あらすじ
■ビル・ゲイツの推薦の言葉
「二〇世紀後半、あるイノベーションが誕生し、全世界でビジネスのやり方を変えた。ソフトウェア産業の話ではない。それが起きたのは、海運業だ。おそらく大方の人があまり考えたことのないようなそのイノベーションは、あの輸送用のコンテナである。コンテナは、この夏私が読んだ最高におもしろい本『コンテナ物語』の主役を務めている。コンテナが世界を変えていく物語はじつに魅力的で、それだけでもこの本を読む十分な理由になる。そのうえこの本は、それと気づかないうちに、事業経営やイノベーションの役割についての固定観念に活を入れてくれるのである。」
世界経済とグローバル貿易を飛躍させた「箱」の物語として、国際物流の生きた教科書として2005年の刊行(日本語版は2007年)以来、版を重ねてきたロングセラー、レビンソン『コンテナ物語』の最新情報を加えた改訂版。前回から10年以上を経て、コンテナ船の巨大化が進み、世界の港湾も巨大化・自動化が進んできた。米中貿易戦争の激化もあり、コンテナの将来は予断を許さない。解説・森川健(野村総研)
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荷物、海運、物流の、コンテナリゼーションを中心とした歴史的書物。物流の大元の話を学べることに価値がある。戦争から物流、サプライチェーンへとロジスティクスの意味を変えてきて、その中でのコンテナの圧倒的な意義。
一方で仕組みを作るという時に誰が得をするのか、という問題が非常にクリティカルにわかりやすい。単なる先行者利益としての起業的価値と、コモディティ化との結節点はどこにあったのか、繰り返しここがポイントになる。
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イノベーションの物語なのに、輝かしい閃きではない事にフォーカスしていたのがイイ。
誰も革命的なことの最中にいることすら理解せず、コンテナの革命は一歩ずつ進んだのが良く分かる。
トラックと鉄道と船をひと繋ぎにすることで、今の世界の流通システムが成り立っている。大袈裟に言うと、それが資本主義の根幹なんだと理解できる。
数々の課題を統一していく過程が良い。
大きさの規格、連結金具の開発、ライバルである鉄道会社の取り込み、港湾の荷揚げシステム、大量のコンテナBOXや船舶のリースシステム、トラックやトラーラーのボックス化。
それ以上に多様化し対立化する、ギャングや政治家の対処や、労働組合やライバル会社などへの折衝、資金調達から新しい企業買収方法など、まさに多岐へ話題が散りばめられていて、ページを捲る手が止まらなかった。
コンテナそのものは統一規格化されても、まだまだ効率化の余地があって、AI港湾への進化、パナマ運河やマラッカ海峡の幅問題をクリアーする大型輸送の実現と港湾の革新などが進むのだろうと思った。
まさに、「ロジスティックを制する」ことが、今後も世界経済を制するんだと深く感じた時間になりました!
Posted by ブクログ
グローバリゼーションのきっかけとして、物流コストの低下があげられるが、その一躍を担ったのがコンテナで、コンテナ事態は箱にすぎないが、その規格化を通して、陸運と海運をシームレスで一体化させて、各工程の最大コストの積荷の費用と時間を大幅に削減したことが大きな要因として挙げられる。またコンテナの積荷に対応した港湾の設備通しや戦略で、現在の各都市の港湾の明暗が別れたと考えられる!
