小説・文芸 - 加藤典洋作品一覧

  • オレの東大物語 1966――1972
    4.0
    「東大は、クソだ」。長年のタフな論争を闘い抜いてきた文芸評論家の原点は東大闘争、しかしながら大多数の同時代人とは異なり、医学部を中心に華々しく展開したメインストリームに較べれば幾分「地味」な文学部闘争にあった……。6年間の学生生活で著者がきたした変調、払拭し得なかった違和感とは。周りを囲む様々な知性との交錯を重ねながら、やがて導かれた独自の結論としての、「内在」から「関係」への転轍。かつて自身が幕末の尊王攘夷に用いた概念が、ラストでは加藤自身に照射される。2019年5月に急逝した日本を代表する文芸評論家が、まったく新しい文体で「パンドラの箱」に挑み、骨太な思想の淵源を初めて明かした、唯一無二の青春記。
  • 完本 太宰と井伏 ふたつの戦後
    4.0
    「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」(「ヴィヨンの妻」)四度の自殺未遂を経て、一度は生きることを選んだ太宰治は、戦後なぜ再び死に赴いたのか。井伏鱒二と太宰治という、師弟でもあった二人の文学者の対照的な姿から、今に続く戦後の核心を鮮やかに照射する表題作に、そこからさらに考察を深めた論考を増補した、本格文芸評論の完本。目次太宰と井伏 ふたつの戦後太宰治、底板にふれるーー『太宰と井伏』再説解説 與那覇潤
  • 戦後的思考
    5.0
    1995年、戦後50年目に発表された「敗戦後論」は、単行本刊行後、百を越える批判を左右両翼から浴びた。本書はその反響の醒めぬなか、それらを正面から受け止め、「批判者たちの『息の根』をとめるつもり」で書き始められた。「戦後的思考」とは何か。戦前と戦後はなぜ「つながらない」のか? 今こそ我々に必要な、生きた思想と格闘する画期的論考を、増補改訂を施し、21世紀に再度問う。*解説は収録されていません。
  • 小さな天体―全サバティカル日記―
    -
    アイスランドの火山灰から福島第一原発の放射能まで。地球がいかに小さな天体であるか、改めて知らされたこの一年。春夏はデンマークのコペンハーゲン、秋冬はアメリカ西海岸サンタバーバラに暮らし、帰国したのは「震災後」の日本だった――。見ること、考えること、人とともに生きることを積み重ねた、サバティカルの全記録。

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  • 敗者の想像力
    4.2
    1945年、日本は戦争に負け、他国に占領された。それから四半世紀。私たちはこの有史以来未曽有の経験を、正面から受け止め、血肉化、思想化してきただろうか。日本の「戦後」認識にラディカルな一石を投じ、90年代の論壇を席巻したベストセラー『敗戦後論』から20年。戦争に敗れた日本が育んだ「想像力」を切り口に、敗北を礎石に据えた新たな戦後論を提示する。本書は、山口昌男、大江健三郎といった硬派な書き手から、カズオ・イシグロ、宮崎駿などの話題作までを射程に入れた、21世紀を占う画期的な論考である。【目次】まえがき/はじめに 想像力にも天地があること――小津安二郎、『敗北の文化』、カズオ・イシグロ/第一部 敗者の日本/第一章 私たちが被占領民だったころ――W・G・ゼーバルト、林達夫、朴泰遠/第二章 占領下の文学――第三の新人、曽野綾子、大江健三郎、目取真俊/第三章 ゴジラは死んで、どこに行くのか?――本多猪四郎、R・エメリッヒ、G・エドワーズ/幕間 シン・ゴジラ論(ネタバレ注意)――庵野秀明/第二部 敗者の戦後/第四章 低エントロピーと「せり下げ」――山口昌男と多田道太郎/第五章 世界の奴隷として考えること――吉本隆明と鶴見俊輔/第六章 「成長」なんて怖くない――宮崎駿と手塚治虫/第七章 大江健三郎の晩年/終わりに 『水死』のほうへ――大江健三郎と沖縄/あとがき
  • 村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011 上
    4.0
    1~2巻1,155~1,265円 (税込)
    英訳された作品を手がかりに村上春樹の短編世界を読み解き、その全体像を一望する画期的批評。短編小説からアプローチすることで、村上がそのデビュー時から、どのような課題にぶつかり、固有の困難を自らに課し、それらを克服してきたかが見えてくる──。上巻では、「言葉」か「物語」かの二者択一という問いに突き当たった「初期」、そして、本格長編『羊をめぐる冒険』以降、はっきりと「物語」に軸足を置くことになった「前期」の作品群をあつかう。英語での講義をもとに日本語で書かれた、平明にしてライブ感あふれる一冊。
  • 村上春樹は、むずかしい
    4.2
    はたして村上文学は、大衆的な人気に支えられる文学にとどまるものなのか。文学的達成があるとすれば、その真価とはなにか――。「わかりにくい」村上春樹、「むずかしい」村上春樹、誰にも理解されていない村上春樹の文学像について、全作品を詳細に読み解いてきた著者ならではの視座から、その核心を提示する。

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