【感想・ネタバレ】日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫るのレビュー

あらすじ

蒙古は上陸に失敗していた! 秀吉には奇想天外な戦略があった! 大和には活躍できない理由があった!
日本史の3大ミステリーに、映画『アルキメデスの大戦』で戦艦の図面をすべて描いた船舶設計のプロが挑む。
リアルな歴史が、「数字」から浮かび上がる!

【謎の一】蒙古軍はなぜ一夜で撤退したのか?
最初の蒙古襲来「文永の役」で日本の武士団は敗北を重ね、博多は陥落寸前となったが、なぜか突然、蒙古軍が船に引き返したのはなぜか?

【謎の二】秀吉はなぜ中国大返しに成功したのか?
本能寺の変のとき備中高松城にいた羽柴秀吉が、変を知るや猛スピードで2万の大軍を率いて京都に戻り明智光秀を破った「中国大返し」はなぜ実現できたのか?

【謎の三】戦艦大和は「無用の長物」だったのか?
国家予算の3%を費やし建造された世界最強戦艦は、なぜ活躍できなかったのか? そこには帝国海軍が冒していたある致命的な設計ミスが影を落としていた――。

小さな「数字」を徹底して読みとり、積み重ねていくと、
大きな「真実」のかたちが見えてくる!

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匿名

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面白い

船の設計者さんが、その技術者的な観点で歴史の新しい解釈に挑んだ本です。
恐竜絶滅の真相を見いだした天文学者、地質学者の親子のように、色んな角度から分析することで、さらに高次元な解釈ができそうですね。刺激的で面白かったです。

#アツい #感動する #深い

1
2023年05月16日

Posted by ブクログ

第一印象は、とても良い本を読んだ。と言うものです。今、日本を動かしていると自認している人達に一番に読んでほしい。また若い人達に読んでほしい。日本ガンバレとエールを送られているような、私も頑張るという気持ちを興させてくれる本です。

0
2024年05月01日

Posted by ブクログ

 これ面白い本です。歴史上の不思議な「事実」を科学の目で見ると,違うことが見えてくる…という。以前,板倉聖宣氏が『歴史の見方考え方』(仮説社,1986)という本で,人口の増減で見る新しい日本の歴史というものを提案して《日本歴史入門》という授業書を作ったことがあります。数量的にもの(歴史)を見ることで,これまでとは違ったことが見えてくるんですね。それでワクワクしたことを思い出します。
 さて,本書の中身も似ています。扱っている内容は,3つしかありませんが,いずれも,具体的に数量的な基準を出してくることで,これまで一般的に言われてきた歴史的な事実?に対して「それはありえんな」「そんなばかな」「どこかに脚色があるのか」という疑念が沸いてきます。
 例えば,1582年本能寺の変のあと,明智光秀の謀反を知った秀吉が,毛利と休戦を結んで「中国大返し」をして京都に戻って光秀を討ったという話。
 その秀吉軍2万人が,数千頭の馬と共に,たったの数日間で京都まで行けたというのは,本当なのか。それを,2万人+馬分の食糧調達,2万人+馬分の糞尿の処理,武器や弾薬を持って歩くという強行軍,2万人分の寝る場所…などなどを考えると,とても急にこれだけ準備するのは難しい。しかも,やっとの思いで京都に着いたらすぐに光秀軍と戦う力は兵隊に残っているのか…これもまた,不思議だといいます。
 文献の解釈は歴史家に任せるとして,科学的に考えると,どうなのか。そういう本なのですが,わたしは,こういう数量的な見方・考え方をしっかりしてこそ,歴史学者と言えるのではないか…と思います。古文書の解釈ばかり詳しくしても,それが事実かどうかは,分かりません。こういうことは,すでに40年近くも前に『歴史の味方考え方』に書かれています。
 解釈ではなく,予想を立てて数量的に考えていく。それにより,本当の姿が見えてくるのではないでしょうか。
 最後に,筆者の言葉を引用しておきます。

蒙古の撤退にしても秀吉の大返しにしても,歴史の謎とされているものは,「奇跡」とか「伝説」といった文言を纏っていることが多いようです。それが後世の人間の目までも曇らせているのかもしれません。歴史の研究の本道が文献の発掘や精査であることはもちろん承知していますが,人間が行う解釈という作業にはどうしても先入観を排除しきれないところがあります。物理や数学の観点も採りいれた研究によって、日本史の未解決問題の謎解きが進むことを願わずにいられません。(本書,227ぺ)