Posted by ブクログ
The BOX コンテナ物語
本書の構成
コンテナの影響が最初に述べられ、普及した背景が述べられていく。そして、現在起こったことに対する見解が述べられる。
経緯に対しての感想
システムの開発から統一までの経緯が本書には詰まっていた。
マクリーンのアイデアの影響範囲を広く捉えるという視点は良いと思った。(コンテナなら、自社コスト削減どころか、海運のシステムを変えられるなど。)
また自社だけだと資産や影響力に限りがあるので、以下に他社を巻き込みチャンスを掴むのかのが大切かもわかった。(軍しかり、投資家しかり。)さらに普及の過程では、totalで仕事の生産性は増すとしても(理解している人も少ないかも)、雇用の安定性、競合他社自身の利益など、普及の阻害要因は沢山出てくることがわかった。しかし、現代社会においては技術の進展による解雇は経営者側が有利と思われる。特に日本だとストライキも起こらないので。
いかに先駆者利益を勝ち取るかという点においては、港の設置はプラットフォームビジネスだなと思った。さらにそこで差別化や付加価値の提供が出来ると強いor 必須。
現状(&結果)に対しての感想
コンテナ化により、運賃コストは下がり、輸送の信頼性、安定性は向上した。
規模の経済を拡大させていくと、格差は広がるなと感じた。安いところは悪循環で発展しにくい。しかし、成功者もまた拡大にはリスクを抱えている。やがて生き残るものは少なくなる。
物流の進化により、市場のグローバル化が加速したのは間違いないと思った。海外品が入ってきて、価格競争に嫌でも巻き込まれる。また逆に自社は海外に拡大できる。
第1章 最初の航海
物体の価値は使われ方にある。最小限のコストで貨物を運ぶ高度に自動化されたシステム。その主役がコンテナ。
コンテナにより、工場の位置が都心から地方に変わり、グローバル化も進んだ。(勝手にもう巻き込まれる)
コンテナ港は、ほとんどコンピューターにより制御されている。人為的ミスが入り込む余地がない。
輸送費は今では本当にわずか。
本書では3つの研究テーマを重ね合わせた。「輸送技術の変化がもたらした影響」「イノベーションの重要性」「輸送コストと経済地理学との関連性」
第2章 埠頭
コンテナ登場以前は、港の荷役作業は危険で労働集約型だった。
トラック対抗のため導入されたコンテナだが、初期は相変わらず沖仲仕がいり、コスト節減には繋がらなかった。
第3章 トラック野郎
マクリーンは最初トラック輸送業者から始まる。ルートの認可よりも借りると言う発想で、ICC(利益よりも安定を優先の州際交通委員会)の規制を回避。会社を成長させ、高速の渋滞回避を考えていた時に海上輸送の方法を考える。ターミナル用地はちょうどよく見つかる。トラック運送会社が船会社はできないので、別の会社に資産を移し、その後アメリカ初のLBO(レバレッジバイアウト)を行う。LBO後は、不要資産の整理も行なった。
そして、さらに大胆なコンテナのアイデアを思いつく。スペースが無駄だからトラックから車輪を取ればいい。
マクリーンは輸送コストの圧縮に必要なのは、単に金属の箱ではなく、貨物を扱う新しいシステムだと理解していた。港、船、クレーン、倉庫、トラック、鉄道、そして海運業そのものだと。
第4章 システム
セルとクレーンの改良。
続いて、物理学者によるアプローチの紹介。コンピューターのシミュレーションを用いて、コスト削減などの計算をしている。またコンテナの寸法(作業時間と無駄なスペースの関係から)も決めている。クレーンは岸側に設置。
マクリーンはプエルトリコの航路を独占。その過程で、現地を支援する子会社を設立したり、政府重役への配慮を行なったり抜かりない。またすっかり大企業になっても、コスト意識は相変わらず高く、またビジネスマンとしての言動・行動も伴っている。
第5章 ニューヨークvs ニュージャージー
ニューヨーク港 vs ニュージャージー港でニューヨーク港が時代の流れに背き、衰退していく様子が書かれている。
ニューヨーク港は、1950年代前半には栄えていたが、内陸輸送費、ストライキ、犯罪、施設老朽化により衰退の一途。ニュージャージーは、港湾局に、マクリーンも巻き込めた。
