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京堂司掌編全集
埋もれていた栗本薫の別ペンネーム、京堂司名義による作品のすべてを収めたショートショート集。 2016年に創刊40周年記念終刊号が発行された幻影城誌。その発行に際して、京堂司名義の作品が栗本薫の手によるものであることが発見されて話題を呼んだが、本書は京堂司名義作品のすべてを収録、この名義による作品は他に一切ないことからあえて書名を「京堂司掌編全集」とした。 熱烈なSFファンであった若き栗本薫による、日本SF揺籃期を彷彿とさせる掌編12編は、大河小説グイン・サーガの作者の、また違った一面をうかがわせる。解説は京堂司発見者の野地嘉文氏。 【目次】 23世紀のラッシュアワー ACT/1 星間急行 ACT/2 ポーの末裔 ACT/3 物質電送ラッシュ ACT/4 満員電車の中で 23世紀のポップス ACT/1 P・R ACT/2 イメージ・チェンジ ACT/3 未来の寝床 ACT/4 怨念 革命専科 ACT/1 マイコンピューター革命 ACT/2 産学協同革命 ACT/3 サイボーグ革命 ACT/4 ……革命? 解説 野地嘉文 【著者】 栗本薫 東京生まれ。早稲田大学文学部卒。1977年中島梓名義の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門、1978年『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞、1981年「弦の聖域」で吉川英治文学新人賞を受賞。栗本薫名義で小説を発表するかたわら、中島梓として評論・演劇・音楽などさまざまなジャンルで活動する。小説作品は、ミステリ、SF、時代小説、耽美小説と多岐にわたり、中島梓名義を含めて400冊を越える著作がある。1979年よりスタートした大河ロマン「グイン・サーガ」は、2009年著者病没により130巻が最終巻となった。 -
【ヨココミ】女犯坊 第三部 明治篇
怪僧・竜水が圧倒的なパワーで文明開化に踊る明治時代の悪党どもを打ち砕く!! 宿敵ブーリバとの対決で生死不明の行方不明となった竜水――。とある隠れキリシタンの里で発見! 敬虔なキリシト教徒・阿部マリアの“奇蹟の乳”を飲み、みごとに蘇えることとなる。 「復活」を遂げた竜水は、キリシト教徒らから「神の使徒」として崇められるが…… 肉弾劇画作家・ふくしま政美の描いた伝説の作品が【ヨココミ】で復活!! ※【ヨココミ】とは“電子書籍のあるべき姿”に漫画・劇画を再構成したものです。 スマホ・タブレットを横持ち(ランドスケープモード)でワイドに見やすくしたものです。 -
唯一神の憂鬱
その日、俺は白い部屋の中にある白いベッドの上に横たわった状態で、目を覚ました。交通事故か? それとも火事? 両目がチカチカして、身体を起こすと側頭部が激しく痛む。やはり火事か? そんなことを考えながら、しばらくぼおっとしてベッドの縁に腰掛けていると、ドアがノックされて事務員風の男が現れた。エノキヅと名乗るその男は言った。 「貴方は神として、この世界に転生したのです。絶対的な力を持った唯一神として……」。 俺が絶対的な力を持った唯一神!しかしエノキヅが語る唯一神とは、俺が想像していたものとはほど遠いものだった……。 俺とエノキヅのすれ違う会話がシュールなファンタジー短編小説。 第1回マイナビお仕事小説コン入選作品。 -
叔父さまはドS社長~姪を調教部屋に連れ込んで~
「姪にこんないたずらするなんて、背徳感でゾクゾクするな」就職活動で全敗した私は叔父さんの会社に就職した。昔から憧れてた人だったから、秘書の仕事を突然お願いされて驚いたけど頑張る!! でも、スーツに飲み物をこぼしちゃった時、スーツをお絞りでふくんじゃなくて、舐めてきれいにしろだとか、ちょっと変。でも、そういうセリフを言う時、叔父さんが私を見つめると、どんなに意地悪なことを言われてもドキドキしちゃって…。そんなある日、私が仕事で大きなミスをしたとき、叔父さんは秘密の鍵を取り出した。社長室の脇に調教道具が置いてある小部屋が現れて…彼はお仕置だっていうけど、私どうなっちゃうの!? -
音楽の力
大手レコード会社を経て、マルチメディアの黎明期に数々のヒット作品を世に送り出し、現在はハイレゾ音源の普及に関わる著者は、音楽と出会うことで人生が変わったと言います。本書はこれまでの人生を振り返り、「音楽の力」を自伝的に綴ります。第1巻は音楽を志した学生時代から、音楽業界に就職した頃までの話です。 1. 音楽との出会い 2. 好きな音楽を仕事にしたい! 3. レコーディングに挑戦 4. いざ就職活動へ 5. 学生時代の音楽の楽しみ方! 6. 就職活動終了! 7. レコード会社へでの営業研修 8. レコード会社での工場研修 9. 工場での仕事 10. やってしまった! 11. 工場での試聴会 12. 新たな出会い! -
