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二人の若妻の手記
バルザックの小説のなかでも珍らしい書簡体の形式をそなえ、きわめて手ぎわよくまとめられた作品。その文体も若々しいみずみずしさにあふれている。この小説のモチーフをなすものは、互いに「牝鹿さん」と呼び合っている仲のよい二人の娘――金髪のルイズと栗毛のルネ――との、いちじるしいコントラストを示す結婚生活である。この二人の女性はほぼ同時にカルメル会の修道院を出て、一人はパリの社交界にはなばなしくデビューし、激しい情熱のおもむくままに恋愛結婚を選び、一人は草深いプロヴァンスの片田舎で、個性的な結婚を受け入れる。喜びや不安や、希望や落胆の交錯するそれぞれの生活を、この二人の女性はときにはあふれるばかりの誇りをもって、ときには軽い嫉妬や非難をこめて、ことこまかに書き送る……。 -
町人貴族
モリエールのどたばた笑劇(ファルス)の代表作。成り上がりブルジョワ(町人)の俗物根性を徹底的に笑いのめした作品で、あかるい笑いにみちた傑作である。トルコ人の儀式の詳細もとりこまれ、異国情緒にもことかかない。 -
人間ぎらい
潔癖で、世の不正を憎み、いっさいの妥協を許さない青年アルセストが、美しい浮気女の未亡人セリメーヌにほれてしまう。友人のフィラントの忠告もどこへやら、「理性は恋を支配するものではない」と、にべもなく、それをはねつける。だが、結局、この恋はみのらない……モリエールの代表喜劇のひとつ。 -
守銭奴
徹底した守銭奴アルパゴンを主人公にしたモリエール晩年の喜劇。今日では「タルチュフ」についで最も上演回数が多い。「泥棒、泥棒!」で始まる第四幕の最終景は、金貨を盗まれて狂乱するアルパゴンの一人芝居の見せ場で、主人公は、観客に訴えかけ、観客の視線、観客の笑いに恐怖を抱く。モリエールはここで劇場全体を舞台空間にしてしまっている。 -
タルチュフ
宗教を食い物にする偽善者タルチュフにすっかり篭絡され、イカレてしまったオルゴンは、極度の思い込みから自己中心主義のとりこになって、一家の全員を苦しめるが…コメディ・フランセーズですでに三千回以上の上演回数をほこるモリエール屈指の力作。