コンテナは職業や工場立地に大きな影響。
第6章 労働組合
沖仲仕の労働組合は、機械化により仕事が減るのではないと懸念。さらに、機械化による恩恵を還元しろと要求。結局海運側は、雇用保証などお金を払うこととなる。ただ、それ以上に機械化の利益はあった。ただ、このように機械化の恩恵を、経営側と労働側で分かち合うのは珍しい例だった。
第7章 規格
各社コンテナのサイズが色々あったが、これではコンテナにあった船やクレーンがいることになり、非効率である。しかし、コンテナの規格化は、各社の最適解があったり、鉄道などの影響が及ぶ範囲も広く難易度が高い。
まず、長さは複数出すことにした。そして、組み合わせがいいよう長さはに10、20、30、40フィートとした。さらにISOにより、欧州側で主だった小型も追加される。なお、コンテナの先駆者のパンアトランティック海運とマトソン海運のコンテナはいずれも規格外になった。ただ、後に綺麗な数字よりも市場で役立つ数字ということで追加された。また固定具などの問題は有用なもので統一された。最適といかないまでも、コンテナ普及のために妥協して決定されていった。
第8章 飛躍
マークリンはお金がないが船が欲しかった。そこで、お金があり造船技術も持っている会社とうまく提携して、船を確保した。(これまでは、新たに船を作るよりも中古の軍用の船などを安く買っていたほうがコスト的によく市場にはコンテナ非対応の船が多かった。)そして、実績を出し普及。
しかし、アメリカの鉄道会社は、現状うまく行っている有蓋貨車を守るため、コンテナの設備投資を回避するために、非協力的なままだった。
第9章 ベトナム
当時兵站が課題であった。ベトナムの港は数も少ない上に、整備もされていなかった。
そこに、業界を革命していたマクリーンが呼ばれて、さらにコンテナアイデアを大将に直訴して、結果で認めさせた。軍は最大の支援者になった。
第10章 港湾
コンテナの普及により海運会社にとって、どの港にも立ち寄る時代は終わろうとしていた。建造にカネがかかり、必然的に効率を命とするコンテナ船は、大量の貨物を高速で運ばなければ利益が出ない。したがって、大量の貨物が確保でき、スムーズな荷役な補償される港でなければコールする価値がなかった。つまり、コンテナ輸送が盛んになる程、海運は少数の大型港に集中し、港は生き残りをかけて競走する必要が出てくる。
西海岸は、もともと地理的要因から冴えない状況が続いていて、コンテナの可能性にいち早く気づいた。(当時、貿易はヨーロッパ中心で、アジアは戦争や政情不安、内陸の需要も西海岸は薄い。)コンテナ以前は、健全な地方経済を支えるのは製造業だというのが常識だった。一方、港の価値は輸送需要の大きい製造業が近くに立地するかで決まっていた。ところが、コンテナの出現により、「もはや物流は、生産と消費を結びつけるだけの他業種に依存した産業ではない。独立した産業として逆に生産と消費のあり方を決めるのが、物流である。」とされた。また「市内の産業と港との距離が近いことは、もはやさしたるメリットではない」とも言われた。
一方、東海岸では、労働組合と予算の観点からコンテナ普及が遅れた。(ニューヨークでは年間所得保障と引き換えにギャングの人数削減を労使が合意している。)。そしてコンテナ輸送萌芽期中に、出遅れた港はフィーダー港(支船港)になった。
コンテナ化の流れは海外でも起こり、欧州全体やイギリスでも大きく勢力図が変わった。シンガポールも力をつけた。
第11章 浮沈
1966年の春に国際コンテナ輸送が始まり、1968年には、ロッテルダム(オランダ)、ブレーメン(ドイツ)、アントワープ(ベルギー)、フェリスクストウ(イギリス)、グラスゴー(イギリス)、モントリオール(カナダ)、横浜、神戸、サイゴン(ベトナム)にはコンテナの設備が整った。
設備投資にお金が必要な中、アメリカにはコングロマリット(巨大企業がいた)という味方がいた。マクリーンは、公定運賃ならば集荷で差をつけるのはスピードとして、船の建設に力を入れる。そして、地元のよしみもあるタバコ会社に身売りして、お金を調達することに。