胸キュン厳禁!イケメンだらけのルームシェア
「恥ずかしいところもっと見せろよ、俺だけのものにしたいから…」イケメンだらけのシェアハウスで訳アリの管理人をしている超がつくほどの地味女子・綾香。住人達は何故かあの手この手で綾香に言い寄ってくるのだが、それにはある理由があった。それは綾香と付き合うと家賃がタダになるという裏特典で…?どんなに迫られようとも頑なに拒む綾香だが、ある日幼馴染で初恋の黒澤が新たな住人として入居してくる。「俺、彼氏に立候補するんで」他の住人達同様に迫ってくる黒澤にショックを隠せない綾香だが、黒澤のゴーインなキスやエッチなイタズラにはいちいちドキドキしっ放しで…!?この管理人生活、一体どうなっちゃうの…!? -
ねことも増刊~ポカポカ陽気にゴキゲンな春のにゃんこ祭り♪~
『猫家』おてんばなアンや世話焼きなヒナ、そして虹の橋を渡ってしまった甘えん坊の小鉄が夫婦に温もりを届ける、ほんのり泣けて&ほんのりあったかい、にゃんこ達とのほのぼの日常記♪『クロとルイ』茶トラのルイと長毛のクロ。額のM字が共通点な2にゃんこですが、巻き起こすトラブルはそれぞれ個性的!? ルイはご主人さまのタイツをいつも破いてお出かけ前にあたふたさせる困ったにゃんこ!! クロは、寝室に閉じ込められて買ったばかりのお布団におしっこしちゃう粗相にゃんこ!? とある冬の日のトホホ&キュートなにゃんこエピソード…などなど今年の春のにゃんこ祭りはオモシロ&キュートな猫ズが大集合なのです♪ -
泉鏡花 現代語訳集16 卵塔場の天女
【あらすじ】 能役者橘八郎が、久し振りで勤めのため帰郷することとなり、ちょうど京都へ行く用があった私は自然と誘われ、雪国の都を見物しようと、東京から信越線を使って大回りをした。 当地へ着いた晩の九時、すぐに一風呂浴びて、お膳で銚子を一本という、旅では重要なところだが、八郎は私に向かい、…自分を待っていてくれる女があるので、ちょっと顔を見せて来たい…と言う。 八郎がその女、お悦のために、魂に火を点じて、何とか命を消さずに済んだという話を聞いていた私は、ぜひ会ってみたく、彼と連れ立ち、その家である老舗の紅屋へと赴いた。 そこで親しく旧懐を交わしている内、何のきっかけもなかったのに、お悦が、ふと…おひささん…と言い出した。 間もなく知ったが、お久は、生まれてすぐ養女へ遣られた、八郎の実の妹であった― 流派の名を汚すことなく歩んできた能役者としての自負、矜持と激しい求道心、それが元で生じる親類世間との軋轢を、お悦との関係と絡めて織り上げた、一風奇妙な、それでいて爽やかな物語。 【あとがき より】 本書は、明治後期から昭和の初めにかけて活躍した作家、泉鏡花(1873-1939)の作品の現代語訳である。 鏡花の作品世界に満ち溢れる、美妙幽玄な魅力を音に聞き、それを味わってみようと足を踏み入れたものの、特異な文体によって描き出される風景の綺羅のような輝きに目を眩まされ、道半ばで現の世に戻らざるを得なかった人はけっして少なくないだろう。 訳者が目指したのは、現代の一般的読者が、大きな困難を感じることなく、内容を把握しながら読み通すことのできる文章に仕上げることであった… -
オトコの娘エンジェル
恥ずかしいのは嫌なのに、なぜか興奮してしまう…。女装でモンスターを退治!ファンタジーから、オトコの娘魔法少女、さらに初めてのパンティー体験まで、女装コミックで人気の5人の作家が競作!!女よりもかわいい☆強制女装少年アンソロジー。 -
カレのアレが硬くて困ってます(泣)
「心配しなくても、気持ちよくしてやるから」放課後の保健室で首筋を舐められて、乳首を甘く噛まれて…。アイツの指使いはスゴすぎて、もうトロトロになっちゃう…! めいは学園一のイケメン・桐生七斗が実は苦手。というのも、七斗がいつも女の子をとっかえひっかえしては、校内の至る所でエッチしているのを知っているからだ。ある日、保健室で七斗に遭遇してしまうのだが…そこでありえないモノを見てしまう―!? ええぇ? 一体何なのコレー!? パニクっていると「実は俺、××なんだよね」って…コレ、彼のとんでもない秘密をニギちゃったってこと―!? さらにバレたら困るからって、いきなり押し倒されて、体中舐めまわされて、ついにカレの硬いアレが…! こ、こんなの困りますー!!(泣) -
にくきゅう+(プラス)
愛するペットたちと暮らしてみたら、いろんな事件が!? にゃんこ、わんこ、それにカエルまで!?大好評ペットコミック第3弾! -
カミナリさまは、なぜヘソをねらうのか?