0
2023年11月29日

Posted by ブクログ

造船に携わっていた著者ならではの、日本史をサイエンティフィックな視点で解析し直すのが斬新で面白かった。特に船という観点で蒙古襲来などを振り返っており、船酔いで体力低下説とかはとても面白かった。

0
2023年11月05日

jn

購入済み

面白い

船、という観点からここまで話題を広げられることにまず驚きました。普通の歴史本と違い、著者の熱量も十分に感じられるので、結構没入して読めました。面白い。

#深い #タメになる

0
2023年02月09日

Posted by ブクログ

造船のエンジニアが、科学技術と数字に基づいて歴史を読み解く本。誰もが一度は疑問に思い、なんとなく聞くに聞けずそのままにしてきたこと例えば大軍の糞尿の処理をどうしていたろうとか、も突き詰めていて面白い。
検証の1つ目は弘安の役で、蒙古の撤退は台風や威力偵察だったからではなく、純粋に武士が追い返したからというもの。まずは高麗が命令された大型軍船300隻を作るのが、大型軍船1隻あたりの木材使用量と加工前木材から合計15万㎥、東京ドーム約150個分の広さになること。その他にも必要な労働力、建造期間から新造船が150隻にも満たなかったことを明らかにする。また、船員や馬の1隻あたりの数、船酔いのシミュレーション、上陸に要する作業と時間、水深から投錨に適した位置、日本の弓や刀の優れていたことなど、徹底して数字をもとに科学的に考察している。
続いて秀吉の中国大返し。METzから必要な食糧として1日おにぎり40万個、野営と不衛生による戦力低下、水運を利用した仮説、AHPと呼ばれる意思決定分析。
そして戦艦大和。大和の船体や武器だけでなく、戦後日本のものづくりの基盤となった上、大和の存在を知った日本人の心の支えとなったこと。

0
2022年05月27日

ネタバレ

正に『新たなる視点』!

2022年5月読了。

以前から積ん読状態だったもので、気には成っていたのですが、中々手が出なかったものです。

「科学的見地から歴史を考える」という発想は非常に斬新。著者は「歴史自体の専門家では無いので…」と謙遜されていますが、これだけの検証が今までされていなかった事自体に、正直驚きました

既に沢山のレビューが上がっていますので、内容全部には触れませんが、どの考察も得心、感心するばかり…。秀吉の件は、先日NHKでも紹介されていましたね。確かに「海路」と云うのは盲点でした。
但し、この考え方を進めて「秀吉陰謀説」を語る方々には賛同し兼ねますが…。

街道(道路)整備及び兵站の下準備については、「信長への出陣要請を出している」事を考えれば「上様の為に…」と用意周到に手を回していたと考えるのが普通では無いでしょうか?
四国もまだ長宗我部氏と決着が付いていない状態だったのですから、信長が海路を選ぶとは思えません。そして、婚姻まで使って漸く長宗我部氏との話を取り纏めつつあった光秀に、全てを反故にして「四国召し上げ」と手を翻した信長への光秀の怒りを考えれば、この手の「真犯人は?」の問いにも自ずと答えは出るのではと。

戦中派以前の方は「戦艦大和」の存在を、戦後小説が発行されてから知った、と云う事も初めて知りました。ちなみに「大和ホテル」よりも前に戦艦長門が「長門ホテル」と呼ばれており、山本長官もそちらの「ご宿泊」の方が長かったのは有名ですw。

とにかく「目からウロコ」本ですので、文系理系を問わず興味の有る方にはお薦めします。

ただ、読後一番印象に残ったのは、終章に書かれている著者の「日本の未来への不安」です。
ココに、現代日本の問題点が凝縮されている様に感じて読了しました。

#アツい #切ない #タメになる

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2022年05月25日

Posted by ブクログ

歴史の疑問を現実的数値から読み解いていくのはとてもわくわくしました!証明問題は苦手だったけど、こういうのはいいと思います!

