文春文庫作品一覧

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  • 小さいおうち
    4.2
    昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏やかな家庭生活、そこに秘められた奥様の切ない恋。そして物語は意外な形で現代へと継がれ……。最終章で浮かび上がるタキの秘密の想いに胸を熱くせずにおれない、上質の恋愛小説。第143回直木賞受賞作。山田洋次監督で映画化。
  • 小さな異邦人
    3.7
    誘拐、交換殺人、タイムリミット・サスペンス、そして妖しき恋愛。 著者のエッセンスが満載された最後の短篇集 高校二年生から三歳児まで、八人の子供と母親からなる家族の元へかかってきた一本の脅迫電話。 「子供の命は俺が預かっている。三千万円を用意しろ」。 だが、家の中には子供全員が揃っていた。 果たして誘拐された子供とは誰なのか? 連城ミステリーのエッセンスが満載された、最後のオリジナル短編集。 解説・香山二三郎 【目次】 「指飾り」 「無人駅」 「蘭が枯れるまで」 「冬薔薇」 「風の誤算」 「白雨」 「さい涯てまで」 「小さな異邦人」
  • ちいさな城下町
    3.8
    実は驚くべき歴史通だった! 水丸さんの旅エッセイ 城址に立つと「兵どもが夢のあと」とでもいうのか、ふしぎなロマンに包まれる。なまじっか復元された天守閣などない方がいい――十万石以下の一番それらしい雰囲気を残す城下町を、地図を手に歩き、歴史に思いを馳せ、名物に舌鼓をうつ。城と歴史をこよなく愛した水丸さんの、味わい深い紀行エッセイ。 歴史的事件や人物の逸話、四コマ漫画も読んで楽しい。 解説・松平定信 【目次】 村上市(新潟県) 行田市(埼玉県) 朝倉市(福岡県) 飯田市(長野県) 土浦市(茨城県) 壬生町(栃木県) 米子市(鳥取県) 安中市(群馬県) 岸和田市(大阪府) 中津市(大分県) 掛川市(静岡県) 天童市(山形県) 新宮市(和歌山県) 西尾市(愛知県) 大洲市(愛媛県) 亀山市(三重県) 木更津市(千葉県) 高梁市(岡山県) 沼田市(群馬県) 三春町・二本松市(福島県)
  • 小さな場所
    3.7
    まだ小さな世界しか知らないぼくに、大人たちはこの広い世界の秘密や真実を教えてくれた 台北の猥雑な街、紋身街。狡猾で強欲なだらしない大人たちに囲まれて、少年は世界の広さを知る。切なく心に沁み入る傑作連作短編集。 本書を編集しながら何度も笑いました。気づけば、泣いていました。この物語に出合うために自分は大人になったのかもしれない。ここは温かくて、時に残酷な、生きることへの問いと答えが詰まっています。どうか、現代を生きる子供たちへ、かつて子供だった大人たちへ。この物語が届きますように。――文庫担当編集者 ※この電子書籍は2019年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • チェ・ゲバラ伝 増補版
    3.6
    1冊でたどる「チェ・ゲバラ」の生涯 南米アルゼンチンの裕福な家に生まれ、医師になるも、貧困と圧政と腐敗の覆う現実を憂い、キューバ革命へと身を投じたチェ・ゲバラ。彼はどのように行生き、どのように死んだのか。いまなお全世界で語られる伝説の男、ゲバラを描いた不朽の傑作評伝、増補版。
  • チエちゃんと私
    3.8
    イタリア雑貨の買い付けをしながら一人暮らしをしていた私の家に、七歳下の従妹チエちゃんがやって来た。率直で嘘のないチエちゃんとの少し変わった同居生活は、ずっと続くかに思われたが…。家族、仕事、恋、お金、欲望。現代を生きる人々にとって大切なテーマがちりばめられた、人生のほんとうの輝きを知るための静謐な物語。
  • 地下旅(チカタビ)!
    3.1
    鉄道好きとして名高い著者が、今回取り上げたのは「地下鉄」! 張り巡らされた地下鉄路線を使って、東京中の名所を余すところなくまわってきました。上野の国際子ども図書館、護国寺の鳩山会館、大手町の逓信総合博物館、白山の小石川植物園など、訪れたスポットは50以上。なかには東京生まれ、東京育ちの著者をして、初めて行ったと言わしめる隠れ名所も……。駅近辺の美味しいもの情報も満載です。片手に携えて地下鉄に乗りたくなる、新・東京ガイドをお楽しみください。
  • 地下の鳩
    3.4
    暗い目をしたキャバレーの客引きと、夜の街に流れついた素人臭いチーママ。情けなくも愛おしい二人の姿を描いた平成版「夫婦善哉」。 大阪最大の繁華街、ミナミのキャバレーで働く「吉田」は、素人臭さの残るスナックのチーママ「みさを」に出会い、惹かれていく(「地下の鳩」)。 オカマバーを営む「ミミィ」はミナミの人々に慕われている。そのミミィがある夜、客に殴り掛かる(「タイムカプセル」)。 賑やかな大阪を描いて人気の著者が、街の「夜の顔」に挑んだ異色作。 ※この電子書籍は2014年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ちがうもん
    3.0
    自分の気持ちがうまく言えない。もどかしい、くやしい。そんなことが、こどものとき、ありませんでしたか? これは、あなたの物語です。 1960年代、まだダサかった日本。関西の田舎町。3歳の少女はなぜ「特急こだま」の玩具を買ってもらったのか。4歳の少女はオバサンが何をしているのを見たのか。6歳の少女は夏休みにどんな初体験をしたのか……。こどもだったからこそ鮮明に焼きついた記憶。大人のためのリアルな童話とも言うべき短編集。
  • 地上の星
    6/5入荷
    -
    葉室麟、絶賛! 「島原の乱」開戦前夜 天草を守った武将・麟泉。民に愛された姫・お京。異国との架け橋になった少女・おせん。かなしみの秘史に、はじめて光を当てる! ※この電子書籍は2016年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版
    4.0
    「うつ」でも大丈夫だよ。 ――どんなに「できること」を失っても、必ずまた一緒にやっていける。 研究者として最盛期を迎えていた30代の半ばに、重度の「うつ」で言葉の読み書きができなくなっていた著者は、いかにして知性を取り戻し、しかし大学を去ると決めたのか。能力主義の限界を超える、新しい社会の見取り図はどこにあるのか。平成の「反知性主義」を検証し、疫病の令和で孤立する人を励ます真摯な一冊。解説・東畑開人●文庫大増補版●
  • 地層捜査
    3.6
    1995年に東京・荒木町で起きた老女殺人。確たる手がかりもなく、未解決のままだったこの事件が、2010年の公訴時効撤廃を受けて再捜査の対象となる。捜査一課の水戸部と、以前この事件を担当していた地域指導員加納は、当時の捜査本部が着目した土地トラブルを追いながら、かつては芸妓、後に置屋の女将として生きた老女とこの街の記憶に目を向けていく。そう、事件の「地層」を掘り起こすのだ??。『廃墟に乞う』で直木賞を受賞した警察小説の名手が放つ待望の新シリーズ、いよいよ開幕!