日本の行事・ならわしに潜む「見えない」法則とは? 日本各地に残る言い伝えや習俗にはれっきとした根拠・理由があった! 古代中国の哲学・宇宙観・科学であった「陰陽五行」の法則を駆使して、その謎を明快に読み解きます。 先人たちの考え方や暮らしの様子がありありと浮かびあがるとともに、その見事な生活の知恵に驚かされます。 知れば必ず人に言いたくなる「うんちく」が満載です。 ※本書は2000年に小社より出版された単行本『カミナリさまはなぜヘソをねらうのか』を文庫化したものです。 *目次より ◎ダルマさんは、なぜ赤いのか ◎羽根つきは、なぜ正月にだけやるのか ◎節分に豆をまくのはなぜか ◎なぜ鬼にツノがあり、トラ皮の褌をしめているのか ◎カッパの頭には、なぜ皿があるのか ◎キュウリ巻きを「カッパ巻き」というのはなぜか ◎なぜ「土用の丑の日」にウナギを食べるのか ◎お稲荷さんに、なぜ油揚げを供えるのか ◎桃太郎のサル・キジ・イヌは、何を表しているのか ◎「張り子の虎」の首は、なぜ動くのか ◎のし袋の「のし」とは、何か ◎死者はなぜ「北枕」にするのか ◎墓石に水をかけるのはなぜか ◎幽霊は、なぜ「ヒュードロドロ」と現れるのか etc. -
私のなかの三つの夏
二つでは終わらない、まだ三つ目の夏がある 自由恋愛。あるいは嫉妬。 そのように呼んでしまうといかにも陳腐に聞こえるが、この短編が少女向け小説のレーベルからリリースされたことには驚いてもいいだろう。 夏があり、高原のホテルという小世界があり、女性が2人、男性が2人。 4人のあいだには2組のカップルがあり、その組み合わせがふと変化する。 まるで日差しを受けたプールの水面のように。 変化する前と後で2つの夏がある。 変化に身を委ねることができない1人を置き去りにして、早くも3つ目の夏が始まろうとしている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
傷心のつくりかた
論理的に、あくまで論理的に 『微笑の育てかた』と題された短編集に含まれた一編。 「微笑」が育つ背景には、「傷心」の生産もあった、というところだろうか。 物語はシンプルである。女が2人、男が1人。 一方で1対1の関係があり、別の一方で別の1対1の関係があり、双方に男が共通している場合、2つの1対1が2つのまま維持されるのが困難になる場合がある。 と、こんなふうにあくまで論理的に、通常なら感情や心理と呼ばれる人間の領域も論理的に書かれるのが片岡義男の短編の特質だ。 そして最後に来るのは、「笑い」。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
なんという甘いこと
まだ始まってもいない物語の空想段階はほどよく甘い 25歳と28歳と24歳。 この短編には3つの時間が流れている。 24歳、25歳、28歳と自然の時間の流れに沿うのではなくまず25歳から始まるが描かれる場面は28歳のそれで、そこからパッと現実に引き戻されるが、その着地点はさっきまで彼女がいた25歳ではなくもう1年昔の24歳。 そのようなささやかな、しかしめまいのするような時間のアクロバットによって、彼女はいま、ある「甘さ」の中にいる。 それは弱さであると同時に貴重な甘美さでもあるだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
あおむけに大の字
無防備を撮り、それを交換する関係とは何だろう? 短編というよりは掌編。 そしてちょっと不思議な一編である。 登場人物は女性2人だけ。 酔った1人をもう1人が介抱し、その後、時を経て一緒に京都に旅行をする。 仲が良いのは間違いないのだが、そこにポラロイドカメラという装置が介在することで様々な推測が働きそうだ。 しかも互いに写真を交換したりする。 彼女と彼女の関係。これはいったいなにか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
いい気分だ
波が高まって、やがて凪。いい気分だ 舞台はプール。 水をたたえた空間だが人工物であり、やや密閉感じもある空間。 主役は2人の女性。というより、身体と視線だ。 もしかすると互いを捕らえる正確さと貪欲さは異性間のそれをしのぐものかもしれない。 言葉は不要。過不足のないしなやかな動きがあればいい。 波のようになめらかに高まってやがて凪へ。 身体だけではないが身体にあくまで忠実な欲求を解放させて、今、いい気分だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
コーヒーが冷えていく
冷めたコーヒー、1人で飲むか、2人で飲むのか このうえなく愚かでバカな男がいて、しかしその男には友人もいれば親しい女性もいて、彼と彼女はまったくもって不本意な行動に駆り立てられる。 この短編小説の主役はその彼と彼女のほうである。 まさか自分がそんな行動を取らなければならなくなるなんてにわかには信じがたい状況が2人を待っている。 いわば2人とも被害者だがその2人のあいだにもまだ信頼が生まれるには至らない。 さて、せっかく買ったコーヒーは、この先、1人で飲むのか、2人で飲むことができるのか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