0
2022年03月05日

Posted by ブクログ

船の専門家の視点で歴史の謎に迫る。単純に兵士の人数や船の数だけでなく、実際に動かすときに何が起きて何が必要なのかを説明。「AHP」や「ランチェスターの法則」のような検証方法や、実際の地図やデータを用いると通説では確かに説明しきれない部分が出てくるため見方が変わって議論のもとになると思う。また「アルキメデスの大戦」を読みたくなってきた。

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2021年09月28日

Posted by ブクログ

最近歴史の調査が進んでいることもあって、以前にがっこうで習った有名な事件の真相が一般の本でも紹介されるようになってきました。とても興味深く読んでいます、それらを読むと当事者である武将も、私が理解できる考え方や行動をしていたことが徐々にわかってきました。

さて、この本は新聞か何かの広告で見つけて興味を持ったものですが、海上自衛隊で船の設計などに関わった方が、サイエンス(様々な計算など)を通して、歴史上の有名な3つの事件、事柄(3つ目な戦艦大和の存在意義)について述べています。

どれも素晴らしい視点で歴史の事件を捉えていていますが、本人は歴史学者じゃないのでと謙遜していますが、本を読み限り、歴史書もかなり詳細に研究されているようです。特に、第一回目の元寇である文永の役にて、日本の騎馬武士たちも集団戦法を使って戦っている絵(p58)は驚きともに、なんだかホッとした安心感がありました。最初はともかく、最後まで名乗りを上げた戦いをしたなんて、信じたくなかったので。

この本は著者である播田氏の一冊目のようですが、今後も続編を是非出して欲しく思いました。

以下は気になったポイントです。

・高麗は元からの命令(6か月後に軍船建造)を間に合わせるために、伐採・輸送に大人数をかけて期間短縮をし、かつ原木の乾燥を省いて生木のまま加工を始めた、生木を使うと曲がりや歪みが生じて水漏れの原因となるが(p25)

・実際に戦ったのは蒙古兵の中の、雇われ高麗兵が多数混じった寄せ集めの歩兵集団で、騎馬兵は指令官クラスで3%程度、いまでも対馬、壱岐には「モッコリ(蒙古)」「コックリ(高麗)」と言うと子供が泣き止むという伝承が残っているといわれる(p38、39)対馬海峡を横断するには海流の2倍の速度(2−3ノット)は必要となる(p45)

・竹崎季長は肥前の御家人・白石勢のおかげで九死に一生を得た、日本の武士団はけして一騎討ちに固執していたわけではなく、むしろ集団騎兵による突撃戦法を多用していた、白石勢の騎馬軍団が蒙古軍を蹴散らしている絵はほとんど知られていない(p59)

・蒙古軍の上陸地点が息の浜でなかったとすると、文永の役の全容も全く異なってくる、宮崎宮は炎上したものの博多の街は燃えなかった可能性がたかい、博多の街は何度も燃えているので発掘からはどの時代のものか判別が難しい(p63)

・近年の研究では鎌倉時代でもじつは一騎討ちなどは稀であり、ほとんどが集団で戦っていることが明らかになっている(p76)

・蒙古軍5000と武士2000人の日本武士団は集団騎馬攻撃で武器効率をあげるランチェスター第一法則に基づいた戦略で戦ったことにより、歩兵5000人の蒙古軍と互角に対抗した。蒙古軍の死者は半数の2500で壊滅状態、日本武士団も半数の1000を失ったが、騎馬は740が残存という結果となる、日本側の文献と数字が合う(p82)

・二重構造の日本刀は振り降ろして相手の剣に当たった時に、硬鋼の部分は圧縮力が加わることで大きな衝撃、軟鋼の峰部分は延びて引っ張り力が働き、衝撃を吸収する、軽量ながらよくしなって曲がらず折れずよく切れる日本刀は接近戦最強の武器となった(p85)

・世界の剣の多くは単層の硬鋼製で、衝撃で折れなくするため、刀身は厚く、重量は重く、おもに突きと、腕力で叩き切るために使うが、湾曲した日本刀は引き切る力が主体で、突きも可能。湾曲している日本刀は馬上から振り降ろしても食い込んで落とすことはない(p86)

・蒙古軍は上陸に時間がかかって全軍が一度に進軍できず、小刻みに兵員を増やすという最悪の逐次投入となって失敗した。博多の戦いで蒙古兵の戦死者を5000とすると、全体の約19%となり軍事セオリーからは撤退しかない(p87)

