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Posted by ブクログ
供物と雪鰻とシューシャインボーイが、心に残った。
自分とは全く関係ない(わけでもない)台詞が、妙に突き刺さったり身につまされたりして、短い物語から読み解くものが多くておもしろい。
供物は、クソみたいな男のせいでしなくていい思いを死んでまでさせる酒乱クソ亭主。置いていかれた息子目線の物語を想像するとこれまた居た堪れない。
雪鰻の一文、赤紙一枚で引っ張られた、親も子も妻も恋人もいる、百姓やサラリーマンや、豆腐屋の店員や銀行員や、魚河岸の若い衆や市電の運転士や、大工や左官やカメラマンや学生だった。彼らはみな、それは悩み苦しみ、憎悪し懐疑もしただろうが、しまいにはささやかな納得をして、潔く死んでいった。
現実にそういう先人たちが居たことを絶対に忘れてはいけない。
シューシャインボーイで心に残った台詞、だったら二度忘れりゃいい。
逃げないでよ。
Posted by ブクログ
久しぶりに浅田さんらしい作品です。泣かせの浅田次郎、本領発揮。
浅田さんはサービス精神が旺盛なのか、読者を引き込もうとする余り力が入り過ぎ、ベタというか、どこか泥臭さを感じる作品が多い作家さんです。一方で、そのために浅田さんを敬遠される人も多いのではないかと思います。
最近読んだ作品の多くで、浅田さんは少し方向転換しようとしていると感じてました。しかし、それが十分に成功しているとも思えず。。。
この作品は原点回帰のようです。しかも、最近の彷徨が良い方向に作用して、適度に力が抜け、初期の鼻に付く様な泥臭さも美味く消し去っています。(それでもベタかもしれませんが)
通勤電車の読書時間で、思わずウルッとしてしまい、困らされ手しまいました。
それにしても浅田さん、「月」の入った題名が多いですね。
Posted by ブクログ
七編からなる短編集は、大正時代から戦後を通じて人の情の深さが描かれている。
この胸に染み入る七つの物語は、浅田節ならではの世界観で描かれ、読後の読者にほのぼのとした温かい気持ちを与えてくれる。
7編の物語中、特に私がお気に入りとなったのが「雪鰻」。
簡単な内容を紹介すると⋯
夜更けに上官から食えと、お土産の鰻重を1人の下士官に差し出された。
なぜ上官は召し上がらないのですかと下士官に問われ、上官はその理由を酔いに任せて述べることになる。
その理由は戦地での想像を超えた破倫とも云える体験が災いしたものだった。
本当に理不尽とも言える地獄を味わった者は、自らの体験談は決して口にしないものだ。
今の時代、戦争の実態を知らずに勇ましい考えを主張する人々にこそ「雪鰻」を読んで欲しいのだが、知力・想像力の欠けた者には残念ながら絵に描いた餅、豚に真珠、馬の耳に念仏、犬に論語等々なのだと思ってしまう。
いやいや、餅、豚、馬、犬に失礼な例えだったかな⋯、ごめんね。
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