同時に世界では船の建設ラッシュが起こるが、供給過剰に陥る。すると、値下げ競争という苦痛に満ちた局面に突入することになる。しかも、設備投資のための借金を抱えながら。運賃体系が崩壊すると、船会社の利益は当然減り、業界再編が起こった。また競走の制限とちう解決策にたどり着いた。しかし、景気低迷や供給過剰になれば必ず再発すると考えられ、運賃は輸送コストギリギリまで下がるだろう。すると、ローコスト体質の企業の方が生き残れる可能性は高く「もっと大きくもっと速く」というプレッシャーが企業にかかるようになった。
しかし、オイルショックにより燃料費が高く取られる船はかえって不利になった。マクリーンは、運輸業は資本集約型で景気やライバルなどの外的要因を受けやすいとして、タバコ会社からスピンオフされた。独自技術から次々にヒット商品を生み出し数十年にわたって高利益を上げ続けるのは難しい。
第12章 巨大化
船が大きくなり、港も巨大化する必要が出てきた。港の、問題はサイズであり、立地でなくなった。かつては、貨物を一旦そこで堰き止め、改めて送り出すことで繁栄していた。港の背後に控える内陸部と経済的に密接に結びついていた。しかし、コンテナ時代には、ごく少数の港に立ち寄るのみ。荷主は始点から終点までにかかるトータルコストが一番安いルートを選ぶようになった。
またリスクを背負いながら借金を払い続けることが負担になった政府は、民間に売り渡された。この頃(1980年代初頭)には、民間も資本を調達できるようになっていた
マクリーンはスピードが遅く(オイルショックの反省から)巨大な船を注文するようになる。しかし、1980年代石油価格は大幅に下落し船は場違いに。負債も溜まり、ついにユナイテッドステイツ海運の持ち株会社(マクリーンの会社)は破産する。ついに、マクリーンはこの破産に耐えられなくなり公から姿を消した。しかし、彼への敬意は皆忘れていない。
第13章 荷主
コンテナの影響を最初に受けたのは、海運業界(船主、港、港湾労働者など)。コンテナ革命の最も重大な影響が現れたのはもっと後。何をどこで作ってどこで売るか、何かを輸出または輸入した時に割りに合うかを考える時に、運賃が非常に重要な要素だった。この重みを変えた時、世界経済を様変わりさせた。
コンテナの影響を考えるには、海上運賃の他、陸上運賃、梱包、倉庫、港湾使用料、保険などさまざまに考えなくてはならない。陸上運賃以外はコンテナ化により確実に削減された。
またコスト削減に寄与しているのは、荷主の存在もある。盟外会社が行き交うようになったこと、また運輸業の規制が緩和されたことで、荷主の力が強まった。
そして、こうしたコスト減少の結果、消費者は多大な恩恵を被った。
第14章 ジャストインタイム
ジャストインタイムに代表される定時輸送は、コンテナの存在が大きかった。貨物を1個1個人力で運び、港に何日も停泊し、船からトラックへ、トラックから鉄道へま、受け渡しに煩雑な手順を要する時代では、「いつ着くか」を予想することは至難の業であった。よって、生産ラインを安定化させるには、在庫をたくさん抱える必要があった。
輸送の安定性・信頼性が増加すると、企業は人件費の安い海外に拠点を移すようになり、労働集約的な作業は人件費の安い国で行うようになった。しかし、サプライチェーンに組み込まれるためには港が必要。アフリカは人件費は安くても港がなく普及してこなかった。
コンテナ革命は1980年代前半で終わったが、その余波は30年経っても続いている。欧州でも日本でもアメリカでも、安価な輸入品が高価な国産品を押し除けるようになった。先進国で物価が下がった。
旧態依然の港や非効率な港に呪われた国は、グローバル経済で躍進を遂げようにも致命的な障害を抱えることになる。
巨大化もデメリットはある。建造に巨額の融資を伴うため、十分集荷できないと採算が合わない。またコール回数が減り、港のインフラが放置されることもある。
最近では自動化の進展がめざましい。
第15章 付加価値
港の選ばれ方は、トータルで見たコストや所要時間が他のルートより有利だからという理由に尽きる。だから港は、貨物の通過を円滑化・迅速化することで存在理由を強化しなければならない。アントワープら、艀輸送サービスの拡充で港としての魅力を高めた。