・蒙古軍が恐れたのは日本軍に援軍がくることと、北西風が吹き始めること、旧暦11月になると吹き始める季節風で、これが吹くと玄界灘は大荒れとなり当時の帆船では渡れなくなる、高麗国王の死により出撃が3か月延びたことが決定的な遅れとなり、これが謎の撤退の直接の理由である(p88)

・戦国時代の部隊は、上級武将を指揮官とする部隊(100名程度)を一つの単位として構成していた。馬上侍10、長槍20、旗指物20、弓10、鉄砲10、小旗1名、小荷駄隊(食料、武器を馬で運搬)20−30、2万の兵隊ならこれが200組(p105)

・英雄と呼ばれる人々には、決してギャンブルに運命を委ねず、リスクを小さくする努力を最後まで怠らない共通点がある、桶狭間の戦い、関ヶ原の戦いも準備は周到極まりなかった(p144)

・砲弾の威力は砲弾の容積で決まり、それは弾径の3乗に比例する、なので41センチと46センチ(18インチ)では、威力は1.41倍となる、パナマ運河を渡る必要から運河の幅を考慮すると、アメリカは41センチ(16インチ)の主砲が最高であった(p159、165)

・戦艦大和の貢献として、1)日本の重工業や機械工業の基盤作り、造船業はあらゆる製造業が集約した総合産業、造船が戦後に興隆したのは、大型ドックとブロック工法による、2)大和の巨大な測距儀は、レンズから機械式計算機を使って距離を計測するもので、カメラ、精密機器の発展に貢献した(p219)

2020年10月8日作成

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和――日本史に刻まれたこれらの出来事を船舶の専門家である筆者は科学の視点から読み解く。
 蒙古襲来で吹いた「神風」は単なる偶然かそれとも自然現象として説明できるのか。秀吉の大返しは短期間での大軍移動を可能にした兵站の工夫に秘密があった。戦艦大和の沈没には設計や戦術の問題が隠されていた。
 著者は最新のデータや科学的手法を用いてこれらの歴史的事象に新たな光を当てる。科学の視点で歴史を紐解くことで出来事の背景や因果関係が浮かび上がり歴史が単なる英雄譚ではなく自然や人間の営みの結果であることが明らかになる。
 過去を科学で読み解くことで未来への教訓を得ることができるだろう。歴史を歴史学者ではない新たな視点から読み解く。目から鱗が落ちる事々が楽しい。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

猛虎襲来や秀吉の中国大返しなど、歴史的なミステリーを科学的に解析している一冊。

歴史が好きでないと、捗らないかも。

読んでいて、なるほど!と思ってしまうほど、解説は分かりやすかった。

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2023年04月22日

Posted by ブクログ

蒙古襲来、秀吉の中国大返し、戦艦大和の3つのトピックについて、その実現可能性や代替策を考察する一冊。
著者は三井造船の設計技術者だった方ということで、特にロジスティクスの観点で冷静な分析をされている。
蒙古襲来については、冬の荒れる玄界灘、上陸に時間がかかり戦力逐次投入となった可能性にスポットが当たっている。
秀吉の中国大返しでは、二万の本隊とは別の海上移動、事前の根回しの可能性にスポットが当たっている。
今となっては分からないことばかりだが、こういうナゾに迫るのは面白い。

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2023年04月01日

Posted by ブクログ

過去のイベントについて技術的な観点からの考察・主張が分かりやすくまとめられている。歴史の専門家でない、と著者はいうが、色々な視点での考察を重ねることは有意義な作業だと感じた。

他にもやっていただきたい考察あるな、と思っていたら、本書の第二弾もあるとのこと。世の中にも好評だったのでしょう。

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2023年03月01日

Posted by ブクログ

数十年前に歴史専攻の会社の先輩が歴史は文学でなく科学だ、と言っていたが、まさに理系技術者が書いた歴史分析本として世に放たれた本。リアリティのある歴史本として傑作だ。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

