石炭から石油を作る人造石油という技法、日本統治時代に発見できなかった満州の石油など、当時を象徴するかのような事実に触れて胸熱。
この本には明確に書かれないが、シェールガスとシェールオイルの生産本格化により、世界1位の原油生産国となったなったアメリカが中東に関心を寄せなくなり、カタールは輸出先を求め
...続きを読むて安価でLNGガスを欧州へ輸出。そうなるとロシアがLNGの売り先を探して日本にすり寄る、というのが最近までの出来事。中国にもシェールガスが大量に埋蔵されていて、アメリカの技術が欲しい。アメリカや中東から化石燃料依存の状態を脱却したい欧州はカーボンニュートラル路線へ。勿論、LNGや原子力もクリーンエネルギーに含めた。日本はこの動きに乗じて、本当は原子力化を再開したい所。
これらは極めてザックリとした構図で整理ができるような気がするが、原子力も齧り、シェールガスもメタンハイドレードも半端な感じがする中国。欧州や日本より10年遅らせ、2060年にカーボンニュートラルを設定した意図がどこにあるのかが不明瞭であった。本著で解説してくれる蓄電池に必要なコバルト、風力発電タービンに必要なジスプロシウム、これらネオジム磁石に用いられるネオジムなどのレアアースがヒントかと思った。世界のレアアースの9割は中国に依存されていた。どの国もカードを持ち、戦略的に切り始めている。
日本は大丈夫か。
そうした中で確かにサーキュラーエコノミーを、脱石油と同方向の脱プラスチックに限らず、希土類の回収という観点で強化していくのは重要な戦略になるかも知れない。