく変わりつつある。)
    ・デンマークのCHP(熱電併給)では火力発電所を中心に街づくりが進められており、同様の取り組みには都市計画の段階からの構想が不可欠であること。

    専門的なテーマを扱いながらも、難解な説明は避けられており、エネルギー政策に関心がある人なら一読の価値があると感じました。特に「日本のエネルギーの未来をどう考えるべきか」に興味のある人におすすめしたい一冊です。

    0
    2025年09月27日
  • エネルギー・シフト 再生可能エネルギー主力電源化への道

    Posted by ブクログ

    日本の経営とエネルギー産業の専門家により、日本のエネルギー政策の問題点と提言をまとめたもの。世界中で脱炭素に向けて取り組む中、日本政府としての取り組みにはちぐはぐなところがあり、その問題点を論理的に述べている。わかりやすい。

    「現在人類が直面する最大の危機は、今もって、貧困と飢餓である」p4
    「SDGsの目標17項目:①貧困をなくそう、②飢餓をゼロに、③すべての人に健康と福祉を、④質の高い教育をみんなに、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑥安全な水とトイレを世界中に、⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに、⑧働きがいも経済成長も、⑨産業と技術革新の基盤をつくろう、⑩人や国の不平等をなくそう、⑪住み続けられるまちづくりを、⑫つくる責任つかう責任、⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮陸の豊かさを守ろう、⑯平和と公正をすべての人に、⑰パートナーシップで目標を達成しよう」p5
    「SDGsは、⑬の「気候変動に具体的な対策を」に重きをおいて理解され、地球温暖化対策が中心的な内容だと思われがちである。しかし、①は「貧困をなくそう」であり、②は「飢餓をゼロに」である。⑬達成のためには化石燃料の使用抑制が求められ、①②実現のためには化石燃料の使用拡大が不可避である。SDGsもまた、二律背反に陥っているのである」p6
    「わが国における太陽光発電コストが割高であることについては、その一因として、FIT制度の逆機能をあげるべきであろう。当初の買取価格が高く設定されたために、コストダウンへのインセンティブが後退したのである。国民負担の軽減という観点からだけでなく、太陽光発電コストの低減という観点からも、FIT制度の根本的な見直しは、必要不可欠である」p36
    「日本国内の電源立地に関して、自民党の国会議員の多くは、原子力から太陽光・風力にいたるまで、基本的には賛成する。ところが、地熱発電の立地についてだけは、それに反対する。温泉業者関係の票が逃げることをおそれるからである。自民党の国会議員が反対する電源の開発は難しい」p41
    「あくまでFITは最初の弾みをつけるエンジン役。最終的には市場ベースで勝負できる電源にならないとサステナブル(持続可能)な形で入っていかない。将来にわたり使い続けるんだったら、国民負担がなければ普及しない電源なんて、長持ちしない」p49
    「再生可能エネルギー発電が市場ベースで普及している地域(北欧、米国、オーストラリア、中国)の特徴は、送電網が充実しているか、あるいは送電網を必要としない仕組みが導入されているかにある」p50
    「再生可能エネルギーが高コストであるというイメージがなかなか払拭できない最大の要因は、既存の枠組みが、再生可能エネルギー発電を蓄電池ないしバックアップ火力発電で調整するという、「電気を電気で調整する」方式に固執しているからである」p54
    「(太陽光発電の余剰電力を揚水式のダム式水力発電で調整するための壁)①ダム式水力発電と再生可能エネルギー発電とをつなぐ送電線を所有しているのは当該地域の旧一般電気事業者であり、その委託料が高い、②公営電気事業者の大半は当該地域の旧一般電気事業者への長期電力提供契約を結んでおり、それ以外の再生可能エネルギー電源と連系する自由がない、という2点である」p54
    「次の選挙、次のポストを最重要視する政治家・官僚の視界は、3年先にしか及ばない。しかし、原子力政策を含むエネルギー政策を的確に打ち出すためには、少なくとも30年先を見通す眼力が求められる。このギャップは埋めがたいものがあり、そのため、日本の原子力政策をめぐっては、戦略も司令塔も存在しないという不幸な状況が現出するにいたったのである」p67
    「福島第一原発事故後の9年は、原子力政策の面で政府があてにならないことを明らかにした。原子力事業の継続を望むのであれば、電力会社は、責任を持ち切る覚悟を固めなければならないだろう」p74
    「原子力に関しても「実用段階にある脱炭素化の選択肢」として高い位置づけを与えた。しかし、政府が原子力発電のリプレースを回避している以上、原発が長期的に「脱炭素化の選択肢」であり続けることは不可能である。その意味で、原子力の未来は暗い」p85
    「(原子力政策)問題の先送りに終始する政治家や官僚には何も期待できない。リプレースの決断を含め、原子力問題を解決するカギは、民間電力会社が握っているのである」p87
    「わが国の高効率石炭火力発電技術の移転による海外でのCO2排出量削減が、決定的に重要な意味をもつことになる」p92
    「世界の発電の主流を占めるのはあくまで石炭火力なのであり、電源構成比の点で石炭火力(38.5%)は、天然ガス火力(23.0%)、水力(15.9%)、原子力(10.3%)、その他(9.0%)をはるかに上回る。石炭火力のウエートを国別にみると、日本が33.2%、米国が31.0%であるのに対して、中国は67.9%、インドは74.0%に達する」p93
    「石炭に関しては、供給源が原油のように特定地域に集中しておらず世界各地で産出されるうえ、2016年度には日本企業によって開発・生産された「石炭の自主開発比率」が61%に達している事実を見落としてはならない。つまり、石炭は、石油や天然ガスにはない経済面やエネルギーセキュリティー(安定供給)での優位性を有しているのである」p96
    「日本の石炭火力の熱効率は世界最高水準にあり、その技術を国際移転すればすぐにでもCO2排出量を大幅に削減することができるのである」p97
    「CCUSとは、CO2を回収して貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と、回収したCO2を利用するCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)とを合わせた用語である」p110
    「燃料電池関連技術の国別特許出願数の点で世界トップを占めるのはわが国であり、第2位以下を大きく引き離している。水素タンクの製造に関しても、日本メーカーの競争力は高い。水素利用分野は、地熱発電分野などとともに、わが国企業が競争優位を確保しているのである」p119
    「水素とCO2から都市ガスの主成分であるメタンガスを作り出すメタネーション(水素の有力な代替利用策)」p137
    「既存の枠組みを維持したままのアプローチとしては、とくに送電線問題を解決して系統制約を解消することが重要である。原子力発電所の廃炉によって「余剰」となる送変電設備の徹底的な活用、電力会社の経営姿勢の変化等がもたらす送電線投資の活性化、スマートコミュニティの拡大や水素利活用などが進展すれば、送電線問題の解決は可能である」p155

