琴葉かいらの作品一覧
「琴葉かいら」の「風を待つ渡り鳥」「忘れたはずの、あの夏に」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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文句無しの名作
久しぶりにE.ロールズ作品が出たと思ったが、原作は2017出版のよう。
主人公はハント(ハンターカム侯爵)とエマ(伯爵の娘、未亡人)で二人とも最初の伴侶を病気で亡くしているが、それぞれに事情があって紆余曲折を経て再婚をすることになります。
二人がそれぞれ置かれている状況から、互いに好意を持っていながらも再婚話が一進一退したり、濃いか偶然かわからないが危険が迫ってきたりする中で、互いの存在がもう一方にとっての救いとなっていく様子がとても上手く描かれていて、心配になりながらも読んでいてホッとさせられます。
最後の家族の情景は幸せな空気に満ちていて、そこに描かれるハントの気持ち(?)の文章は、作家ロールズの考えの一端でもあるのだろうと思います。
読んだタイミングがズレていたので『伯爵の無垢な乙女』の関連作とは気づかずにいましたが、原作は1年違いの出版のようです。
うっかり本当に心が温まり落涙。
読み出した当初、ヒロインがどんな容貌なんだろうかと想像した。
きっとチャーミングな目と細身のスタイルの持ち主なのかなぁと。
特別な美人にありがちの自信、傲慢さが見られないから、周囲の絶賛は一体どこから?と。
そして丁寧な文章。
日本ならちょい前までは結構普通の主従関係も、現代のアメリカが舞台となると手順が多いのね、とも思った。ベッドの主従は別にしても、そのに至るまでの合意の積み重ねはアメリカならでは、だろうと思う。
阿吽の呼吸のこちとらとは、やはり違うなぁ。
そしてこういうことを表現する言語力が素晴らしい。原文もそうだろうけれど、ここは翻訳者の腕によるところが大きいのではないか?
内容に関しては、勇気を出して幸福だった過去を捨てて前に進むヒロインに対して自分の幸せをなかなか信じ切れないパートナー役の追い詰められていく心理が物語の核となっていて、人生の陰陽が見事に描き出されてた。
軽い気持ちで読んでいたのに、真夜中に目が覚めて読んだ部分が本当に胸を温めてくれて、大きな幸福感に浸ってしまえたし、その後の展開も「良かったね」の涙。まさかの落涙。
意外性に富んだかなり優秀な作品だった。