コンテナが引き起こす3つの社会問題。① 放置された大量のコンテナ ② ディーゼル燃料で動くコンテナ船やトラックなどの排気ガス ③ 公安当局の頭痛の種(テロ・コンテナ、人間コンテナなど)
Posted by ブクログ
ひろゆき一推しということで購入。
いかに既得権益が存在している中で革命を起こすのが難しいか、革命が始まると一瞬で世界が変わること、コンテナが当たり前の時代になり、市場がコンテナで溢れかえると逆に低価格化競争によって利益が生まれにくくなること、輸送費が下がったことでものづくりが現地生産では無くなったこと、成功には運も必要なことなど、学ぶことが多くおもしろかった。
また、非常に学術的にまとめあげた筆者に拍手をおくりたい。
Posted by ブクログ
イノベーションというと、ついGoogleやAppleなどのビックテックを想像してしまうけど、本当の意味でのイノベーションは人々の生活を変えるためにエコノミクスが合うように社会実装する事を指すのではないかと気付かされた
Posted by ブクログ
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二〇世紀後半、あるイノベーションが誕生し、全世界でビジネスのやり方を変えた。ソフトウェア産業の話ではない。それが起きたのは、海運業だ。おそらく大方の人があまり考えたことのないようなそのイノベーションは、あの輸送用のコンテナである。コンテナは、この夏私が読んだ最高におもしろい本『コンテナ物語』の主役を務めている。コンテナが世界を変えていく物語はじつに魅力的で、それだけでもこの本を読む十分な理由になる。そのうえこの本は、それと気づかないうちに、事業経営やイノベーションの役割についての固定観念に活を入れてくれるのである。
by ビル・ゲイツ
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Posted by ブクログ
コンテナの歴史がわかる本。1つの発明が思いがけないところまで影響を及ぼすことってありますよね。コンテナできたから荷物がたくさん運べるようになってよかったね、ではもちろん止まらない様子がとても面白かったです。
経済的な面でいえば、輸送コストの減少によって、世界の色々な場所でそれぞれ部品を作って、最後に合わせて完成品にするというスキームが成り立ったというところが衝撃的でした。つまりは、人件費や土地の安いところで部品を生産することにメリットが生まれたということでもあり、これって今も社会問題ですから。
ただ、当時、産業が全くなく、衰退していた状況であった地域からすると、そういった大規模資本の投入はポジティブだったんだと思います。時代が変わっただけですね。
あとは、人的問題。コンテナによる効率化によって雇用が減るわけです。このあたりの人間描写もかなり細かくて面白かったのでおすすめポイント。旧態依然とした邪魔してくるやつとか出てきます。
そして、最後にコンテナという頑丈で中身の見えない大量のモノを運ぶことによる危険性。爆弾が入っていたり、移民が入っていたりすることもあるようです。
この全てが変わっているインパクトの大きさこそ、まさしくイノベーションという感じです。
Posted by ブクログ
コンテナについてほとんど全てのことがわかる本。コンテナのことはわかったんでもういいです〜ってなるぐらいの情報量なので、少し物流や貿易をかじりました程度の人にとってはボリューム的に若干苦痛かも。ただこれって日本のことを考えるきっかけにはなっていて、港で見かけるどでかいコンテナをJR貨物に積み替える作業ってどこでやってんだろうね?それとも基本はトラック?ググったりYouTubeだったり調べればそこら辺いくらでも分かるだろうから、知的好奇心がある人の知りたい欲をかきたてる一冊には間違いなくなると思う。あと港町特有の気性の荒さの理由が少しわかった気がする
Posted by ブクログ
アメリカ牛を日本ですき焼きにするのも
仏デザイナーがベトナムで服を縫製させるのも
トヨタのjust in time方式も
日本家電がアメリカを席巻したのも
コンテナのおかげ。
こんな話知らなかった、面白かったー!
