橘川武郎のレビュー一覧
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日本が直面しているエネルギーの現状をきちんと理解したい——そんな思いから、大学の先生に薦められた本書を手に取りました。
結論から言うと、読んで正解でした。特に第六次エネルギー基本計画の問題点や「脱炭素」という言葉の背景を、電源ごとのポテンシャルを踏まえて整理できたのが大きな収穫です。
印象に残ったポイントは以下の通りです:
・カーボンフリー火力発電に注目が集まる中、アンモニアの混焼・専焼は日本独自の挑戦であること。
・洋上風力発電のポテンシャルは非常に高いこと。
(ただし、2025年8月の三菱商事の撤退により、情勢は大きく変わりつつある。)
・デンマークのCHP(熱電併給)では火力発電所を -
Posted by ブクログ
日本の経営とエネルギー産業の専門家により、日本のエネルギー政策の問題点と提言をまとめたもの。世界中で脱炭素に向けて取り組む中、日本政府としての取り組みにはちぐはぐなところがあり、その問題点を論理的に述べている。わかりやすい。
「現在人類が直面する最大の危機は、今もって、貧困と飢餓である」p4
「SDGsの目標17項目:①貧困をなくそう、②飢餓をゼロに、③すべての人に健康と福祉を、④質の高い教育をみんなに、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑥安全な水とトイレを世界中に、⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに、⑧働きがいも経済成長も、⑨産業と技術革新の基盤をつくろう、⑩人や国の不平等をなくそう、⑪住 -
Posted by ブクログ
必読書、といっても過言ではない。
橘川さんといえば、エネルギーについてはもちろんですが
「電力会社」の研究においては他の追随をゆるさないくらい
かなり詳しく研究されている方。
経営史の編纂を行うほど
電力業界の現状をよく知る学者の一人。
かといって、御用学者ではなく、非常に客観的に業界を研究している。
東電の震災後の一連の対応と
その問題点の「本質」がどこにあるのかを丁寧に解説してある
・原子力発電の問題の本質
・電力会社の構造の本質
・アンバンドリングを含めた今後のありかたの提唱
まとめれば
「電力会社のマネジメント力の貧弱さと、現場力の素晴らしさの招く歪み」
であろうか。
指摘 -
Posted by ブクログ
1次エネルギー自給率 日本11% 欧州の半分以下 ロシアによる天然ガス危機
2050年CO2排出ゼロ 再エネ100%ではコスト2倍以上に
①超々臨界圧石炭火力発電の新規稼働
②原子力発電の運転期間延長 次世代革新炉の建設(リプレース)
③アンモニア火力発電:火力発電設備活用
④メタネーション(メタン=CO2+水素):ガス導管活用
再エネ
太陽光:伸び低下 海上風力:ドイツに比べ台風や遠浅なく不利で少ない
東京都 建築物ゼロエミ化 住宅太陽光発電義務化
・ペロブスカイト太陽電池 材料=ヨウ素 世界2位 国内製 廃棄問題少
・海底直流高圧送電線 北海道から東京へ再エネ電力
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Posted by ブクログ
第5次エネルギー基本計画を軸に、現在のエネルギー政策を概観しつつ、筆者の主張を展開。
再エネの課題に対する踏み込みが浅い分、原発、石炭火力への積年の思いが垣間見える。
石炭火力海外移転等は既に時代の大きな変化を感じるが、現在地点を知る上で有用。
◯第5次エネルギー基本計画2030年「原子力20-22%、再エネ22-24%、LNG火力27%、石炭火力26%、石油火力3%」
を
「原子力15%、再エネ30%、LNG火力33%、石炭火力19%、石油火力3%」
にすべき
・再生可能エネルギー主力電源化に向けた論点
①発電コストの削減
②系統制約の解消
③設備廃棄への対応
④将来的な再投資の確保
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