  • 父・金正日と私 金正男独占告白
    3.6
    故・金正日(キムジョンイル)総書記の正男(キムジョムナム)の肉声を世界で初めてスクープした新聞記者による衝撃の記録! 2001年に初めてその存在が報じられて以来、たびたびあらわれては、その言動やファッションがディープなインパクトを残してきた金正男。“自由人”として面白ライフを満喫する北朝鮮のプリンスに隠れファンが急増した。しかしここ数年は姿を現さず、異母弟の正恩(ジョンウン)が後継者となってからは動静がめったに表には出てこない。 2004年9月25日、北京国際空港の1階ロビーで日朝協議に出席する北朝鮮代表の到着を待っていた著者は、金正男と思われる男性と遭遇し、声をかけます。後日、正男は著者をはじめ、そのとき渡された記者へメールを送信。このときから著者と正男の、あわせて150通にもおよぶメールの交換が始まった。その内容や、2回の面会など、正男の肉声が克明に記される。 「三代世襲には反対」「父上には国家元首という点を離れて、厳しいながらも情が多かった記憶しかありません」「異腹の弟正恩の成長過程は知りません」などと率直に語る正男。ホテルのエレベーターでは日本語で「お先にどうぞ」と先を譲るなど、本書を読めば知的で冷静、ユーモアのセンスにあふれた彼の実像をあまさず伝えるのみならず、正男を温存する中国の意図を著者は鋭く洞察する。 日朝関係を考える上で外すことのできない一冊。
  • 父とガムと彼女
    -
    小学4年生のある日まで、忙しい母にかわって学校の送り迎えをし、自分の世話をしてくれた初子さん。脚本を書きあぐねていた父と、家計をささえていた母。母が実家に行ったきりになったときは、父と初子さんと私で数か月暮らしたこともあった。そしてある日を境にふいに消えてしまった。父が亡くなり、通夜ぶるまいの席で再会した初子さんは……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 乳と卵
    3.6
    2008年の第138回芥川賞受賞作! 娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。巻子は豊胸手術を受けることに取りつかれている。緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。夏の三日間に展開される哀切なドラマは、身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。日本文学の風景を一夜にして変えてしまった傑作。
  • 父の声
    4.2
    地元を離れ、東京で暮らす娘ののぞみが婚約者の本間を連れて帰省した。 父親の順治は、二人を明るく迎えたが、娘のある変化に不審を抱く。 心配になった順治は、娘を追って上京することに。 どうやらのぞみは、男に騙されて覚醒剤に手を染めているらしい。 娘を救うため順治はある行動に出るのだが……。 感動のミステリー長編。
  • 父の詫び状
    4.3
    宴会帰りの父に叩き起こされて夢うつつに土産を食べる福助頭の弟、母に威張り散らす父の声、転校した初日に教室に向かう気持ち、来客の多かった我が家の忙しい正月、温かいおひつの上で泣き泣きやった学校の宿題、おやつに食べた懐かしい“ボールとウエハス”、銀座に出かける日のおめかし、途中までは大成功だった初アルバイト、黒い服ばかり着るので黒ちゃんといわれた若い日々……昭和の「懐かしい家庭」を卓越した記憶で鮮烈にユーモラスに描く、向田邦子の第一エッセイ集。
  • 父を撃った12の銃弾 上
    3.0
    アメリカ最高のミステリーに与えられる エドガー賞最優秀長編賞最終候補。 わたしの父の身体には、 たくさんの銃弾が刻んだ傷跡がある―― 全米の書評を絶賛の声で埋めつくした、少女と銃と父と、いまは亡き母の物語。 12歳の少女ルーは、父とともに亡き母の故郷に移り住んだ。それまでは父とふたり、各地を転々としながら暮らしてきたが、娘に真っ当な暮らしをさせようと、父サミュエルは漁師として働くことを決めたのだ。しかし母方の祖母は父娘に会おうとしない。母はなぜ死んだのか。自分が生まれる前、両親はどんなふうに生きてきたのか。父の身体に刻まれた弾傷はどうしてできたのか。真相は彼女が考える以上に重く、その因縁が父娘に忍び寄りつつあった……。 ティーンとしていじめや恋愛を経験して成長してゆくルーの物語と、サミュエルを撃った弾丸にまつわる過去の断章を交互に語り、緊迫のクライム・サスペンスと雄大なロード・ノヴェル、鮮烈な青春小説と美しい自然の物語を完璧に融合させ、みずみずしい感動を呼ぶ傑作ミステリー。 どんな小説が好みなのかを問わず、心に響くものがここには必ずある。(ニューズウィーク) 恋愛小説でありミステリーでもある、感動的な物語の饗宴。(ピープル) ※この電子書籍は2021年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 血と炎の京 私本・応仁の乱
    4.0
    行間から血の匂いが立ち上ってくるかのような迫力。 応仁の乱を描いた小説中の最高峰だ。――田中芳樹 応仁の乱――それは地獄の戦さだった。 かつて栄華を誇った都は燃え落ち、縦横に走る塹壕に切り刻まれ、泥と屍に覆いつくされた。 連なる屋敷は高い土壁に守られて砦と化して、中枢は地下の壕内に設けられた。 日が沈めば夜襲が行なわれ、矢が飛び交い、兵どもは無造作に殺されてゆく。 そこにあったのはあたかも近代戦争のごとき総力戦、終わりの見えぬ中で人間がひたすら消費されてゆく戦だった。 行軍中に東軍・細川勝元が拾った瀕死の男。 額に「犬」の文字の刻まれた男は、西軍の山名宗全に虐殺された集落の生き残りだった。 男は宗全への憎悪を胸に、地獄の戦場に血路を切り開く。 しかし敵方には中国渡りの最新兵器たる投石器を駆使する軍師がおり、苦戦を強いられる。 一方、この大戦さの中にあって、これを収拾しようという姿勢もみせぬ将軍・足利義政の妻・日野富子は、 渇いた心の救いを希い、戦火のなかを蓮如に面会すべく動き出そうとしていた。 京を灰燼に帰した応仁の乱とはいかなる戦争であったのか。 その血みどろの風景を壮絶に描きつくす書き下ろし歴史伝奇小説。
  • 知の教室 教養は最強の武器である
    4.1
    社会で生き抜くために最も有効な武器である「教養」とは何か。特捜事件での逮捕・勾留・裁判を経験し、いま言論界で大活躍する著者が、この武器を読者と共有したいという思いで、これまでに発表した論考、座談会、外交官時代の論文などを厳選して一冊にまとめた。著者の実践的思考法のすべてがわかる10のインテリジェンス講座。
  • 地の果ての獄(上)
    2.0
    1~2巻495円 (税込)
    明治十九年秋、薩摩出身の有馬四郎助が看守として赴任した北海道月形の樺戸集治監。石狩川のほとりにあるこの監獄は、十二年以上の受刑者ばかりを集めた、まさに悪党どもが年貢を納めるにふさわしい地の果ての牢獄だった。正義感あふれる青年看守がそこで見た奇怪な事件と、牢屋小僧、五寸釘の寅吉といった受刑者たちの数奇な過去の数々。使い捨ての労働力として受刑者を使役し、道路建設や炭鉱開発にあたった薩長閥政府の功罪を抉り、北海道開拓の裏面史を描いた歴史長篇。
  • チャックより愛をこめて
    4.7
    Instagramで話題のNY留学の写真も多数収録した トットちゃんの初エッセイ集が新装版に! 仕事を休んで、友達に別れを告げて、そうして旅立ったNYで出会ったのは、 魅力的な人たちと、未来を考える時間だった――。 絵本を読むのが上手なお母さんになりたかったけれど、思いがけず「女優」という職業に就いた。テレビに舞台にと働きづめの15年が過ぎて、「演劇の勉強がしたい」と仕事を休んでまで決意したNY留学。長い休暇も海外生活も一人暮らしも、何もかもが初めての経験で……。 喜怒哀楽と出会いに満ちた1年を生き生きと描いた著者の初エッセイが新装版に。平成版あとがきやInstagramで話題となった当時の写真も収録。
  • チャップリン暗殺指令
    4.0
    5・15事件当日、来日中のチャップリンはなぜ命を狙われたのか? 「超高速!参勤交代」で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した著者による傑作歴史サスペンス 1932(昭和七)年、青年将校たちが中心となり、犬養首相暗殺などクーデターを計画していた。 陸軍士官候補生の青年、津島新吉は、帝国ホテルに滞在しているチャップリンの殺害を命じられるが――。 世界の喜劇王はなぜ命を狙われたのか? 5・15事件の裏で起きていたもう一つの重大事件とは。 傑作歴史サスペンス。 ※この電子書籍は2017年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 茶の湯の冒険 「日日是好日」から広がるしあわせ
    4.7
    樹木さんはじめ茶道経験の全くない人達で、お茶の映画を作る!? 作家・森下典子が映画作りのプロ集団の現場に飛びこんだ!その愛おしくも激闘の日々を綴った「日日是好日」大人気シリーズの集大成。 ※この電子書籍は2021年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 中陰の花
