【感想・ネタバレ】コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版のレビュー

あらすじ

■ビル・ゲイツの推薦の言葉
「二〇世紀後半、あるイノベーションが誕生し、全世界でビジネスのやり方を変えた。ソフトウェア産業の話ではない。それが起きたのは、海運業だ。おそらく大方の人があまり考えたことのないようなそのイノベーションは、あの輸送用のコンテナである。コンテナは、この夏私が読んだ最高におもしろい本『コンテナ物語』の主役を務めている。コンテナが世界を変えていく物語はじつに魅力的で、それだけでもこの本を読む十分な理由になる。そのうえこの本は、それと気づかないうちに、事業経営やイノベーションの役割についての固定観念に活を入れてくれるのである。」

世界経済とグローバル貿易を飛躍させた「箱」の物語として、国際物流の生きた教科書として2005年の刊行(日本語版は2007年)以来、版を重ねてきたロングセラー、レビンソン『コンテナ物語』の最新情報を加えた改訂版。前回から10年以上を経て、コンテナ船の巨大化が進み、世界の港湾も巨大化・自動化が進んできた。米中貿易戦争の激化もあり、コンテナの将来は予断を許さない。解説・森川健(野村総研)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この書籍は、世界中でコンテナ輸送が成り立つまでの道のりが記されています。
コンテナが発明される前は荷物を船内に秩序なく詰め込み、沖仲仕が人力で運び出すというスタイルであった。
人力では効率も悪く、人件費もかかるということで、トラック運送業者のマルコム・マクリーンがコンテナを発明。
しかし、発明当時は受け入れられなかった。コンテナのサイズ、船までの輸送、港湾の整備に問題があるからだ。
コンテナの規格化、港湾整備、ガントリークレーンの建設等、現在では当たり前となった設備が開発、運用されるまでの物語である。
まさに、「箱」の発明が世界を変えたのである。
コンテナ、海運業界に従事し、興味ある方は必読です。

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2023年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マクリーンの発想をきっかけに、労組との対立、凝り固まった慣習、業界内外からの反発等々を乗り越え、運賃の価格破壊や軍需、規制緩和による自由競争を経てこんにちの物流網・供給網、経済構造はコンテナによって形作られた。
最近はサプライチェーンマネジメントが~なんてよく言われるが、そもそもサプライチェーンという発想自体がコンテナによる物流網の確変が無ければ存在し得なかったという事実を忘れないようにしておきたい。

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2022年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コンテナのおかげでニューヨークとリバプールは凋落した。
釜山やシアトルが世界のトップになった。
コンテナは労働者にメリットもデメリットももたらした。労働環境は改善したが待遇改善に終止符が打たれた。
海上貨物運賃は、輸出輸入の10%以上を占めていた。関税以上に強力な参入障壁だった。
積み出しと荷揚げに費用がかかる。コンテナで削減できないか。しかし貿易に与えた影響は軽微だった可能性もある。

エジソンの白熱電球は20年後でも普及率は3%。普及には発明だけでなくイノベーションが必要。コンテナも同じで普及には時間がかかった。

コンテナの規格は紆余曲折を経た。鉄道、トラックなどと合わせる。

マルコム・パーセル・マクリーンが改革してコンテナを普及させた。運送業者から身をおこし、旺盛な事業拡大意欲で事業を拡大。海運業に全財産をつぎ込む。
トラックに箱ごと積み下ろしする。

ニューヨーク対ニュージャージー。ニューヨークは古くからの港で設備が老朽化、ニュージャージーがコンテナ化した。
コンテナの規格は鉄道のように、自然には定まらない。高さは8フィートまたは8フィート6インチ、長さは20フィートから40フィートまで。幅は早くから8フィートと決まった。航空便のコンテナは別仕様になった。荷重の問題。
コンテナ輸送は過当競争を呼ぶ。荷揚げ設備が必要なので寄港地は削減し、その間をトラック鉄道輸送がまかなう。クレーンと巨大なコンテナヤードが必要。
その結果。ロッテルダムが世界最大のコンテナ港になった。

マクリーンのシーランドは、たばこ会社のレイノルズに売却された。巨額の投資が必要になった。安価な石油価格を背景に高速船を建造。エレクトロニクスメーカーにコンテナは活用された。

コンテナは、スタートから大規模にやる必要がある。在来船は荷物を求めてあちこちに寄港したが、コンテナは定期航路、高頻度サービスで大量に持つをさばく必要がある。その結果供給過剰になる。
コンテナ船はランニングコストがかかるから、船を休止させておけない。
オイルショックの原油高で、荷物の量が減る。
高速船は燃費が悪く使えない。マクリーンの高速船は海軍に引き取られた。
レイノルズは海運事業を売却。景気に左右されやすい。海運業者が売るのはコモディティと同じ。

マクリーンは、従来のライバルユナイテッドステーツ海運を買収。超大型船で低燃費の船を建造。速度が落ちたため、流線型にしないで荷物を大量に詰める形。
パナマ運河を運航できる最大舟型=パナマックス級。さらにオーバーパナマックス級も建造された。限られた港を往復する。シンガポール~ロッテルダムなど。
寄港地は少なくなる。日本からサンフランシスコ行きの荷物はシアトルで下ろされる。

サッチャー首相は港湾施設に多額の投資が必要なことに嫌気を刺し、21の港を売却した。他の国も追従。
原油価格の下落で産油国向けの荷物が減少し、ユナイテッドステート海運は倒産。
コンテナによって巨額の費用が必要となり、生き残った海運会社はわずか。
船の速度は、原油価格に左右された。
コンテナは動く倉庫。保管費用が削減された。
混載船の時代は荷主は力が無いが、コンテナになると荷主がまとまれば海運会社を左右した。オーストラリアの輸出農家の例。
公定運賃は力を失う。コンテナは世界経済の規模を大きくした。
バービー人形は1959年の時点で、生産を日本で行うことにしていた。当初から世界のサプライチェーンを使っていた。
製造業は当初、垂直統合を目指した。運賃が安くなるとサプライチェーンを作るようになった。
世界のコンテナの20%は空。
コンテナによって反映する場所と不利な場所ができた。
アントワープ、ドバイなどコンテナによって都市化した都市ができた。
かつてはパナマ運河、今はマラッカ海峡で船のサイズを決める。マラッカマックス。さらに船が大きくなるか。

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2024年05月20日

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