検索結果

  • 平成と天皇
    5.0
    平成はどのような時代として語り継がれるか。 天皇は何を守り、何を変えようとしたのか。 その手がかりは、この時代に築かれた新しい象徴像にある。 即位から最後の誕生日記者会見に至るまで、 天皇の歩んだ三十年間の足跡を辿り、 平成史の本質を明らかにする、 第一級の論客による決定的議論。
  • 賊軍の昭和史
    3.6
    薩長(さっちょう)史観に隠された歴史の真実! “官軍(かんぐん)”が始めた昭和の戦争を“賊軍(ぞくぐん)”が終わらせた!! 鈴木貫太郎(関宿)、石原莞爾(庄内)、米内光政(盛岡)、山本五十六(長岡)、井上成美(仙台)……など、幕末維新で“賊軍”とされた藩の出身者たちの苦闘を通して「もう一つの昭和史」を浮かび上がらせた異色の対談。 奥羽越列藩同盟など、幕府方につき新政府軍(官軍)抵抗した藩は、維新後「賊軍」としてさまざまな差別を受けた。その藩士の子息たちは、陸軍、海軍で薩長閥によって非主流派に追いやられ、辛酸をなめることになる。 やがて昭和に入り、日独伊三国同盟に反対した海軍の米内、山本、井上の賊軍トリオは、主流派である薩長閥に抗しきれず開戦を迎える。 そして、“官軍”が始めた無謀な戦争により滅亡の瀬戸際まで追い込まれた日本を救ったのは、鈴木貫太郎、米内光政ら賊軍出身者だった――。 新視点からあの戦争の真相を読み解き、いまに続く“官軍”的なるものの正体を明らかにする。 ★著者の言葉 半藤一利 「あの戦争で、この国を滅ぼそうとしたのは、官軍の連中です。もっとも、近代日本を作ったのも官軍ですが……。 この国が滅びようとしたとき、どうにもならないほどに破壊される一歩手前で、何とか国を救ったのは、全部、賊軍の人たちだったのです。」 保阪正康 「太平洋戦争を批判するとき、実は薩長政権のゆがみが継続していた点は見逃せないのではないでしょうか……。 薩長閥の延長にある軍部を(賊軍の官軍的体質といったものまで含めて)批判するという視点がそのまま持ち込めるように思います。」
  • 日中韓を振り回すナショナリズムの正体
    4.0
    1巻1,320円 (税込)
    昭和史の泰斗2人が、いま日中韓で燃え上がるナショナリズムの実体について分析。背景にある歴史問題を直視し、憎悪の連鎖に歯止めをかけるための提言を行う。そして、他国に振り回されず権力に踊らされない、健全な日本人のナショナリズムの在り方についても示す――。大好評『そして、メディアは日本を戦争に導いた』に続く迫真の対談。 【主な内容】 はじめに 今こそ、歴史の教訓に学ぶ  半藤一利 プロローグ 「国家ナショナリズム」が「庶民ナショナリズム」を駆逐する 第一章  現代日本のナショナリズムが歪んだ理由 第二章  近代史が教える日本のナショナリズムの実体 第三章  中国と韓国の「反日感情」の歴史背景 第四章  現代の中国および韓国のナショナリズム 第五章  将来に向けての日本のナショナリズム おわりに 憂うべき端境期にある日本社会  保阪正康
  • 昭和史、二つの日
    -
    昭和16(1941)年12月8日の太平洋戦争の開戦と、昭和20(1945)年8月15日の敗戦。開戦と敗戦の日への道筋、あるいはこの二つの日はどのような日であったのか、幾つかのエピソードを交えて語る歴史エッセイ。
  • 帝国軍人の弁明 ──エリート軍人の自伝・回想録を読む
    -
    昭和の戦争を経験した陸軍軍人たちが書き残した書物は数多い。そこには開戦から終戦に至るまでの生々しい経緯、帝国陸軍内の空気、さらには戦後思想への評価など、当事者でしか描きえない貴重な証言の数々が見出される。石原莞爾、瀬島龍三、堀栄三、田中隆吉、遠藤三郎等々の著作を取りあげ、書き手の政治的立場や帝国陸軍内での地位、見識と教養、さらには語り手としての誠実さを見極めながら、第一級の昭和史資料を読み解く試み。
  • 天皇陛下「生前退位」への想い
    -
    1巻1,430円 (税込)