その物語を要約すると
その要約を物語にすると、女は殺されても生きるだろう ミステリ小説の好きな女性が、移動の時間を利用して買ったばかりのミステリに読みふける。至福の時間だ。 それがおよそどんなストーリーなのか、といった説明がまず地の文をなし、後半では恋人に近い存在の男性にむかってそのミステリの重要な鍵である「失踪」という概念について語る。 そこでは会話、という推進力によって、今ここにはない架空の、この小説の中で作られた架空の物語が生き生きと立ち上がる。その時、読者が読んでいるものは果たして何か。 フィクションの中にもう一つのフィクションが入れ子状になった一編。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
微笑の育てかた
微笑とは何だろう? そのことを探るために、例えば2つの微笑を用意してみること 微笑とは何だろうか。 破顔一笑や、大きな喜びとは違って、抑制の効いた、それでいて隠しようもなく何かが放射されてくるようなその顔の動きは、例えばそれが女性ものである場合、男にとって女性の微笑とは何だろうか。 2人の女性がいる。その2つの微笑が「似ている」としたら、その共通部分に微笑の何かしらの本質があるかもしれない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
鏡が必要です
私は鏡、鏡は彼女、彼女は私 不可思議な短編小説である。 登場人物は3人。女が2人で男が1人。 しかし女のうちの1人は、確かにそういう女性が存在すると会話の中で示されるだけで実物はシーンの中に現れない。 そしてその現れない彼女と今ここにいるもう1人はとてもよく似ていて、服も共有、部屋も共有、そしてどちらがどちらなのかわからなくなる瞬間がある、というその生活が、女と男の食事中の軽い会話の中で明らかになる。 鏡の中のエロス、としてのポルトレ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
桔梗が咲いた
ある小説の助走のような小説は、そのままひとつの完璧な小説になった 作家自身が「あとがき」に書いたようなひとつの明確なイメージ、明確だが小説としては何年も結実しなかったイメージの定着がここにはある。 この小説では登場人物の誰もが物語を作ろうとしている。 作ろうとしながら、自分自身にも物語を持っているのは女性たちだ。 1人の男性作家によって彼女たち自身のティーンエイジャーの頃の生きた時間が呼び出され、語られ、しかしその語りの一部にはフィクションも含まれている、という微妙なあり方。 誰もが現実を超えた手の届かない存在に向けて大人になった今の時間を生きる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
キャリアコンサルタントで、現役採用担当者がこっそり教える履歴書対策
採用経験が豊富(現在も現役の採用担当者)で、かつキャリアコンサルタントの資格を要している筆者が、採用担当者と応募者のフォローする側という両方の立場から、今までにない履歴書対策本を書きました。 履歴書とは、あなたをPRするための重要な書類です。そんな重要な書類にも関わらず、何の対策もせず、運を天に任せてよいのでしょうか?履歴書の重要性に気づき、自分の何をPRすればよいのか、そして、そのためにはどのような履歴書を作成すればよいのか。 外せない基本の項目をおさえ、自分の個性(項目はもとより、文中の文字の大きさ、網掛けなど)を反映させ、お買い得感を表現できた履歴書は、就職活動への強い後押しになります! -
泉鏡花 現代語訳集12 照葉狂言
鏡花独特の美しい色彩感覚と、揺れ動く人情とに満ち満ちた、戯曲を思わせる小説の現代語訳。 【あらすじ】 幼くして母を亡くした私の心を慰めてくれたのは、二坪に満たない日陰の庭に大きく育った一本の青楓と、継母のいる向かいの家の、優しい姉上、そしてもう一つ、町の外れの見世物小屋にかかる興行であった。 その入り口には桜の造花を廂に差して、枝々に、「て」「り」「は」と一つひとつ染め抜いた、赤と、白の、たくさんの小提灯を、数え切れないほど吊るして、夕暮にはそれらすべてに灯が入れられた。 毎晩見に行く私の顔を覚えて、ある日、一座の女が、深紅の鹿の子染めのうつくしい座蒲団の上に座らせてくれたが、演目が果てた後、送ってもらって家に帰った私は、我が家の世話をしてくれていた伯母が、警察に捕らえられる光景に遭遇する。 わたしのところへいらっしゃい―と言ってくれる、姉上と女役者の言葉に、私の気持ちが揺れた時、継母の声がしたため、咄嗟に女役者のあたたかい肩掛の下に、小さな私の身体は潜り込んだ。 それから八年、何もかもが変わってしまった故郷へ、その一座の一員として立ち戻った私は、あの青楓のために、懐かしい姉上が不幸な境遇に陥っていることを聞き知ったのであった。 【訳者略歴】 白水 銀雪(しろみ ぎんせつ) 慶應義塾大学大学院博士課程中退(専攻:数学) システムエンジニア・プロジェクトマネージャー・コンサルタントとして、宇宙分野を中心とする科学技術系システム開発に従事 現在、蓼科にて山暮らし -