    3.7
    自ら予言した日に幽界へ旅立ったウメさんは、探し物を教えてくれる“おがみや”だった。臨済宗の僧侶である則道はその死をきっかけに、この世とあの世の中間=中陰(ちゅういん)の世界を受け入れ、みずからの夫婦関係をも改めて見つめ直していく──現役僧侶でもある著者が、生と死を独特の視点から描いて選考委員全員の支持を集めた、第125回芥川賞受賞の表題作。人口2万人の小さな町で、人目をしのんでひっそりと働き、暮らす女の日々を描く「朝顔の音」を併録。
  • 中国 詩心を旅する
    -
    李白、杜甫、王維、杜牧、陶淵明、白楽天、文天祥……細川元首相が幼少の頃から親しんできた漢詩・漢文の名言名句を手がかりに、それらの縁の地を訪ねた。杜甫の「国破れて山河あり」の舞台となった長安では、唐の詩人たちが活躍した往時の都を偲び、陶淵明の「帰りなん いざ」に導かれ、名勝と謳われた廬山へ。蘇東坡が「人生夢の如し」と謳った古戦場・赤壁では、『三国志』の時代に思いを馳せる――。詩人に限らず、達磨や玄奘といった僧侶や、王羲之や八大山人のような書家や画家も細川氏が「詩心」を感じた人々として登場。中国全土を巡り、四十八話をつづった細川護熙流「中国歴史紀行集」。旅愁を誘う撮り下ろし写真や、筆者自ら旅の印象を描いた絵画や書もふんだんに収録。
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史
    4.5
    若手日本史学者が軽やかなタッチでものした、まったく新しいライヴ感あふれる日本通史が登場! 高校生レベルの知識だけを前提にしながらも、次々と日本史の常識がくつがえされ、「真説」が提示されます。全体を貫くキーワードは「西洋化」でも「近代化」でもなく、「中国化」と「再江戸時代化」。教科書の常識とアカデミズムの行儀よさを突き抜け、いまの社会にも役に立つ「日本史」を再構築する著者の才気が本書には横溢しています。これぞ、右も左も驚愕の「本当に新しい歴史教科書」なのです。宇野常寛氏との特別対談も収録。
  • 中国てなもんや商社
    4.1
    アフター5はお稽古事に食べ歩き。そんな甘い考えで入社したのは、日中貿易が中心の大阪商社。ところが中国から到着する製品は「首の入らないTシャツ」「子どもサイズの大人服」「雨が降っても開かない傘」。納期が遅れると「工場が竜巻で崩壊」とファクスが届き、現地では宴会の乾杯で潰されそうに……。華僑の上司にしごかれ、中国出張で格闘しつつ見えてきた日中ビジネスの深い闇と希望の日々を赤裸々に描く著者のデビュー作。映画化原作の、元気が出る爆笑ノンフィクション。
  • 中国で考えた2050年の日本と中国 北京烈日 決定版
    -
    日本は、この巨大な隣国といかなる向き合い方をすべきか。 習近平独裁体制が確立され、政治的にも経済的にも膨張を続ける中国。巨大商社のトップから、中国大使へと転じた著者が、これからの日中関係を真率に論じる。中国バブルは弾けるのか? 習近平が掲げる「中華民族の夢」とは? 日本企業は中国へ進出しても大丈夫なのか? そして、少子高齢化の進む日本の生きる道とは。 刊行時、大きな話題となった『北京烈日』にオリジナルの最終章を加えた決定版。
  • 中国秘伝 よく効く「食べ合わせ」の極意
    -
    中国には、代々伝わる「食べ合わせ」の極意があった! 清朝宮廷で伝統医学を指導していた祖母に学んだ著者が明かす、秘伝の「食べ合わせ術」。不眠には「人参+豚肉」、肩こりには「ホタテ貝柱+ナス」、腰痛には「栗+米」。家庭だけではなく、居酒屋でもコンビニでもファミレスでも実践できる、「食べて元気になる!」技術が満載。食べ合わせ一覧表付きです。
  • 駐車場のねこ
    4.0
    1巻800円 (税込)
    「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。 幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。 つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。 職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。 駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。 おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。 解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」 何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。 文庫化にあたり、改題しました。
  • 「中年」突入! ときめき90s
    3.5
    エリートという記号を見ている限り、女の恋心は決して冷めない。学歴、美貌、はたまた裸? バブル弾けた日本の男女にドラマティックはあるのか――。90年代を人妻として眺めるマリコの筆は、さらに鋭く冴えわたる! 雅子さまを迎える皇室の激動、松田聖子の離婚再婚、名作「最初で最後の出産記」収録のエッセイ傑作選第2弾!
  • 注文の多い料理小説集
    3.9
    小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだ とびきり美味しいアンソロジー。 うまいものは、本気で作ってあるものだよ―― 最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンにロシア風ピクルス…… おやつに金平糖はいかがですか? 物語の扉をそっと開ければ、今まで味わった事のない世界が広がります。 「エルゴと不倫鮨」柚木麻子 「夏も近づく」伊吹有喜 「好好軒の犬」井上荒野 「色にいでにけり」坂井希久子 「味のわからない男」中村航 「福神漬」深緑野分 「どっしりふわふわ」柴田よしき 【本書登場の逸品たち】 塩むすびと冷たい緑茶 ハルピンのイチゴ水 全粒粉のカンパーニュに具を挟んだサンドイッチ きときとの富山の海の幸・ゲンゲ汁 生クリームと栗の甘煮のパンとアイスコーヒー 食堂のカレーライスと福神漬 星屑のような白い金平糖
  • 中国古典の言行録
    3.8
    中国の歴史と文化に造詣の深い作家が、論語、詩経、孟子、老子、易経、韓非子などから人生の指針となる名言名句を選び抜き、平明な文章で詳細な解説をほどこした教養と実用の書。
  • ちょいな人々
    3.4
    1巻590円 (税込)
    「カジュアル・フライデー」に翻弄され、慣れないファッションの冒険に乗り出した課長の悲喜劇を描いた表題作、大真面目で奇矯な発明が世の中を混乱させるおもちゃ会社の顛末「犬猫語完全翻訳機」と「正直メール」、熱狂的阪神ファンが彼女の実家に結婚の挨拶に行くと、彼女の父は熱烈なる巨人ファンだった…「くたばれ、タイガース」など、ブームに翻弄される愛すべき人々を描くユーモア短篇集。あなたの溜まったストレスに効く1冊!
  • 蝶

    4.4
    三島由紀夫、中井英夫、澁澤龍彦らの系譜を継ぐ“美の幻視者”皆川博子の一頂点を示す珠玉の短篇集! 男がインパール戦線から帰還すると、妻は情夫と同棲していた。二人を銃で撃ち下獄した男は、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に特攻帰りの下男とともに暮らす。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて……。戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が綴る、詩句から触発された8つの短篇。 「空の色さへ」はポオル・フォル、「蝶」は別所真紀子、今井豊、音羽和俊、「艀」「龍騎兵は近づけり」は横瀬夜雨、「想い出すなよ」はロオド・ダンセイニ、「妙に清らの」はハインリッヒ・ハイネ、「幻燈」は薄田泣菫、「遺し文」は伊良子清白の詩歌が引かれている。 解説・齋藤愼爾
  • 長安牡丹花異聞
    5.0
    太平の世を謳歌する中国・唐代の都長安。利発な少年黄良は、病母が所望する桃を買うため、夜光の牡丹をつくりだす。折しも牡丹の花競べが大変盛んに行われていて、名花奇花は大金で売れるのだ。そこに異国の身なりをした偉丈夫と西域の美貌の舞姫の思惑がからみあい、仲間となった3人は一攫千金を図るが、狡猾な宦官が花と舞姫をつけ狙い……第3回松本清張賞を受賞した表題作の他、妖美と機知と冒険満載の、雄大華麗な中国奇想小説を5篇収録。
  • 超こだわりの店乱れ食い
    -
    最強にユーザ本位の、東京&全国・美味しい店ガイド! 「隠れ名店であり」「場所がよくない」「家族的で小さく」「長く営業している」「主人が強いポリシーを持ち」「勿論こだわりの一品が秀逸に旨い」……こんなキビシイ条件の店を紹介する「ビッグコミックオリジナル」誌人気連載コラムをもとに、のべ2000軒から厳選した旨い店101軒。安くて旨く、来て良かったと思える個性的な店ばかりを紹介する、物語のあるグルメガイド。単行本では無かった店の電話番号つき!