    サンデー毎日に短期集中連載中の「天皇陛下『生前退位』を解読する」に加筆して単行本化する。 7月13日、天皇が天皇の位を生前に皇太子に譲る「生前退位」の意向を示していると報じられ、このニュースは日本全国に衝撃を与えた。戦後社会と日本国憲法に合致する新しい天皇像を築いてきた現天皇は、なぜ今、退位の思いに至ったのか。長年、近代天皇制を研究し、現天皇と深い交流もある著者は、「生前退位」は、天皇が改憲への潮流を憂慮してなした決意である可能性を指摘する。現天皇は、安保法制から改憲に向かって戦争への警戒心をなくしてゆく社会状況に抗するかのように、太平洋戦争の犠牲者を追悼し慰霊する旅を続けてきた。また、近代日本においてはじめて、天皇制を民主主義の下に置くことを徹底してきた。自民党の改憲案では天皇を再び国家元首にしようとしているが、天皇はこの政体転換に強い批判を持っているだろうと著者は言う。 一方で、天皇は、平和を求める精神を皇太子に継承できたという安堵の思いも持っているのではないかと著者は見る。また、大正天皇と昭和天皇の最晩年、天皇がその役割を果たせなくなって摂政が置かれ、天皇の存在が稀薄化した時代から、現天皇は歴史の教訓を学んでいるのだろうと推察する。このあたりの歴史的検証は著者の面目躍如たるものがある。 天皇と著者の数年間にわたる交友が、会見記の形で書かれることも本書の特別な価値になると思う。 巻末に、「サンデー毎日」に一部掲載された青木理氏との対談「日本国憲法の『天皇条項』を見直せ」の完全版を収録する。読者は、天皇と憲法と民主主義をめぐる新たな思考に触れることになるだろう。
  • 昭和の戦争と独立
    -
    太平洋戦争そのものを個々の戦闘の集大成と見ることで、軍事とは本質的にどのような意味を持つのかを検証。また、昭和29年9月に調印された講和条約の発効により国際社会に復帰した折りの日本の政治・外交の局面を俯瞰。
  • 山本五十六の戦争
    -
    日米開戦回避の志に反して真珠湾作戦を指揮し、早期講和を念じながらミッドウェー海戦に臨む。撃墜死として美化された死の真実にも迫りながら、「悲劇の提督」の生涯を現代史のなかに刻む画期的な評伝! ※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
  • 昭和史 七つの裏側
    -
    1巻1,500円 (税込)
    著者の執筆の基本は、「事実に触れた人物に会い、話を聞く」ことが第一である。この姿勢で、4000人以上の昭和史関係者を取材してきた。膨大な作品の中に取り入れたのは、残念ながらその一部に過ぎず、重要な証言や史料が、著者の手元にあふれている。著者はその一端を、自身が主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の機関誌「昭和史講座」に掲載してきた。本書は、そこで掲載されたものの中から、昭和史ファン垂涎の7編を選りすぐり、一冊にまとめたものである。内容は、(1)「機密戦争日誌」はいかに保存されたか (2)「昭和天皇独白録」の正体 (3)学徒出陣壮行会で宣誓した学生代表の戦場(江橋慎四郎取材) (4)逆さまに押した判子と上司・東条英機(赤松貞雄取材) (5)「日本はすごい」と思っていなかった石原莞爾(高木清寿取材) (6)本当のところが知られていない東条英機暗殺計画(牛嶋辰熊取材) (7)陸軍省軍務局で見た開戦経緯(石井秋穂取材)の7編。
  • 太平洋戦争を考えるヒント
    -
    1巻1,500円 (税込)
    集団的自衛権、歴史認識問題、ますますヒートアップする中・韓との摩擦……など、太平洋戦争における日本の行動に対し、議論が高まり、一部では有名人による「勇ましい言論」も声高に聞こえるようになってきた。そして、インターネットでの言論を中心に、それら「勇ましい言論」が急速に共感を得てきているようである。その中で著者は、「今こそ日本人は、冷厳な目を持って太平洋戦争を見つめるべきであり、語るべきだ」と真剣に訴える。著者は、太平洋戦争の戦いの当事者たち延べ4000人余りに、戦争の本当の姿をインタビューして回り、多くの著作や論文を執筆してきた。本書は、その中の評論文から選んだものをまとめた、著者にとっては2作目の評論集である。いずれもが、「太平洋戦争という歴史から何を学ぶべきか」という問題意識で統一されており、現代のような、議論百出の時代における、考えるヒントとして役立つことは間違いない。

