作品一覧

  • 真夏のバディ
    3.7
    1巻528円 (税込)
    夏休み。実家の牧場の仕事を手伝う塊太は、一人旅を続けながらまっすぐに生きる直次郎と出会った。人前でうまく自分を表現できない塊太は、内心では牧場を疎んじている。徐々に友情を深める高校生二人は、軽トラックで岩手県を駆け巡る。塊太は意外な特技を見出され、一世一代の挑戦を決心する――。互いに補完し合い、成長していく“バディ”の旅路を鮮やかに描き出す傑作青春ロードノベル。
  • 隠された牙 森林保護官 樋口孝也の事件簿
    4.5
    1巻660円 (税込)
    北海道森林事務局日高支所に勤務する二人の森林保護官。元自衛官で愛想はないが頼れる男・山崎とその部下・樋口孝也。二人は森林事務所に日々持ち込まれる事件と対峙する。林道計画の撤回を求め運動を続ける孤独な男、頻発するエゾシカと車の接触事故、サラブレットの怪死事件……。大自然のほとりに生きる人びとの姿を活写する、ネイチャー・アクション・ノヴェルの誕生。
  • 深川めおとそば
    -
    1巻693円 (税込)
    おみなと幼馴染みの力也は、米沢上杉家の命で江戸深川に蕎麦屋を開く。地元産の原方蕎麦粉で作る挽きぐるみは、香り高くコシがあって旨い。だが、喉越しのいい更科を好む江戸っ子に背かれ、三月経っても客がこない。そんなある日、少女に無銭飲食されて……。故郷の蕎麦粉を広めるため、究極の蕎麦とつゆを目指し研鑽を積む若者たち。深川の多彩な人々の知恵と温かさに支えられながら、様々な出来事を経て成長する夫婦の姿を描く、書き下ろし人情時代小説。目指すは江戸一番の蕎麦!
  • 光る牙
    3.7
    1巻704円 (税込)
    厳冬の北海道、消息を絶ったカメラマン捜索のため、若き森林保護官はスキーを履き、険しい山中へ向かう。カメラマンは無残な遺体で発見され、手負いの羆は銃殺され事件は一件落着したかに見えた。しかし、噛み跡はその羆のものより遙かに巨大だった。最強の野生動物「羆」との壮絶な死闘を描く、元自衛隊の、期待の大型新人による傑作山岳小説。
  • 焔火
    3.9
    1巻1,562円 (税込)
    昭和初期の東北の寒村で貧しい狸とりの息子として、侘しい暮らしを送る男。肺病の家系にあり、村八分にされている。そんな彼の心の慰めは、おミツという村の女だった。盗人の家に生まれ、差別さて続けたおミツと男は惹かれあう。しかし、あるとき村長の息子たちに捕らえられ、おミツは殺され、男は村長の息子等を殺して、命からがら生まれた村を離れる。自然の中でつかの間の幸せを味わう男に迫る追っ手の魔の手。彼の運命はいかに
  • 清十郎の目
    -
    1巻1,870円 (税込)
    山形のとある地方都市で、一介の労働者として生きていく上で最低限の生活を営んでいた青年・清十郎。成長するにつれ、成金や差別など不平等な社会に疑問を抱くようになり、ある日突然、持ち場を脱走してしまう。逃亡後の生活で、革命思想を持つ仏僧・剛寿や、寒村から身売りされた娼婦・桔梗との出会いに感化された清十郎は、日々困窮していく民を救うため、世直しを唱える剛寿のもと、町の支配勢力に立ち向かうことを決意するが――。

ユーザーレビュー

  • 光る牙

    Posted by ブクログ

    〇恐怖の山登り、表紙が読者に襲いかかる
    道庁森林事務所日高支所に所属する孝也は、大先輩の山崎と共にいつも活動している。行方不明者でカメラマンの渡辺やエゾシカがずたずたに「喰われている」のを見てヒグマ(羆)による食害事件だと気づいた二人は、他の面々と捜索を開始し羆を仕留めるも、カメラマンを食ったのは別のもっと大きい個体ではないかと疑いを持つ。そして後日山で羆に遭遇したという道議から、それを裏付ける証言を得るが…

    次々と見つかる死体や襲われる人々。大きさしかわからない、得体のしれない相手に立ち向かおうとする恐怖感はビシバシと伝わってくる。自分たちは生きて帰れるだろうか。いくら山を知っているとは言

    0
    2017年06月18日
  • 隠された牙 森林保護官 樋口孝也の事件簿

    Posted by ブクログ

    吉村龍一『隠された牙 森林保護官 樋口孝也の事件簿』講談社文庫。

    吉村龍一の初の連作短編集。『オロマップ』を改題、一部加筆、文庫化。あの傑作『光る牙』の森林保護官・樋口孝也を主人公にした6編を収録。北海道日高の大自然を肌で感じられる傑作冒険小説。いずれの短編もスルメの如き味わいがある。

    『砕けた爪』。もしや『光る牙』の羆の悪夢再びかと思うような展開で始まる物語。羆の出没の恐れのある樋口の担当区域にキャンプを張り、居座る自然愛好家の徳永と原田の二人…

    『溢れる森』。エゾシカが事件の主役となる。かつて絶滅が危惧されたエゾシカだったが、近年は個体数の増加により害獣扱いされる。自然環境を維持し、

    0
    2017年05月17日
  • 焔火

    Posted by ブクログ

    とにかく描写が素晴らしい
    見事に五感を使って読んだ
    というか鉄の人生を体感したよう。
    あまりといえばあまりにも壮絶な展開
    鉄も含め、登場人物のほとんどが
    ここまで貶められるのか
    もう勘弁してやって~!と
    懇願するように読んだ。

    子供や病人、身体の不自由な人間に対して
    すさまじい差別がある一方
    あや子のように目が見えなくても
    「瞽女様」(本著で初めて知った)
    とあがめられる風習があったり
    この時代の日本のありように
    圧倒されるばかり。

    ラストのラストまでとにかく
    気の抜けない体力を使う物語だったけど
    ずっしりと読みごたえがあった。

    0
    2015年06月20日
  • 真夏のバディ

    Posted by ブクログ

    『旅のおわりは』に次いで描かれた書き下ろし青春小説。青春時代の苦悩と成長の過程が、200ページあまりの中に凝縮された、爽やかな作品であった。

    驚いた事に主な舞台は岩手県である。主人公の塊太の実家の牧場の所在地は旧山形村であろう。作品の中には、盛岡駅のさわや書店と思われる書店が登場したり、実際の北上市のアメリカンワールド、みちのくラーメン、東日本大震災の被災地の宮古市、田瀬湖、奥州市、一関市などが描かれる。きっと、岩手県民や岩手県に所縁のある方々が読めば、臨場感が増すに違いない。

    夏休みに牧場の息子の塊太は一人旅を続ける直次郎と出会う。ある事件をきっかけに人前で自分を表現出来なくなった塊太と

    0
    2015年05月21日
  • 光る牙

    Posted by ブクログ

    単行本で読んでいたが、文庫化されたので再読。再読しても、なお面白い。北海道の大自然を舞台にした傑作冒険小説。

    森林保護官の山崎と樋口は冬山で、夕食カメラマンの渡辺の惨殺死体を発見する。渡辺を殺害したのは、日本最大の猛獣、羆であった。

    僅か230ページあまりの作品であるが、内容はかなり濃厚で、北海道の厳しい大自然、息詰まる羆との死闘が迫力を持って描かれる。数ある羆小説の中でも上位に入る傑作。

    解説は、角田光代。

    0
    2015年03月14日

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