坂上弘作品一覧

  • 百日の後 坂上弘自選短篇集
    -
    「第三の新人」世代に続く、「内向の世代」グループの一人である坂上弘は、「第三の新人」とは違った意味で、生活者の視点から小説世界をつくり上げてきた。文学が特別な社会を対象としたものでなく、日々の暮しのなかでのサラリーマンであり、同人雑誌仲間との交友でありと、一見、平凡な日常のうちに、ニュアンスを含んだ人生を見出す。表題作ほか著者自選の5篇を収録。
  • 会社員とは何者か? 会社員小説をめぐって
    4.0
    1巻2,508円 (税込)
    果たして会社員は小説の主要な登場人物になりえるのか? 著者はこんな命題を抱え、会社員が主人公の古今の小説に切り込んでいきます。取り上げられるのは、源氏鶏太、山口瞳、庄野潤三、黒井千次、坂上弘、絲山秋子、長嶋有、津村記久子、カフカ、メルヴィル……。そこから見えてくるのは、自明なものとして受けとめられている「会社員」という言葉・存在に潜む謎だった。いったい、会社員とは何者なのか?
  • 銀座復興 他三篇
    3.8
    「復興しないったってさせてみせらあ。日本人じゃあねえか。」焼け野原の銀座にたったひとつ灯った、トタン小屋の飲み屋のランプ――作家と実業家、二足の草鞋を生涯貫いた水上滝太郎(1887-1940)が、関東大震災後の銀座の人びとを描いて力強い『銀座復興』。他に、『九月一日』『果樹』『遺産』を収録。(解説=坂上弘)

    試し読み

    フォロー
  • 故人
    -
    自分を文学の世界に導いてくれた、兄のように慕う先輩作家が、原稿を郵便で出した帰途、トラックに轢かれ死んだ。理不尽な死を前に混乱、自失する家族や友人たち。青年は深い喪失感を抱えながら、社会との折り合いに惑い、生と死の意味を問い続ける。三四歳で早世した山川方夫の人生を、彼の最も近くで生きた著者が小説に刻んだ鎮魂の書。
  • 田園風景
    4.0
    貿易会社に勤める主人公の日常を東南アジアを舞台に描いた表題作「田園風景」、知り合いのアメリカ人夫婦の子供を預かる話「夏野」「向かいて聞く」、ほかに「コネティカットの女」「土手の秋」「寒桜」など9篇。明瞭な日常風景が、抽象世界へと転化し、人間の存在が、描かれる風景に同化し吸収されてゆく独得の世界を展く、傑作短篇小説集。野間文芸賞受賞作。
  • 「内向の世代」初期作品アンソロジー
    4.0
    1970年、文芸誌『文芸』は2度にわたり、当時たびたび芥川賞候補に挙げられていた若手作家5人を集め、「現代作家の条件」「現代作家の課題」と題した座談会を開く。翌年、小田切秀雄に「内向の世代」と呼ばれる彼らは、現代作家に大きな影響を及ぼすことになる。本書は座談会出席者の一人黒井千次氏が、初期作品の中から瑞々しい魅力を放つ中短篇を精選した作品集。収録作家:後藤明生、黒井千次、阿部昭、坂上弘、古井由吉。
  • 初めの愛
    3.0
    男は危機的な状況にある。愛人と暮しながら、妻子のほうにも週に一度帰る、そんな状態が会社の取引先社員の失踪によって、明るみに出かねない。自分にも他人にも誠実であろうとする彼が、ふと立ち返るのは、おのれの愛の初源の場……。35歳、中間管理職の、真摯な宙ぶらりんの生。芸術選奨新人賞受賞の野心的長編。
  • 枇杷の季節
    -
    「異郷人」の自覚は、すでに彼には親しいものだった。父の転勤のたびに繰り返した転校、いつも身近にあった戦争の翳、渾沌としたそれらの日々に訪れた、人生への早い目覚めがうながしたものは……。原点としての幼少年時代とその心の領域の移りゆきを、よく醒めた文体で感銘ふかく描きつくす好短篇集。5篇を収録。
  • 優しい人々
    -
    兄夫婦の交通事故という天災のような事態が、一族の人間関係の中にひき起した大きな波紋。父が母が妻が妹が、ベッドの上の兄と死んだ義姉をめぐって、時にはかくされていた心理をあらわにしながら、ぶつかり合う。不意に緊張状態に置かれてしまった家庭を見つめて、現代における真の愛の可能性を探る、問題の長編小説。

最近チェックした本