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  • 愛する人を喪ったあなたへ
    -
    著者は22歳の息子を突然、喪った。悲しみが幾重にも襲う。茫然自失、理不尽さへの怒り、そして最後には希望の曙光が――。大切な人の喪失後に、傷ついた心はどんな段階を経て癒されるか。十数年前のこの痛切な体験を克明に記した渾身作に大幅加筆して復刻。大震災で身寄りを喪い、けなげに生き抜こうとする人々に、どう声をかけ、どう寄り添ったらいいか得心できる。「鎮魂と再生」を願っての緊急出版。

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  • 明仁天皇と裕仁天皇
    4.0
    「君主」の父、「民主」の子。二人の象徴天皇。それぞれの「戦争と平和」に秘められた昭和史の真実。そこには、天皇家の〈父と子〉のみに伝えられる口承があった。講談社創業100周年記念出版。 「今までは、勝ち抜くための勉強、運動をして来ましたが、今度からは皇后陛下の御歌のやうに、つぎの世を背負つて新日本建設に進まなければなりません。それも皆私の双肩にかゝつてゐるのです。」――<昭和20年8月15日 明仁皇太子が書いた作文より> 「今度のやうな決心をしなければならない事情を早く話せばよかつたけれど 先生とあまりにちがつたことをいふことになるので ひかえて居つたことを ゆるしてくれ 敗因について一言いはしてくれ 我が国人があまりに皇国を信じ過ぎて 英米をあなどつたことである 我が軍人は 精神に重きをおきすぎて 科学を忘れたことである」――<昭和20年9月9日 明仁皇太子への昭和天皇の手紙より>
  • 「裏切りの近現代史で読み解く」歴史が暗転するとき
    -
    1巻1,540円 (税込)
    2022年、ウクライナ時間の2月24日午前5時、ロシアはウクライナ東部への侵攻を開始した。このニュースは、全世界に衝撃を与えた。これに対して、米英仏独の主要西側国はウクライナへの武器供与、ロシアへのさまざまな経済制裁によるウクライナ支援を進めた。日本もまたロシアに対する経済制裁を開始した。だが、ロシアのプーチン大統領はこの侵攻について「ウクライナの非軍事化と非ナチス化」「自国を守る権利を持つ主権国家の決定」と正当化した。 侵攻当初、ロシア、ウクライナ両国による停戦協議も行われたが、合意は得られず、戦闘はまさに泥沼化の様相を呈している。 こうした世界状況の中、日本においては、「日本国憲法」のもと戦争放棄を定めた「平和主義」の見直しを求める声も高まりつつある。 「明治維新から太平洋戦争敗戦まで77年、敗戦から2022年まで77年」 本書の著者は、世界の動向を踏まえながら、2022年が歴史の大転換期として位置づけられるのではないか、と指摘する。 本書は、導入部としてロシアのウクライナ侵攻に触れつつ、「独裁者、謀略、裏切り」をキーワードに日本の近現代史の本質を鋭く抉ったものである。 -主な内容- ◆第1章「プーチンの背信」――ウクライナ侵攻の真相 ◆第2章「ヒトラーの正体」――その栄光と末路 ◆第3章「終戦・占領下の悲劇」――シベリヤ、そしてマッカーサー ◆第4章「指導者たちの真価」――歴史登場者の行方 ◆終 章「裏切られた者たち」――戦争の実相と庶民の抵抗
  • 昭和天皇(上下合本)
    -