彼氏の先輩にラブホに連れ込まれて…
秘密をバラされない為に私は彼氏でもない男に無理やり抱かれてる。「自分でもわかるだろ?こんなにグショグショにして…」彼の名前は寺井省吾。「俺の言うことが聞ければ黙っててやるよ」あの日から彼の呼び出しには逆らえず、執拗に攻められる日々が始まった。私には付き合って一年になる彼氏がいる。純平とは初めはラブラブだったのに、最近は浮気疑惑がしょっちゅうで。ある日、落ち込んでいると、女友達が女子会をしてくれることに。嫌なことを忘れちゃおう!とお店に行ってみるとまさかの合コン!?しかも席には純平のゼミの先輩の寺井さんがいて…。酔って体に力が入らず、抵抗出来ないままホテルに連れ込まれ、彼氏に秘密にする条件に求められたのは… -
社長の決断 その裏側
危機と混迷に直面したとき、社長は何を根拠に決断したか! 長い歴史を持ち、規模の大きさを誇っても、企業の命運は明日さえ知れない。社会はいつもめまぐるしく変り、価値観は揺れ動く。企業の存亡が問われる局面で、経営トップの下した決断は、どんな結果をもたらしたか。実名と実例をあげて分析する。「名社長 決断の極意」改題。 -
イエローキャブ
「あかん。日本人は魅力ないもん。」元スタイリストのヨシコ(35歳)、ドラッグの売人リカ(24歳)、東京とニューヨークでレイプを体験をした冬美(31歳)……孤独と貧乏暮らしに耐え、それでもアメリカに居続ける彼女たち。5カ月に及ぶ徹底取材の後に見えてきた日本女性の意外な素顔とは? 衝撃のレポート! -
【ヨココミ】女犯坊第2部大奥篇
40年以上前に肉弾劇画作家・ふくしま政美の描いた伝説の作品「女犯坊」が電子書籍の新スタイル【ヨココミ】で復活!! 第二部はあの“大奥”が舞台! 絶倫の精力を持つ怪僧「竜水」が大僧正の地位を手に入れ、外界から閉ざされた女たちの城・大奥への手がかりをつかむために…… 毎週金曜日に続編が登場! ※【ヨココミ】とはスマホやタブレットで読むことを前提とした“電子書籍のあるべき姿”に漫画・劇画を再構成し、横持ち(ランドスケープモード)でワイドに見やすくしたものです。 -
フラッシュ・バックを使うな
撮って、と彼女の現在が言う 作品の隅々にまで、シドニーのさわやかな風が吹いている。 そして、片岡作品の顕著な主題の一つである「再会」がここでもあざやかに表れる。 18歳から28歳へ。東京からシドニーへ。 10年の時を乗り越え、始まることのないまま途切れていた線が再びつながる。 写真とは撮られたものばかりでなく、これから撮るものも写真であるはずだと、この作品は高らかに告げている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼らがまだ幸福だった頃
生きることは、見ることのレッスンだ 徹底して「見る」ということを主題にした長篇である。 刻々と変化する時間と風景の中で何をどう見るのか。見て記憶するのか。 見ることを精密にするためにこの小説で導入されるのが写真。 男は写真を撮ることを通じて「見る=思う」ことを学ぶ。 そして女はいつも見られる存在でありつつ、「なににもならないままでいる」ことを続ける。 場所が変化する。ホテル、という中立の場所がある。 オートバイもある。それらはすべて「見る」ことのための好ましい環境だ。 「見る」「見られる」ことができている時間が幸福の時間である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
無理をする楽しさ
だめ、だめ、その日もだめ これもまた「再会」の物語である。 片岡義男の小説世界にあっては1台に2人が同乗することももちろんあるが、 1台に女が、別の1台に男が乗り、前後して道を走るシーンの美しさが際立つ。 2台が1台になるのはどちらかの自動車ではなくホテルのベッド、という成り行きになっていく。 問題は「再会」のその次だ。 次に会う機会をわざと延ばしてみるのもいいかもしれない。 例えば次がまた新たな「再会」になるくらい遠くまで。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
メドレーで六曲
終わり良ければすべて良し、そして次へ 掌編、と言って差し支えないごく短い6編を読者はするすると追いかけていってサラリと読み終えてしまう短編小説だ。 いずれも軽やかでチャーミングな、終わる、ということの重さを払拭したラストシーンを持っている。それが6つ。 なるほど、『ラストシーンの出来ばえ』という短編集に収録されるにふさわしい内容だ。 同じく『ラストシーンの出来ばえ』に収録された別の短編「私のなかの三つの夏」の登場人物と同じ姓の男が出てくるのはさて、偶然か必然か。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