Posted by ブクログ
コンテナにまつわる物語。良書。
港湾における労使紛争。起業家マクリーンによるコンテナによる物流改革。改革に対する反対勢力との攻防。コンテナリゼーションによる運輸業界の変遷。
歴史は参加者の想定を超えて動いていく。
Posted by ブクログ
ここ数年、天候不順や感染症の蔓延を発端に不安定な物流の現状を目の当たりにしている。特に、海運におけるコンテナ不足はたびたび問題となっている。今や当たり前に活用しているコンテナ、コンテナの歴史を見つめ直し、その将来を考察している本書は、物流との関係を断ち切れない現代人は必読だと感じた。
マルコム・マクリーンの優れた先見性は、あの時代に海運業を貨物を運ぶ産業と認識していたことと筆者は述べている。何かを発明することの重要性が注目されがちだが、埋もれた発明品を適応させるため、現状の制度を変えるマクリーンのパワフルさこそがコンテナの導入に繋がったのだろう。
本書の中で最も印象に残ってるのは7章の規格である。規格化は国際コンテナ輸送の実現に不可欠なピースであった。技術的また政治的な様々な問題に折り合いをつけながら、コンテナのサイズ、素材そして隅金具と規格化に翻弄した人々の苦労が伝わってきた。技術の過渡期における統一規格の作成は、不確定な技術革新に理解を示し挑戦決断することができてこそ果たすことができるのだろうと考えた。
Posted by ブクログ
6年くらい前にビルゲイツがお勧めしてるからぜひ読みなよと同僚からお勧めされた本にやっと手を伸ばすことができました。
単なる箱に過ぎないコンテナは、いかに世界の物流に影響を与えたかが時系列でよくまとめられています。海運送業にもたらした構造変革(前時代の港における荷役による積み下ろしから工場からラストワンマイルまでの直輸送)の大きさを理解することができます。
【コンテナ輸送のポイント】
・如何に多くのコンテナを効率的に運送し、行き帰りで積載量を最大に近づけることができるか
・コンテナ輸送には特別な技術的ハードルもないため、先行者利益が小さく、完成したシステムを大規模に展開できるか
→現在繁栄しているコンテナ港でも後発新興国の脅威から逃れるためには追加の投資が不可欠。そのために、「財務管理」と「経営手腕」がモノを言う。
前半~中盤は正直に言ってかなり眠たくなる内容も多く、読み飛ばした部分もありました。しかし、第13章「荷主」からの内容は読みごたえもあり面白かったです。
序盤で躓いてしまった方は何とか13章までたどり着いてほしいなと感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
この書籍は、世界中でコンテナ輸送が成り立つまでの道のりが記されています。
コンテナが発明される前は荷物を船内に秩序なく詰め込み、沖仲仕が人力で運び出すというスタイルであった。
人力では効率も悪く、人件費もかかるということで、トラック運送業者のマルコム・マクリーンがコンテナを発明。
しかし、発明当時は受け入れられなかった。コンテナのサイズ、船までの輸送、港湾の整備に問題があるからだ。
コンテナの規格化、港湾整備、ガントリークレーンの建設等、現在では当たり前となった設備が開発、運用されるまでの物語である。
まさに、「箱」の発明が世界を変えたのである。
コンテナ、海運業界に従事し、興味ある方は必読です。
Posted by ブクログ
「現代のワールドサプライチェーンを作ったのは紛れもなくコンテナである」
マルコムマクリーン=トラック野郎が時代を先取りしまくっていく様子が痛快に記されている。
「コンテナより、コンテナで輸送する仕組みこそがイノベーション。」
「発明はされていても、それが使われるようになるまで時間がかかる。」
ビジネスの根幹を思い出させるフレーズも登場する。
コンテナ普及までの困難は以下の通り。
・沖中士組合との対立
・規格化:コンテナサイズから荷役機器、金具に及ぶ
・ICCの妨害
・鉄道輸送との対立
・ベトナム戦争
・供給過多
・規模の経済を活かすためのコンテナ船巨大化
・バービーちゃんはコンテナがもたらした産物
中でも14章ジャストインタイム、15章付加価値の内容は一番面白い。コンテナが世界の製造業、貿易を変えたことを確信させてくれる。
コンテナに関わる方、すなわち全世界の消費者にとって価値ある1冊。
Posted by ブクログ
箱が世界を変えた。
