【感想・ネタバレ】RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になるのレビュー

あらすじ

「超専門化」よりも、知識の「幅(レンジ)」のある人が成功する
■世の中は、ますます複雑さを増している。それを反映するように、ビジネスでも、研究開発でも、大学教育でも、スポーツでも、さらには幼児教育でも、分野を狭い範囲に絞って深掘りする「超専門化」がもてはやされるようになっている。ところが、こうした「超専門化」が成功しやすい分野は、実は非常に限定されている(ゴルフやチェスなど、ルールが明確で、迅速かつ正確なフィードバックが得られる「学習環境が親切」な領域だけだ)。世の中の大半の領域は、状況が刻一刻と変わり予測不能な出来事が起きる「不親切な学習環境」にある。そこでは、「超専門化」した人よりも、多くの分野に精通し知識と経験の「幅(レンジ)」のある人のほうが成功しやすいことが、さまざまな調査や学術研究で裏付けられている。
幼い頃から英才教育を受け、若くしてプロゴルファーになり世界を席巻したタイガー・ウッズのようなサクセスストーリーにあこがれ、学ぼうとする人は多い。ところが、大半の人にとって、それは誤ったロールモデルであることを、本書は明解に示す。
■自分のキャリア形成を考えるとき、「1万時間の法則」「グリット」「早期教育」「ストレングス・ファインダー」などに目を奪われやすい。これらがもてはやされるのは、「効率が高い」「時間のムダがない」「近道」とされているからだが、実はこれらの手法がそぎ落とそうとしている「非効率な学習」「ムダな時間」「まわり道」にこそ、長期的に「真の価値」があることを、本書はさまざまな事例と科学的根拠をもとに解き明かす。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

様々な事例を用いながら、早期の専門化による影響と、様々な経験を経る(寄り道する)ことで、新たな発見や特出した成果を残すことを説明している。
早期に専門化が決して悪いという観点ではなく、専門化が遅くなっても、決して悪くはないし、様々な道を通ることで、成功した事例を紹介している。1つの分野にとっては、当たり前なことでも他の分野に適用した際には、新しい発見を生み出すこともある。

任天堂の枯れた技術の活用
フェデラーのテニスへの専門化の時期など、
いくつか刺さる部分があった。
チャレンジャー号の例を見ていると、数値やデータだけに頼るというのが間違いというわかる。
* 何かが違っているのであれば、そこには何かがある。

多様な視点、様々な経験、知識の幅(レジン)を得ることがこの不透明で不確実な現代を生き抜く上で重要な考え方だということだ。

最初から自分にあった仕事や、スポーツをやっている人は本当に恵まれている人だ。たいていの人(自分もあなたも)は何度も挑戦して失敗して、そこから学んで自分のやりたいことを徐々に見つけていければいい。そのためには、自分の経験の幅(レジン)を非効率で地道で遠回りしながら見つけていこう。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
これまでの自分の人生を振り返って「自分はスペシャリストにはなれないな」と思うことが増えていた。
そんな中この本に出会い、人生の指針を得たように感じている。

【要約】
・タイガー・ウッズとフェデラー
タイガー・ウッズのような早期からの特化型教育よりも、様々な経験を積んだフェデラー型の方が現代の複雑な世界では適応力が高いという指摘は、教育やキャリア設計において重要な示唆だと思った。
これは「意地悪な世界」(予測不能な領域)で生き抜くために、汎用的な問題解決能力が求められるからだと述べられている。

・「速い学び」と「ゆっくりな学び」
早期専門特化の教育は短期的な成果はあっても長期的な成長を損なう可能性が指摘されている。
幼少期は幅広い分野を学び「マッチ・クオリティ(自身の得意分野)」を見つけることが大事。

・画家のゴッホの人生
ゴッホの人生は、一見無駄に見える試行錯誤の連続が、最終的には独自の芸術スタイル確立につながったことを示しています。
ここから、キャリア設計においても「計画して実行」よりも「試して学ぶ」方が有効である可能性が示されている。
これは私にとってとても救いになった。
「何歳からでも遅くはないんだ」と。

・NASAのチャレンジャー号事故の例
特定の「ツール」や思考枠組みに固執することの危険性を痛切に物語っている。
本事例に置ける「ツール」とは「データ絶対主義」。
データが重要であることは間違いないが、過去実績(データ)のない未知の試みについては定性的な議論も必要。
NASAに勤めるほど優秀な人でもこのような落とし穴があるのだから自分はより注意すべきだと感じた。

・全体まとめ
専門化が進みすぎた分野でアウトサイダーにチャンスが生まれるという逆説は、AI時代における人間の役割を考える上でも示唆に富んでいる。

「不確実性の時代」を生き抜くためのメタスキルが重要。
特定の分野に深く潜るだけでなく、幅広い経験と言語化能力(概念化)を組み合わせることが、予測不能な課題に対処する力を養う。

一見無駄に見える経験も、後で統合されれば独自の強みになる。
これは個人のキャリア設計のみならず、組織の人材育成においても重要な視点だと考えさせられた。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

◯まとめ
①幅広な学び、他領域の経験を重ねることで、優れた結果、成績を残すことができる(スポーツから学術領域まで)
②専門に特化すると、得意な領域に関する知識、経験のみで判断する近視眼的思考に陥りやすくなる。結果、誤った結論が導かれることがある。別領域の観点から物事を俯瞰するアナロジー思考によりたどり着く答えもある
③科学や企業活動におけるブレイクスルーの元となるアイデアは、専門外の別領域との掛け合わせで生まれる(グラフェンや枯れた技術の水平思考の事例)。それらを起こすには、分野同士の接点を増やす機会を増やすことが必要。

◯意識の変化
早期に専門特化をしなかったことによる「遅れをとった」という意識は不要
興味と経験、学びの幅を増やすことが、結果的に全く別の分野で役に立つことになる

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2024年01月02日

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