高田宏の作品一覧
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Posted by ブクログ
物欲の煩悩を刺激してくるタイトル。
目次を見れば、次のような魅力的なラインナップ。
・時計 ・鞄
・眼鏡 ・机
・杖 ・寝床
・自転車 ・電灯
・カメラ ・鍵
・万年筆 ・背広
・煙草 ・刃物
・帽子 ・ストーブ
・履きもの ・食器
・傘 ・石
これらのモノへの愛情を、さぞや熱く語っているんだろうなと思ったら、まったく違っていた。
本書のタイトルは「物と心の履歴書」だった。これらのモノと出会い、使っているうちに、やがて心を支配していく何かがあった。それを綴ったエッセイが本書だったのだ。
所有から、自由へ。
モノを所有することにより、心の自由に制約を受ける。それを著者は窮屈に感じたようだ。モノに対し、人は愛着心のような感情を抱くことがある。モノと自分とに特別な繋がりがある、と感じてしまうことがある。「自分のもの」となったモノとの繋がりは、時として、人と人との繋がりや、人と世間の繋がり以上に大切なものに思えてしまうことはないだろうか。
私もいろいろなモノ好きである。だから、本書にあるようなことは漠然としたものではあるものの、常に頭の片隅にあった。時には後悔や反省を感じることもあることだ。所有欲を満たし、しかも使うたびに愛着を感じるなら幸せだろう。でも、もし所有することだけが目的になってしまったら。いつまでたってもあれもこれもとコレクションすることだけにしか頭が行かなくなってしまったなら。その心境はどんな状態になっているのだろう。傍から見ればかっこ悪い。心の自由を奪われているのではないかと疑ってしまう。
Posted by ブクログ
屋久島の縄文杉や、白山のブナ林を訪ね歩きながら、ひとと自然とのかかわりについての著者の考えが語られている本です。
ひとと自然とのかかわり方にも文化的な蓄積があり、それを離れて生の自然に触れるということはできません。このように述べると、日本の古典文学におけるひとと自然とのかかわりのことが考えられますが、本書では主として近代以降のひとと自然とのかかわり方のなかに文化的な厚みを見ようとする試みがなされているように感じました。
そうした試みは、古典文学とは異なり、いまだわれわれの共有財産と呼べるほどの十分な蓄積があるわけではないのですが、なんといってもそれらは現代を生きるわれわれのすぐ足元を支えている文化であり、そのうちにいまだわれわれ自身も気づいていない豊饒な可能性を見いだそうとする著者の試みの重要性は否定できないのではないでしょうか。