あらすじ
銀の匙をくわえて生まれたのに、私は社交界からこぼれ落ちた……。
親の反対を押し切って駆け落ち同然に結婚したエマは、社交界に身を置けなくなり、実家の援助も受けられずに暮らしてきた。4年前に夫を亡くし、今、エマの生活は困窮を極めていた。子供を学校にやるのはおろか、新しい靴を買ってやることさえできない。そんなある日、エマはダンディな侯爵ハントと出逢い、高潔で知的で優しい彼にまたたく間に惹かれていった。やがて、跡継ぎが必要な彼から結婚を提案され、エマは胸を高鳴らせた。ところが、折しも母からハントの“最新の愛人”と揶揄されたうえ、自分の父親が誰なのか本当は不明だと知ったエマは、ハントに告げた。「私、あなたと結婚はできません」彼の名を汚すわけにいかないから……。
■Amazonの読者レビューで高い評価を受ける本作は、社交界からこぼれ落ちて社会の片隅に生きるヒロインの物語。ダンディな年上侯爵ヒーローは、彼女の灰色の地味な服を見て、社交界に出入りしていないと悟りつつも、自分の求める妻にふさわしいと確信し……。
感情タグBEST3
文句無しの名作
久しぶりにE.ロールズ作品が出たと思ったが、原作は2017出版のよう。
主人公はハント(ハンターカム侯爵)とエマ(伯爵の娘、未亡人)で二人とも最初の伴侶を病気で亡くしているが、それぞれに事情があって紆余曲折を経て再婚をすることになります。
二人がそれぞれ置かれている状況から、互いに好意を持っていながらも再婚話が一進一退したり、濃いか偶然かわからないが危険が迫ってきたりする中で、互いの存在がもう一方にとっての救いとなっていく様子がとても上手く描かれていて、心配になりながらも読んでいてホッとさせられます。
最後の家族の情景は幸せな空気に満ちていて、そこに描かれるハントの気持ち(?)の文章は、作家ロールズの考えの一端でもあるのだろうと思います。
読んだタイミングがズレていたので『伯爵の無垢な乙女』の関連作とは気づかずにいましたが、原作は1年違いの出版のようです。