あらすじ
ドン・ウィンズロウ、スティーヴン・キング、デニス・ルヘインら海外ミステリ界の巨匠が絶賛! エドガー賞ほか受賞多数の実力派作家による、誘拐×スリラー×アクションの無類のエンターテインメント!
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Posted by ブクログ
娘のカイリーはつらい体験をしたが,無事に帰ってきた。レイチェルが選んだ次の被害者ダンリーヴィもまた,チェーンをうまく継続させた。一見もとの日々が戻ってきたように見えるが,巻き込まれたレイチェル,ピート,カイリーはみな,取り返しのつかない傷を負ってしまった。レイチェルは娘のために立ち上がる決意をする。チェーンを壊さなくては。
「ルーム」,「棺の女」等々,「帰ってきた被害者のその後」を描く物語はいくつかありますが,この本の場合は「自分も加害者になってしまった。だから本当のことは誰にも言えない」ということのほか重たい事情を抱えているところが特徴。
下巻では,ピートに止められながらも立ち向かう決意をするレイチェルの姿と,チェーンを作った真犯人たちの生い立ちとが交互に描かれていくのですが,何しろ上巻でひどい目にあいすぎたので,全然真犯人への同情心がわかないという・・・。
犯人がだれかわかったところからはめちゃめちゃハラハラドキドキ,向かう展開はそこしかないとわかっているのですが,それでもページをめくる手が止まらなくなりました。
「もしこの事件が映画化されたら」とかピートのセリフにありましたが,下巻はハリウッド映画さながらのエンタテイメント性にあふれてて最後は楽しく読めました。
それにしても,上巻の時から,「チェーン」の展開の速さ(週に1回以上は誘拐が起きている計算になる。下手したら2回以上?)を考えると,巻き込まれている人は指数関数的に増えるはずなので,エリックやレイチェルのような「戦おうとする人」が現れる可能性はこれまでにもあったと思われるし,カイリーのように自力で逃げ出そうとして成功する子どもがいたっておかしくはない。
そう思うと,チェーンてうまくいきすぎじゃないか,設定甘いんじゃ,とも思っていたのですが,終盤でオリーが,3年もたなくたっておかしくなかった,たまたまうまくやれてたんだ,という意味のことを言うところがありまして,やっぱりそうなんだなと。
スモールネットワーク理論で言えば,もっと早く法執行機関の関係者とつながってしまう可能性は高いので,運も手伝ってうまく回っただけだということで納得しました。
総評としてはとても面白かった。しかし,上下巻にわける必要ないんじゃないかなとは思いました。1冊でいいのではないか。
Posted by ブクログ
ショーン・ダフィシリーズの雨の北アイルランドから一変、アメリカ東海岸が舞台。全く違う作風で驚き。
スピード感に一気読みさせられた。その中にも誘拐という卑劣な犯罪への怒りが細かく述べられ、確かに杉江さんの解説にも「書きすぎる」とあったが、わたしもそれは感じた。
だが、いいぞ、マッキンティ!ウーバーの運転手やってる場合じゃない。どんどん書いてください。
大好きなショーン・ダフィシリーズの次作も近いうちに読めるそうで楽しみだー。
今回もレッド・ツェッペリンが登場でファンとしてはうれしい限り。さあ誰が、どんな状況下で、どの曲を聴いたのか…もう、ツンデレなんだから!(そこじゃないって?)
Posted by ブクログ
もしかしたら誘拐された娘が解放されて終わる第一部だけで物語を閉じてしまってもよかったかもしれません。強烈に後味の悪い話になるでしょうが。
とはいえ第二部では、事件後の被害者であり加害者である主人公たちの精神的に疲弊していく様子、これからずっと不安や終わりのない閉塞感を抱えて生きていくこと、そこから脱却しようと行動する、それと交互に黒幕たちのエピソードがあり、短い場面展開でどんどん読ませていく手法にのせられて物語の先へ先へ。
最後はハリウッドアクション映画みたいな展開でしたが、まあ満足。
メキシコカルテルの人質制度とチェーンレターから着想を得たとのことに感心しました。