あなたは男で私が女
あなたは男で私が女、あの人が女で、女がもう1人 このタイトルから類推されるのは例えば女と男のラブストーリーだろう。 その予測は間違いではない。が、本流でもない。 高原のテニスコート、という巧みな装置を得て、物語は動いていく。 コートでのゲームは対称をなす混合ダブルスではなくそこに男は1人しかいない。 すると、どうなるのか。 男は女にはなれない、という事実がそこに、差し出されるのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ろくでもない男
港と風と、女が2人 タイトルは「ろくでもない男」だが、これはむしろ女の物語だ。 男に従属するのではなく、しかし男に連れられて渡っていくことを自分なりに受け止めている、そういう女のストーリー。 語尾に「だぜ」をつける男の安さが愛らしい。 それをその都度たしなめる女。 ラストシーンではそんな女が2人になり、風の中で笑いがはじける。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ビールをくれ
夏だから、というだけでなくて、ノドが渇く場面だ。ビールをくれ この若さでなぜそんな部屋数の多い家に住めるのか。 そんな現実的な疑問は物語を快適に読むための好奇心に変えたほうがいい。 たくさんの部屋。いくつも角を曲がる廊下。 そして、どこから見ても死角になっているバルコニー。 楽しくもご都合主義に満ちた舞台は、整った。 季節は夏。まずはビールで乾杯。 そして乾杯のあとの、男1人と女2人だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼のオートバイ、彼女の島2
映画を書く、という仕方で行なわれる作品解説もまた、1個の独立した作品である 『彼のオートバイ、彼女の島』の続編ではない。 先行するその小説が映画化されるとしたらどうなるか、ということをテキストでやってみる、しかも同じ作家の手によって、という試みである。 場面描写が続く、ということだけでは済まず、そこにカメラと、そのフレームの意識、さらにはフレームが切り取る画面の意識が強固に表れるのが片岡義男らしい。 いわばこの作品は、作家自身によるカメラを媒介にした作品解説であり、批評なのだ。 そしてそれは同時に、生まれ変わった独立した作品でもある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
私たち三人
「私たち三人」と「私たち」二人が言う 比喩ではなく、文字通りの挟み撃ちである。 なにしろホテルのバーカウンターだ。 撃たれる立場の人間を真ん中に置き、全部で三人ならそういうことになる。 しかし面白いのは、右側からも左側からも攻撃はない、ということだ。 なのに真ん中は中座する。だから三人は二人になる。 まだまだ続きがありそうだ。 「私たち三人」と言い放つのは右と左の二人だ。 さて、真ん中はどうするだろうか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
私の風がそこに吹く
部屋とはなんだろうか? そして、部屋の中で風を受けることとは? この短編の主人公は、1人の女性と、もう一つは部屋だ。 部屋に帰りたくない、という思いがあればホテルに泊まるし、部屋探しをしている女性がいれば、同居したりもする。 部屋とはいったい何なのか。 住む人と部屋の関係とは何なのか。 同居生活がなじんできた頃、狙いすましたように魅力的な物件にめぐり合う。 そこで彼女自身に他ならない風を受けたら、あとは誰にも止めることはできない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ねことも増刊~気ままにゃんこのスローライフ♪~
天邪鬼にゃんこ・サファたん、かわいい仕草を激写しようとすると必ずそっぽを向く!? おすましにゃんこ・カメちゃん、普段はボケっとしているのに、おねだり時だけ美猫に変身!? 几帳面にゃんこ・ナナちゃん、脱ぎっぱなしの靴下は、ちゃんと運んで猫砂の中にしっかり収納!? ほか、お夜食中のご主人さまを冷めた目で監視するクールにゃんこや、タバコを吹かすニヒルなネズミとおっとり猫の時事ネタ漫才や、野良猫連中の間でウワサされる「にゃんこかじり」の正体が明らかに?…などなど、気まぐれに見せるにゃんこの魅力に笑い&癒し&幸せ感じるエピソード集♪ -
大罷業
大正9年2月、官営八幡製鉄所の一画に突然汽笛の音が鳴り響いた。日本労働運動の戦前の到達点とされる大ストライキを告げる、それが歴史的な闘争の幕開きであった。臨時工から本工になったばかりの20歳の青年・篠原辰吉は、争議の渦中で悩み、疑いながら、闘いに参加する。嫂への思慕と、ときに娼婦への惑溺に揺れつつ、辰吉は自分の生きかたをつきつめてゆく。辰吉の父は戦死し、兄もまた同じ職場で殉職していた。争議の過程で、さまざまな人間関係の軋轢が生じ、一方、警察・暴力団の介入や、朝鮮人臨時工のスト参加など階級関係が明らかにされてゆく。そして辰吉が自らの真実の生きかたを自覚したとき、それは厳寒の洞海湾で「無産者萬歳!」と叫びつつ、生を終える時でもあった。佐木文学の原点ともいうべき、作者24歳の最初の長編力作。戦後労働者文学の感動的な代表作である。 -