    戦前は「立憲君主」、戦後は「象徴天皇」として一貫した行動を取り続けた昭和天皇。御製、会見、側近の証言など多岐にわたる貴重な資料をもとに、その八十七年の生涯を辿りながら、「昭和の意味」を浮き彫りにし、日本という国、天皇という存在の全体的意義を改めて問い直す。昭和史研究の第一人者による労作。 目次 プロローグ 崩御のとき――昭和六十四年一月 Ⅰ 帝王教育とヨーロッパ外遊 Ⅱ 軍部暴走の時代 Ⅲ 日米戦争突入へ Ⅳ 終戦、国民とともに Ⅴ 皇太子結婚と経済成長 Ⅵ ヨーロッパ再訪とアメリカ訪問 Ⅶ 天皇と経済大国日本 Ⅷ 寡黙な当事者 エピローグ 平成時代の幕開け  主要参考文献  関連年表 補章一 歴史になっていく「昭和天皇」 補章二 昭和天皇の秘められし「言語空間」  あとがき  文庫版あとがき
  • 文春ムック 文藝春秋が見た戦争と日本人
    5.0
    1 主役たちの肉声と手記 編・保阪正康 山本五十六が語るロンドン軍縮会議の内幕 私が見た元老西園寺公望 近衛文麿 松岡洋右、連盟脱退後の心境を明かす 「東洋のローレンス」の中国生活三十年史 土肥原賢二 東條英機 最後の日記  ほか 2 軍人たちの素顔 編・保阪正康 父、渡辺錠太郎を殺した軍人 渡辺和子 満洲事変を起こした板垣征四郎は泣き虫だった 板垣賛造 部下から見た石原莞爾の哲人的生涯 田中新一  ほか 3 作家たちの戦争 編・辻田真佐憲 菊池寛、軍神・西住戦車長の母に会う 岩崎栄 剣豪小説家 五味康祐の従軍記  「田辺写真館」焼失 母は強し 田辺聖子  ほか 4 戦場の証言 編・保阪正康 真珠湾までの山本五十六 福留繁 文藝春秋社員 戦場の手記 鷲尾洋三 吉川英治が将校たちに航空戦の実態を聞く 「マレーの虎」山下奉文、幻の手記 保阪正康  ほか 5 取材者たちの記録 編・辻田真佐憲 二・二六事件、被害者宅を連続訪問する 戦時下の銀座、浅草を飲み歩く 小野佐世男 頭山満、蒋介石と相撲を語る 鈴木氏亨) 生きている十三人の大将 村上兵衛 鎮魂曲・特攻の妻たち 澤地久枝  ほか 6 私の戦争体験 編・辻田真佐憲 特別対談 アスリートの見た戦場 沢村栄治×笹崎たけし 戦時下を生きた九人の記憶 三笠宮崇仁親王 中曾根康弘 水木しげる 千玄室 橋田壽賀子 美輪明宏 丹波哲郎 佐藤安枝 ドナルド・キーン 座談会 満洲のいちばん長い日 澤地久枝 ジェームス三木 藤原作弥 小澤俊夫 神代喜雄 福永こせい 天野博之 保阪正康 命からがら逃げた東京大空襲 半藤一利
  • 世代の昭和史 「戦争要員世代」と「少国民世代」」からの告発
    5.0
    日本人の戦争体験の本当の意味を現代に手渡す。 現代史研究の第一人者が、世代論によって昭和史を見つめ直すライフワーク。 ※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
  • 昭和天皇実録 その表と裏1
    3.0
    1~3巻1,760円 (税込)
    2014年8月に宮内庁が公開した『昭和天皇実録』を丹念に読み抜き、昭和という時代、昭和天皇という存在をさらに深く記録する、昭和史研究者としての著者の満を持した試み。 著者は『昭和天皇実録』を、これまで民間に明らかにされなかった国家所蔵の記録を用いたものである点で極めて重要な文書としながらも、その記述にはさまざまな意図が隠されており、『昭和天皇実録』を真に意味あるものにするためには、 眼光紙背に徹した読解が必要だと言う。そこで著者は『昭和天皇実録』を歴史を追って読み込みながら、その都度、著者の昭和史への圧倒的な識見により拡充し、 これまでの歴史研究の成果と突き合わせてゆく。 本書は『昭和天皇実録』をテーマとしつつ、昭和史の新たなスタンダードを確定する画期的な一冊である。第1巻では昭和天皇の戦争体験を詳細に検証する。
  • 昭和天皇(上)
    -
    1~2巻1,799円 (税込)
    戦前は「立憲君主」、戦後は「象徴天皇」として一貫した行動をとり続けた昭和天皇。その足跡をたどりつつ、日本という国、日本人にとっての天皇という存在の意義を改めて問い直す。上巻は誕生から太平洋戦争・終戦まで。
