あらすじ
発送配電分離 アンバンドリング は真の解決ではない!東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は、放射性物質の流出、周辺住民の避難、史上初の計画停電などを引き起こし、いまなお収束の兆しは見えません。長年にわたり日本の電力業界を研究してきた橘川教授は、事故の直接の原因は天災であるとしても、その影響が甚大なものになった背景には、電力業界のさまざまな構造的な問題があると指摘します。本書は、福島原発事故がこれほど大きな負の影響をもたらした原因は何かを探り、このような事故を繰り返さないためには、電力業界とエネルギー政策にどのような改革が必要なのか・発送配電分離は真の解決策ではない! 日本の電力業界・エネルギー政策を研究してきた経営史研究家であり、新しい「エネルギー基本計画」を策定する総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会の委員を務める橘川武郎一橋大学教授が徹底分析。
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Posted by ブクログ
必読書、といっても過言ではない。
橘川さんといえば、エネルギーについてはもちろんですが
「電力会社」の研究においては他の追随をゆるさないくらい
かなり詳しく研究されている方。
経営史の編纂を行うほど
電力業界の現状をよく知る学者の一人。
かといって、御用学者ではなく、非常に客観的に業界を研究している。
東電の震災後の一連の対応と
その問題点の「本質」がどこにあるのかを丁寧に解説してある
・原子力発電の問題の本質
・電力会社の構造の本質
・アンバンドリングを含めた今後のありかたの提唱
まとめれば
「電力会社のマネジメント力の貧弱さと、現場力の素晴らしさの招く歪み」
であろうか。
指摘はどれもそのとおりと思う。
どれも、橘川さんだからこそできる、ニュートラルな内容。
電力事業というものを理解する上で、これ以上は無い。
深すぎず、浅すぎず。
電力会社寄りのしょうもない議論でもなく
再生可能エネルギーに寄り過ぎた近視眼的議論でもなく。
かなりホンネの部分での理解ができると思います。
正直、この業界にいる人間には必ず読んで欲しいと思う。
一般の人にも読んで欲しい。
Posted by ブクログ
題名がやや衝撃的ですが、内容は東電に限らず日本の電力業界に関する考察です。歴史的、実証的な内容でフェアな内容で、読みやすい内容でした。新聞などで取上げられている事象がより理解しやすくなりました。
Posted by ブクログ
「『想定外』とは、『想定を間違えていた』という意味であることを忘れてはならない」という言葉に非常に感銘を受けた。全くその通りである。その割には、意外と電力会社をフォローする立場であったことが残念。
ただし、米倉誠一郎との対談は面白かった。対談でここまで正反対の意見を言うことって久しぶりに見たという気がする。著者の現実論もエネルギー業界にいる者としてよくわかるが、米倉氏の発言のほうが、文系発言であるものの、世間的には、的を得ているように感じた。