  • 長城のかげ
    4.0
    劉邦にかげのように寄り添った男女たち 怠け者で口八丁の男が天下の覇者に――漢の始祖・劉邦の勃興から崩御後までを、敵、臣下、息子、学者など同時代人の目で描く連作集。 ※この電子書籍は1999年4月に文藝春秋より刊行された文庫の新装版を底本としています。
  • 鳥葬の山
    4.1
    1巻519円 (税込)
    土日返上で働きづくめの夏木は、思い切って二週間の休暇をひねりだし、チベットに出かけた。ラサの町で、ハゲワシに人間の死体を処理させる鳥葬を見て圧倒されたが、帰国後、夜毎の夢に現れる奇怪な光景の謎は? 表題作ほか、読むほどに怖くなる「頭の中の湿った土」に「閑古鳥(かっこう)」、爽やかな驚きがあなたを襲う「羊の宇宙」、超能力の持ち主同士の見えない闘いを描く「超高層ハンティング」など、夢枕ワールドを満喫できる、大満足の短篇集!
  • 長宗我部(ちょうそがべ)
    3.6
    四国統一を成し遂げ天下を夢見るも、関ヶ原で敗北。山内政権下で「下士」へ転落し、雌伏の後、明治維新を機に家名復活へ──。秦の始皇帝を遠祖とする名門一族の興亡を、長宗我部元親の末弟、親房から17代目の当主・長宗我部友親が描く。末裔でなければ書けない史実の数々は、70代、2000年に及ぶ血脈の「大河の一滴」までさかのぼった、まさに歴史のロマン。長宗我部元親の原点がここにある!
  • 長宗我部 復活篇
    -
    「真田丸」の時代を生きた盛親の刑死から四百年―― 大坂の陣で歴史から消えた長宗我部家。しかし、からくも命脈を保ち、大政奉還によって甦る。「血のドラマ」を描く一大叙事詩。
  • 町長選挙
    3.4
    病院といえば町営の診療所ただ1つ、という都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。一人じゃ淋しいと、看護師のマユミちゃんも一緒だ。ところが島は住民の勢力を二分して、町長選挙の真っ最中。伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの現ナマ攻勢のエスカレートに、さすがの伊良部も圧倒されて……なんと引きこもりに!? 「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」も収録。『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』に続くシリーズ第3弾!
  • 蝶の戦記(新装版)上
    3.9
    尾張の国、清洲城下のはずれで、二十歳の於蝶は五月晴れのもとにのびやかな肢体をなげだしていた。夏草のにおいと果肉のような体臭に、木立を進む武士は惑乱した。一瞬の後に……。川中島から姉川の合戦に至る時代を、少女から女へと変貌しながら、甲賀忍びの技と道に賭してゆく於蝶。上杉謙信への忠心に燃えつつ、時には男装して前髪すがたの小姓になりすまし、時に男たちとの恋にときめく日々……、心と体を完璧にあやつり、死闘を繰り広げる女忍びは、ついに川中島の決戦へ!
  • 帳簿の世界史
    4.1
    「権力とは財布を握っていることである」 アダム・スミス、カール・マルクス、マックス・ウェーバー……。 彼らが口を揃えて主張していた「帳簿」の力とは、一体何なのか。 これまでの歴史家たちが見逃してきた「帳簿の世界史」を、 会計と歴史のプロフェッショナルが初めて紐解く。 ・なぜスペイン帝国は栄え、没落したのか。 ・なぜフランス革命は起きたのか。 ・なぜアメリカ独立は成功したのか。 ・なぜ日本は急速に列強へ追いつくことができたのか。 その歴史の裏には全て、帳簿を駆使する会計士たちがいた! 【目次】 ■序 章 ルイ一六世はなぜ断頭台へ送られたのか ■第1章 帳簿はいかにして生まれたのか ■第2章 イタリア商人の「富と罰」 ■第3章 新プラトン主義に敗れたメディチ家 ■第4章 「太陽の沈まぬ国」が沈むとき ■第5章 オランダ黄金時代を作った複式簿記 ■第6章 ブルボン朝最盛期を築いた冷酷な会計顧問 ■第7章 英国首相ウォルポールの裏金工作 ■第8章 名門ウェッジウッドを生んだ帳簿分析 ■第9章 フランス絶対王政を丸裸にした財務長官 ■第10章 会計の力を駆使したアメリカ建国の父たち ■第11章 鉄道が生んだ公認会計士 ■第12章 『クリスマス・キャロル』に描かれた会計の二面性 ■第13章 大恐慌とリーマン・ショックはなぜ防げなかったのか ■終 章 経済破綻は世界の金融システムに組み込まれている ■日本版特別付録 帳簿の日本史(編集部) ■解説 山田真哉
  • 調律師
    3.5
    仙台在住の著者が3.11を描く現代小説 ある出来事がきっかけでピアノの音を聴くと「香り」を感じるという「共感覚」を獲得した調律師、鳴瀬の喪失と再生を描く連作短編。
  • ちょっといい話
    -
    堀口大學さんのところに、こういうふしぎな手紙がきたという。「貴大学の入学規則をお送り下されたく候」……文壇、芸能、スポーツの世界から学界、政界、財界にいたるまで、古今東西の著名人のエピソードを秘蔵のメモと交友録から精選し、“ちょっといい”ブームをまきおこした話題の逸話集。一つ一つの挿話を小さな芝居と感じさせる絶妙な語り口で運び、人間性の諸相を凝縮した表現の中で鮮やかに描き分けたユーモア小話集成の決定版。
  • 千代の富士一代
    4.0
    目がランランと輝くので渾名が「ウルフ」。体は小さいが足腰のバネは抜群で怪力の持ち主。東京見物という話につられて九重部屋に入門した貢少年は、骨折や脱臼のために番付を上ったり下ったりの苦難の連続だった。それでも、努力、精進のかいあって58代目横綱に昇進するが、デビュー場所でケガ……。不運を克服してついに稀代の名横綱千代の富士となるまでを、千代の山、北の富士という二人の師匠の生き様などもからめて描く相撲小説の傑作。
  • 沈黙者
    3.7
    埼玉県久喜市で新年早々、老夫婦とその長男夫妻の4人が惨殺された。10日後、再び市内で別の老夫婦の変死体が発見される。一方、池袋で万引きと傷害で逮捕された男の裁判が進められているが、男が黙秘を貫いたために、彼の名は一切明かされない。埼玉の事件と男の裁判、ふたつの流れが重なった末に展開する驚愕のストーリー。 叙述トリックの最高峰「――者」シリーズでしか味わえない“脳髄をかき回される快感”に酔うべし!
  • 沈黙の王
    4.6
    夏、商、周といった古代王朝を舞台にした傑作短編集。 商王朝の王子・丁は、言葉が不自由なため、父王から追放された。しかし苦難の旅の末に、目に見える言葉――文字を創造した。 己のハンディを跳ね返し、普遍的な価値を生み出した高宗武帝を描く表題作「沈黙の王」ほか、四つの短編を収録。
  • 沈黙のひと
    4.0
    吉川英治文学賞受賞、小池文学の最高峰! 亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、そして恋人との心の交流が記されていた。生と死、家族を問い直す魂を揺さぶる傑作!