蒙古襲来は日本の武士団もよく戦った、そもそも元と高麗の大軍が天候と海流の隘路を押して攻めてくるというのは並大抵の事ではなかった。兵員の疲労と上陸地や天候の問題があり時間をかけられなかったという事がすべて。
秀吉の中国大返しは信長継承への強い意志による、決戦のための情報入手・事前準備・周辺調略・海路利用等があった上で部隊の装備・食糧・排泄・軍馬や宿泊対応等総合ロジスティック戦の勝利であった。
戦艦大和は日本の技術が誇る世界一の能力を使いきれなかった指導体制・戦略の敗北でもあった。GDPの3%を費やし46センチ砲や鋼鉄強度と速度の卓越性は実現したが防御面で設計段階からの構造的欠陥が命とりになる。
いずれも、歴史の通説に対しては固定観念を捨てて現実を見据えデータで検証し柔軟に思考する事が肝である。

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2023年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

通説に疑問を呈する著者によるシミュレーションがなかなか面白い。文献中心の研究による世の通説に関して、サイエンスの視点による精査が必要であることを痛感する。歴史学も文理を超えた学際的な研究に進まなければならないのではないか?

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

造船技術者としての立場から見た日本史上の大事件の検証もの。技術者としての立脚点から語られている範囲ではなかなか面白いのだが、それ以上の考察になると「〜と思う」で語る部分が増えてしまっていたのが残念。
蒙古襲来については、船の設計建造についての考察が技術者らしく興味深いのはもちろんだが、「上陸」についての視点と考察が大変良いと思った。船が身近であった人ならではだろう。海峡を隔てているというのは日本の安全保障上大きな利点であったことを改めて感じる。
秀吉の大返しについては、近年、兵站も網羅した軍事技術的な研究が増えているので、秀吉が海路を取った可能性も含めてあまり目新しいところはなかったように思う。秀吉が資金を潤沢に持っていたことと、兵站を重視する実務家だったことが大返しにおいては欠かせなかったと思うのだが、この点にあまり触れられていなかったことも残念。
戦艦大和については確かに時代遅れ説が巷間で語られがちだが、ドレッドノートを分水嶺として大型戦艦は建造に費用がかかりすぎ見直さざるを得ない時期を迎えていたのも定説である。それよりは、陸軍よりはリベラルとされがちな海軍においても、偉い人の設計ミスを指摘できないという組織的な問題により、致命的な構造欠陥が引き継がれていたという指摘の方が面白かった。
まあ結局けっこう面白かった。

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2022年06月06日

Posted by ブクログ

日本史について数学的視点で分析した一冊。

リアル空想科学読本ともいうべき本で、その分析の信ぴょう性はともかく、とても興味深かった。

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2022年05月30日

Posted by ブクログ

元寇
秀吉の中国大返し
戦艦大和

いずれの戦いや行動の可否、戦力などを数学や科学で検証。
元寇については神風が吹いて元寇は失敗し、集団戦法で戦う元に対して、ひとりで立ち向かう日本の武士というステレオタイプの考えがありました。
実際は台風はなかったし、日本の武士の騎馬隊の活躍、敵方の戦意の低さや、地形などで存分な戦力を送り込むことができなかったことが原因でした。
秀吉の中国大返しについても、陸路でなく海路を利用したのではというお話や、2万人の戦力を当てにしていなかったことも面白い話だと思いました。
大和についても、ほとんど活躍の機会が与えられないまま海の藻屑と消えましたが、当時にして最先端の戦艦を作り出せた日本人の凄さを目の当たりにした感じがします。
どんなに素晴らしい技術的があっても、それを活かせるのは、結局は人なんですよね。
未来においても技術立国と呼ばれる様な舵取りを、本気で政治家のひとには考えて頂きたいです。

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2022年02月18日

Posted by ブクログ

タイトルに魅かれて読んでみました。歴史は「素人」だとおっしゃる、船の設計者の方が書かれた本でした。
なるほど、タイトルが「日本史」+「サイエンス」なのはそういうことなのですね。

蒙古襲来の謎を、船の設計者の視点で検証するところからこの本が企画されたそうです。
面白い見方ですよね。

まるでイノベーション。既知のものと既知のものの組み合わせで新しいものができる。新たなジャンルの誕生ですね。

蒙古襲来の謎を解いた後は、本能寺の変。
移動距離、兵士や軍馬の数、物資、気候、地理的条件から考察するという、これもまた面白い切り口だと思いましたが、よく考えたら当たり前のことですよね。