  • 吉田茂 戦後日本の設計者
    -
    占領期のGHQとの交渉、経済的自立、国際社会への復帰という功績の一方で、吉田茂が残した戦後政治の矛盾は現代にまで尾を引いている。戦後最大の宰相が信じた「日本の進むべき道」とは何か。吉田茂の虚実に迫る著者渾身の大作。
  • Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想
    4.0
    「蒸気機関車は六輛ほどの車輌を率いながら走っている。僕とすすむさんは最後尾の客車のデッキに立ちながら、木製の扉の前に身を寄せていた。通勤の大人たち数人がやはりデッキに立っていて、新聞を読んだり、タバコの煙を吐きだしたりしている。/誰も口をきかず、列車の揺れに身を任せていた。」 昭和27年春、札幌の中学に通うため汽車に乗った二人の少年は、30年余を経たのちに再会します。ひとりは気鋭のノンフィクション作家になり、ひとりは学生運動の闘士から経済学者、さらには保守的思想家へと転じていました。 再会してから30年、突然の別れがやってきます。すすむさん=Nが自裁したのです。 「斎場の隅にいる私たちのところに近づいてきたのは、Nの兄のMさんであった。/ああそういえばもう六十年以上も会っていない。しかしその面差しは依然として柔らかく、そして人を包みこむようであった。外套を脱ぐなり、握手を求めてきて、私の顔を見るなりその穏和な顔に涙が流れるのを隠そうとしなかった。私も涙が止まらなくなった。/「十三歳のときからの友だちだったんだからね……」/Mさんの言葉に、私のなかで耐えていたものが一気に爆発した。/私は人目も憚らず涙を流しつづけた。そして二人でふたたび棺に近づき、蓋を開けてもらい、その顔を見つめつづけた。いっしょに見ていると、表情は動き出しそうで、目を細めて口を尖らせて、吃音気味に話すあのころに戻ったように感じられた。私はMさんと札幌の、白石と厚別の思い出話を、Nに聞こえるように、なんどもくりかえすように話しつづけた。私はNが亡くなったとの報に接してから初めて、悲嘆という感情に触れた。」 あのときのすすむさん=Nの眼に映じていたものはなんだったのか……。不意にいくつかの光景がきれぎれに甦り、その呟きを心耳にふたたび聞いた著者はさながら廻廊を経めぐるように思いを深め、60年の歳月を往還しながら友の内実に触れるべく筆を進めていくのです
  • 石橋湛山の65日
    3.8
    石橋湛山は首相としての在任期間がわずか65日である。近代日本史の上では最短に近い。しかし私は、「最短の在任、最大の業績」と思っている。これに対峙するのは「最長の在任、最小の事績」という言い方をしている。 石橋はわずかの期間だったが、言論人の時の自らの信念が政治の年賦に刻まれていると思えば、宰相の意味も変わってくるし、その重みも他の総理とは異なっている。最長の首相がさしたる事績が残さなかったとするならば、そこに比較しても首相の格の違いが浮き彫りになるだけではないだろうか。 石橋はその短い在任期間に、首相というのは日頃から思想や哲学を明確にしておくことの重要性を教えた。首相が何を目指し、どのような方向に、この国を率いていくのか、そのことを国民は知りたい。それは首相を目指す政治家が日頃から信念を発信する姿勢を持たなければならないように思う。石橋を真似せよ、と強調しておきたいのである。 ──〈おわりに〉より 太平洋戦争の終戦から10年余の時を経た昭和31年、国内政治の民主化と自主外交を旗印にした石橋湛山政権が誕生した。だが、わずか65日の短命で終わる――。そして、日本は自主性なき外交の道を歩み出した。戦前・戦中から一貫して小日本主義、反ファシズムを唱え続けた反骨の言論人が、戦後、政治家の道を歩み、首相の座を降りるまでの激動の保守政治の史実を克明に描き、短命に終わった“まぼろしの政権”が日本人に投げかけた謎に迫るノンフィクション。新型コロナウイルスの未曾有の危機が立ち去った後、日本の前途は洋々たりと歩むために立ち返るべき、もう一つの戦後史!