  • 追撃の森
    3.8
    二人の女vs.二人の殺し屋、夜明けまでの死闘! 通報で森の別荘を訪れた女性保安官補ブリンを、殺し屋の銃撃が襲った。現場で出会った女を連れ、ブリンは深夜の森を走る。無線はなく、援軍は望めない。二人の女対二人の殺し屋。暁の死線に向け、知力を駆使した戦いが始まる。襲撃、反撃、逆転、再逆転――その結末は? 天才作家が腕によりをかけて描いた超緊迫のサスペンス。国際スリラー作家協会最優秀長篇賞受賞作。2012年週刊文春ミステリーベスト10第8位。
  • 追悼者
    3.7
    おにいさん、ちょっと遊びませんか? 「東電OL事件」をモチーフに描く傑作ミステリー。読み手の予想が見事に裏切られる、大人気「――者」シリーズ! 浅草の古びたアパートで絞殺された女が発見された。昼は大手旅行代理店の有能な美人ОL、夜は場末で男を誘う女。被害者の二重生活に世間は沸いた。しかし、ルポライター・笹尾時彦はОLの生い立ちを調べるうち、周辺で奇妙な事件が頻発していたことに気づく……。「昼と夜」2つの貌が招く残酷な復讐&逆転劇。
  • 杖ことば
    -
    人間は、言葉によって傷つき、また言葉によって癒され救われるもの。「杖ことば」とは、苦しみや不安に満ちた日常の中で、とことん落ち込んでしまうことなく、さりげなく手となり足となり、ささえてくれる言葉のこと。誰もが知っている先人たちの金言、格言、諺から、人生を投げ出さず、乗り越える言葉を厳選したエッセイ集。
  • 月影の道 小説・新島八重
    3.0
    会津が降伏開城した夜、見上げた空には銀の月、無残に散った親友の美しい顔──。壮絶な籠城戦に男装で参加し生き延びた、会津藩砲術指南役の娘・山本八重は、薩長への突き上げるような憎しみに葛藤する。アメリカ帰りの牧師・新島襄と結婚した時、心に期したこととは。「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれ、時代に挑戦し続けた女性の激動の一生。2013年NHK大河ドラマの主人公・新島八重の、誇り高き会津人としての生き様をドラマティックに描ききった画期的小説。
  • 月島慕情
    4.0
    「あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ」吉原の年増女郎・ミノにふってわいた結婚話。しかし、身に余る幸せに浸る間もなく、思いもかけない真実が叩きつけられる。ミノが選んだ道とは…。過去をかかえた女の、哀切あふれる恋を描いた表題作「月島慕情」。ワンマン社長とガード下の靴磨きの老人の生き様を描いた、傑作「シューシャインボーイ」。ほか、市井の人々の優しさ、矜持を描いた珠玉の短篇集。著者自身が創作秘話を語る「自作解説」も収録。
  • 月と蟹
    3.9
    注目度ナンバー1の著者による少年小説の傑作! 「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。何でも」──家にも学校にも居場所が見つけられない小学生の慎一と春也は、ヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを考え出す。100円欲しい、いじめっ子をこらしめるなどの他愛ない儀式は、いつしかより切実な願いへと変わり、子供たちのやり場のない「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。鎌倉の風や潮のにおいまで感じさせる瑞々しい筆致で描かれ、少年たちのひと夏が切なく胸に迫る長篇小説。 第144回直木賞受賞。
  • 月に捧ぐは清き酒 鴻池流事始
    4.5
    清酒を造ったのはあの山中鹿之助の息子だった! 尼子一族を支えた猛将の息子は、仕官の誘いを断って商人の道を歩む。 日本を代表する鴻池財閥の始祖が清酒の醸造に成功するまで。 山陰尼子家の忠臣山中鹿介の息子でありながら、叔父に育てられた新六は、父を知らず尼崎で成長する。 父の死後、武士を捨て、幼馴染のはなとともに商人として生きる道を選ぶ。 とある出来事から新六改め新右衛門は新たに酒造りを始めるが……。 豪商鴻池の祖となる男の波乱万丈の生涯を描く傑作歴史長篇小説。 解説・島内景二(国文学者)
  • 月のしずく
    3.7
    三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。そんな男のもとに、十五夜の晩、偶然、転がり込んだ美しい女──出会うはずのない二人が出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。表題作ほか、青少年の鑑のような高校生が、ふと足を踏み入れた極道の世界で出会ったヒットマンとの、短くも充実した日々──「銀色の雨」。子供のころ、男と逃げた母親との再会をイタリアを舞台に描く「ピエタ」など、“浅田マジック”が冴える全七篇。
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話
    4.0
    超人気シリーズが、書き下ろし長編小説に! 髪結いの伊三次と芸者のお文。仲のよい夫婦をめぐる騒動を、江戸の夜空にかかる月が見守っている。大河ロマン的な人情時代小説です。
  • 月への梯子(はしご)
    3.5
    “ボクさん”こと福田幸男は母の遺したアパートの大家、40歳。知能は小学生並みだが、皆に愛されノンビリ平和に暮らしていた。ところがある日、入居中のスナック勤めの女が殺された。屋根の修理中で上っていた梯子から死体を発見したボクさんは、驚いて転落してしまう。やがて退院すると住人が皆失踪、しかも全員身元を偽っていた! これを機に、ボクさんに驚くべき変化が起こり始める…。人は何をもって幸福になるのか。<知る>ことの哀しみが胸に迫る長篇ミステリー。
  • ツチヤ教授の哲学講義 哲学で何がわかるか?