    0
    2023年05月03日
  • 東京電力 失敗の本質 「解体と再生」のシナリオ

    Posted by ブクログ

    必読書、といっても過言ではない。

    橘川さんといえば、エネルギーについてはもちろんですが
    「電力会社」の研究においては他の追随をゆるさないくらい
    かなり詳しく研究されている方。

    経営史の編纂を行うほど
    電力業界の現状をよく知る学者の一人。

    かといって、御用学者ではなく、非常に客観的に業界を研究している。

    東電の震災後の一連の対応と
    その問題点の「本質」がどこにあるのかを丁寧に解説してある

    ・原子力発電の問題の本質
    ・電力会社の構造の本質
    ・アンバンドリングを含めた今後のありかたの提唱

    まとめれば
    「電力会社のマネジメント力の貧弱さと、現場力の素晴らしさの招く歪み」
    であろうか。
    指摘はどれもそのとおりと思う。

    どれも、橘川さんだからこそできる、ニュートラルな内容。
    電力事業というものを理解する上で、これ以上は無い。
    深すぎず、浅すぎず。

    電力会社寄りのしょうもない議論でもなく
    再生可能エネルギーに寄り過ぎた近視眼的議論でもなく。
    かなりホンネの部分での理解ができると思います。

    正直、この業界にいる人間には必ず読んで欲しいと思う。
    一般の人にも読んで欲しい。

    0
    2011年12月30日

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