学校教育の「日本史」ですり込んだ見方が頭に凝り固まっている自分に気づかされました。

最後に、時代は進んで戦艦大和が取り上げられています。単に、軍用というだけでなく、日本経済の発展に寄与したこと、確かにそうだと思いました。

3つの史実を、少し違った角度から分析するという面白い内容でした。様々な専門家が、このような切り口で過去の出来事を紹介してくれると、歴史的事実を立体的に理解できるでしょうね。

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

造船エンジニアが計算で読み解く日本史。
詰めの甘いところや推測で補っている部分はあるものの、特に中国大返しの現実的な考察は面白い。

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2021年11月02日

Posted by ブクログ

日本史の謎を船の科学で仮説、検証し、読み解く意欲作。教科書、小説で語られる、あの歴史がリアリティを持って、ベールを脱ぐ。続編もあれば、読みたい。

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2021年09月03日

Posted by ブクログ

船舶の設計者、専門家が文永の役、秀吉の中国大返し、戦艦大和の存在意義などを、あくまで資料の数字などから客観的に立証していく。
 こういったことは文系の自分に弱いところで、簡単に事実がそうなのだから検証もすることなく信じてしまう悪癖を持つ自分のような者には厳しい指摘に感じてしまったが、やはり本来文永の役で蒙古軍が撤退したのにはしっかりとした理由(船酔い、寄せ集めの軍、日本武士団の装備と騎馬集団)があり、また秀吉にあっても大軍の移動における糧食から兵士の疲労困憊を考慮してもなお、目的を達しようとすること、反対に戦艦大和を活かせなかった軍首脳部の目的の欠如さなどが、もしもということを交えながらも迫っているのには納得してしまう。
 これからは科学がより発展していき、新たな資料の発見もあり得ることだが、よりこういった歴史家でない専門家きらのアプローチには傾聴すべきものがあろう。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

観点が面白く、一読の価値があると思います。日本刀の優秀さを強調されている箇所など「どうなんだろう?」と感じるところも少しありますが、全体的に「科学的観点から考察しよう」という考えで書かれていて面白いと思います。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

企画として「と学会」ぽくて面白い。造船のプロである播田さん一人の視点で書かれておりまとまっている。次巻にも期待。

※終章に福島第一原子力の発電機仕様が米国式〜との記述があるが、2011年の時点では911を受けて米国NRCの要求が変わっており米国に素直に追随してれば被害が軽減できていた可能性あったことは指摘したい。

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2023年06月03日

Posted by ブクログ

元軍の話と秀吉の話が面白かったです。
ただ単に、そんなことあるわけない。昔の人が話を大きくしているだけ!というのではなく
なかなかハードだけど、実現させるなら…という視点で考えているのがよかったです。

よく◯万人の兵士とか、◯隻の船で…などと教科書に書いてあって、すごい数だなぁと思いますが
必要な食料、排泄、衣類、武器、それを運ぶ馬、馬の食料…も必要で。
当たり前のことですが、視野が広がり、また違った見方ができるかなと思います。

上司が貸してくれた本で、普段読まないジャンルなのでなかなか読み終わりませんでしたが、投げ出さなくてよかったです笑

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2022年12月29日

Posted by ブクログ

生物学者が恐竜絶滅の原因を生物学的な学説で説明したいと思うように、
歴史学者も歴史上の出来事を組織学や、ある人物の優れた戦略や統率力の賜物だとして説明したがる傾向がある。

900隻もの大群で九州に押し寄せた蒙古軍が九州を攻め落とせなかったのは、神風が吹いたからと言われていて漠然と日本は運がいいねと思っていた。
日本は海に囲まれており、しばしば暴風雨に見舞われるので確かに攻め入るほうにとっては厳しい条件だろう。

だが、冷静に状況を考えてみると気象条件が全てではない。
何百隻もの船が着岸し人や物の乗り降りをするのにどれだけの時間がかかるのか。
何万人もの蒙古軍が、一斉に上陸して攻めてくるなんて無理だということが分かる。

本書は、物理学、気象学、統計学を駆使して、歴史上の出来事を科学的に検証してみたものだ。

戦艦大和については、実際にどんな活躍をしたのか(別段興味もなく)知らなかったが、活躍することなく敵の攻撃であえなく沈没していた。
時代は既に空中戦に突入していたということだ。
まさに今ウクライナ戦争で、ロシア海軍の艦船が相次いで黒海で炎上・沈没しているのも同じ理由だ。

