あらすじ
7刷を数えた、同著者の『エネルギー・シフト:再生可能エネルギー主力電源化への道』の刊行後、エネルギーをめぐる世界と日本の情勢は大きく変化した。ウクライナ侵攻に伴う世界的エネルギー危機、気候変動による環境・生活への影響拡大、そして日本では菅首相(当時)の「2050年カーボンニュートラル宣言」、温室効果ガス削減目標46%への引き上げに加え、GX(グリーントランスフォーメーション)関連法案が次々と成立し、施行されている。そして我が国のエネルギー政策は大きく変化し、目指すべき大きな目標も「再生可能エネルギー主力電源化」から「カーボンニュートラル」へ深化するに至った。
カーボンニュートラルが今、全地球的な喫緊の課題であることは論を俟たない。しかし、数字合わせの面も見え隠れする現在の政府の施策をそのまま進めることで、日本が2050年にカーボンニュートラルを本当に実現できるのかについては、大いに疑わしいと著者は言う。
本書は、将来の絵姿を先に描いた上でそれをどのように実現していくか、シナリオ作成・明確化をしていくバックキャスト手法によって、日本のカーボンニュートラル達成の着実な道筋を描き出す。具体的には、カーボンニュートラルとエネルギー危機との関係について掘り下げたうえで、「2050年カーボンニュートラル宣言」(2020年)と「第6次エネルギー基本計画」(2021年閣議決定)の内容を検討した後、分野ごとに具体的なエネルギーのあり方を展望すると同時に、需要サイドからのアプローチとして、省エネルギーと地域の役割にも目を向ける。
国のエネルギー基本計画を決める重要審議会に一貫して参加してきた著者の、豊かな知見に裏打ちされ、率直で現実的な本書の主張は、2050年に日本がカーボンニュートラルを真に実現するための道を示すものである。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本が直面しているエネルギーの現状をきちんと理解したい——そんな思いから、大学の先生に薦められた本書を手に取りました。
結論から言うと、読んで正解でした。特に第六次エネルギー基本計画の問題点や「脱炭素」という言葉の背景を、電源ごとのポテンシャルを踏まえて整理できたのが大きな収穫です。
印象に残ったポイントは以下の通りです:
・カーボンフリー火力発電に注目が集まる中、アンモニアの混焼・専焼は日本独自の挑戦であること。
・洋上風力発電のポテンシャルは非常に高いこと。
(ただし、2025年8月の三菱商事の撤退により、情勢は大きく変わりつつある。)
・デンマークのCHP(熱電併給)では火力発電所を中心に街づくりが進められており、同様の取り組みには都市計画の段階からの構想が不可欠であること。
専門的なテーマを扱いながらも、難解な説明は避けられており、エネルギー政策に関心がある人なら一読の価値があると感じました。特に「日本のエネルギーの未来をどう考えるべきか」に興味のある人におすすめしたい一冊です。