問題作!
愛憎と許しの凄絶な物語です。欲しいものは策略を巡らし、簡単にお金で手に入れようとする利己的な俺様クズな凍月が、外見だけでなく心も美しい奏に吸い寄せられていき。そして凍月と関係する中で、純真だった奏に闇が現れる心理描写がリアルで。最初は嫌悪感しかなかったはずなのに、凍月の見え隠れする自分への好意に反応して別の感情が芽生え始め…。奏が意識を失ってからの凍月の変貌ぶりが秀逸。交錯する二人の想いが、最後は重なって…。ラスト多くを描かず、読者に想像の余地を与える余韻のある終わり方が良かったと思います。