    4.1
    大哲学者たちが考えたことを信用できるでしょうか? いつもはあまり信用されないツチヤ教授が挑戦的にこう問いかけた。不信感を抱く学生を前にして、プラトンやデカルトなどに代表される哲学史に輝く深遠な学説に、誰にでもわかりやすい言葉で鋭く切り込み、哲学の初心者たちと共に一から考えた渾身の講義。
  • ツチヤ教授の哲学ゼミ もしもソクラテスに口説かれたら
    3.9
    もし「わたしはあなたの顔も性格も嫌いですが、あなた自身を愛しています」と言われたら、あなたはどう思う? ツチヤ教授が問いかけたとたん、女子大生たちの容赦ない突っ込みが火を吹いた! 日常によくある一言から、哲学の問題へと至る実践的な哲学ゼミナール。『ツチヤ教授の哲学講義』でプラトンやデカルトなど大哲学者たちを次々となぎ倒したツチヤ教授、今度はソクラテスの口説き文句を俎上に乗せ、哲学を読者の身近なものにします。
  • ツチヤの口車
    4.3
    お腹はへるけど口はへらない、ツチヤ先生満身創痍の日々。「過ちを指摘されたら」「なぜ説得できないか」「準備しない理由」「欠点を苦にしない方法」「女と別れる方法」「男と別れる方法」「妻の最後通告」「脅し方の研究」「親戚が増えると品位は下がる」などなど、引き続き不幸とくんずほぐれつ奮闘中! 週刊文春長寿連載「棚から哲学」をリニューアルした「ツチヤの口車」シリーズ第1弾。
  • ツチヤの貧格
    3.5
    この本を手に取っている人は幸運である。世界に目を向ければ、何十億人という人がこの本を手に取れないでいるのだ――。「お金に無関心な生き方」「総グルメ化最後の防波堤」「年をとると敏感になる」「わたしはどんな失敗をしたのか?」など、彫琢(ちょうたく)されたユーモアエッセイの数々。読めば品位と勇気が湧いてくる! 週刊文春長寿連載「ツチヤの口車」シリーズ第4弾。
  • 堤清二 罪と業最後の「告白」
    3.6
    第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。月刊「文藝春秋」の連載『堤清二の「肉声」』に大幅に加筆したもので、セゾングループの総帥だった堤清二氏が死の一年前、父・康次郎氏そして弟の義明氏との関係をじっくり振り返った一族の物語です。 清二氏が、著者の児玉さんに10時間以上も語った堤家の物語は、愛憎と確執に満ちた肉親相食む世界でした。 康次郎氏は西武グループの礎を築いた実業家であると同時に、強引な手法で「ピストル堤」の異名をとり、異常な好色でも知られていました。清二氏ら七人の兄弟姉妹の母親だけで四人、そのうち二人とは入籍をしませんでした。関係を持った女性はお手伝いから看護士まで相手選ばず、清二氏の母・操さんの姉妹とも関係を持ちそれを操さんも承知していたといいます。その異常な環境で、清二氏・義明氏兄弟は静かな“狂気”を身の内に育まざるをえませんでした。 フォーブス誌の世界長者番付で世界一位に輝いた義明氏と、セゾン文化で一世を風靡した清二氏は、一転して凋落し、軌を一にするように堤家も衰退の一途を辿ります。 西武王国について書かれた本は数多くありますが、清二氏が初めて明かした一族の内幕は、堤家崩壊の歴史であると同時に、悲しい愛と怨念の物語であり、どうしようもない定めに向き合わなければならなかった堤家の人々の壮大な物語です。 ※この電子書籍は2016年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • つながらない勇気 ネット断食3日間のススメ
    4.0
    気がつくと、一日中スマホを見ていませんか? ネットが生活に欠かせない現代。 人間本来の思考力と想像力を取り戻すために「書きことば」の力を今一度信じたい。人生を変える一冊! 電車の中で、乗客全員がスマホを見ている光景は珍しくない。 しかし、ことばがデジタル化への変貌を遂げている今こそ、人間本来の思考力と想像力を取り戻し、 豊かな人間関係を築く為、また孤独に耐える力を培う為に、書きことばの底力を信じよう。 「読み書き」を大切にすることで、人生を根底から変えられる! 解説・山根基世 ※この電子書籍は2014年1月に文藝春秋より刊行された単行本『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』を改題・加筆修正をした文庫版を底本としています。
  • つなげる力 和田中の1000日
    3.8
    リクルートから杉並区立和田中学校へ――。東京都初の民間人校長として、著者が2003年より5年の在任期間中に行った教育改革。進学塾と学校をつなぐ「夜スペ」、世界と教室をつなぐ[よのなか]科などの画期的なプロジェクトから、情報編集力を身につける教育法まで、新しい学校のあり方を追求した和田中プロジェクトの全貌がこの一冊に凝縮されています。教育のみならず、あらゆる問題解決に役立つヒントが満載!
  • 「つなみ」の子どもたち 作文に書かれなかった物語
    4.5
    第43回大宅壮一ノンフィクション賞(2012年)受賞作。 ベストセラー『つなみ 被災地のこども80人の作文集』を企画取材したジャーナリストが描く、7つの家族の喪失と再生の物語。平成最大の災害を、子どもたちは「書くこと」でどう乗り越えたのか?「あれから八年間の日々に」を大幅増補。 解説・細谷亮太 「あの震災後、熊本地震や北海道胆振東部地震、北関東や西日本での豪雨災害など未曾有の災害が頻発し、日本中で自然災害で厳しい体験をする人が増えている。被害後をどのように生き、どのように克服していくかは、先人の声に耳を傾けるのがふさわしい。作文を書いてくれた子たちも、取材に応じてくれた家族たちも、おそらくは心のどこかでそんな思いをもっていたことだろうと思う」 (「あとがき」より)。
  • 翼あるもの1
    -
    1~4巻330円 (税込)
    ジョニーこと今西良は、ロックバンド“ザ・レックス”のボーカリスト。豹のような琥珀色の瞳と少女のように可憐な容姿、聴く者の心を震わせる歌声で、名実ともにトップスターである。その人気を買われドラマの主役に抜擢されるが、共演俳優・巽竜二には悪い噂が。良の庇護者を自認する作曲家・風間は猛反対するが、ドラマ収録は始まり、良を取り巻く男たちの愛憎が渦巻きはじめる──。著者・栗本薫がデビュー前夜に執筆した、記念碑的作品! 「真夜中の天使」の姉妹篇。
  • 妻と罰
    3.4
    世の中には、様々な「罰」がある。とりわけ妻のそれは恐ろしい――。「女は不純だ」「あなたも家なき子だ」「神経の太さ比べ」「あきらめる方法」など、真理を追究する哲学者として、虚構を排し事実のみを記してきたツチヤ先生が、日本の文化の成熟を願いつつ読者に贈る珠玉のユーモアエッセイ集! 週刊文春長寿連載「ツチヤの口車」シリーズ第3弾。
  • 妻と娘の国へ行った特派員
    4.0
    インドシナ情勢を的確にとらえ、繊細な視線で人間の生を見つづけた報道記者・近藤紘一。ノンフィクションの真髄を味わわせる著作と爽やかなまなざしは今も多くの読者を魅了してやまない。彼はサイゴン、バンコクの特派員として東南アジアの人々の喜怒哀楽や生活につねに関心を向け、ベトナム人の妻と娘を通じてこの地域との縁はいっそう深まったが、惜しくも四十五歳でガンに斃れた。複雑な国情と厳しい風土に生きる人々のダイナミックな姿を活写したこのエッセイ集は遺作となる。
  • つまをめとらば
    3.7
    第154回(2016年)直木三十五賞 女という圧倒的リアル! 直木賞受賞作 去った女、逝った妻……瞼に浮かぶ、獰猛なまでに美しい女たちの面影はいまなお男を惑わせる。 江戸の町に乱れ咲く、男と女の性と業。 女が映し出す男の無様、そして、真価――。 太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。 身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか――。 時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。 男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。 選考会時に圧倒的支持で直木賞受賞。遂に文庫化! 解説・瀧井朝世
  • 『罪と罰』を読まない
    4.1
    未読者(みどくもの)四人による前代未聞の愉快な読書会 ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことのない四人が果敢かつ無謀に挑んだ「読まずに読む」座談会。 前半では小説の断片から内容をあれこれ推理し、後半は感想と推しキャラを語り合う。 ラスコ(ーリニコフ)、スベ(スヴィドリガイロフ)、カテリーナ……溢れるドスト愛。 「読む」愉しさが詰まった一冊。 解説マンガ・矢部太郎
  • 罪人たちの暗号 上
    3.0
    北欧の人気ミステリー・シリーズ第2弾! ミーナら特捜班を嘲笑うように連続する誘拐殺人。次の犯行はいつ? ストックホルムを舞台に犯人との頭脳戦が始まる。 ストックホルム警察特捜班に届いたのは幼児誘拐事件の報告だった。白昼堂々、保育中の子供を連れ去るという大胆な手口。過去の少女誘拐殺人との類似から特捜班は最悪の事態を想定するも、捜査は難航。刑事ミーナは2年前に捜査協力を仰いだメンタリスト、ヴィンセントに接触する。 極端な潔癖症の刑事ミーナと、「数字」に執着する心の偏りを持つメンタリスト、ヴィンセント。互いに惹かれ合う二人が挑むのは連続児童誘拐という卑劣な犯罪です。別れ別れだったミーナの娘も登場、事件捜査のみならず特捜班の面々の「秘密」からも目が離せない快作です。
  • 冷たい誘惑
    4.3
    一丁の拳銃が人々の人生を変えていく! 名手が描く練達の連作短編集。 私は拳銃を構える。 恐怖にひきつった顔を思い描くだけで、胸のもやもやが晴れていく――。 久しぶりの同窓会で六本木から新宿・歌舞伎町に流れてきたものの、 泥酔して友人たちとはぐれた主婦・織江。家出少女から一万円と引き換えに 渡された包みの中身は一丁の拳銃だった!  主婦も家出少女も、カラスに悩まされる新入社員や 妻に逃げられた元警察官も――。 平凡な日常に倦んだ人々を魅了し狂わせるコルトの魔力とは? ※この電子書籍は、1998年4月に文藝春秋刊の単行本『引金の履歴』を、 2001年4月に『冷たい誘惑』と改題、文庫化された作品の 新装版を底本としています。
  • 強き蟻
    3.3
    あんたが、わたしの身体をこんなふうにしたのよ。 遺産目当てに結婚した三十歳年上の夫に隠れ、不貞を働く伊佐子。彼女のまわりには欲にまみれた男女が、蟻のごとくうごめいている――。二度にわたりテレビドラマ化(伊佐子役はそれぞれ浜木綿子、若村麻由美)された松本清張のスリラー長篇!