いまや当たり前のように物流でなんでも届けられるが
鉄道、トラック、船と、コンテナと共に輸送量を上げてきた歴史が分かる。
400ページ越えでボリュームあり読みきれないのが残念
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マクリーンの発想をきっかけに、労組との対立、凝り固まった慣習、業界内外からの反発等々を乗り越え、運賃の価格破壊や軍需、規制緩和による自由競争を経てこんにちの物流網・供給網、経済構造はコンテナによって形作られた。
最近はサプライチェーンマネジメントが~なんてよく言われるが、そもそもサプライチェーンという発想自体がコンテナによる物流網の確変が無ければ存在し得なかったという事実を忘れないようにしておきたい。
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1956年に初めてコンテナ輸送を手がけた輸送業のマルコムマクリーン、ニューヨーク市とニューャージー州の埠頭、港湾労働者の組合運動、ベトナム戦争におけるコンテナ輸送、鉄道とターミナルオペレーション。コンテナは国際物流のコストを劇的に変え、グローバルな生産分担を可能にした。
今では普通になった、コンテナという規格が行き渡るまでの経緯。コンテナがなかった時代は、まだ人々の記憶にある。規格化したらコストダウンできることって、他にもいっぱいあるのに。
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ビルゲイツのおすすめ本。
一見地味な輸送用コンテナの発明が、グローバルな分業体制の確立に決定的な影響を与え、世界の経済発展に大きく寄与した。
コンテナが世界に普及するまでの紆余曲折がかなり詳細に記述されており、その分野以外の人間にはやや退屈。
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コンテナ開発者の話とコンテナ開発によって世界の物流がどう変わったのか・単純な発想が世界を変えた一例が書かれた本。
アメリカ労働者の権利の強さ、既得権益を壊すことの大変さ、規格統一化の重要さ・大変さがよく分かった。
Posted by ブクログ
コンテナのおかげでニューヨークとリバプールは凋落した。
釜山やシアトルが世界のトップになった。
コンテナは労働者にメリットもデメリットももたらした。労働環境は改善したが待遇改善に終止符が打たれた。
海上貨物運賃は、輸出輸入の10%以上を占めていた。関税以上に強力な参入障壁だった。
積み出しと荷揚げに費用がかかる。コンテナで削減できないか。しかし貿易に与えた影響は軽微だった可能性もある。
エジソンの白熱電球は20年後でも普及率は3%。普及には発明だけでなくイノベーションが必要。コンテナも同じで普及には時間がかかった。
コンテナの規格は紆余曲折を経た。鉄道、トラックなどと合わせる。
マルコム・パーセル・マクリーンが改革してコンテナを普及させた。運送業者から身をおこし、旺盛な事業拡大意欲で事業を拡大。海運業に全財産をつぎ込む。
トラックに箱ごと積み下ろしする。
ニューヨーク対ニュージャージー。ニューヨークは古くからの港で設備が老朽化、ニュージャージーがコンテナ化した。
コンテナの規格は鉄道のように、自然には定まらない。高さは8フィートまたは8フィート6インチ、長さは20フィートから40フィートまで。幅は早くから8フィートと決まった。航空便のコンテナは別仕様になった。荷重の問題。
コンテナ輸送は過当競争を呼ぶ。荷揚げ設備が必要なので寄港地は削減し、その間をトラック鉄道輸送がまかなう。クレーンと巨大なコンテナヤードが必要。
その結果。ロッテルダムが世界最大のコンテナ港になった。
マクリーンのシーランドは、たばこ会社のレイノルズに売却された。巨額の投資が必要になった。安価な石油価格を背景に高速船を建造。エレクトロニクスメーカーにコンテナは活用された。
コンテナは、スタートから大規模にやる必要がある。在来船は荷物を求めてあちこちに寄港したが、コンテナは定期航路、高頻度サービスで大量に持つをさばく必要がある。その結果供給過剰になる。
コンテナ船はランニングコストがかかるから、船を休止させておけない。
オイルショックの原油高で、荷物の量が減る。
高速船は燃費が悪く使えない。マクリーンの高速船は海軍に引き取られた。