下流老人のウソ (Wedgeセレクション No.54)
下流老人に老後破錠。老後リスク本はシニアの心に刺さり、不安が経済を冷やしている。ブームは政策を動かし、3万円の給付も決まったが、実はこの老後の貧困、統計分析としては不正確だ。 【WedgeセレクションNo.54】 目次 ■INTRODUCTION 高齢者の貧困は改善 下流老人ブームで歪む政策 文・Wedge編集部 大江紀洋 ■PART1 アベノミクスを阻む「年金制度の壁」は一刻も早く撤廃すべき 文・熊野英生(第一生命経済研究所 首席エコノミスト) ■INTERVIEW シニアの消費喚起の抜本策は最低保障年金と相続増税 飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授) ■PART2 シニアの強みを引き出せ! 70歳代活かす企業は「仕組みを変える」 文・Wedge編集部 ■COLUMN 改善するシニアの労働市場 人気の事務職は狭き門 文・Wedge編集部 ■PART3 働くことこそ老いを遠ざける 若さ保つシニアの三者三様 文・林えり子 ※この電子書籍は、月刊『Wedge』2016年2月号に掲載された記事を一部編集したものです。記事中の事実関係、データ、肩書き等は掲載当時のものです。 -
ライバル~特別な男
「お前のなら汗でも●液でも平気」誰に対しても超・上から目線な戸村が、ライバルであるはずの俺に向かって熱っぽい瞳で…。高校テニス界の2大スター、藤那と戸村。ひたむきにテニスに打ち込む藤那は、天才的な才能があるのに薄っぺらくしかテニスに向き合わない戸村が憎くてたまらない。神聖なコートの中でも、不遜な態度で傲慢な瞳の戸村を見る度、彼に勝つことだけを思い、藤那は毎日練習をやってきた。ところがそんな2人が、同じ大学、同じテニス部に!! さらに「ダブルスを組め」と部長の絶対命令。出来れば距離を取りたい相手のはずなのに、なぜか戸村は「呼吸をあわせて一緒に汗をかこうぜ」と、シャワー室で俺の背中をなぞり、勃起したアレを俺のモノに擦りつけてきて―…。 -
最愛のダーク・ブルー
誰もいないブルー このごく短い小説は、冒頭とエンディングがブルーで埋め尽くされている。 2つはまるで種類の違うブルーだが、その深さ、途方もなさにおいて共通している。 そして2つのブルーのあいだに、ただ2人だけの登場人物がいる。 他人同士だが、彼女と彼は親しげに言葉を交わす。 2人のあいだには静けさがある。 それは、彼の許から多くの人が去っていったあとの静けさだ。 残された彼は苦心して1つのブルーを生み出し、そして今また、出発しようとしている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ふたとおりの終点
終点を語る4人の男女、未だ終点に至らず。 同じ大学に在籍していた男女4人がステーション・ワゴンで西へ向かう。 やはり同じ大学にいた友人の結婚披露宴に出席するためだ。 社会に出て数年。もはや学生ではないが職場ではまだ中枢まで至らず、宙ぶらりんの時期である。 しかも独身。男2人にとって結婚は自分の問題ではなく1つの話題として話のネタになるばかり。 さっさと手を動かしているのは女のほうだ。 目的地にはまだ着かない。 ふだんはまるで縁のない地方都市の朝の光の中で、よるべない存在として、4人はステーション・ワゴンの中に浮いている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
胸に吸いこむ潮風
彼女がちょっかいを出す18歳の夏の終わり 片岡義男の小説の登場人物たちは、18歳という若さにあっても、巧みにステーション・ワゴンを操作する。 法的にも許される年齢なのだから当然だ、とでも言うように。 そしてそのステーション・ワゴンは都合によってあっさり譲渡される。 しかし女と男の関係は・・・・・・ 三角関係、というのではなくて、女が男2人にちょっかいを出す、という仕方で暮れていく18歳の夏がある。友人同士である男たちは翻弄される、のとは少し違う仕方で、しかし彼女の言うがままになる。 そういう18歳の、夏の終わりの3人の物語。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
紅茶にお砂糖
彼女が紅茶で男が砂糖。底に沈んでかきまわされよう 再会。これもまた片岡作品の主題の一つである。 同じ人間が、時間と場所と立場を変えると、同じ人間ではなくなる部分と、それでもやはり同じ人間であり続ける部分の絶妙のブレンドとなりストーリーは進展していく。 再会することが自由ならば、再会に至るまでの時間に、空想を膨らませることも自由だ。 再び会った瞬間、1つに溶け合うことさえも。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