  • 強く、しなやかに 回想・渡辺和子
    4.0
    「置かれた場所で咲きなさい」を自ら実践した、シスター・渡辺和子さんの自叙伝。 目の前で父を殺された少女は、人々の心に寄り添うシスターとなった―― 2・26事件で、陸軍大将の父が目の前で銃殺されたのは9歳のとき。戦時下、母の猛反対を押し切り18歳で受洗。シスターとなった後、若くして大学の学長に抜擢されるも人間関係に悩み、うつ病や膠原病など試練の連続であった。しかし、自ら道を切り開き、生涯現役で教壇に立ち続けた。信仰と教育に身を捧げた波乱の人生の軌跡。 本書は、山陽新聞の朝刊の連載をまとめたものです。使命感からの重圧や病、老いと向き合いながら多難な時代を乗り越え、いつも人の心に寄り添いながら、生涯現役を貫く渡辺和子さんの人生を追った内容となっています。ノートルダム清心女子大学学報に掲載された、シスターご自身のエッセイ20本も併せて収録。 「神は決してあなたの力に余る試練は与えない」という、どんなに苦しいときでもキリストの言葉を信じて生きてきたシスターが紡ぐ言葉は、わたしたちが困難や悩みに直面したとき、人生の指針となる貴重なメッセージです。 ◎シスターから、珠玉のメッセージ ・時間の使い方は、命の使い方 ・あたりまえのことに心をこめて実行する。この世に雑用というものはない ・自分のわがままを抑えて、他人の喜びとなる生き方をする ・境遇を選ぶことはできなくても、生き方を選ぶことはできる ・かけがえのない今という瞬間を意識して生きる ・人間は辛いことを感謝に変える力を持っている ・何かにぶつかったとき、まず考え、次に感じ、しかる後に実行する
  • ツリーハウス
    4.1
    じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣(よしつぐ)は、初めて家族のルーツに興味を持った。出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。一体うちってなんなんだ? この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか──。かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。満州、そして新宿。熱く胸に迫る、小さな中華料理屋「翡翠飯店」三代記。伊藤整文学賞受賞作。
  • 劔岳〈点の記〉
    4.2
    日露戦争直後、前人未踏といわれ、登ってはいけない神の山と恐れられた北アルプス、劒岳(つるぎだけ)。正確な地図をつくるため、この山頂に「三角点を埋設せよ」との至上命令を受けた測量官、柴崎芳太郎。たいへんな悪路と悪天候、かさばる器材の運搬、地元の反感などの困難と闘いながら、柴崎の一行は山頂を目ざして進む。同じく劒岳の初登頂をめざす、アマチュアの日本山岳会隊の動きに、上官からの圧力はさらに増して…山岳小説の白眉といえる傑作。映画原作!
  • TVJ
    3.7
    お台場にあるテレビ局が、「72時間テレビ」生本番の最中に、正体不明の武装グループにのっとられた。犯人は社員たちを人質にとり、全国放送を通じて次々と要求を突きつける。外部からの侵入が難しい最新インテリジェントビル。劇場型犯罪に翻弄される警察。犯人たちの真の狙いは何か? 経理部社員の高井由紀子(29歳)は、人質にされた恋人(37歳)を救うため、たったひとりで立ち向かう。『交渉人』『相棒』の五十嵐貴久の、全てが詰まった爽快なデビュー作!
  • 帝国の弔砲
    3.5
    ロシアで育った日系人の数奇な運命を描く、圧倒的歴史改変冒険小説! 舞台は日露戦争で日本が敗戦した世界。日系移民2世の登志矢は、革命の嵐に巻き込まれ数奇な運命に翻弄されていく。 解説 杉江松恋 ※この電子書籍は2021年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 帝国ホテルの不思議
    3.7
    東京五輪で再注目。日本が誇るホテルの“職人”たちに迫る! 接客の職人芸が花開くバーやレストラン、1000人ものゲストの顔を記憶しているドアマン、数々の発明品を生み出す施設担当者――。30人の職人たちをのぞき穴に、日本のホテルの中でも明らかに特別な位置にある、帝国ホテルの知られざる深層を描き出す。入り口から内奥まで、誇りに満ちた“おもてなし”の流儀をご覧あれ。
  • 貞操問答
    3.6
    1巻519円 (税込)
    父が亡くなり困窮する南條家の美しき三姉妹──演劇に熱をあげ浪費ばかりする長女・圭子、聖母のような清らかさと娼婦のエロスを備えた次女・新子、蠱惑(こわく)的魅力で男を翻弄する「ベビー・エロ」の三女・美和子。生計を助けるため家庭教師となった新子は、妻子ある雇い主と心を通わせてしまう。夏の軽井沢、メーヴェリンや資生堂の化粧品、銀座のデパートやバー……昭和初期の風俗を巧みに取り入れ、波瀾に満ちた愛の行方を描いた、テレビドラマ化話題作!
  • TVピープル
    3.7
    ある日曜日の夕方、「僕」の部屋にTVピープルたちがテレビを持ち込んできたことで、すべては始まった――表題作「TVピープル」。男にとても犯されやすいという特性を持つ美しい女性建築家の話「加納クレタ」。17日間一睡もできず、さらに目が冴えている女「眠り」。それぞれが謎をかけてくるような、怖くて、奇妙な世界をつくりだす。作家の新しい到達点を示す、魅惑に満ちた6つの短篇を収録。
  • 手紙のたのしみ
    -
    語る内容は様々でも、手紙というものは自分を語ることにつきると著者はいう。芥川龍之介のすなおな恋文、「御主人様」に「どんな難題でも御出し下さいまし」と嘆願する谷崎潤一郎のラヴレター、小林多喜二の死に際してその母に宛てた志賀直哉のお悔やみ、小泉信三の闊達な礼状、「小またが切れ上がるとは」と教示するイラスト入りの伊原宇三郎の手紙、獄中の宮本顕治と獄外の百合子のやりとりした夫婦の手紙など、手紙が持つ深い味わいを、人生の達人が解き明かす書き下ろしエッセイ。
  • 手紙のなかの日本人
    4.0
    夏目漱石、親鸞、織田信長、明智光秀、勝海舟と西郷隆盛、永井荷風、小林一茶、良寛、太閤秀吉、細川ガラシャ……歴史を彩る文人や武人、22人の手紙。 無心状であれ、恋文であれ、遺書であれ、それらは真率な感情が綴られ、思わず笑ってしまったり、あるいは襟を正したり。 「いろんな人たちと一杯やりながらの会話を楽しむつもり」で、歴史探偵・半藤さんが美しい日本の手紙を読み解いた名著復刊! ラインやメール全盛の今だからこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
  • 手鎖心中
    4.0
    材木問屋の若旦那、栄次郎ときたら、いずれ大店を継ぐ安楽な身の上のくせに、他人を笑わせ、他人に笑われ、ちょっぴり奉られもしたいがために、絵草紙の作者になりたいと思い焦がれている。悲しいかな、その才能は皆無なのだが、それを知らぬは本人ばかり。暢気でお調子者の若旦那を主人公としたこの小説、江戸・寛政期の風俗と実在の戯作者たち、洒落や地口を綺羅星のごとくちりばめて、あまりのばかばかしさに読者が吹きださずにはいられない、第六十七回直木賞受賞作の傑作時代小説。
  • 鉄騎兵、跳んだ
    3.6
    オール讀物新人賞を受賞した佐々木譲さんのデビュー作『鉄騎兵、跳んだ』。モトクロスに青春を懸ける青年、貞二の挫折、恋、多感な時期の葛藤を描き、当時の選考委員にも絶賛された瑞々しい作品です。他にも『246グランプリ』『パッシング・ポイント』『ロウアウト』など全5編を収録。これが佐々木譲の原点だ!