レイノルズは海運事業を売却。景気に左右されやすい。海運業者が売るのはコモディティと同じ。
マクリーンは、従来のライバルユナイテッドステーツ海運を買収。超大型船で低燃費の船を建造。速度が落ちたため、流線型にしないで荷物を大量に詰める形。
パナマ運河を運航できる最大舟型=パナマックス級。さらにオーバーパナマックス級も建造された。限られた港を往復する。シンガポール~ロッテルダムなど。
寄港地は少なくなる。日本からサンフランシスコ行きの荷物はシアトルで下ろされる。
サッチャー首相は港湾施設に多額の投資が必要なことに嫌気を刺し、21の港を売却した。他の国も追従。
原油価格の下落で産油国向けの荷物が減少し、ユナイテッドステート海運は倒産。
コンテナによって巨額の費用が必要となり、生き残った海運会社はわずか。
船の速度は、原油価格に左右された。
コンテナは動く倉庫。保管費用が削減された。
混載船の時代は荷主は力が無いが、コンテナになると荷主がまとまれば海運会社を左右した。オーストラリアの輸出農家の例。
公定運賃は力を失う。コンテナは世界経済の規模を大きくした。
バービー人形は1959年の時点で、生産を日本で行うことにしていた。当初から世界のサプライチェーンを使っていた。
製造業は当初、垂直統合を目指した。運賃が安くなるとサプライチェーンを作るようになった。
世界のコンテナの20%は空。
コンテナによって反映する場所と不利な場所ができた。
アントワープ、ドバイなどコンテナによって都市化した都市ができた。
かつてはパナマ運河、今はマラッカ海峡で船のサイズを決める。マラッカマックス。さらに船が大きくなるか。
Posted by ブクログ
コンテナが普及していく過程と影響の一端を知ることが出来て勉強になった。
トラック運送会社、鉄道会社や船会社などを巻き込んだコンテナの導入・規格化は世界の物流を効率化させ、結果的にグローバル化を推し進めた。
港での荷揚荷卸をはじめとした物流費用が低下したことで、企業にとっては生産地と消費地の距離という制約から自由になり、労務費の低い場所でモノを製造することがトータルコストを押し下げることとなった。
Posted by ブクログ
1950〜2000年代にかけてコンテナリゼーションの変遷を学ぶことができました。コストがかかる海上輸送において、より効率的なコンテナ輸送を実現することで世界的に経済発展を促し、埠頭での雇用や設備環境を大きく変えてしまったのは非常に面白かった。ベトナム戦争を皮切りに、コンテナ活用の押し上げ、日本を経由することで空のコンテナの有効活用、ジャストインタイムによるグローバルサプライチェーンの実現など多様な歴史を知ることができました。付加価値をつけながら次なるフェーズへの発展という点では、多くの企業が学ぶべきステップアップだと感じました。
Posted by ブクログ
結論としてはタイトルに全てがあるのだろうなと思っている。「The BOX」。結局はモジュール化するという事が様々な効率を最大限に上げるという事なんだよ。単位を統一する事で全てがそれに則って動けるようになるんだよ。めちゃくちゃ哲学的に深いのではないのかこの結論は?応用がありとあらゆるところに効く。本当にコンテナ輸送を考えた人は天才だったな。途中なかなか読み進められないので何故だ?と思っていたのだが半分読んだところで、この物語がアメリカ国内ベースだからだなと気がついた。そこが発端でそこは他の多くの国の港に通じるだろう事はわかるけれど個人的にはその辺は端折って世界レベルでの話で読みたいのだなとわかった。
考えてみれば当たり前なんだけれどパナマックスと呼ばれる巨大コンテナ船が出てきたのはここ数十年の話だし、コンテナ輸送自体も歴史的には60年程しかないという事実にあらためてなんかびっくりしていた。本の最初1/3はアメリカでコンテナ輸送が始まってから現状を維持しようとする勢力とのすったもんだが主だったのもあり、個人的にはラストの様々な港の名前が出てきた現在の話のところが面白かった。結局ユニット単位で物事を捉えるというのが物流の今の流れだし、ユニット単位にすると言う事は世界標準が必要とされるという事だし、標準が発生するという事はその標準を最も効率よく維持できるところに全てが集中するという事なんだよな。
コンテナだけの話としてではなく現代の物や情報の流れとしても非常に示唆的でよかった。