朝河貫一作品一覧

  • 維新の肖像
    4.2
    明治維新そのものが持つ思想と制度の欠陥に根本原因があるのではないか――1932年、イェール大学で歴史学を研究する朝河貫一は、日露戦争後から軍国主義に傾倒していく日本を憂えていた。そのとき、亡父から託された柳行李を思い出す。中に入っていたのは、二本松藩士として戊辰戦争を戦った父が残した手記だった。貫一はそれをもとに、破滅への道を転げ落ちていく日本の病根を見出そうとする。明治維新の闇に迫った歴史小説。
  • 月刊「潮」2024年3月号
    -
    1巻719円 (税込)
    月刊「潮」2024年3月号 主な内容 【特別企画】いま私たちが直面している危機 「政治とカネ」にメスを入れる改革は待ったなし! 川上和久 VS 石井啓一 世界の危機を前に甦る朝河貫一の“警鐘”。 安部龍太郎 VS 浅野豊美 ≪特別ルボ・後編≫ 人間性を破壊する戦争の怖さと愚かさ――ウクライナの激戦地から。 宮内悠介 【特集】ロマンあふれる文化の楽土・栃木県 大好きな栃木のためなら何でもお手伝いさせていただきます! 大島美幸 マツケンサンバを通して伝えたい「夢」の大切さ。 真島茂樹 北関東の未来を乗せて宇都宮LRT、出発進行! 原 武史 「おらが街のチーム」を県民が育てる“スポーツ王国”。 小森信道 野に咲く花のように――歌で皆さんに元気を送りたい。 ダ・カーポ 【特集】池田大作第三代会長と月刊『潮』の63年。 月刊『潮』編集部 【連載ドキュメンタリー企画】 民衆こそ王者 池田大作とその時代 道を開く人篇 【新連載】老舗探訪――100年企業のここがスゴイ! 千疋屋総本店――世界でも珍しい老舗「果物商」の機敏な舵取り。 神田憲行 【新連載】東北の未来を拓く「青年力」 伝統製法にこだわる酒造りで個性が輝く。 佐藤祐輔 【特集】アスリートたちの肖像 ≪ルポ≫箱根で見えた課題と収穫――ドキュメント創価大学駅伝部。 酒井政人 井上尚弥VSタパレス観戦記――彼にとって富や名声は、付属物にすぎない。 天野純希 美術史学の権威が「大シルクロード展」の魅力を語り尽くす。 青柳正規 【ルポ】学校を飛び出し“学び”に出合う真夏の大冒険。 黒島暁生 【好評連載】 ニッポンの問題点 山野千枝 VS 田原総一朗/鎌田實の「希望・日本」 鎌田 實/高島礼子の歴史と美を訪ねて 砂原浩太朗 VS 高島礼子/他 その他
  • 日米の教育の違いから見えた グローバル・エリートの条件 何が「本物の人材」を生むのか?
    3.7
    1巻1,500円 (税込)
    アベノミクスの立役者、イェール大学名誉教授、内閣官房参与の著者による「グローバル・エリート論」。なぜ、ノーベル経済学者トービン博士は著者を叱ったか。日本人学生に唖然とした理由。エリート不在の日本が被る不利益とは? アメリカ人が大事にしている意外なスキル。STAP細胞騒動から見る日本のエリート論。「よい頭」と「強い頭」の違い。朝河貫一、松本重治というグローバル・エリート。日米の大学の教壇に立ち、その人材観の違いを目の当たりにした著者が、「日本人が世界で戦うために必要なこと」を語り尽くす。教育者、女性、アメリカの大学生との特別対談も収録。柳沢幸雄(開成中学・高校校長)――自分の人生を自分で決められる人材を育てる。林裕子(山口大学大学院特命准教授)――女性エリート育成には何が必要か。笠井淳吾(イェール大生)――現役イェール大生に聞く! 真の「グローバル人材」とは何か
  • 日本の禍機
    4.3