  • 哲学散歩
    4.0
    徹底した皮肉屋ソクラテス、衣装に凝り過ぎてプラトンの眉を顰めさせたアリストテレス、著者が惹かれてやまない性格最悪のハイデガー……古代ギリシャ哲学から20世紀現代思想迄の代表的な哲学者の思想とエピソードを、自身の哲学体験を交えながら分かりやすく紹介。インテリジェンスがにじみ出る名エッセイ。解説・保坂和志
  • 鉄で海がよみがえる
    4.0
    “鉄炭ダンゴ”でメバルや海藻が劇的に増えた! 磯焼けで荒れ果てた海も、鉄の力で生命力溢れる海の森へと生まれ変わる。海洋の豊かな森はCO2を固定化し、地球温暖化対策の切り札となる可能性をも秘めている。世界的な海洋学者ジョン・マーチンの鉄仮説を、新たな視点で検証し、実践した異色の本。震災後、大注目を集める著者の新たなる挑戦! 「一漁師の真摯な探求心に脱帽! 生命の大循環をつかさどる鉄の話はぞくぞくするような興奮に満ちている」──養老孟司
  • テティスの逆鱗
    3.9
    1巻641円 (税込)
    華やかな美貌で売る女優、出産前の身体に戻りたい主婦、完璧な男との結婚をねらうキャバ嬢、そして、独自の美を求め続ける資産家令嬢。美容整形に通い詰める4人は、どんどんエスカレートし、やがて「禁断の領域」にまで達する――。終わりなき欲望を解き放った女たちが踏み込んだ、美容整形という天国と地獄。その戦慄の風景、女の心模様に震撼する、美と恐怖の異色作!
  • てなもんやOL転職記
    3.0
    アポなし、コネなし、コワイモノなし! 東京はコワイとこ、と育てられてきた大阪商社のお嬢OLが、書き上げた原稿をいきなり出版社に持ち込んで作家デビュー。それが映画化された『中国てなもんや商社』だが、華麗なる転身の陰に小心でド根性な日々の努力があった。3姉妹の末っ子として、観察眼も磨きまくった。今のままじゃだめ、でもどうしたらいいの? そんな気持ちに「しあわせは歩いてこない。だから、こっちから行くのよ!?」と活をいれる爽快エッセイ集!
  • てのひらの闇
    3.8
    著者の新たな到達点を示す長篇ハードボイルド 20年前に起きたテレビCMの事故が、二人の男の運命を変えた。男は、もう一人の男の死の謎を解くべく孤独な戦いに身を投じる……
  • 手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩
    3.8
    江戸吉原には、娘を花魁(おいらん)へと染めかえる裏稼業があった。その名も、うぶな時分に性技を仕込む「上ゲ屋(あげや)」、年季を重ねた妓(おんな)に活を入れハリを蘇らせる「保チ屋(もちや)」、常に女心を探り間夫(まぶ)を絶つ「目付(めつけ)」。吉原の架空の設定を軸に、これら男衆と、磨きぬかれたオンナ達が織りなす色と欲、恋と情けを描いた連作7編。秘められし真心が静かに胸をうつ、期待の新人のデビュー作!
  • 手掘り日本史
    3.5
    日本人の底の底には無思想という思想、簡単に言ってしまうと美意識があるのではないかと思う――日本人が初めて持った歴史観、庶民の風土、「手ざわり」感覚で受け止める伝統的美人、義経という人気者、幕末三百藩の自然人格。歴史小説に新しい地平を開いた国民的作家が、、自らの発想の原点を解き明かす。評論家、江藤文夫による司馬への聞き書きに、さらに司馬自身が手を加えて完成した、対談ともインタビューともエッセイともひと味違う、不思議な読み応えの一冊。司馬文学を読み解くための良質なサブテキストともなっている。
  • テミスの剣
    4.1
    ドンデン返しの帝王、渾身の大作! 若手時代に逮捕した男は無実だったのか? 鳴海刑事は孤独な捜査を始めたが…社会派ミステリーに驚愕の真実を仕掛けた傑作。 豪雨の夜の不動産業者殺し。 強引な取調べで自白した青年は死刑判決を受け、自殺を遂げた。 だが5年後、刑事・渡瀬は真犯人がいたことを知る。 隠蔽を図る警察組織の妨害の中、渡瀬はひとり事件を追うが、 最後に待ち受ける真相は予想を超えるものだった! どんでん返しの帝王が司法の闇に挑む渾身のミステリ。 解説・谷原章介
  • てらさふ
    3.0
    自分がまがいものであることは承知の上で、スーパースターになって2010年代を疾走することを夢想する堂上弥子(どうのうえやこ)。 耳の中で鳴る音に連れられ、どこかに行きたいというきもちがつねにうねっていた鈴木笑顔瑠(すずきにこる=ニコ)。 北海道の小さな町で運命的に出会ったふたりの中学生は、それぞれ「ここではないどこか」に行くため、一緒に「仕事」で有名になることを決める。その方法は弥子が後ろに回り、ニコが前面に出るというもの。最初の仕事は読書感想文コンクールでの入選。弥子が書いてニコの名前で応募した感想文は見事文部科学大臣奨励賞を受賞、授賞式にはニコが出席した。 ふたつめの仕事は、史上最年少で芥川賞を受賞すること。ニコの曽祖父の遺品の中にあった小説を弥子がアレンジして応募した小説「あかるいよなか」は、芥川賞の登竜門となる文芸誌の新人賞を受賞する。作品はその後順当に芥川賞にノミネートされるが、それは「てらさふ」仕事を続けてきた、ふたりの終わりのはじまりだった――。 てらさふ――とは「自慢する」「みせびらかす」こと。「てらさふ」弥子とニコがたどり着いた場所とは? 女の子の夢と自意識を描きつくした、朝倉かすみの野心作。 解説・千野帽子
  • 寺田屋騒動
    -
    幕末の悲惨な事件はなぜ起こったのか。文久二(1862)年四月二十三日、伏見の船宿・寺田屋の二階。長州と手を組んでクーデターを謀る薩摩誠忠グループの動きは、長州嫌いの久光の怒りを買った。蹶起中止を説得する使者との間に朋友相撃つ惨劇が起こる。武士にとって藩命と理想、君命と朝命はいずれが重いか、この時点でこれは答えの出ない命題だった。怒涛の時流にのまれ、ピュアに生きすぎた武士たちの過ちとプライドを絶妙の語り口でつづった歴史ドキュメント。
  • 初詣で 照降町四季(一)
    3.7
    日本橋の近く、傘や下駄問屋が多く集まる町・照降町に「鼻緒屋」の娘・佳乃が三年ぶりに出戻ってきた――  著者初・江戸の女性職人が主役の書下ろし新作<全四巻> 1巻「初詣で」内容 文政11年暮れ。雪の降る中、18で男と駆け落ちした鼻緒屋の娘・佳乃が三年ぶりに照降町に戻ってきた。 懐かしい荒布橋(あらめばし)を渡り、町の入り口に立つ梅の木を、万感の思いで見上げる佳乃。 実家の鼻緒屋では、父が病に伏せっており、九州の小藩の脱藩武士・周五郎を見習いとして受け入れていた。 父にかわり、職人として鼻緒挿げの腕を磨く佳乃は、新鮮なアイデアを出して老舗の下駄問屋の宮田屋に認められ、吉原の花魁・梅香からも注文を受ける。 自分を受け入れてくれた町に恩返しをすべく、日々を懸命に生きる佳乃だったが、駆け落ちの相手・三郎次が あとを追ってきて―― 「己丑の大火」前夜の町と人々を通して描く、知恵と勇気の感動ストーリー。

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