オートバイに乗る人
人事は荒れても、秋はきょう、この日から始まる ひどい仕打ちであることは間違いないにしても、それをこんなふうにやってのけることにはやはり小説としての爽快感があると言うべきだろうか。 どちらからともなく仕掛け、あいまいに合意し、到達しようとしたところで男はさっと身を翻す。 オートバイに乗る男は身軽だ。 相手の中にある自信、傲慢を打ち砕くこと。 そのあとに乗るオートバイ、そこで感じる秋の最初の一日の快適さ。 本当にひどい男であっても、その快適さは真実だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼女から学んだこと
彼女のサイレント・ポートレート 会話や口にされる言葉がまったくないまま小説はしばらく進行していく。 彼女、と呼ばれる女性がどんなふうに水にダイヴするのか、どんな水着でどう歩くのか、本を読む時はどうか、オートバイに乗ったらどうなるか、どのようにコーヒーを飲むか、そうしたポルトレの数々で、ストーリーがあるようなないような曖昧さの中で進んでいく。 「彼女」は1人なのか、複数なのか。 そして48章にいたって、転回が始まる。これはどんな小説か。 「彼女から学ぶ」のは誰なのか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
別れて以後の妻
突然にやってきたノンフィクション 片岡作品にとって重要な「再会」をモチーフにした作品群の一つ。 季節がいつのなのか、場所はどこか、再会の状況はどんな具合か、それら一つひとつの条件が、場面を輝きのあるものにする。 顔よりもまず、後ろ姿。 男が凡庸なリアクションを繰り返すことでかえって女性の魅力があきらかになる語り口。 男は自分が体験した驚きを自分で書き、やがて自分が最初の読者になるはずだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
きみを忘れるための彼女
典型的に愚かな男はうつくしさを知っている 自分とはスピードが合わない。 自分はいつも遅れてしまう。 その「遅れ」の自覚から取った行動がとりかえしのつかない結末につながる。 それは2人の女性を不快にする結果にもなったが事態をハッキリと前に進めることにも寄与した。 今、男が持っているのはその「遅れ」と愚かさだ。 そのせいで彼は女性を失ったが、そのせいで彼は彼女と彼女のうつくしさを知った。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ハートのなかのさまざまな場所
彼女はグレープフルーツ 片岡作品の男女関係においては嫉妬、という感情は陰を潜めている。 皆無ではないが、むしろ嫉妬によって損なわれる何かを大切に扱うことに重きを置いている、というべきか。 真っ二つに割ったグレープフルーツのように2人の男が彼女を共有する、というユートピアがかくして実現する。 それが女性を弄ぶ、といった事態を招かないのは女性のハートに場所がたくさんあるからだ。 グレープフルーツの中に、たくさんの房が含まれているように。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
一日の仕事が終わる
仕事とは彼女の長い一日のことだ 大人同士の関係ならば、互いに仕事を持ち、そのことを尊重し合う、というのが通常の状態だろう。 そして仕事が終われば、夫婦であれ、恋人同士であれ、仕事の時とは違うふるまいをするのもまた普通である。 しかし、そのスイッチがうまく行かない、いや、スイッチを換えたくない状態というものが時折やってくる。 そんな時は金曜日であれば京都に行ってしまう。 一人になること。そして思いがけないハプニングも含めて自分の状態にある種のケリをつけること。 こうして彼女の長い一日がようやく終わる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
昔々、ある夏の日に
2つの約束は、真夏の空の下で果たされる。 17歳、盛夏。青春の真っ只中の時間に、ボビーと呼ばれる少年は2つの約束を果たすためオートバイに乗って西へ向かう。 1つはオートバイを売却するため。 もう1つはそこからの帰路、同級生の女の子に会うためだ。 2つの約束のために、2つのよくできた略地図が役に立ち、約束は首尾よく果たされる。 しかし、まぶしいほどの夏の光の中に1つの闇があったことをボビーは少女に話さない。 2人の頭上には、ホースから無限にあふれてくる水と真っ青な夏の空が広がっているばかりだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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