  • 昭和維新史との対話 検証 五・一五事件から三島事件まで
    -
    1巻1,980円 (税込)
    「血盟団事件」「五・一五事件」「二・二六事件」当事者と接した2人が明かす革命家群像 保阪氏と鈴木氏の初顔合わせ対談。昭和史には、全人類史が経験したすべての出来事が詰まっているという。貧困・飢餓・戦争・クーデター・占領、そして平和と繁栄……。日本人の罪と過ち、知恵と勇気を映し出す歴史の大舞台で、日本人は何のために互いを「敵」と見做し、テロの果てに血を流したのか? 国家改革を求めた青年将校や憂国者の心理から現代日本の希望と挫折、その課題を浮き彫りにする。 【目次】 第1章 国家改造運動の群像 第2章 五・一五事件と農本主義 第3章 軍事学なき〈軍人大国〉 第4章 未完の国家改造運動と日米開戦 第5章 戦後の革命家たち 第6章 国家改造運動の残したもの 【著者】 保阪正康 1939(昭和14)年、札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。昭和史の実証的研究のために、これまでに延べ四千人に聞き書き調査を行い、独自の執筆活動を続けている。2004年、個人誌『昭和史講座』刊行などの功績で第52回菊池寛賞受賞。著書に『東條英機と天皇の時代』『後藤田正晴』(ともにちくま文庫)、『瀬島龍三』(文春文庫)、『昭和史 七つの謎』(講談社文庫)、『昭和陸軍の研究』(上下、朝日文庫)、『あの戦争は何だったのか』(新潮新書)他多数。 鈴木邦男 1943(昭和18)年、福島県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。同大学大学院政治学専攻中退。サンケイ新聞を経て元一水会代表。「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」共同代表。著書に『公安警察の手口』『右翼は言論の敵か』(ともにちくま新書)、『愛国と米国』(平凡社新書)、『愛国と憂国と売国』(集英社新書)、『愛国者は信用できるか』(講談社現代新書)、『〈愛国心〉に気をつけろ!』(岩波ブックレット)、『失敗の愛国心』(イースト・プレス)、『ヤマトタケル』(現代書館)他多数。
  • 昭和陸軍の研究(上)
    5.0
    1~2巻1,999円 (税込)
    昭和陸軍はなぜ多くの錯誤を犯したのか。国家を存亡の危機に陥れ、自らを解体に追い込み、国民に過酷な運命を強いた昭和陸軍とは、そもそもどのような組織だったのか。そもそも太平洋戦争とはなんであったのか。500人余りの関係者の証言と、膨大な資料から、その解明を試み実像を描いた著者渾身の力作。
  • 松本清張の昭和史
    4.0
    社会派推理の開拓のみならず、小説、ノンフィクション、古代史、現代史など、領域を自在に超えた執筆活動を展開し、「国民作家」の名をほしいままにした松本清張。その膨大な仕事のなかでも、自らの同時代史に取り組んだ『昭和史発掘』『日本の黒い霧』は重要な柱といえる。清張は、軍部をはじめとする国家権力、二・二六事件で蹶起した将校たちにどのような眼差しをむけていたか。占領期に起きた不可解な事件をいかに捉えていたか。没後30年を経て、清張史観はいかに評価されるべきか。松本清張から「時代の記録者」としてバトンを託された著者が清張史観の核心を平易な文体で伝える。阿刀田高、加藤陽子各氏との対話を収録。

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