私にとっては、戦艦大和は宇宙戦艦ヤマトに姿を変え宇宙船として大活躍した姿しか記憶にない。

歴史好きの人が読むと少しくどいと感じそうですが、私のような理系人間が歴史的事件の真相に触れるにはいい本ですね。

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2022年10月30日

Posted by ブクログ

蒙古襲来、中国大返し、戦艦大和という三つの歴史的事件に焦点を当てて、大胆な仮説を立てた本書。
著者は船の設計者であり、歴史学者ではないので、歴史学的に見れば一笑されるものかもしれない。
(私も詳しいわけではないので、何がおかしいのか、といった指摘はできない)
だが、中国大返しに船を使ったのでは?という仮説はとても興味深い。
現代人の体力(訓練された自衛隊員)と当時の騎馬武者の体力、兵站など考えなくてはいけないことはたくさんあるが、そこで船を使えば早かったのでは、なんて今までに聞いたことがない!

蒙古襲来も、いかにも船の技術者と言った内容。
造船技術、航海技術その他従来の歴史書では捉えられてこなかった視点が面白い。
実際に模型まで作っているのだから、技術者とはすごいもんだと感嘆する。

歴史学者だけではなく、このような技術者の視点というものも必要と感じた。
大発見やパラダイムシフトは、専門家だけではなく、門外漢からだって何度も生まれているのだから。

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2022年09月25日

Posted by ブクログ

蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の3点について歴史家の立場よりプロジェクトを策定するマネジメントの視点から、従来の定説に挑んだブルーバックス本。
3つとも歴史好きにとっては必ずと言っていいほど取り上げられるテーマで、それだけに関連図書も多い。
諸説様々、思い入れの強い人もいて批判めいたコメントも散見される。
個人的には、蒙古襲来は「神風などではない」これは常識。「上陸の不備」これも常識。何処か何かの本で読んでいる。
秀吉の大返しはNHKで何度も取り上げられているのを見た。
戦艦大和については、子供の頃の記憶に頼るしかなかったので興味深く読ませてもらった。
ただし、太平洋戦争史に関わる記載については異論が出るに違いないと感じられた。
理系ブルーバックスの編集だから出せた内容なのだろうが、同時にその事により裏切られた感も否めない。

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2022年09月09日

Posted by ブクログ

3.8。異業種ならではの着眼が面白かった(信頼のブルーバックスだからこそだが)各章で扱ってる内容に強い歴史研究専門の人の意見も載ってたら良かったな。というか見たい。

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2022年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 鎌倉時代に、900隻の大船団が押し寄せ、すぐさま全軍上陸して、武士団をさんざん打ちのめし、謎の撤退をして日本は救われた・・・そんなわけあるかい!ということから検証した結果、どうなのかは本書に譲るとして、神風、奇跡などは心地がよくロマンはありますが、古書・伝説・伝承の通り実行するならこういう条件が必要なはずだ、その条件は満たせるとは到底思えない、だから本当の歴史は○○と推察される、という姿勢が必要という指摘はその通りだと思います。
 著者は、長年、船に関わる仕事をしてきて趣味も古船というオタクであると告白し、船への興味から、蒙古襲来について調べ、海洋関係者の集まりで発表してみた結果、本になったとのことで、船にまつわる話題として、秀吉の中国大返し、と戦艦大和を題材に推理のごとく進んでいきます。
 ブルーバックスらしい切り口で興味深かったですが、各話題をもう少し短くして、ネタを増やしてほしかったな、と思いました。他の著者でもいいので新しい歴史の捉え方として、日本史サイエンス”シリーズ”みたいな感じで続巻を期待したいところです。

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2021年10月13日

Posted by ブクログ

このサイトでのプレゼント企画に釣られて購入。船舶設計をされている著者が、その独自の視点から「蒙古襲来」「中国大返し」を考察した前半と、戦艦大和についての持論を展開した後半に分かれる。特に前半部分は面白く読めた。これらの考察から「兵站」ってこうやって考えるのかと、色々と勉強になった。戦艦大和については、個人的には同意できない部分もあるが、こういう考え方もあるのかという意味で参考になった。

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2021年09月30日

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