あらすじ
日露戦争後、帝国日本の鉄道は第一次世界大戦期の重工業化と国際化によって黄金時代を迎えた。後藤新平を総裁とする満鉄が設立され、シベリア経由「東京発パリ行き」の欧亜連絡列車の運行が始まる。さらに関東大震災以後の都市化の波は小林一三の阪急、五島慶太の東急などの私鉄を発展させた。大正天皇の大喪輸送とともに昭和の幕が開き、大恐慌を経て戦時動員へ。一九〇七年から四五年八月の敗戦に至る怒濤の四〇年を描く。
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「幕末・明治篇」に続く老川日本鉄道史の第2弾。鉄道国有化から敗戦までを描く。本書においても,近代日本経済史を,鉄道を中心に見ることで,従来の通史とは異なる新たな解釈が思い浮かばれる。
とりわけ興味深かったのは,日本経済ないしは北東アジア経済におけるウラジオストックの位置づけだろう。従来の植民地史研究や帝国日本研究サイドに立脚すると,日満間の結びつきは朝鮮半島を軸にしてしまうが,ロシアを視野に入れることで,東京―米原―敦賀―ウラジオストック―満蒙というルートが日本の鉄道史に与えた影響力の大きさに,改めて目を奪われよう。
「キセル乗車」(174頁)のエピソードは微笑ましく感じられたし,敗戦翌日の1945年8月16日においても「国鉄は時刻表のとおりに動いていた」という最後の一文が,日本の鉄道史を一言で集約できているといえるのではないだろうか。
なお本書(初版)においても,JR相模線が「JR相模原線」(204頁)と記されていたのは看過できない誤字である。
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時に「少し意外!?」と思ったり、「何十年も前じゃないか?!」と驚くような発想が登場していたりと、興味深く読んだと同時に、色々と考えた…
前作を読んだ際にも、所謂“温故知新”というようなことを思ったが、本書もそうした想いが沸き起こる…
お薦め!!
Posted by ブクログ
広軌改築計画の挫折、軽便鉄道の普及、阪急、東急、西武、東武、小田急などの私鉄と沿線の開発、弾丸列車の計画と関門海底トンネルの開通などが取り上げられる。
1908年に八王子と東神奈川を結ぶ横浜鉄道が開通し、その後1917年に国有化された。
1926年に二俣川・厚木間に神中鉄道が開業。同年に相模鉄道が茅ヶ崎から厚木に達し、31年に橋本まで延伸した。神中鉄道は、33年に横浜まで延伸した。41年に東京横浜電気鉄道が相模鉄道の筆頭株主となって傘下に収め、43年には神中鉄道を合併した。
1927年に小田急小田原線、29年に江ノ島線が開通。
1937年に、手狭になった市ヶ谷の陸軍士官学校が新磯村と麻溝村に学校と練兵場を移転した。隣接して開院した第三陸軍病院は、現在国立相模原病院になっている。
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西洋の最先端の技術だった鉄道を明治の日本は貪欲に吸収していった。
私鉄が興り、国鉄に吸収されて、敗戦の日も走り続けていた日本の鉄道は、
日露戦争、第一次大戦、太平洋戦争などと密接に繋がっていたのが分かった。
最初の東京駅の構造が、出口と入り口がそれぞれ両端にあって、真ん中が皇族用の出入り口になっていて、利用客から不評だったというのはトリビア。