    世界に孤立して国運を誤るなかれ──日露戦争後の祖国日本の動きを憂え、遠くアメリカからエール大学教授・朝河貫一が訴えかける。歴史学者としての明解な分析に立って、祖国への熱い思いが格調高く述べられ、読む者の心に迫る。彼の忠告も空しく、軍国主義への道をつき進んだ日本は、戦争、敗戦へと不幸な歴史を辿った。日米の迫間(はざま)で、日本への批判と進言を続けた朝河。彼の予見の確かさと祖国愛には、今もなお学ぶべきものが多い。 目次 ●前篇 日本に関する世情の変遷  日本に対する世評の変化  満州における日本に対する世の疑惑の由来  反動説──感情的反対者──利害的反対者  東洋における世界の要求  一八九九年以前  一八九九年以後  日露戦争以後 ●後篇 日本国運の危機 ・第1章 戦後の日本国民多数の態度に危険の分子あることを論ず   国権説は機に後れたり   国勢は劇変して国民の態度はこれに副わず   国民の危険なる態度、国運の危機 ・第2章 日本と米国との関係に危険の分子少なからざることを論ず   米国人の日本に関する感情の変遷   日本人の米国に関する思想の浅薄   日、清、米の重大なる関係   米国と新外交、清国の信頼   米国人民の東洋に関する輿論   米国為政者の東洋に関する思想 ローズヴェルト氏、タフト氏   結論 日本国民の愛国心
  • 幕末的思考
    5.0
    幕末から明治への列島の歩みは、暗から明への昇華ではない。それは、列強による開国への圧力を前に、尊皇攘夷から尊皇開国への転向とその隠蔽、新政府の正統性の急造を伴いながら、慌しい近代国家建設を余儀なくされる過程であった。しかしそこでは、植民地化への危機感と理不尽への抵抗を糧に、普遍的価値のうえに新社会を構想する思考が、徒手空拳で模索されてもいた。中国や西欧からの輸入ではない、この国に地生えの思考が育まれる契機は、しかし、生みの親でもある対外的「危機感」に圧迫され、皇国主義イデオロギーの席巻という試練のなかで影を潜めていった。帰結の一つは、現在も続く第二極の不在である。本書は、「明治維新」という事後的な枠を通しては見えてこないその思考――幕末的思考――の系譜を、吉田松陰、中岡慎太郎、坂本龍馬、福沢諭吉、中江兆民、北村透谷、夏目漱石、朝河貫一、中里介山らに辿り、その画期性を歴史の行間にあぶりだした精神史的試論である。松陰の「やむにやまれぬ大和魂」の射程、中岡と坂本の連携を支えた地べたの普遍感覚、私情こそ公的なものの源泉であると見た福沢や、後発近代社会こそが民権論を実践できるという兆民の価値転倒の試み、『こゝろ』で「先生」の殉死に託した漱石の抵抗、介山『大菩薩峠』が描く明治がこない世界――。彼らの未成の思考を紡ぎ直すこと。その今日的意味の切実さを、幕末の人びとの経験は我々に教えている。
  • 明治日本はアメリカから何を学んだのか 米国留学生と『坂の上の雲』の時代
    3.0
    高橋是清、新渡戸稲造、金子堅太郎、團琢磨、小村寿太郎、秋山真之――明治の「日米同盟」をつくった男たちの秘史に迫る 明治日本といえば、憲法を学んだドイツや日英同盟を結んだイギリスなど欧州に光が当たることが多い。 だが、日本の運命を決定したのは日米関係であり、その集大成が、日露戦争であったと著者は主張する。 開国直後に密航など危険を犯して渡米した第一世代。 同志社をつくった新島襄、のちに日本の財政を一手になう高橋是清、初代日銀総裁として金融機関の整備にあたった吉原重俊などをとり上げる。 学費が安いことから次々と優秀な若者が派遣された第二世代。 当時最先端だったロースクールを選んだ二人の青年。同じ下宿先からハーバード大に通った小村寿太郎と金子堅太郎は、ともにポーツマス条約締結のため活躍する。イエール大で学び、のちにアメリカで教職についた朝河貫一は、ポーツマス条約におけるロシアとの講和案作成に関与、マサチューセッツ工科大で冶金学を学んだ團琢磨は、卒業生を巻き込んだ親日世論工作を行う。 日露戦争で日本海軍を指揮した秋山真之もまた、アメリカ留学生の一人だった。 日露戦争終戦後、両国関係は悪化、留学生たちの運命も変わっていく。長命だった金子は反米主義者に、日米親善に尽力した團は血盟団によって暗殺された。日本の国際的孤立を決定づけた外相・松岡洋右(オレゴン大)、は、誰よりもアメリカを知ると豪語するが、最も大きく読み間違えた。 そして、運命の真珠湾攻撃の総指揮を執ったのは、ハーバード留学生の山本五十六であった―― 丁寧な現地取材から浮かび上がる日米関係秘史。

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